異世界の航路に祝福を   作:サモアオランウータン

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明日からアズレンのイベントに加えてアークナイツとブルーアーカイブのイベントが始まるので急いで書き上げました
という訳で、次回は投稿が遅れるかもしれません


173.演習を終えて〜ロデニウス連邦・アズールレーンの場合〜

──中央暦1641年8月10日午前10時、ロデニウス連邦首都クワ・トイネ──

 

「では、先日行われたムーとの国際演習について反省点等ありましたら挙手をお願いします」

 

もはや実質的に列強国に数えられる事も多くなってきたロデニウス連邦、その首都クワ・トイネ。

そこに置かれた大統領府の会議室では軍関係者を中心とした会議が行われていた。

無論、会議の議題は先月行われたムーとの演習についてである。

 

「よろしいですか?」

 

「パタジン防衛大臣、どうぞ」

 

ロデニウス連邦防衛大臣パタジンが挙手し、進行役であるアズールレーン憲兵隊儀仗隊長イーネが発言を許可する。

 

「では…まずは皆様、今回の演習は大きな事故も無く全行程を恙無く行う事が出来ました。ですが、我々ロデニウス連邦軍としては幾つかの課題が顕となりました。まずは…」

 

タブレットを操作し、会議室に設置された大型モニターにグラフや数値を表示させる。

 

「まず、航空戦力についてですが…空対空戦闘、つまり戦闘機を用いて敵航空機を撃破するという事については非常に高い成績を残しています。今回の演習では、標的機が一定の空域から出る前に撃墜するという想定で行われました。撃墜率は80%以上、一部の部隊では90%を超えています」

 

会議の参加者から感嘆の声が上がる。

幾ら単純な動きの標的機相手とは言え、これ程の撃墜率を叩き出すというのは驚異的とも言えるだろう。

しかし、モニターに表示された4本のグラフの内1つは最も高い空対空戦闘を示したグラフより2割程短く、残り2つは半分以下となっている。

 

「そして此方は地上目標に対する攻撃成績です。命中率は凡そ60%…これはトーチカのような固定目標と、戦車のような移動目標を合算したものです。今回の演習では通常爆弾を用いた急降下爆撃は勿論、大口径機関砲やロケット弾を使用した攻撃も行いましたが、移動目標に対する命中率が若干劣る程度で十分な成績だと評価出来ます」

 

こちらも中々に優れた命中率だと言えるだろう。

歩兵部隊にとってトーチカや戦車と言った火力と防御力に優れた兵器は脅威であり、戦車部隊にとっても対戦車砲を主軸とした攻撃陣地は厄介な相手だ。

そんな地上目標を効率的に破壊するには、上方からの攻撃…つまり航空機による対地攻撃が一番だ。

 

「しかし…これが対艦攻撃ともなれば違います。急降下爆撃の命中率は25%程度、雷撃の命中率は20%程度と大きく下がります」

 

「よろしいですか?」

 

パタジンの言葉に一区切り付いた所で、旧クイラ王国出身のロデニウス連邦陸軍第一師団長であるアジフーラ・アヴドゥが挙手した。

 

「艦艇は地上目標よりも大きく、機敏な動きが出来ないのに何故命中率が下がっているのでしょうか?」

 

確かにアジフーラの言葉通り、戦車やトーチカに比べれば艦艇は的が大きい。

しかも急制動性能は戦車等とは比べ物にならない程に低い為、普通に考えれば対地攻撃よりもやりやすい筈だ。

 

「それは対空攻撃が地上目標よりも苛烈だったからです。こちらの…」

 

アジフーラの言葉に応えつつタブレットを操作して次のスライドを表示させる。

するとモニターにはパイロット用のヘルメットが表示された。

 

「このヘルメットですが、バイザー部分がARゴーグルとなっており、これによりパイロット達には標的艦が猛烈な弾幕を張っているように見えていたのです。…いくら現実ではないと分かっていても、砲弾が迫りくる恐怖というものは中々に恐ろしいものです」

 

実はアズールレーンとロデニウス連邦軍のパイロット達は訓練用のARシステムを装着した状態で演習を行っていた。

そしてARシステムに投影された映像はユニオンKAN-SEN達の対空射撃に準じたものであり、音響設備も合わさってかなりリアルな物となっている。

そんな事もあって彼らは普段の訓練よりも低い命中率となってしまった。

もっとも、対艦攻撃の命中率が20%程と言うのは十分に高いと言えるだろう。

しかし、彼らの基準は死人が出る程の猛訓練によって人外レベルの練度を誇る重桜航空隊…一言で言えば、上を見すぎて感覚がおかしくなっているのだ。

 

「なるほど…恐怖心から投弾タイミングを見誤った結果、このような命中率となったのですね」

 

「はい。しかし、一方的に彼らを責める事は出来ません。彼らも一人の人間である以上、恐怖する事もあります」

 

「確かに…彼らは感情を持たない殺戮機械ではありませんからね。ですが我が国の防衛戦略上、対艦攻撃は最重要課題であります。その辺りは如何お考えでしょうか?」

 

パタジンに対しアジフーラが問いかける。

ロデニウス連邦軍の基本理念は国土防衛であり、ロデニウス大陸へ上陸しようとする敵軍を撃破する事が基本戦略だ。

そのため海からの脅威…つまり敵国海軍を撃破し制海権と制空権を確保する事がロデニウス大陸防衛に繋がるのだ。

それ故、敵艦隊を撃滅する為の攻撃手段は必須である。

 

