異世界の航路に祝福を   作:サモアオランウータン

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セイレーン作戦リセットをすっかり忘れてて要塞戦を逃してしまいました…
リセットは任意のタイミングで出来るようにしてもらいたいものです


175.演習を終えて〜厶ーの場合〜

──中央暦1641年8月12日午後3時、厶ー国ジャナム軍港──

 

厶ー最大の軍港、ジャナム軍港の埠頭。

そこには何隻もの軍艦が停泊しており、その黒鉄の巨躯を休ませていた。

その内の1隻、一際大きな船体と天を衝くような艦橋、5基の連装砲が特徴的な戦艦『ラ・アカギ』の艦長室では一人の若者が多くの書物を前にコーヒー入りのマグカップを傾けている。

 

「んー…夜間レーダー射撃の基本は…」

 

──コンコンッ

 

一冊の書籍に記された文章を目で追いながら思考に耽っていた艦長室の主、厶ー海軍最年少艦長であるラッサン・デヴリンの集中を乱すように唐突に扉がノックされた。

 

「は…」

 

「やっほー、ラッサン。暇?」

 

入室を許可する間もなく扉が開かれ、軽い言葉と共にあどけなさが残る女性が艦長室にズカズカと入ってきた。

 

「あー…すまん、ラッサン」

 

続いて入ってくるのは、ラッサンと同年代の若者。

二人ともラッサンにとっては馴染みの相手である。

 

「ラ・ツマサ、マイラス。思ったより早かったな」

 

先程まで熟読していた書籍に栞を挟み、苦笑しながらも二人を歓迎するラッサン。

 

「すんすん…うへぇ…コーヒーの匂いが充満してて気持ち悪い…こんな状況でよく勉強出来るね。外に出て風でも浴びてくれば?」

 

艦長室に漂うコーヒーの芳香に閉口しながら呆れたように述べるラ・ツマサ。

幾ら空調があるとは言え、窓一つ無い軍艦の居住スペースでは匂いが籠もってしまうのも仕方ない事であろう。

男の汗や皮脂ではなく、香ばしいコーヒーの香りなだけマシだ。

 

「無茶言うなよ。今日は雨、しかもザーザー降りの豪雨だぞ。…まあ、座れよ」

 

ラ・ツマサの言葉に対して苦笑混じりに応えつつ、二人に艦長室備え付けの応接セットのソファーを奨めるラッサン。

彼女の言う通り今日は雨。傘を差しても足元がぐっしょりと濡れてしまう程に強い雨が降っている。

 

「昨日はあんなに晴れてたのにな。やっぱり、『人工衛星』ってスゴいなぁ…」

 

ラッサンの言葉に従ってソファーに腰を下ろしながら感心したように呟くマイラス。ラ・ツマサは彼の隣に当たり前のように腰を下ろし、ピトッと体を密着させた。

人前でイチャつくな!と言いたい所だが、この二人を知る人物にとっては最早何時も通りの光景過ぎてツッコミを入れる気にもなれない。

 

「あぁ…ロデニウス連邦が打ち上げた『宇宙ロケット』って奴で厶ー大陸上空に気象観測機器を載せた機械を飛ばし続けてるんだろ?そのお陰で天気予報がかなり正確になったとかなんとか…」

 

続いてラッサンも感心したような言葉を紡ぐ。

人工衛星打ち上げに成功したロデニウス連邦だが、正確な気象観測の為には遠隔地の気象データも必要となる。

そこで厶ー大陸上空の静止軌道上に気象衛星を投入する事にしたのだ。

勿論、厶ーとしてはこれに反対だった。如何に友好国とは言え、遥か高みから覗き見られる事は戦略的に見て非常に不味い。

そこでロデニウス側から提案されたのが、厶ーによる"気象衛星の買い取り"だった。

これはロデニウス連邦が開発した人工衛星を厶ーが買い取り、観測データ等をロデニウス連邦と厶ーが共有するものとなっている。

これにはシステム運用ノウハウの提供等も含まれており、厶ーは人工衛星の運用・開発ノウハウを得られる事が出来る上にこれまでよりも高い精度で気象予報が出来る事となった為、デメリットを受け入れてでも導入すべきとなったのだ。

因みにこの話を聞いた神聖ミリシアル帝国は驚愕し、直ぐ様厶ーと同じような条件で人工衛星を導入したのはまた別の話である。

 

「まあ、それよりこの間の国際演習についての会議だが…」

 

「あぁ…確か昨日会議してたんだっけか?俺達は別個で会議をしたが…そっちの会議はどうだった?」

 

マイラスの口から出たのは、先日行われた国際演習についての会議の話題だった。

実はマイラスは技術者の視点からの意見が必要だとの事で、オタハイトで行われた会議への出席を要請されていた。

 

