異世界の航路に祝福を   作:サモアオランウータン

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やっとマグドラ沖海戦が終わりました…
さっさと終わらせる為に駆け足気味ですが…いつまでもダラダラと続ける訳にもいかないですしね


187.マグドラ群島沖海戦【7】

──中央暦1642年4月23日、マグドラ群島沖上空──

 

──ブゥゥゥゥゥン…

 

普段ならばミリシアル軍の離島防衛隊が演習を行っている空域は、何十機ものプロペラ機が我が物顔で飛び回る空域となっていた。

 

「ふん…世界最強と名乗る割には大した事がねぇな。所詮は猿山の大将か…」

 

そんな空域の中でも一際高度を取って飛行するプロペラ機、グラ・バルカス帝国軍の主力戦闘機『アンタレス』のコックピットで制空部隊長であるガルバス・クベームが、雷撃機や爆撃機に追い回されているミリシアル艦艇を見下ろしながら吐き捨てた。

彼は粗暴な面があるものの、前世界『ユグド』における対ケイン神国戦においては撃墜数32機というスコアを記録しており、帝国軍内でも指折りのエースである。

しかし、彼は現状に不満を抱いていた。

前世界では上層部からしつこく後方で新兵教育を行うように通告され、転移後は即戦力が必要となった為に異動は棚上げにされたものの敵は余りにも弱いワイバーンばかり…ハッキリ言って退屈だった。

そんな時に"この世界での最強国"である神聖ミリシアル帝国に対する奇襲するという話は、自身の闘争心を満たしてくれると思ったのだが…

 

「ちっ…弱い…弱すぎるぞ!世界最強!」

 

舌打ちし、怒りを顕にしたガルバスは機体を降下させた。

彼はミリシアルに対して怒りを…世界最強と名乗るには余りにも弱い彼らに怒りを覚えているのだ。

 

「久々に血湧き肉躍る激戦を味わえると思ったのに!よくも…よくも俺の期待を裏切ってくれたな!」

 

余りにも理不尽な怒りと、燻る闘争心のままガルバスは操縦桿に取り付けられたトリガーを引いた。

 

──タタタタタタッ!

 

軽快な連続した破裂音が響き、アンタレスの機首に装備された2丁の7.7mm機銃が火を噴いた。

その照準の先に居るのは救命具や艦船の残骸にしがみつくミリシアル水兵達…彼らが浮かぶ海面に小さな水柱の列が発生し、その列は水兵達を巻き込んだ。

 

「ハッハッハーッ!見たか!弱いくせに調子に乗るからだ!」

 

機体を上昇させつつ、振り返って海面の様子を確認する。

すると、先程まで驚愕と恐怖の表情を浮かべていた水兵達はグッタリとしており、青い海が徐々に赤く染まってゆくのが見えた。

 

「おらぁっ!まだまだ終わらねぇぞ!」

 

──タタタタタタッ!

 

再び機体を降下させて機銃で漂流者を虐殺する。

本来ならばこのような行為は国際法において禁止されている筈だ。

しかし、国際法があったのは前世界の話であり、この世界には明文化された国際法は無い。

一応前世界での国際法を遵守する者も少なからず存在はするが、今の帝国軍は破竹の勢いで勝利を重ねて来た為か万能感に支配されており、捕虜虐殺や民間への暴行は余程の事が無い限りは見逃されるという有様になっていた。

言ってしまえば強い自分達は何をしても許される…そんな考えが蔓延っているのだ。

 

《隊長ぉ、俺達も混ぜて下さいよ》

 

《そうですよ〜、ミリシアルの戦闘機は歯応えがありませんでしたからね》

 

まるで射的遊びのように虐殺を楽しんでいたガルバスの元へ、上空で警戒にあたっていた部下達がやって来る。

 

「おいおい…上で見張っとけって言っただろ?」

 

《はっ、ミリシアルの戦闘機部隊は全滅したでしょう。自分達の船がやられてるのに、出て来ませんからね》

 

《大方、俺達の力にビビって基地で閉じ籠もってるんじゃないですか?この体たらくで世界最強とは…》

 

「ふっ…まあ、そうだな。あれで世界最強…まるでカカシだ。あの程度の相手…俺達なら、瞬きする間に皆殺しに出来る」

 

部下達の言葉に指を鳴らし、軽口を叩くガルバス。

確かに彼らは素行こそ悪いが、それでも正規軍に留まれる実力はある。

例えミリシアルの天の浮舟が奇襲を仕掛けても対処出来るだろう。

 

「それじゃあ…カルロ、お前はあっちの戦艦が沈んだ方を見てこい」

 

《了解しまし…っ!?バンッ!……ザーッ……》

 

「?…カルロ?」

 

部下の一人に命じて新しい的を探させようとしたが、破裂音とノイズが無線機から聴こえてきた。

無線機の故障か、或いは機体にトラブルでもあったか…それを確かめるべく、カルロという名の部下が乗るアンタレスの方へ目を向けた。

 

──ボンッ!

