短めですが、よろしくお願いします
──中央暦1637年1月24日未明、クワ・トイネ公国北東海上──
その日は快晴、風も波も無い穏やかな中を竜騎士マールパティマは哨戒任務を遂行していた。
やっと空が白み始めた薄暗い空に白い吐息を吐き出しながら、相棒である飛竜─ワイバーン─の背を軽く叩く。
「こんな肌寒くちゃ調子も出ないだろ。悪いなぁ…こんな朝早くに叩き起こして。」
マールパティマがそう声を掛けるとワイバーンはグルグルと喉を鳴らして応えた。
ワイバーンは基本的に寒さに弱い為、気温が下がる冬場の早朝はあまり調子が出ない。故に本来はこんな哨戒任務は行われない…はずだった。
何故このような任務を遂行しているかと言えば、深夜に起きた謎の現象の影響に理由があった。
月と星が輝く夜空が急に昼間のように明るくなる、という現象が発生した。
これは特定の地域だけではなく、国境にあるギムの街でも隣国であるクイラ王国でも発生したと魔信で伝えられている。
これを受け軍部は、近年軍拡を進めているもう一つの隣国…ロウリア王国が何かしらの大規模魔法を発動したのではないかと推測し、すぐに最大級の警戒体制に移行し明るくなり次第、哨戒の為のワイバーンや軍船を展開した。
「……ん?」
ロウリア船を探す為に海に向けていた目をふと、空に向ける。
竜騎士屈指と言われるマールパティマの視力は空を行く影を発見した。
キッ、と目を細めると鞍に取り付けていた魔法通信機を取り出し、語り掛ける。
「司令部、並びに周辺の友軍騎へ。こちらマールパティマ。ワイバーンらしき騎影を発見、確認に向かう。」
《了解、十分に警戒せよ。》
司令部からの返答を確認すると魔法通信機を鞍に戻し、未確認騎と高度を合わせる為にワイバーンを上昇させる。
少しずつ下方から近付いて行くが、近付くごとにブーンと妙な音がする。ワイバーンの鳴き声というよりも、蜂の羽音のようだ。
「なんだ…あれは…」
同じ高度に到達したマールパティマが見た未確認騎は、彼の知る空を飛ぶ生物のどれにも当て嵌まらない物だった。
かなり大きい、比較対象が無い空ではあるがそれでもかなりの大きさに見える。そして、不思議な事に羽ばたいていない翼には巨大な樽のような物がある。
全体的に深い緑色で一部は無色透明になっている。
その異様な姿に接近する事を躊躇うも、祖国の危機になるかもしれないと考え直し、すれ違い様に未確認騎の正体を確認しようと考えワイバーンの速度を上げる
「えっ!?」
未確認騎とすれ違った瞬間、透明な部分に目を向けた。そこには人が居なかった。
だが、代わりにヒヨコのような生物が数匹見えた。そう、鶏の雛であるヒヨコがだ。
しかも、未確認騎の大きさと比べるとかなり大きい。大型火喰い鳥の雛と同じぐらいの大きさだ。
「な…んっ!は…速い!?」
驚きながらも反転し追跡しようとするが、その巨体とは裏腹にワイバーンでは追い付けない程に速い。
「こちらマールパティマ!未確認騎はマイハーク方面へ進行!ワイバーンでは追い付けない、正体は不明!」
《こちら司令部!了解し……海軍からか!?200m以上の巨大船だと!?……マールパティマ君、他の未確認騎が飛来してこないか警戒をしてくれ!》
「り…了解!」
僅かに聴こえた海軍からの突拍子も無い情報と未確認騎の事で理解が追い付かない。
だが、何故か確信めいた予感が口から零れ落ちた。
「よく分からないが…とんでもない事が起きそうだ。」
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今後、お色気シーンは…
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