ちょっとスランプらしき何かになってしまい、上手く書けない日々が続いておりました
以前のようなペースが保てるかは不明ですが、どうにかこうにか書いて行きますのでこれからもよろしくおねがいします!
──中央暦1642年4月23日、グラ・バルカス帝国東征艦隊、駆逐艦『キャニス・ミナー』──
──ドンッ!ドンッ!
戦艦同士の砲撃戦が行われる最中、艦隊から離れて最大戦速でミリシアル艦隊へ接近する水雷戦隊を率いる駆逐艦『キャニス・ミナー』の露天艦橋では、艦長であるエッス・オースが海風に目を細めながら指揮を執っていた。
「久々に水雷屋の気概を見せる時が来たぞ!水雷長、信管調定は間違いないな!?」
「えぇ、艦長!各発射管、問題ありません!」
ビュービューと吹き抜ける海風の中、エッスは水雷兵装運用の責任者である水雷長に最終確認をした。
彼が艦長を務める駆逐艦キャニス・ミナーを始めとする『キャニス・ミナー級駆逐艦』は、従来の駆逐艦よりも航行能力が高く重武装であり、傑作駆逐艦と名高い。
今では後継艦である『エクレウス級駆逐艦』も配備されつつあり比較的旧式の部類ではあるが、それでもこの世界においては屈指の性能を持っていると言っても良いだろう。
──ゴォォォォォン…
「戦艦プロキオン、被弾!速力、徐々に低下しています!」
後方から響く轟音にいち早く反応した見張り員が、双眼鏡を覗きながら悲鳴のような報告をあげる。
それに釣られる形でエッスも後方に目を向けると、黒煙を立ち昇らせる戦艦の姿が目に映った。
ミリシアル海軍の戦艦が放った砲撃が直撃したのだろう。どうやら煙突近辺に被弾し、ボイラーに被害を受けたらしい。
「くっ…流石に世界最強と名乗るだけはある。一刻も早く魚雷を放ち、敵主力艦を撃破するぞ!」
速力が落ちた艦は積極的に狙われる事となるだろう。
如何に『オリオン級戦艦』が老朽艦で失っても惜しくないとは言え、それを操るベテラン水兵約2000名の命と彼らの経験は何物にも代え難い。
それ故エッスは、必殺の一撃となり得る魚雷を以て敵艦隊に大打撃を与える事で主力艦を助けようとしているのだ。
「敵小型艦船、発砲!」
「何っ!?距離はまだ17kmを切ったばかりだぞ!」
後ろ髪を引かれる思いで徐々に艦隊運動から落伍するプロキオンから視線を引き剥がしたエッスに、別の見張り員が報告する。
キャニス・ミナー級駆逐艦に搭載されている『12.7cm連装砲』の最大射程は凡そ18kmだが、ミリシアル海軍の小型艦である『ダガー級小型艦』の主砲は『13cm単装砲』であり、最大射程は約22kmとなっている。
勿論これらはあくまでも最大射程であり、命中が期待出来る有効射程となればより短い距離となる。
しかし、それでもミリシアル側の小型艦の方が有効射程に優れており、グラ・バルカス側の駆逐艦は射程外から一方的に撃たれる羽目になったのだ。
──ヒュゥゥゥゥゥゥ……ズゥゥンッ!ズゥゥンッ!
「うぉぉぉぉぉっ!?」
風切り音の後、水雷戦隊の周囲に轟音と共に水柱が立つ。
天高く巻き上げられた海水は飛沫となり、キャニス・ミナーの露天艦橋を水浸しにした。
「くっ…初弾から夾叉とは!被害は!?」
「被害…ありません!ずぶ濡れになっただけです!」
「そうか、なら良し!いい加減、屋根を付けて欲しいものだな!チッ…それにしても…やはり侮れんな…」
海水で濡れた顔を手で拭い、眼前に迫るミリシアル艦隊を睨み付けるエッス。
戦艦よりも交戦距離が短いとは言え、初弾から夾叉させる事が出来る程の練度…彼は内心、死を覚悟した。
「流石に一筋縄には行きませんな!やはり、戦列艦を主力にしていた連中よりも遥かに強い!」
次々と着弾するミリシアル側の砲撃により揺れる船体から振り落とされないように踏ん張っていたエッスに、副官が険しい表情で告げる。
「あぁ、だが負ける訳にはいかん!我々は無敵の帝国海軍水雷戦隊!魚雷を知らぬ連中の度肝を抜いてやらなければ、死んでも死にきれん!全艦、全速前進!敵艦隊に魚雷を叩き込んでやれ!」
如何に敵が強くとも恐れず、近距離から魚雷を叩き込む。
この単純明快な戦法により、前世界における最大の敵であった『ケイン神王国』の戦艦や空母をも屠った。
駆逐艦が大型艦を沈めるには、どの道これしか無いのだ。
──ドォォォンッ!
「ゴ、ゴメイサ被弾!駄目です!あれでは…」
──ズガァァァァンッ!!