 

「……は?」

 

隣を飛んでいたアンタレスが爆発した。

 

──ィィィィィィ…

 

その後に聴こえてきた鋭い風音…

 

「敵か!?」

 

素早くそう判断したガルバスは、スロットルを全開にしてその場から離れるという判断を下した。

そして、その判断は正しかったようだ。

 

《なっ…何だあ…ボンッ!…ザーッ…》

 

別の部下の混乱したような叫びと共に、再び無線機から爆発音が聴こえた。

 

「何処だ!?何処に…」

 

──ゴオッ!

 

何処から撃たれたかも分からない。

そんな状況に混乱しながらも、ガルバスは素早く頭を振って敵機を探していたが、彼が乗るアンタレスの直ぐ横を轟音と共に何かが通り過ぎた。

 

「っ!アイツか!」

 

敵機の姿を見るや否や、直ぐ様追撃にかかる。

まるで胴体が2つあるような見慣れない造りの機体に一瞬面食らうが、部下を殺した相手だ。

落とし前はつけて貰わねばならない。

 

──ブゥゥゥゥゥンッ!

 

「は…速い!?」

 

しかし、敵機の速度はアンタレスでは追い付けない程だった。

アンタレスは最大で550km/hの速度を発揮出来るのだが、敵機はそんなアンタレスをドンドン引き離してゆく。

おそらく700km/h…或いはそれ以上かもしれない。

 

「何だ、あれは!まさか…ミリシアルの新型!?」

 

自機から遠く離れた位置で旋回し、機首を向けて迫ってくる敵機に驚愕しながらもトリガーに指を掛けるガルバス。

互いに機首を向けたまま真正面から打ち合う所謂ヘッドオンの形となる…と思いきや、敵機はある程度まで接近するとヒラッと身を翻して降下して行った。

 

「はっ!ビビったか…臆病も…ん?」

 

攻撃もせずに逃げる敵機を一瞥し、後を追おうとしたガルバスの目に何かが映った。

青い空に浮かぶ小さな黒い点…その点は少しずつだが、徐々に大きくなってるように見える。

 

「あれは…ロケット弾か?ふぅ…あんな兵器が当たる訳がないだろう」

 

グラ・バルカス帝国にもロケット弾の概念は存在する。

しかし、帝国軍内ではロケット弾は命中率が悪い非効率な兵器と認識されており、制式採用どころかマトモな試験もされていなかった。

それ故、ガルバスは己の認識に従ってロケット弾らしき物を無視するが…

 

──ボンッ!

 

「なっ…!?」

 

機体をバンクさせて降下する最中、背中を殴られたような衝撃を感じた。

それと同時に響く爆発音と、身を焼く様な熱…鼻孔を擽るガソリンの臭いの中、ガルバスは目を見開いて言葉を紡いだ。

 

「あ…当たった…?馬鹿な…あの距離で当たる筈が…まさか…まさか誘ど…」

 

──ボンッ!!

 

とある一つのあり得ない可能性に行き着いたガルバスであったが、ガソリンの誘爆により彼の人生は閉ざされた。

 

 

──同日、同空域──

 

「…クソッ」

 

轟音響くコックピットの中、一人の男が血が滲む程に唇を噛みながら悪態をついた。

彼はミリシアル離島防衛航空部隊長のオメガ・アルパ。

今まで愛用していた『ジグラント2』が不調となったため出撃が遅れていた彼だったが、新たな翼を手にして戦場に馳せ参じていた。

 

「私は…間に合わなった…」

 

俯いて拳を握り締めながら慟哭するオメガ。

戦場でそんな事をしていても良いのか?と思われるだろうが、敵機は既に撤退しつつある。

敵機の動きはオメガの活躍により制空部隊が壊滅したが故なのか、はたまた第零式魔導艦隊が壊滅して目標が無くなったからなのか…ともかくオメガは大戦果を挙げたが、艦隊は壊滅してしまっていた。

 

「もっと早く…このジグラント3で出ていれば…っ…」

 

眼尻に涙を浮べながら後悔を口にする。

そう、彼が搭乗しているのは新型天の浮舟である『ジグラント3』…アズールレーンから購入した『シーヴェノム』をミリシアル向けに改良したものだった。

機首に3基装備した25mm航空魔光砲に、アズールレーンと共同で開発した誘導兵器『メリッソス』を12発も搭載するミリシアル最強の航空戦力だったのだが…残念ながらその力を振るうには遅すぎた。

 

「すまん…皆…すまんっ…!仇は…必ず…」

 

涙を拭ってグラ・バルカス艦隊が居るであろう方向を睨みつけるオメガの目には、烈火のような怒りが燃え盛っていた。




そうそう、私のTwitterフォローしてる方ならご存知かもしれませんが例のマウスパッドが届きました
お陰でR-18版の筆が進んでこちらが進むか心配になってきました…
まあ、読んで下さる方がいらっしゃる以上は頑張って書き続けないといけませんね

今後、お色気シーンは…

  • 今より増やせ
  • このぐらいでいい
  • もう少し減らしていい
  • もっと減らして
  • 無くていい
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