それと、誤字報告ありがとうございます!
パ皇戦はもう少し先になります
具体的にはムーとの接触後です
──中央暦1638年8月1日午前10時、クワ・トイネ公国ニューマイハーク市──
かつて、サモアに明け渡されていたマイハーク市の郊外…クワ・トイネ公国の中にあって、珍しく耕作に適さない土地に建設された新興都市ニューマイハークの街角にある住宅で一人の男が寛いでいた。
《繰り返し、ニュースをお伝えします。本日、中央暦1638年8月1日0時より『ロデニウス連邦法』が施行されした。これにより、クワ・トイネ公国、クイラ王国、ロウリア王国はロデニウス連邦となり一つの国家となります。》
薄型液晶テレビの向こう側で、エルフ族の女性キャスターがニュース原稿を読み上げている。
そんなニュースを視聴しながら、クイラ王国の農業施設で作られたコーヒーなる豆を煎じた飲み物を啜る。
苦味と僅かな酸味が頭を冴えさせる。
《次に、ロデニウス連邦は第四文明圏の設立を目指す事を宣言しました。また、国家に依らぬ軍隊として『第四文明圏防衛軍・アズールレーン』の設立を発表、総指揮官としてサモア基地指揮官、クリストファー・フレッツァ准将が任命されました。フレッツァ准将はロデニウス連邦の外交官としても任命されているため、兼任という形になります。》
画面の角に表示されている時計が目に入る。もうそろそろ、出掛けよう。
体を沈めていたソファーから立ち上がり、ハンガーに掛けていたジャケットを羽織りテレビを消す。
財布に携帯電話があれば十分だ。
下駄箱の上に置いてあるキーボックスから、鍵束を掴むと家を出て玄関を施錠する。
──ブロロロロロ…
家の脇に作られたカーポートの下に停めてある自動車に乗り込むと、エンジンを始動し周囲を確認して発進させる。
クラップ社自動車部門のFMW製ステーションワゴンを走らせて片側3車線の道路を走る。
ムーは勿論、神聖ミリシアル帝国の自動車だってこれ程の完成度ではないだろう。
信号待ちをしていると、先の方に花屋が見えた。
「いらっしゃいませ!」
「入院している母に花を、と考えているのだが…何か適当に選んでくれ。」
車を路肩に停め、花屋に向かうと獣人の女性店員が明るい笑顔で出迎えた。
それに対し、手短に用件を伝える。
「畏まりました、少々お待ち下さいね。」
「すまないな、花を選ぶ事はあまりなくてだな…」
「いえいえ、男性のお客様はそういった方が多いのですよ。お気になさらず。」
店先に並べてある花を幾つか取って纏める店員。
告げられた値段を支払うと、花束を助手席に乗せて再び道路を病院に向かって走り出す。
家を出ておおよそ30分、ニューマイハーク市とオールドマイハーク市(今までマイハーク市はこのように呼ばれるようになった)の丁度境目辺りに建設された巨大建造物…『国立マイハーク総合病院』の駐車場に車を停めて、病院内に向かう。
「すまない、505号室に面会を…」
「あ、こんにちは。面会ですね、少々お待ちを…」
受付の男性看護師に、用件を伝えると病院内用の小型通信機で何やらやり取りを始める。
「はい…505号室に…はい…花瓶を用意しましょうか?」
「あぁ、ありがとう。」
花束に気付いた男性看護師の善意に感謝しながら、頷く。
暫くすると面会の許可が出た為、エレベーターに乗って5階に向かう。
音も無く上昇するエレベーターを作った技術力の高さに感心していると、あっという間に5階に到着した。
──ウィィィィン……
無機質で清潔なフロア、そこで円柱状の物体が僅かな音を鳴らしながら彷徨いていた。
話によると、勝手に掃除をしてくれる機械らしい。発達した科学は魔法と区別がつかない…そんな事を本で読んだが、その通りだ。
そんな事を考えながら、505と書かれた扉をノックする。
「はーい、どうぞ。」
やや掠れた女性の声がすると、僅かな力で開く引き戸を開けた。
「あら…今日、仕事は?」
「休日出勤したから振替休日だよ。」
「そうなの?」
「そう。…花、買ってきたよ。後で看護師が花瓶を持ってくるってさ。」
「あらあら、ありがとうね。」
一人部屋の病室でテレビを見ていた初老の女性が、ゆったりとした口調で問いかける。
それに応えながら、鮮やかな花束をベッド脇の棚に置く。
《次のニュースです。第四文明圏構想に、トーパ王国、フェン王国、ガハラ神国、シオス王国、アルタラス王国等の第三文明圏外国が相次いで参加を表明しています。準文明国とも評されるアルタラス王国が参加を表明した事が引き金となったようです。……次のニュースは、アルタラス王国王女ルミエス殿下がロデニウス連邦に留が……》
ニュースの途中で女性がテレビの電源を消した。
「あの子達はどう?」
「うん?…あぁ、毎日元気で学校に通ってるよ。アリアンヌは医者に、ザンデルは自動車デザイナーに成りたいんだってさ。」
「そう、元気ならいいの。あなたも、あの子達も…幸せなら、これ以上の事は無いわ。」
「母さんも幸せにならないとダメだよ。」
少し困ったように女性…彼の母親に告げる。
すると母は、静かに首を振った。
「私は十分、幸せよ。初めは文明圏外に行くなんて心配だったけど…こんなキレイな病院も、腕のいいお医者様も皇国にはなかったもの。体の調子もいいし、子供達は毎日元気…母親として、これ以上の幸せは無いわ。」
「母さん…」
何か話そうとしたが、病室にノックの音が響いた。
「はーい、どうぞー。」
「レリチルさーん、採血のお時間ですよー。」
母が返事をすると、女性看護師が様々な器具と白磁の花瓶を乗せたカートを押しながら入ってきた。
それを見ると、頃合いかと思い身を屈めて母に語り掛ける。
「それじゃあ、母さん。僕は帰るから。体に気をつけてね。」
「あなたもね、ヴァルハル。仕事を頑張るのはいいけど、無理はダメよ?」
「うん、分かってる。」
そう、言葉を交わすと軽く手を振って病室を後にした。
「そろそろ、3ヶ月になるか…」
エレベーターを待つ間に色々と思い出す。
サモアの指揮官が提示した、パーパルディア皇国の目を欺く作戦…紆余曲折あったものの、ロデニウス大陸には自分一人だけが大使として派遣されるように工作した。
家族も秘密裏に…潜水艦なる海に潜る船に乗って…ロデニウス大陸に脱出させた。
今の所は、上手く皇国の目を欺けている。
クワ・トイネ産の上等な小麦は舌の肥えた貴族連中にも好評だし、奴隷の献上も農地の復興や農作業の為1年程は行えないと報告している。
後は、指揮官の戦略眼に任せるしかない。
自分に出来る事は皇国を騙しつつ、皇国の情報を持ち帰る事…その代償に母の治療費と、妹と弟の学費や生活費を支給されているのだ。少なくとも、それらに見合う仕事はしなければ。
──ピンポーン
考えに耽っていると、エレベーターが到着した。
ヴァルハルはエレベーターの中でも思考を巡らすのであった。
外交面のやり取りの描写を面倒くさがった結果です
今後、お色気シーンは…
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今より増やせ
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このぐらいでいい
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もう少し減らしていい
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もっと減らして
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無くていい