「うわぁぁっ!ゴメイサ轟沈!ゴメイサ、轟沈!」
キャニス・ミナーの背後に着いていた2番艦の『ゴメイサ』に、ミリシアル艦隊が放った13cm砲弾が直撃した。
装甲なぞ有って無いような駆逐艦…しかも運悪く魚雷発射管に直撃してしまったようだ。
ダメージコントロールの暇も無く、誘爆によってゴメイサは火柱と水柱の中で真っ二つに折れ、浮力を失った船体は乗組員と共に海底へと引き摺り込まれた。
「クソッ…!怯むな!ゴメイサの敵を討つぞ!」
ゴメイサの轟沈により発生した熱い海水の飛沫の熱を頬に感じながらも指示を飛ばす。
──ドンッ!ドンッ!ドンッ!
「我が方の砲撃、敵小型艦船に対して効果小!連中、中々に硬い…!」
ミリシアルの前衛艦船に砲撃をするが砲術長が言う通り、思った程の効果は無いように見える。
確かに手傷を負わせてはいるし、そのまま砲撃を当て続ければ沈める事は出来るだろうが、相手はグラ・バルカス側の駆逐艦よりも防御に優れているようだ。
というのも、ミリシアルの小型艦は格下相手…それこそ大挙して押し寄せる帆船を相手する事を想定しており、それらが装備する大型バリスタや魔導砲に耐えうるだけの装甲を備えており、これによってグラ・バルカス側の砲撃に耐えているのだ。
「距離、9000!魚雷の射程内です!」
「よしっ!魚雷発射よーい!」
砲弾の雨の中、一心不乱に艦を走らせていると、いつの間にか魚雷の射程内に辿り着いたようだ。
本来ならより近付いて発射したいところだが、無理に接近してしまっては敵艦の砲撃によりこちらが壊滅しかねない。
「発射ぁぁぁぁっ!!」
「魚雷発射!繰り返す、魚雷発射!」
──バシュゥゥゥゥゥンッ!
エッスの号令を副長が復唱し、圧搾空気により魚雷が発射管から押し出されて海中へと投下された。
「よしっ、退却!これ以上敵に付き合う義理は…」
海中を進む幾本もの白い航跡を横目に、エッスは退却の指示を出したが…
──ヒュゥゥゥゥゥゥ…
「…っ!か、回避ぃぃぃぃぃぃっ!」
上空から聴こえてくる不気味な風切り音。
その正体は分かっている。それ故、回避運動をするように指示を出したが、それは一歩遅かった。
──ガギィィンッ!!
「うぉぉぉぉぉっ!?」
金属が引き裂かれるような嫌な音と共に伝わる下から突き上げるような衝撃。
方向転換をしようとしていたキャニス・ミナーの前甲板に搭載された主砲の正面に、敵弾が直撃したのだ。
──ドンッ!
「うわぁぁぁぁぁっ!?」
炸裂した砲弾により、弾薬庫に収められている砲弾や発射薬が誘爆し、その衝撃でエッスは艦橋から放り出された。
──ドォォォンッ!!
炎に包まれ、艦首が破断するキャニス・ミナー。
幸運な事に轟沈は免れたが、沈没は時間の問題だろう。
「ぶはあっ!ゲホッ!ゲホッ!」
そして、エッスも幸運だった。
衝撃により放り出され、結構な高さから海面に叩き付けられたにも関わらず失神する事もなく、偶然近くに浮いていたゴメイサの救命浮輪に掴まる事が出来た。
「はぁ…はぁ…キャニス・ミナーが…」
破断した艦首部分から流入する海水により徐々に…しかし、急速に沈みゆく艦を前に悲しげな表情を浮かべるエッス。
だが、ここは戦場だ。感傷に浸っている場合ではない。
「て、敵艦隊は…?」
体中がズキズキと痛むが、どうにか脚をバタつかせて敵であるミリシアル艦隊の方を向く。
すると、ミリシアル艦隊の小型艦や巡洋艦が舷側をグラ・バルカス艦隊に向けるような陣形を組む様子が見て取れる。
「なんだ…?あのドラム缶みたいな物は…?」
その様子をそのまま捉えれば、砲撃戦の準備に見えるが、エッスは目敏く敵艦の後甲板に搭載されている巨大な円筒形の物体に気付いた。
「機雷か?いや、今更機雷を敷設しても意味は無い…」
頭に疑問符を浮かべていたエッスだが、その答えは直ぐに分かった。
──ガゴンッ…ガゴンッ…ガゴンッ…
甲板に設置されたレールを伝って舷側へ次々と投下される円筒形の物体。
一見すると機雷敷設をしているように見えるが、それは海面に浮かび…
──グォォォォ…ザバザバ…バシャバシャバシャバシャバシャバシャ!
「な…なっ…」
低い唸り声のような音がした後、円筒形の物体が微かに発光したと思ったらそのまま"勢い良く回転を始め、水飛沫を巻き上げながら海面を爆走"し始めた。
「何じゃありゃぁぁぁぁ!?」
見た事も聞いた事も無い兵器に、エッスは口をあんぐり開けて驚愕する事しか出来なかった。
ところでアズレンは色々とアップデートして快適になりましたね
特にセイレーン作戦のオートはもう最高ですね!あとはリセットを任意のタイミングで出来るようになればいいのですが…
あと、サディアイベントの情報も来ましたね!
私的には、アクィラが刺さりましたし、ポーラとヴェネトの水着が…こう…ね!
それにまさかの天城ちゃん!ここでぶっ込んでくるとは…と思いましたが、早いもので子供の日は間近でしたね
これは日本版4周年も期待出来ますねぇ…