異世界の航路に祝福を   作:サモアオランウータン

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色々と書きたい事はありましたが、あまり長引いてもダレるだけなので演習編はこれで一区切りです


あと新北連イベントの情報が出ましたね!
私はタリンとソビエツカヤ・ベラルーシアが気になりますねぇ…
あと久しぶりの改造はまさかのクーちゃん!改造設計図は100単位で溜め込んでるので直ぐにでも改造出来ますね!


172.人間らしく

──中央暦1641年7月22日午後7時、ムー国アルヴァタール兵器試験場──

 

演習場の一角に設営された幾つものOD色のテント。

そこは演習に参加する将兵が寝泊まりする兵舎として機能しており、所属も種族も階級も様々な兵士達がテントの間を行き交っている。

そんな兵舎の一つ、"食堂"と書かれたプレートが掲げられている大きなテントの中では、腹を空かせた兵士達が供される料理に舌鼓を打っていた。

 

「スゴイ…軍隊でこんなレストランのような食事がとれるなんて…」

 

簡素なテーブルと椅子の食卓についたムー統括軍情報通信部の女性士官、カーナ・チェルコートが感嘆の声を上げた。

彼女の前には薄い金属板をプレスして作ったと思われる凹みの付いたプレート…メスプレートが置かれており、そこには様々な料理が盛り付けられていた。

 

「このパンは…何か穀物の粉が振り掛けてありますね。トーストされている事もあって香ばしく、このジャムと良く合いますね」

 

カーナが最初に手にしたのは、トウモロコシ粉が振り掛けてある円形のパン…トーストしたロイヤル風マフィンだ。

優しい甘さとカリッとした食感、それに合わせるのは柑橘類を砂糖で煮込んだジャム。

それを咀嚼すればトウモロコシ粉と小麦の香ばしさが鼻に抜け、ジャムの甘酸っぱさが疲弊した脳に染み渡るかのようだ。

 

「これは…揚げた肉団子でしょうか?それにしては随分と大きな…ん…?中に茹で卵が!」

 

次は茶色の塊にフォークを刺してナイフで切った。

すると切り口からは外見からは想像できない鮮やかな白と黄色が姿を現す。

スパイスを練り込んだ挽き肉で茹で卵を包んで素揚げにしたスコッチエッグだ。

茹で卵の白身の淡白な味わいと黄身の濃厚な味わい、それらを包む肉汁溢れるジューシーな肉ダネは合い挽き肉の旨味もさる事ながら、胡椒やマスタードの爽やかな辛味が味を全体的に引き締めているようだ。

 

「うん…うん…ボリューム満点ですね。これなら最前線で戦う方も大満足でしょう。こっちは…魚と芋の揚げ物でしょうか?揚げ物が多いのはやはり、エネルギーを補給する為でしょう」

 

年頃の女性としては油っこい物は控えたいが、最前線で敵と戦う兵士達を考えて作られた物である以上は仕方ない。

"明日は護身用火器の取り扱い訓練で体を動かすからいいか…"と自分を納得させつつ皮付きのフライドポテトを口にする。

表面は香ばしく中はホクホクとしており、皮付きである為に大地の香りを感じられる。塩が振り掛けられているようだが、薄くされているらしい。おそらくは個人が好きに味付け出来るようにされているのだろう。

そして白身魚のフライ、衣はサクッとしており胡椒で下味が付けられた魚肉は魚介の旨味が溢れてくる。

 

「美味しい…アズールレーンの人は毎日こんな美味しい物を食べているのですか…」

 

油っこくなった口をサッパリさせる為に続いては蒸し野菜を手を付ける。

ブロッコリーとアスパラガス、ニンジンにカボチャと中々に彩り鮮やかだ。

特に味付けはされていないようであるため、テーブルに置かれているビネガーをかける。

 

「野菜も新鮮で美味しいですね。こんな新鮮な食材を安定して補給出来るとは…彼らは兵器のみならず、兵站にも気を使っているのですね…」

 

とても軍隊とは思えぬクオリティーの料理に舌鼓を打ち、何度も頷くカーナ。

こんな食事が用意されているのなら、何が何でも生きて帰ろうという気持ちになるだろうし、何よりも暖かく美味い食事というのは気持ちに余裕を持たせてくれる。

余裕が無く飢えた軍隊と、余裕があり安定して食える軍隊。どちらが強いかと問われれば間違いなく後者であろう。

 

「それに…」

 

プレート上の料理を綺麗に平らげたカーナは、まだ残っている料理にフォークを伸ばした。

それはデザートとして配膳されたサマープディングだ。

ベリーの果汁を配合したシロップを染み込ませた薄切り食パンの型に、砂糖で煮詰めたベリーを詰め込んだロイヤル伝統のスイーツである。

 

「んん〜♪甘酸っぱい果汁とシロップの甘さ…アクセントのミントが演出する爽やかさ…デザートが出るだけでもビックリなのに、こんなに美味しいなんて…もし、我が国がアズールレーンに参加する事になったら志願しちゃいましょうか?」

