異世界の航路に祝福を   作:サモアオランウータン

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久々の1日2話連続更新!
まあ、5日から忙しくなるので書ける内に書かないとですね

という訳で漸くフォーク海峡海戦終了!
やっと本格的な対グ帝戦に入れますね


207.フォーク海峡海戦、終結

──中央暦1642年4月25日、カルトアルパス近海──

 

──ズガァァァンッ!ボンッ!ボンッ!

 

「右舷高角砲群にて火災発生!敵小型戦艦の副砲は焼夷榴弾を使用している模様!」

「死傷者多数発生!医療班より応援の要請が来ています!」

「また医療班からです!が、外交官の方々が重しょ…いえ、死亡が確認されたようです!」

 

各所から立ち昇る炎が頬を撫で、黒煙が涙腺を刺激して涙が溢れる。

中堅水兵達がしっかりと磨き上げていた艦橋の窓は度重なる被弾によってビビ割れており、いくつかの窓は完全に割れてしまいそこから焦げ臭い風がビュウビュウと吹き込んでいた。

 

「馬鹿な…ありえん…。奴らはいったい何処から…?」

 

慌ただしく報告する部下達が織り成す喧騒の中、ラクスタルは呆然とした様子で艦長席にもたれ掛かっている。

それも無理は無い。

彼は単艦での各国護衛艦隊の撃破という任務を全うする為にあらゆる手段を講じてきた事は間違い無い。

東征艦隊航空隊に手厚い航空支援を要請し、奇襲を受けない為に索敵を確実に行い、痛打を受けても冷静さを失わずに指揮を執り続けてきた。

事実、彼の行いに落ち度は無かったし、下された命令を実行するにはこれ以上の作戦は無かっただろう。

しかし、それはあっさり覆された。

大した事は無いと思われていた列強国の航空隊により東征艦隊航空隊はほぼ壊滅状態となり、どうやったかは不明だが4隻もの敵戦艦によって挟み撃ちを受けており、それによってラクスタルは冷静さを失っている。

 

「ま…負けるのか…?グレードアトラスターが…帝国海軍が…常勝無敗のグラ・バルカス帝国が…負けるというのか…?」

 

冷や汗で眉毛までぐっしょりと濡らしたラクスタルは、震える小さな声でそう述べた。

 

──ゴァァァァァァンッ!!

 

「ぬぉぉぉっ!?」

 

そんな時、呆然とするラクスタルの思考を現実へ引き戻す轟音が鳴り響く。

 

「そ、そんな!3番主砲塔が!」

 

誰かの悲鳴混じりの声。

それを聴いたラクスタルは直ぐに後方に顔を向け、割れた窓から後甲板に装備されている3番主砲塔を己の目で確認する。

 

「なっ…」

 

正に驚愕、正に絶句。

グレードアトラスターが最強たる所以である3基の46cm3連装砲の1基である3番主砲塔が、その内部構造を晒していた。

どうやら敵弾が砲塔側面に直撃し貫通、内部で炸裂して天蓋を弾き飛ばしてしまったのだろう。

あれでは、砲塔内部に詰めていた砲術員達の生存は絶望的だ。

だが、悲しんでいる暇は無い。

 

「3番主砲塔弾薬庫へ注水!」

 

「だ、弾薬庫へ注水を!?それでは弾薬類が…」

 

「どのみち3番主砲塔は使えん!それに、あのままだとバーベット内部に敵弾が飛び込みでもしたら、一瞬で弾薬庫が誘爆するぞ!」

 

「りょ…了解!」

 

ラクスタルは直様、弾薬庫への注水を命じた。

どうせ3番主砲塔は使えないのだ。

であれば、注水して誘爆を防いだ方が賢明であろう。

 

「ほうこーく!ほうこーく!」

 

艦内電話を使って弾薬庫へ連絡を始めた部下の姿を確認したラクスタルの元へ、見慣れない男が駆け寄ってきた。

作業服の胸元に縫い付けられた名札から、名前と所属は分かる。

 

「舵機室班の…ブーカ一等兵か?どうした?」

 

「はぁ…はぁ…だ、舵機室より報告です!予備油圧機構、全系統油圧喪失!繰り返します!予備油圧機構、全系統油圧喪失!」

 

「何だと!?」

 

報告の中でも5指に入る程の最悪な報告であった。

 

「貴様、何故それを早く言わなかった!それほどの報告なら、艦内電話で素早く…」

 

「艦内電話が通じないんです!うんともすんとも言わない…きっと電話線が被弾で切れてしまったんです!」

 

わざわざ舵機室から伝令の為に走ってきたブーカ一等兵の非合理的な行動に副長のカーベンが怒鳴りつけるが、これ程の被害を受けて艦内電話だけが無事な訳がないのだ。

実際ブーカ一等兵の言う通り、舵機室と艦橋を結ぶ電話線は被弾と火災の影響で切断されており、更にはいくつかの部署とも連絡がつかないようになっていた。

 

「くっ…何という事だ…」

 

