異世界の航路に祝福を   作:サモアオランウータン

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皆さん、アイマスイベントお疲れ様でした
何だか寮舎のBGMが物足りなくなってしまいました…

そう言えばもうそろEN版の周年記念ですが、何かするんですかね?


196.カルトアルパス沖空戦【4】

──中央暦1642年4月25日、カルトアルパス沖──

 

──ダダダダダッ!ダダダッ!

 

「む、ムーがこんなに強いなんて聞いてないよぉ!おいら、ここで死ぬのかなぁ…」

 

「うるせぇ!こうなったら仕方ないだろ!死にたくなけりゃ、しっかり狙え!」 

 

「ひぃぃぃっ!今、敵弾が掠りましたよ!?しっかり避けて下さい!」

 

「バカヤロー!こちとら800kg爆弾を抱えてんだ!避けられる訳ねぇだろ!」

 

海面スレスレを飛ぶグラ・バルカス帝国の主力艦上雷撃機『リゲル型雷撃機』のコックピットでは、操縦手と航法士と機銃手の3人が襲いかかる敵弾が自機に当たらぬよう、必死に対処していた。

 

「で、でも…7.7mmの豆鉄砲1つじゃ無理だよぉ…」

 

縦に3つ並んだ座席の最後尾に座る太り気味の機銃手スーンが、此方に攻撃を仕掛けようとする敵機を牽制するようにトリガーを引き、空へ曳光弾による光の線を描く。

 

「もう、適当な所で爆弾を落として帰りましょう!」

 

機銃手席の前にある座席に座る眼鏡を掛けた痩せ気味な航法士ベローが顔を青くし、必死に前席に座る操縦手に呼びかける。

 

「ベロー!そんな事、出来る訳ねぇだろ!万が一バレたら抗命罪で俺達全員、銃殺刑だぞ!おい、スーン!機銃の弾はまだあるな!?」

 

そんな弱気を見せる二人に怒鳴り散らすのは、如何にも粗暴な顔付きをした操縦手のケルだ。

彼は自らに下された命令であるカルトアルパスへの爆撃を遂行する為、800kg爆弾の重量によってロクに回避も出来ない機体を操ってどうにかこうにかジリジリとカルトアルパスへ向かっていた。

 

「あるけど…弾倉があと1つしか無いよぉ!」

 

「何ぃ!?撃ち過ぎは禁物だ、って言っただろ!」

 

「撃ちまくれと言ったのはケル、貴方でしょう!?」

 

この三人、幼い頃からの親友であるのだが、三人とも性格も出自も見事にバラバラだ。

機銃手のスーンは軍人…しかも飛行機乗りらしからぬ体型である上におっとりのんびりした性格であり、実家は小さな菓子問屋を営んでいる。

航法士のベローは地方都市の名士の生まれであり、幼い頃から勉強漬けの日々を送ったせいか航法士としてはとても優秀であり、言語学にも秀でている。

そして、操縦手のケルは貧民街出身であり、大層名のしれた悪ガキであった。

そんな三人が親友だと言うのは何とも不思議な関係だが、スーンは貧民街の悪ガキ達にイジメられている時に、ベローは危うく身代金目的で誘拐されかけた時にケルに助けられたという過去があり、それ以来三人は不思議なトリオとしてつるんでいるのだ。

 

「っ!やべぇ!」

 

ベローに反論しようとしたケルだったが、頭上に殺気を感じて本能的に機体を横滑りさせる。

 

──ダダダッ!

 

間一髪、先程まで右翼があった所に小さな水柱がいくつも現れ、ケル達が乗るリゲルの直ぐ上を敵機が飛び去って行った。

 

「ひぃぃぃぃっ!あ、危ないじゃないですか!」

 

「お母ちゃぁぁぁぁん!おいら、死にたくねぇよぉぉぉ!」

 

「情けねぇ声出すんじゃねぇよ!それでもタマ付いてんのか!?あぁ!?」

 

まるで戦闘に巻き込まれた一般人のように騒ぐベローとスーンに怒鳴るケルだが、彼もこの状況が不味いというのは理解していた。

 

(ヤベェ…ヤベェぞ…今のところはアンタレス隊が時間を稼いでくれてるからいいが…逆に言えばアンタレス隊の護衛は来ねぇ。つまり、俺達はカルトアルパスに護衛無しで行くって事だ…)

 

額に脂汗を浮かべ、必死に知恵を絞るケル。

上空を舞うアンタレス隊は敵機が十分な脅威と成り得ると判断すると、撃滅から足止めへ戦法を切り替えた。

その為、ムーのコルセア隊はグラ・バルカス航空隊の雷撃機や急降下爆撃機の編隊に散発的な攻撃しか出来ていない。

 