 

年頃の女性は甘い物が好み…それは異世界でも変わらないようである。

頬を緩ませサマープディングを完食したカーナは最後に紅茶で口内に残る甘味を流し込むと、メスプレートを返却口に返して食堂テントを後にした。

尚、演習終了後に体重計に乗った彼女の顔が真っ青になったのは、また別の話である。

 

 

──同日、同兵舎内──

 

食堂テントからやや離れた大きなテント。

そこには"浴場"と書かれたプレートが掲げられていた。

内部には幾つものシャワーブースは勿論、中央部には大きな湯船が設置され暖かい湯が溜められていた。

 

「あ"あ"あ"〜〜……」

 

その大きな湯船にムー陸軍キールセキ駐屯地司令、ホクゴウ・ミルゾーレがオッサンのような─実際オッサンだが─声を出しながら肩まで浸かった。

 

「良い湯加減だ…足を伸ばして風呂に入れるとは…実に素晴らしい」

 

ムー陸軍の装備品にも入浴設備は当然存在する。

しかし入浴設備と言っても簡易的なシャワーであり、温水を作る為の設備も貧弱な為に冷水が出たり熱すぎる湯が出たりと扱いが難しいものだった。

 

「どうですかな?我々の衛生装備品は」

 

体を芯から温める湯の心地よさにリラックスしているホクゴウの隣に初老の男性が腰を下ろした。

アズールレーン陸軍司令官であるノウ・ヒーリョーである。

 

「あぁ、ノウ司令。いやはや、いくら後方地帯とは言えこうして湯に浸かれるというのは贅沢なものですな。一日の疲れが湯に溶けてゆくようですよ」

 

そう言って辺りを見回すホクゴウ。

この大きな湯船は一度に30名程が入浴出来るようになっており、今でも20名程度がリラックスした様子で入浴している。

重い装備品や銃器を抱えて戦場を走り回る一兵卒は勿論、地図を前にして戦術を立案する士官も分け隔てなく体を清めている様は正に一時の休息と言うに相応しいだろう。

 

「疲れを取る事は勿論ですが、やはり清潔にしておかないと感染症の可能性がありますからね。もう利用されたかもしれませんが、そう言った意味では洗濯部隊も重要ですな」

 

自分の肩を揉みながら脱衣場の方を指差すノウ。

アズールレーンやロデニウス連邦軍、それらに影響を受けた第三・第四文明圏の軍は補給部隊内部に衛生関連専門部隊を設けている。

彼らは後方地帯で活動し、拠点の衛生管理…入浴設備やトイレ、洗濯機材等を扱う事で戦闘部隊の支援を行っているのだ。

 

「確かに…我が国でも一時期、感染症の胃腸炎が蔓延した時期がありました。その際には軍も機能不全に陥り…もし、戦時中であれば大変な事になっていたでしょう」

 

「えぇ、我々もそれを危惧しているのです。戦場で感染症が蔓延すれば如何に強力な兵器を保有していたとしても満足に扱う事が出来ません。戦場で倒れるならまだしも、飢えや病で死なせてしまっては我々を信じて志願してくれた若者達に申し訳が立ちません」

 

「そうですな。若者達が命を懸けて戦っているなら、我々がやるべきは彼らがなるべく快適に戦う事が出来る環境を整える事でしょう」

 

風呂に浸かって忌憚なく語らうホクゴウとノウ。

所属も階級も違うが、この状況は正に裸の付き合いだ。

この風呂場では所属を示す制服も、階級を示す階級章も存在はしない。

 

「ホクゴウ司令、ノウ司令!長風呂し過ぎですよ!入浴待ちがまだ居るのですから、早く上がって服を着て下さい!」

 

「あ…あぁ、すまない!直ぐに上がる!」

 

「思ったより話し込んでしまいましたな」

 

しかし、いくらオープンな場であってもこの入浴設備を運用する衛生部隊の言葉は絶対だ。

彼らは綿密なスケジュールを立て、快適な環境を整えるのが仕事…それに対して階級を振りかざすのは、彼らを侮辱する事に他ならない。

それ故、衛生部隊員の注意を受けたホクゴウとノウはいそいそと湯船から上がり、手早く体を拭いて予め用意していた清潔な略装を着て浴場を後にした。

 

 

その後、ムーとアズールレーン・ロデニウス連邦軍による国際合同演習は二週間の日程を完了し、終了となった。

この演習には様々な国家が観戦武官を派遣し、少なくない国がアズールレーンへの参加とロデニウス連邦と軍事同盟を結ぶ事を決める事となり、"世界最強"である神聖ミリシアル帝国すら方針転換を行う程であった。

そんな事もあり、本演習は後世で『世界のパワーバランスを変えた演習』と呼ばれる事となったのである。




各国の動向についてを書いてからグ帝編に移ろうかと思います

今後、お色気シーンは…

  • 今より増やせ
  • このぐらいでいい
  • もう少し減らしていい
  • もっと減らして
  • 無くていい
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