異世界の航路に祝福を   作:サモアオランウータン

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アイマスコラボ前に計画艦建造の為に燃料を溶かす…
明石…ダイヤ頂戴…


192.航空隊、出撃!

──中央暦1642年4月25日午後1時、神聖ミリシアル帝国カルトアルパス──

 

「急げ!戦闘機隊は直ちに発艦準備!」

「ディープ・マリン部隊が飛び立ったら、コルセア隊を上げろ!」

「艦攻隊は待機、対空機銃は今のうちに最終確認をしておけ!」

 

カルトアルパスの港から出向したミリシアル、ムー、アズールレーンの合同艦隊は南西より迫りくる多数のグラ・バルカス帝国航空隊に対処すべく慌ただしく迎撃準備を整えていた。

そんな中でも空母3隻を保有するムー艦隊は艦載機の発艦準備に勤しんでいるようだ。

 

「大佐!」

 

「ん?…おぉ、ヤンマイ君」

 

一際大きなムー海軍最新鋭空母である『ラ・ヴォルト』の飛行甲板で発艦準備を整えているディープ・マリンの側に立つアックタ・ローメルに、コルセア隊の隊長であるヤンマイ・エーカーが声をかけた。

 

「大佐、もしかして出撃なさるおつもりで?」

 

甲板上に響くエンジン音に負けじと声を張り、アックタに問いかけるヤンマイ。

確かにアックタは飛行服を着用し、内側に毛皮を貼り付けた飛行帽を被っていた。

何処からどう見ても、今から飛び立つパイロットそのものである。

 

「うむ、そうだ。…君の言いたい事は分かる。私がこの空母の航空隊司令官である以上、前線に行くべきではないと言いたいのだろう?」

 

「…はい」

 

アックタの言葉に頷くヤンマイ。

確かに彼の言う通り、アックタは新設された艦隊の航空隊司令官に内定しており、本来なら最前線で操縦桿を握る事は好ましくない。

しかし、アックタは傍らのディープ・マリンの翼を撫でるとヤンマイに言葉を返した。

 

「確かに君は正しい。しかし、私は航空隊司令官に内定はしているが、まだ正式に就任している訳ではない。この先進11ヶ国会議が終わり、本国に帰投した時に正式に就任する事になっている…つまり、私はまだディープ・マリン隊の隊長でしかないのだよ」

 

「しかし、正式に就任していないにしても大佐は実質的に司令官として扱われているではありませんか」

 

「ヤンマイ君」

 

食い下がるヤンマイに、真剣な目を向けるアックタ。

 

「私も、もう歳だ…もうパイロットとしては古株どころか、引退すら考える時期にある。それに加え、祖国に帰れば司令官としての責務に追われ、空を飛ぶ事は出来なくなるだろう。だからこそミリシアルとアズールレーンの強者、君のような我が国の若者が見ているこの空で有終の美を飾りたいのだよ。…結局、これは私のワガママでしかない。しかし、私のパイロット人生最後のワガママだ…聞いてはくれんか?」

 

アックタは若かりし頃から…それこそムーが動力飛行を成功させた頃から航空機のテストパイロットを務めてきた古参パイロットである。

常に命令に忠実であり、部下を思い、後進の育成に心血注いできた彼の唯一のワガママ…それを出されては、ヤンマイも首を縦に振るしかなかった。

 

「…分かりました。ですが、約束して下さい。必ず…必ずや生きて帰って下さい」

 

「なに、我々ディープ・マリン隊の任務は遊撃だよ。寧ろ君たちコルセア隊の方が心配だ。敵編隊の真っ只中に突っ込むのだろう?」

 

そう冗談交じりに告げるアックタは、飛行服のポケットから小さな布の袋を取り出してヤンマイに差し出した。

 

「大佐、これは?」

 

「これは、かつてヒノマワリ王国の神官から賜った御守りだよ。旅の安全を祈願する物だそうだが…君に預けよう。この戦いが終わったら、君の手で返してくれ。私も受け取る為に帰ってくる」

 

「…はい。このヤンマイ、必ずや生きて戻ります」

 

ムー屈指のパイロットに数えられる二人は敬礼を交わすと、出撃準備を整えた愛機へ向かって歩み出した。

 

 

──同日、アズールレーン艦隊『ベアルン』──

 

「さて…では、計画通り参りましょう」

 

──ブゥゥゥゥゥンッ!

 

アズールレーン艦隊の後方に位置する小型空母の艦橋で、1人の少女が分厚い本を片手に飛び立つ艦載機を目で追っていた。

薄紫色の短い切り揃えられた髪に、灰色の瞳。知的な雰囲気が漂う片眼鏡に、まるでバレエダンサーのレオタードのようなピッチリしたボディスーツが特徴的なアイリス所属の空母KAN-SEN『ベアルン』だ。

 

「ふむ…やはり、最新鋭機は素晴らしいですね。可能ならジェット機を運用してみたいものですが…まあ、このベアキャットでも十分に戦えます」

 

──ブゥゥゥゥゥンッ!