(奴らだって全機を迎撃に出すようなヘマをする筈がねぇ。カルトアルパスにはそれなりの敵機が居るはずだ…シリウスぐらい速くて動けるなら大丈夫かもしれねぇが…)

 

対艦攻撃を行う航空機と言えば雷撃機と急降下爆撃機だが、この2機種は結構な違いがある。

先ず雷撃機だが雷撃を主任務とする以上、かなりの重量とサイズがある魚雷を搭載するため機体は大柄になり、運動性は低くなってしまう。

逆に急降下爆撃機は、急降下爆撃を主任務にするため急激な引き起こしに耐えうる機体強度を持ち、それこそ場合によっては対空戦闘も行える程の運動性を持っている。

そして、ケル達が乗っているのは雷撃機…しかも市街地攻撃用の800kg爆弾を抱えた状態だ。

こんな機体では例え複葉機相手でも厳しい戦いを強いられるだろう。

 

「ケル!南方に伸びた二本の長い岬…あの間がカルトアルパスです!」

 

どう生き残ろうかと知恵を振り絞るケルへ、ベローが声を掛けた。

 

「あぁ…分かってるよ、クソッタレめ…」

 

しかし、ケルが見ていたのは真正面から迫りくる新たな敵機の姿だった。

先程まで襲い掛かって来ていた折れ曲がった主翼を持つムーの戦闘機とは違うプロペラ機…遠目からでも分かる程に小柄であるが、ケルはその敵機が危険な相手だと直感的に感じていた。

 

「ね…ねぇ、ケル…」

 

「あぁ?どうした、スーン」

 

「さっき、他のリゲルが引き返していったんだけど…おいら達も逃げようよぉ…」

 

「何っ!?」

 

「スーン、それは本当ですか!?」

 

後方を警戒していたスーンの言葉に目を見開き、驚愕を顕にするケルとベロー。

このカルトアルパス襲撃は帝国の力を全世界に知らしめる為の作戦であり、戦略的な重要度は非常に高いはずだ。

それだと言うに敵前逃亡を謀るとは…ケルは命がけで任務を遂行しようとする自分が馬鹿らしくなってしまった。

 

「いや…あれは、逃げているようには見えません。逃げるなら爆弾や魚雷を投棄した方がいいでしょうし…」

 

「もう、どうだっていいだろ…クソっ…俺達は命賭けてやってるってのによぉ!」

 

南西方向へ舵を切る友軍機の様子に違和感を覚えたベローが疑問を口にするが、ケルはそれどころではない。

遠くに見えていた敵機は徐々に接近してきており、このままならあっという間に攻撃を受ける事になるだろう。

 

「うぅ…お母ちゃん…お父ちゃん…おいらの墓にはクリームたっぷりのケーキを供えて欲しいなぁ…」

 

「こ…こんな事なら、士官学校に行って参謀本部を目指すべきでしたね…あぁ…でも、手遅れですか…」

 

爆弾を投棄して全速力で逃げようが、もう遅い。

迫りくる死の気配にスーンとベローは全てを諦めたかのような虚ろな表情を浮かべ、脳裏を駆け巡る走馬灯に身を任せていた。

しかし、ケルは違った。

 

「チクショー!死んでたまるか!こんなオンボロが棺桶なんて俺はイヤだぜ!」

 

迫りくる敵機を射殺さんばかりに睨み付け、ケルは後方の二人を励ますように叫んだ。

 

「諦めるんじゃねぇ!俺達は帰るんだ!三人で、一緒に!だから…最後まで諦めるんじゃねぇ!」

 

「ケル…」

 

「あなたという人は…」

 

この絶望的な状況を覆すような作戦なぞ無いが、少なくともケルは諦めずに打開策を探している。

そんな親友の姿に触発されたのか、スーンとベローの表情に生気が戻ってゆく。

 

──ドドドドッ!

 

「うぉぉぉぉっ!?」

 

しかし、敵機はそんな三人の友情なぞ知ったこっちゃないとばかりに発砲してきた。

主翼が瞬き、4つの太い火箭が空を裂いてリゲルの広い主翼へと吸い込まれるように直撃した。

 

「しゅ…主翼が!」

 

「うひゃぁぁぁ!神様、助けてくだせぇ!」

 

主翼がもぎ取られ、体がふわりと浮くような感覚に襲われる。

 

「やべ…逃げ…!」

 

──バゴガァァァァンッ!

 

急いでキャノピーを開けたケルは、致命的な破砕音の中、下から突き上げるような衝撃によって海へ放り出された。

 




計画艦、あとエーギルだけですが…鉄血前衛艦で経験値240万を集めるのは厳しそうです…

今後、お色気シーンは…

  • 今より増やせ
  • このぐらいでいい
  • もう少し減らしていい
  • もっと減らして
  • 無くていい
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