やっぱり皆パンジャンが好きなんですねぇ!
──中央暦1642年4月23日、神聖ミリシアル帝国マグドラ群島防衛隊基地──
「どうだ、動かないか!?」
「動きませーん!やはり、海水を吸い込んだ事でエンジンが破損したようです!」
マグドラ群島に置かれた離島防衛隊の基地では1機のジグラント2が、排気口から黒煙を吐き出しながら機体を細かく震わせていた。
「くっ…この機体は初期生産型だからな…やはり、寿命か…」
明らかな不調を見せる機体のコンソールに取り付けられたスイッチ類をパチパチと弾きながら、中隊長であるオメガが半ば諦めたような口調で呟いた。
オメガが駆るこのジグラント2は初期に生産された機体であり、首都防衛隊からのお下がりだった為、かなり酷使されていた。
しかも先程行った決死の急降下爆撃からの離脱の際に、かなり低空を飛んだ事で海水の飛沫を空気取り入れ口から吸い込んでしまった事がトドメとなったのだろう。
《隊長、機体の調子は如何ですか?》
「副長、やはりダメなようだ。修理は…」
搭載されている魔信から副隊長が呼びかけ、オメガはそれに応えつつエンジンを始動させようと苦心する整備士に目を向ける。
だが、整備士は腕をクロスさせて大きな✕を作って首を横に何度も振った。
「出来ないらしい。エンジンを載せ替えるかオーバーホールする必要がありそうだ。すまないが副長、先に出撃してくれるか?私もどうにか出撃出来るように尽力する」
《了解。ですが、無理して出撃はしないで下さいよ?…心配は要りません。我が国の天の浮舟は世界最強の航空戦力です。それが22機もあれば、遅れを取る事はありませんよ》
「…そうだな。では頼んだ」
《了解!》
慢心とも取れる自信を見せる副隊長に一抹の不安を覚えるオメガであったが、せっかくの高い戦意に水を差すのは憚られたのか、短い言葉で指揮を任せる。
──ゴォォォォォッ!ゴォォォォォッ!
副隊長機を先頭に、次々と離陸して行くジグラント2を口惜しそうに見送るオメガ。
しかし、何時までもそうしている訳にはいかない。
愛機のコックピットから降りると、グリス塗れになった顔を拭う整備士に歩み寄った。
「他に使える機体は無いか?」
「残念ながら予備機はメンテナンス中で飛び立てません。あとは…」
「あとは…何だ?」
何とも歯切れの悪い整備士の言葉。
それを問い詰めるオメガに、整備士は躊躇いがちに言葉を続けた。
「首都防衛隊から送られた機体があります。なんでも他国から輸入した機体で妙な形をしていて、首都防衛隊が使うのを嫌がったらしい曰く付きの機体です」
「他国…?それはもしや、ロデニウス連邦の事か?」
「確か、そんな名前だったと思います」
ロデニウス連邦から輸入された妙な形の機体…オメガはその機体に心当たりがあった。
「動かせるか?」
「液体魔石と弾薬を積めば出撃出来ますが…無理ですよ!慣熟訓練もしていない機体に乗るのは危険過ぎます!」
オメガの目論見に気付いた整備士が彼を引き止める。
確かに整備士の言葉は納得出来る事だ。
何せ天の浮舟…航空機は最新鋭技術の塊。機種が違えば操作系統や特有のクセはガラリと変わってしまい、慣れないまま操縦するのは自殺行為に等しい。
だが、オメガは何処か自信ありげである。
「大丈夫だ。その機体が私の頭に浮かんでいる物なら…何度も操縦した事がある」
──同日、神聖ミリシアル帝国第零式魔導艦隊旗艦『コールブランド』──
「レーダーに反応有り!この反応…っ!機械動力タイプです!」
「機械動力…グラ・バルカス帝国の航空戦力か。数は?」
「機械動力タイプなので反応が小さく、特定は困難ですが…なっ…!?200!?少なくとも200の反応があります!」
「何だと!?」
レーダー手の報告に、思わず腰を抜かしそうになるクロムウェル。
「確か…離島防衛隊基地からはジグラント2が22機出現したそうだな。彼我の戦力差は凡そ1対10…不味いな…」
そんなクロムウェルの隣で、バッティスタが腕を組んで苦い表情を浮かべる。