「まず、やはり政府としてはロデニウス連邦との関係をより良好なものとする…と言う方針を定めたよ。それに、まだ曖昧だけど軍事同盟締結も視野に入れるべきと考えているらしい」

 

「やっぱりな。ロデニウス連邦は我が国最大の友好国だし、官民問わず活発な交流が行われている。現状は『戦力共有協定』を結んではいるが…やっぱりより友好な関係をアピールしたいなら軍事同盟が一番だよなぁ…」

 

国際演習を通して厶ー政府はロデニウス連邦の力を改めて認識し、同国が自国と戦略的価値観を共有出来ると判断していた。

何せ厶ーはロデニウス連邦から様々な技術提供を受け、その技術で開発した製品をロデニウス連邦へ輸出する事でそれなりの利益を得ている。

また、ロデニウス連邦も厶ーに対して兵器等を輸出する事でこれまた莫大な利益を得ている。

言ってしまえば厶ーとロデニウス連邦、第二文明圏と第四文明圏による新たなる経済圏が出来上がったと言っても良い状態だ。

更には自由フィシャヌス帝国を中心とした第三文明圏の国々も厶ーの安い工業製品に注目しており、インフラ関係の製品が徐々に売上を伸ばしている状況だ。

そんな中でロデニウス連邦とより深い良好関係を築いた事をアピール出来れば、厶ーの製品を売り込みやすくなるであろう。

 

「それに…あのグラ・バルカス帝国の件も…」

 

マイラスの腕に緩んだ表情で頬ずりしていたラ・ツマサが眉間に皺を寄せながらギリッと奥歯を鳴らす。

勿論、厶ーとて商売の為に長年守り抜いた中立を捨てるのではない。

演習中、厶ーが入手したグラ・バルカス帝国についての情報をロデニウス連邦とアズールレーンに渡して解析を頼んだのだが、そこから得られたグラ・バルカス帝国製兵器は度胆を抜くようなものだった。

500km/h以上の速度が発揮出来ると思われる戦闘機に、雷撃機らしい機体。艦船はどれも30ノット以上は発揮出来ると想定され、40cm級の主砲を搭載した戦艦を保有している可能性がある…そんな予測が出された。

いくら新兵器の配備が進んでいる厶ーと言えど、相手がどんな兵器を隠し持っているか分からない以上独力で対抗するには厳しいモノがある。

だからこそ、ロデニウス連邦との軍事同盟を視野に入れているのだ。

 

「だが、ロデニウス連邦軍はどちらかと言えば防衛を前提とした戦略を軸にしているんだろ?どちらかと言えばアズールレーンに参加した方がいい気がするが…」

 

ラッサンの言う通り、ロデニウス連邦軍は他国に侵攻するような軍ではなく自国を防衛する為の軍である。

他国に…と言うより敵国の軍事施設や生産設備を叩いて戦意を挫くのはアズールレーンの仕事であり、第四文明圏の国々を防衛すると言う事もある為いざと言う時に助けてもらうにはアズールレーンに参加する方が良いだろう。

 

「勿論アズールレーンへ参加する話もあるぞ。そっちはロデニウス連邦との軍事同盟よりも具体的な話になってる。もしかしたら、今年中には参加する事になるかもな…」

 

「確か誘導弾の共同開発プロジェクトや輸入なんかもアズールレーンに参加していないから、という理由で断られたんでしたっけ?」

 

マイラスの言葉に対してラ・ツマサが記憶を手繰りながら告げる。

彼女の言う通り厶ーはアズールレーンにて開発中の誘導弾を導入しようと考え、共同開発や輸入を要請していた。

しかし、流石に誘導弾ことミサイルを渡す事は難しいらしく折衷案として誘導滑空爆弾の共同開発が提案された。

 

「あぁ…確かに誘導滑空爆弾もスゴイ兵器だが、対艦誘導弾や対空誘導弾があればなぁ…」

 

「まあ、仕方ないさ。あっちとしても誘導弾はまだ実験的な兵器だし、実用化出来ても自分達に優先的に配備したいだろうから暫くは輸入も無理だろうな」

 

「だけど…もしロデニウス連邦との軍事同盟やアズールレーンへの参加が叶えば、それらの誘導弾がグラ・バルカス帝国に牙を剥くと…ふふふ…」

 

難しい顔をして語らうマイラスとラッサンだが、ラ・ツマサは怨敵が苦しむ様を想像して黒い笑みを浮べていた。




最近なんだか考えた事を上手く文書に出来なくなってるような気がします…

あとグ帝戦に向けてレシプロ機の空戦を勉強したいのですが、いい書籍とかありますか?
とりあえず『大空のサムライ』『撃墜王』『急降下爆撃』は持ってます

今後、お色気シーンは…

  • 今より増やせ
  • このぐらいでいい
  • もう少し減らしていい
  • もっと減らして
  • 無くていい
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