「その件については私の方から宜しいでしょうか?」

 

挙手したのは指揮官こと、アズールレーン総指揮官クリストファー・フレッツァである。

 

「指揮官殿、何か秘策が?」

 

「はい。こちらをご覧下さい」

 

パタジンの言葉に頷きつつ、タブレットを操作してモニターの表示を切り替える。

 

「現在、我々は対艦誘導弾…いわゆる対艦ミサイルの開発と配備を進めています。現状は北連系の技術者が中心となっていますが…」

 

モニターに映し出されたのは翼の生えた細長い円筒形の物と、同じく翼の生えた弾丸のような物だった。

細長い円筒形の下にはKh-22、弾丸状の物にはP-15と書かれている。

 

「これらは大型機や艦艇に搭載する対艦ミサイルですが…これらは大型の為、艦載機に搭載する事は難しいのです。しかし、ユニオン系の技術者と厶ーの技術者が共同でテレビ放送技術を利用した滑空誘導爆弾の開発を進めています。これが実用化されれば、対空砲火の中を急降下しなくても済みます。…まあ、急降下爆撃が不要となる訳ではないでしょうが」

 

指揮官の言葉に感心したような声が上がる。

 

「ですが、懸念が無い訳ではありません。先ず皆様もご存知の通り、目下の仮想敵国はグラ・バルカス帝国…ムーより西方に位置する国家となっています。ムーより提供された情報や一般市民からの目撃情報、更にロデニウス大陸近海で鹵獲した潜水艦に使われている技術から察するにかの国は我々と同等…あるいはより高度な技術力を保有していると想定されています」

 

厶ーのパイロットが撮影した『零式艦上戦闘機』に酷似した航空機や、厶ー大陸沿岸部の住人が目撃した大型艦、さらには鹵獲した『伊400型潜水艦』に酷似した潜水艦の存在等からアズールレーンではグラ・バルカス帝国が優れた技術力を持っていると推測している。

また、マギカライヒ共同体へ亡命した旧レイフォルの住人の話から、グラ・バルカス帝国の苛烈な植民地支配の実情が露わになった事から、同国を"覇権主義を標榜する潜在的敵性国家"と位置付ける事となった。

 

「となると…指揮官殿はかの国がジェット機や誘導弾を保有していると?」

 

アジフーラの言葉に指揮官は頷いた。

 

「はい。かの国にとってレイフォルは植民地…植民地を他国に奪われない為にある程度の戦力は配置しているでしょうが、最新鋭兵器を配備している可能性は低いでしょう。本国にはより高性能な兵器…ジェット機や誘導弾が存在するかは不明ですが、我々の概念では思い付かないような兵器を保有している可能性も否定出来ません」

 

基本的に指揮官は敵を過大評価する傾向にある。

明らかに技術レベルが劣っていたパーパルディア皇国ならまだしも、似通った兵器を運用出来る相手であれば自分達が知らない兵器を保有していると考えている。

それもこれも前世界にて、セイレーンと戦ってきた経験によるものだ。

 

「もし、かの国がそのような兵器を保有し我々に対して使用してきた場合、エストシラントやアルタラス王国に設置した40cm級要塞砲群での対処は厳しいでしょう。やはり対艦誘導弾や対空誘導弾、更には誘導弾を無力化あるいは撃墜出来るような兵器の開発が必要ですね。我々はジェット機と対空誘導弾を少数配備していますが、安定した供給は未だに厳しい状況にあります。せっかくの高性能兵器でも数が揃わなければ戦力としては心許無いので…暫くは従来のレシプロ機で凌ぐ他無いでしょう」

 

一度言葉を区切り、再び口を開く。

 

「ですが、我々の支援により厶ーは2000馬力級エンジンの国産化に成功し、神聖ミリシアル帝国はアーマード・トルーパーの独自開発に成功しています。また、自由フィシャヌス帝国を始めとした第三文明圏の国々は我々が輸出した中古兵器により以前の厶ーと同等の武力を手に入れました。もし、グラ・バルカス帝国がロデニウス大陸に侵攻するのであれば、それらの国々を突破する必要があります。かの国が如何に優れた兵器を保有していようが、連戦を重ねれば消耗は免れないでしょう」

 

自由フィシャヌス帝国には多大な支援を行い、厶ーには多数の技術支援を、神聖ミリシアル帝国には大量破壊兵器の譲渡すら行ってきたのは別にいい顔をしたいが為ではない。

いざとなれば他国を防波堤代わりにしようという算段なのだ。

勿論、防波堤になるどころか牙を剥かれる事も考えられるが、そうなれば牙を剥いた国の首都に大量破壊兵器が撃ち込まれる事となるだろう。

言ってしまえば味方となれば甘く、敵となれば容赦はしない…中世の遊牧民のようなスタンスである。

 

「ですが、それでも突破された場合は?」

 

アジフーラが問いかける。

それに対し指揮官は、不敵な笑みを浮べて答えた。

 

「そうですね…それでも時間は稼げるでしょうから、それまでには十分な量の兵器を配備出来るでしょう。もし、間に合わなければ…あらゆる手段を使ってでも勝利をもぎ取りましょう」

 




長々喋ってる割には中身のある話してねぇ!

今後、お色気シーンは…

  • 今より増やせ
  • このぐらいでいい
  • もう少し減らしていい
  • もっと減らして
  • 無くていい
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