 

矢継ぎ早に飛び立つ艦載機に目を向けながら何度も小さく頷く。

今回ベアルンが搭載しているのはユニオン製の戦闘機『F8F ベアキャット』だ。

2500馬力にもなる空冷エンジンに、軽量小型な『零式艦上戦闘機』よりも小さな機体ながらもユニオンらしく高い防御力を持ち、運動性や最高速はこれまでのレシプロ戦闘機を上回る"最強のレシプロ戦闘機"である。

最近配備され始めたジェット戦闘機には劣るだろうが、それでも零戦に酷似した『アンタレス型艦上戦闘機』相手なら十分な戦力であろう。

 

──ブゥゥゥゥゥン…

 

「あれは…」

 

横合いから飛来した航空機が視界に入る。

鼻先で高速回転するプロペラはベアキャットと同じレシプロ機である事を示しているが、ベアキャットよりも大型で主翼が途中から上向きに折れ曲がっている特徴的な姿は見紛う筈もない。

『F4U コルセア』だ。今回、アズールレーン艦隊はコルセアを運用していない為、ライセンス生産しているムーの機体である事は間違い無い。

どうやらグラ・バルカス帝国航空隊を横方向から叩くために大きく迂回するルートを取っているようだ。

 

「流石は列強国、あの扱い難い機体を実戦運用するとは…」

 

コルセアは確かに強力な機体であるが、胴体に…エンジンとコックピットの間に燃料タンクを置いたせいで空母への離着艦が難しいという欠点がある。

しかしムー海軍のパイロットや管制官、甲板作業員はそれこそ血の滲むような訓練を重ね、完璧な離着艦をモノにしていた。

 

「確か作戦は、突撃力に優れるムー航空隊とミリシアル航空隊が遠方で敵編隊を奇襲、それで数を減らして尚も突撃する敵機は格闘戦に優れる我々の航空隊…それでも打ち漏らした敵機はミリシアル航空隊が対処する…ですが…」

 

チラッと後方に目を向けるベアルン。

 

──キィィィィィン…

 

視線の先にあったのは、甲高いタービン音を響かせて飛来してくるミリシアル航空隊、第7制空戦闘団の『エルペシオ3』42機だ。

V字編隊とダイヤモンド編隊を組み合わせた一糸乱れぬ編隊飛行は見事であるが、些か残念な面が見てとれる。

それは、速度…ジェット戦闘機だと言うのに、レシプロ戦闘機であるベアキャットを追い越せないでいた。

確かにベアキャットが先行し、エルペシオ3は戦闘行動時間を稼ぐ為に全速を出していないにしても、その速度は明らかにベアキャットどころかコルセアにも劣っているように見える。

 

「…いや、下衆の勘繰りは良くありませんね。彼らとて無策ではないでしょうし、何より世界最強の看板を背負っているのです。見聞きしたスペックだけで判断すべきではないでしょう」

 

ミリシアル航空隊の力に若干の不安を覚えたベアルンだったが、頭を振って思考を切り替えると自分に言い聞かせるように呟く。

 

──キィィィィィン…

 

「ん…?あれは…」

 

そうしていると、エルペシオ3とは違うタービン音が聴こえてきた。

その音の方を見れば、遥か後方からエルペシオ3の編隊を追い越す双ブームを持つ異形の機体…アズールレーンからミリシアルに引き渡され、『ジグラント3』と名を変えた1機の『シーヴェノム』が視界に映った。

 

「1機だけ所属部隊マークが違いますね…もしかしたら別の部隊から引き抜かれたのでしょうか?」

 

1機だけ突出したジグラント3はそのままムーのコルセア隊に合流すると、エルペシオ3を置いて行ってしまう。

 

「…まあ、部外者である私がミリシアルの内情をどうこう言う権利はありませんね。今はこれからの戦いを考えましょう」

 

ふぅ…と一息ついたベアルンはチラッとカルトアルパスの内海を作り出す長い岬の東側の岬に目を向けた。

 

「ガスコーニュ、シャンパーニュ…指揮官様の作戦通り、お願いしますよ」




そう言えば原作でミリシアルが誘導魔光弾の開発に成功してましたね
本作ではアズールレーン・ロデニウス連邦が積極的に関わっているので、結構早く登場するかもしれません

今後、お色気シーンは…

  • 今より増やせ
  • このぐらいでいい
  • もう少し減らしていい
  • もっと減らして
  • 無くていい
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