確かにミリシアルの航空機…天の浮舟はこの世界においては正しく世界最強の航空戦力と言える。
しかし、如何に最強とは言えど流石に10倍近い戦力差は如何ともし難い。
「40から50程が突出しています!おそらくは制空型であると予測されます!」
レーダー手が目の前の画面に映し出されたいくつもの光点を目で追いながら報告する。
確かに彼の言う通り、無数の微かな光点の群れの内から40個程の光点が先行しているのが見て取れる。
「こちらの航空戦力に対抗する為か…教科書通りの戦法だな。という事は、後衛は爆撃隊か」
「いや、艦長。ただの爆撃機ではないだろう。おそらくは魚雷を抱えた爆撃機…ロデニウス風に言えば"雷撃機"の可能性がある。雷撃機は通常の爆撃機よりも低空を飛ぶ傾向があり、重量のある魚雷を搭載している事から運動性能が低い」
敵航空隊の内訳を予想するクロムウェルにバッティスタが指摘する。
「という事は…君、敵航空隊の後衛の高度は?」
「はい、今解析を…出ました。凡そ100程度が高度を低く取っています!」
バッティスタの指摘を受けたクロムウェルがレーダー手に指示をすると、レーダー手はレーダーを操作して敵航空隊の高度を算出した。
「となると…残りの60程が爆撃機か…では、航空隊には高度を取っている敵制空機と爆撃機に集中するように伝えてくれ。低空を飛ぶ雷撃機は対空魔光砲で対処せねばなるまい。…天の浮舟は低空での戦闘が苦手だからな」
苦虫を噛み潰したような表情で通信士にそう伝えるバッティスタ。
彼の言う通り実は天の浮舟は低空での戦闘が推奨されていない。高度2000m以上であればさほど問題は無いが、高度1000m切った状態で魔光砲を発射すると発射ガスや粉末魔石の燃えカスが空気取入口に吸い込まれる事によってエンジン出力が低下、最悪エンジンが停止してそのまま出力を上げたり再起動する間もなく墜落するという事例が多々発生した為だ。
それ故、低空の敵航空戦力は対空魔光砲で対処するというのがミリシアル軍の鉄則となっていた。
しかし、相手は一撃必殺とも言える兵器を搭載した航空機…如何に低空飛行中で運動性能が低かろうと、相手は三次元的な機動が可能だ。
ワイバーン相手ならともかく、近代的な航空機を平面的な動きしか出来ない艦船が撃破するというのは厳しいものがある。
故に、航空機に対抗するには航空機を充てる必要があるが、天の浮舟の特性上それは難しい。
「全艦に通達。敵飛行機械の内、低空を飛行する物には特に集中して迎撃せよ。当該機の動きには注視し、何かを投下した場合は海面に注視し航跡を発見次第、回避を優先して行え」
「了解!…ん?」
バッティスタの指示を艦隊に伝えようとした通信士だが、その直前に別の通信が入った。
「航空隊、敵編隊を確認!迎撃行動に移るとの事!」
「始まったか!」
通信士の言葉に反応したクロムウェルが艦橋の窓から空を見上げる。
いくつかの雲が浮かぶ青空…そこに引かれる幾本もの飛行機雲が相対していた。
「…明日は雨だな」
同じく空を見上げたバッティスタは、"飛行機雲が出た日の翌日は雨が降る"という言い伝えを思い出しつつ、ミリシアル初の近代的空戦を前にして嫌な予感を覚えずにはいられなかった。
月末はユニオンイベントだそうで…
大陸版4周年ですし、満を持してアイオワ級やミッドウェー級が欲しい所ですね
今後、お色気シーンは…
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今より増やせ
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このぐらいでいい
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もう少し減らしていい
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もっと減らして
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無くていい