爪が食い込んで血が滲む程に拳を握り締めるラクスタル。

舵が動かせなくなれば、如何に最強の砲と装甲を持つ戦艦と言えどただの真っ直ぐ海を進む鉄塊でしかない。

有利な位置取りどころか、回避運動すらも出来ない戦艦の行く末は2つ…撃沈か、座礁だ。

 

「艦長、油圧を喪失した以上、ハンドホイールにて操舵する必要があります。しかし、ハンドホイールを動かすには大量の人員が必要な上に、操舵の指示を伝える伝令が必要です」

 

ブーカ一等兵がそう噛みしめるように告げる。

油圧を喪失したと言っても、舵を動かす方法はある。

それがハンドホイール…舵と直結された操舵輪の化け物のような物だ。

しかし、満載排水量7万トンを超える巨艦の方向を変える舵の重さは想像を絶するものがある。

それ故、巨大な操舵輪のようなハンドホイールは幾つも連なっており、数十人規模で回すようになっているのだ。

だが、各所で火災や死傷者が発生している状況で操舵に回す人員は出せない。

出せるとすれば、戦闘行動を止めて無事な砲術員等を充てるより他無いだろう。

 

「……分かった、撤退だ。総員!我々はこれよりフォーク海峡を離脱し、パガンダ島泊地へと向かう!」

 

僅かに逡巡したラクスタルは、撤退命令を下した。

マトモに操舵出来ず、大量の死傷者が発生し、攻撃力の1/3を失ったという事実は間違い無く撤退を決断するに値するものであろう。

 

「しかし、艦長…奴らが逃してくれるか…」

 

カーベンがラクスタルへ耳打ちする。

確かに、眼の前に手負いの敵が居て見逃してくれる程、敵も甘くは無いだろう。

実際、ラクスタルだってあと一息で撃沈出来る敵艦が居れば、迷い無く追撃している。

 

「いや、副長…どうやら連中はこれ以上戦うつもりは無いらしい」

 

しかし、不思議な事に攻撃は止んでいた。

正確に言えば、撃ってきてはいるがどれも外れており、殆ど狙いが定まっていない。

おそらくは態と外しているのだろう。

 

「何を考えている…?ただ逃してくれるのならありがたいがな…」

 

いまいち狙いが読めない敵艦隊の動きに、ラクスタルは薄気味悪さを感じていた。

 

 

──同日、『ジャンヌ・ダルク』艦上──

 

──バタバタバタバタバタバタバタバタ…

 

ミリシアル・ムー・アズールレーン連合艦隊の最後方で展開していたジャンヌ・ダルクの甲板上で大きなプロペラを回す回転翼機…『UH-1』ヘリコプターの側方ドアを開け、キャビン内に据え付けられた簡素な椅子に指揮官が座る。

 

「ジャンヌ、奴の電波は記録出来たか?」

 

「はい、逆探知でどのような電波を使っているかは記録し、解析しています。詳しい周波数等は基地に戻らないと解析出来ませんが…。それより、本当に行かれるのですか?」

 

ローターが空気を叩く轟音の中、ジャンヌ・ダルクが心配そうに指揮官へ問いかける。

 

「なぁに、奴はもう戦えんよ。それに、これにはレーダー警戒機とチャフが装備されてる。万が一撃って来ても、十分逃げられるさ。じゃあ、行ってくる」

 

UH-1がローターの回転数を上げ、ふわりと軽やかに浮き上がり、高度100m程を200km/h程の速度で飛んで行く。

向かう先は黒煙を上げながらよたよたと西方へ向かって航行する巨艦…グレードアトラスターだ。

 

「キルゴア、万が一の時はお前が頼りだ」

 

「お任せを、指揮官殿!」

 

傷付いた黒鉄の巨艦が近付いてきた辺りで指揮官は操縦手である饅頭のキルゴアに話しかけつつ、機内に用意されていた望遠カメラを手に取るとファインダーを覗き込み、シャッターを切る。

 

──カシャッ!カシャッ!…カシャッ!

 

一応はアズールレーン最高司令官である指揮官が何故、こんな危険を犯して写真撮影をしているのかと言えば…まあ、それは指揮官の性格が悪いからだとしか言いようがない。

 

「ん?…あぁ、あれが艦長かな?ヘリコプターを見たのは初めてか?すっげーバカみてぇな顔してやがるぜ」

 

──カシャッ!

 

望遠レンズで捉えた敵艦の艦橋でこちらを見上げる初老の男を撮影した指揮官は、一先ず気が済んだのかカメラを下ろすとヘリコプターの高度を上げさせて小さく呟いた。

 

「さて…あとは頼むぞ。くれぐれもサボるんじゃねぇぞー」

 

海面を見下ろす指揮官の青い瞳…それはグレードアトラスターではなく、その直下にある"巨大な黒い影"に向けられていた。




やっぱり駆け足気味かつ、ご都合主義塗れる感はありますね
まあ、あくまでも頭空っぽにして楽しむ娯楽作品なので余り深い事は無しで行きましょう

今後、お色気シーンは…

  • 今より増やせ
  • このぐらいでいい
  • もう少し減らしていい
  • もっと減らして
  • 無くていい
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