また最近、感染が広まっているようですね…
皆様もお身体にはお気を付け下さい
──中央暦1642年4月25日、カルトアルパス港湾部──
「へっぷしっ!へっぷしっ!あぁぁぁっ!いてぇぇぇっ!」
「ケル、大丈夫ですか?」
「おいらの毛布を使っていいよぉ」
油と炎の匂いが混ざった潮風が吹き抜ける港の一角には、ずぶ濡れとなった男達が身を寄せ合っていた。
その中にグラ・バルカス帝国海軍航空隊のリゲル型雷撃機の乗組員であるケル、ベロー、スーンの姿があった。
撃墜されたリゲルに乗っていた彼らだが運良く一人も欠けずに生き延びており、海戦終了後の救助活動で3人皆無事に救助されていたのだ。
「ぐぅぅぅっ…スーン、それはありがたいけどよぉ…お前は大丈夫なのか?」
「おいら達はあんまり濡れてないから大丈夫だよぉ」
「はい、私とスーンは機内に取り残されていましたからね。意外とリゲル型の浮力があって助かりましたよ。ですがケル、貴方は海に投げ出されて全身打撲の上に低体温症になりかけなんですよ?私の毛布も使って下さい」
「あぁ…すまねぇ…」
ベローの言葉通り、ケルは機体から放り出された際に海面に叩き付けられたせいで全身を打撲しており、所々骨にヒビが入っている状態だ。
しかも長時間漂流していたせいで体温が奪われてしまい、このまま放っておけば低体温症になる可能性もある。
しかし、ベローとスーンが毛布を貸してくれたお陰で低体温症にはならずに済みそうだ。
「で、でも…これからおいら達どうなるのかなぁ…?やっぱり…処刑とか…」
「それは無いんじゃないですか?処刑するつもりなら、わざわざ救助するとは思えません。となると…捕虜収容所で強制労働ですかね…」
不安気に俯くスーンの言葉に、ベローが半ば諦めたように応える。
グラ・バルカス帝国における捕虜の扱いというのは、収容所に送られて帝国軍の兵器を作る為の労働力にされるのが一般的だ。
きっと自分達もそうなるのだろう。
同胞を殺す為の兵器を作る事になってしまう…そう考えると、どうしても気が重くなってしまう。
「大丈夫よ〜♪私達はそんな事しないから、安心してちょうだい♪」
暗いムードで包まれた捕虜達の元へ何とも明るい声が届いた。
「…女?」
横たわったケルの瞳に映ったのは、未だ硝煙の匂いが残るこの場には相応しくない女性の姿だった。
ウェーブがかかった長い金髪に、空色を基調として金色のモール等の装飾が施された派手な衣服を着ている、美少女と言っても良い風貌の持ち主だ。
「あの…貴女は…?」
突如として現れた輝くような美少女を前に顔を赤らめたりしてまごつく捕虜達だが、意を決したようにベローが問いかける。
「あら、自己紹介がまだだったわね。では、改めて…」
くるりとその場でターンし、一回転すると胸元に手を当てて深々と頭を下げる。
「Bonjour、私は自由アイリス…ではなくて、アズールレーン所存のエミール・ベルタンよ。エミールって呼んでね〜」
ターンによって煽られた長い金髪から華やかなコロンの香りが漂い、捕虜達は思わず鼻の下を伸ばしてしまう。
無論ベローも例外ではないが、それでもこれから自分がどうなるかは聞いておかなければならない。
「えっと…では、エミール…さん?私達はこの後、どうなるのでしょう?」
「その件については、私達の指揮官がミリシアルやムーの人達と話し合って、私達の活動拠点があるロデニウス大陸の収容所へ貴方達を移送するという事になったわ。私達は最近、パーパルディア皇国っていう国と戦争をしてたから、その時使った収容所がまだあるのよ」
エミール・ベルタンの言葉を聞いた捕虜達は、一斉に落胆した。
何せ彼らの一部は捕虜収容所がどんな物かを知っているからだ。
暗くてジメジメしたコンクリート打ちっぱなしの大部屋に数十人が詰め込まれ、食事はヌルいクズ野菜のスープに下等な小麦粉を使った粗末なパン…ロクにシャワーも浴びれず、暑くても寒くてもボロ布のような毛布一枚で硬い床に雑魚寝しなければならない。
少なくとも、グラ・バルカス帝国が作っている捕虜収容所とはそんな物だ。
それに12時間をゆうに超える強制労働まで加わるのだから、病人や死人だって当たり前のように出る。
しかし、続くエミール・ベルタンの言葉は彼らの耳を疑うようなものだった。
「あら…怖がらせちゃったかしら?でも、大丈夫よ♪捕虜収容所とは言っても、貴方達が思っている程酷くないわ。基本的には狭いけど一人一人個室があるし、食事だって毎日栄養士さんが考えて献立を考えて、それを調理師さんが作ってくれるし…それに、毎日お風呂にも入れて、部屋には空調まであるのよ♪」
「ほ…本当なんですか…?」
一応、ベローは一時期士官を目指していた事もあり、自国の捕虜収容所について知っている。
そんな彼からすれば、エミール・ベルタンの言葉はにわかにも信じがたい。
どちらかと言えば、彼女がとんでもないサディストで、自分達に希望を抱かせた後に絶望へ叩き落とす準備をしていると考えた方がまだ納得出来る。
「まあ、信じられないのも無理はないわね…。パーパルディアの人達も、信じられないって言ってたみたいだし…。あ、それよりコレをどうぞ♪ミリシアルの人達から、魔導ストーブを借りてきたの♪もう春だけど、今日はちょっと風が冷たいから皆で暖まってね〜」
そう言うとエミール・ベルタンは、引っ張ってきた籠付きの台車からミリシアルで広く使われている暖房器具である魔導ストーブを下ろすと、起動させてその場を後にした。
「エミールさん…いい人だなぁ。それにスッゴイ美人だし…」
「スーン、見た目に惑わされてはいけませんよ。ケル、貴方は彼女をどう思いました?貴方は昔から危ない人間を見分ける嗅覚は鋭い…?ケル、どうしました?」
「エミールさん…」
呑気なスーンに釘を刺しながらもケルに意見を求めるベロー。
しかし、当のケルは去り行くエミール・ベルタンの後ろ姿を見つめ続けていた。
──同日、臨時治療所──
時を同じくして港の一角。
そこにはいくつものテントが建ち並び、幾人もの医療者が行き交っている。
「………」
そのテントの一つ…救出された遭難者の中でも軽症者が集められたテントの端に置かれた簡易ベッドの上では、第七制空戦闘団団長シルバー・ルーングが虚ろな目で濃紺の天幕をぼんやりと見上げていた。
──バサッ
「シルバー団長、ここにいたのか」
テントの入口を捲りあげて入ってきたのは、離島防衛隊飛行隊長のオメガ・アルパだ。
「…笑いにきたのか」
オメガを一瞥したシルバーは開口一番、何の感情も籠もらぬ口調で告げる。
撃墜されたものの無事に脱出出来たシルバーだが、結局第七制空戦闘団で生き残ったのは彼一人…他の団員は愛機と運命を共にするか、外海の激しい海流によって流され行方不明となっていた。
そんな中たった一人生き残ってしまった彼は部下を喪った悲しみと、呆気なく撃墜された情けなさによって抜け殻のような有様だ。
「違う」
「では同情か」
「それも違う」
「…なら放っておいてくれ。私はもう…」
寝返りをうち、オメガに背を向けようとするシルバー。
しかし、オメガはそれを許さなかった。
「甘ったれるな!」
「っ…!」
オメガはシルバーの胸ぐらを掴み無理矢理立たせると、不貞腐れるシルバーを一喝した。
「部下を喪った?撃墜された?だからどうした!?そんなもの、退く理由にはならない!今、貴殿が戦う事を止めれば死んでいった部下達は本当に無駄死にになってしまう!負けたからといって諦めたら、敗北に塗れたまま全てが終わってしまう!」
「…私に…どうしろと言うんだ…?」
出撃前に見せた、高慢とも取れる自信に満ち溢れたシルバーの姿は何処にも無かった。
まるで置き去りにされた子犬が不安げに鳴いているような…そんな打ちひしがれた弱々しい態度である。
「もし…もし、貴殿が再び空を飛ぶつもりがあるなら、ルーンズヴァレッタ魔導学院のジンドリン主席を訪ねるといい」
「ルーンズヴァレッタ…?」
ルーンズヴァレッタ魔導学院の事は当然、シルバーも知っている。
エルペシオ3等の天の浮舟開発において大きく貢献する、神聖ミリシアル帝国における二大魔導学院の一つである。
「ルーンズヴァレッタでは皇帝陛下の勅命を受けて新たな天の浮舟の開発を行っているが、テストパイロットが足りずに苦労しているらしい。…貴殿であればテストパイロットに必要な技量は十分だろう」
「新たな…天の浮舟…」
「あぁ、今までの魔帝の模倣ではなく新規設計…従来機の生産ラインも活かせるようにパーツを流用しながらも、各部にロデニウス連邦から手に入れた科学的な航空機設計も取り入れた、これまでとは一味違う機体になるそうだ。…これはあくまでも私個人の提案だ。貴殿が気乗りしないのであれば断っても何ら問題は無い。全て、貴殿が思うままに判断してくれ。…では、私はこれで失礼する。しっかりと養生してくれ」
そう述べたオメガはやんわりとシルバーをベッドに座らせると、会釈してその場を去った。
「…私は…また…空を…」
残されたシルバーは俯き、考える。
自分のような無能が再び空を飛んでもいいのか…再び、仲間を率いても良いのか…
その答えは、とても今すぐ出せるようなものではなかった。
グ帝戦をどう書くかを定めるために、原作を読み直さなければ…!
今後、お色気シーンは…
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今より増やせ
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このぐらいでいい
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もう少し減らしていい
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もっと減らして
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無くていい