これは執筆時間が取れるかどうか…
──中央歴1642年6月30日午後2時、グラ・バルカス帝国領レイフォリア──
「本気ですか、ゲスタ部長!?」
グラ・バルカス帝国の植民地となった列強国レイフォルの首都であったレイフォリア。
現在では帝国による植民地支配の中心地となり、グレードアトラスターの艦砲射撃によって廃墟と化した街並みはコンクリート造の近代的な建物が建ち並んでいた。
その中にある帝国外務省レイフォリア出張所の一室で、シエリアが驚愕を多く含んだ声を張り上げる。
「本気も本気だよ、シエリア君。奴らは我々に対して非協力的ではないか。そんな連中を、帝国臣民の血税で養うなど無駄の極みだ」
シエリアの言葉を受けて鷹揚に頷きながら述べたのは、彼女の上司にあたる東部方面異界部長のゲスタだ。
何故、彼が部下からそんな言葉を投げ掛けられているのか…それは、彼の発言に原因があった。
「捕らえた現地人を処刑するなぞ、この世界の蛮族と同じですよ!?ハイラス殿下を処刑したパガンダ人と同じ、野蛮な行いを帝国がするなんて…」
そう、ゲスタはシエリアに現地人の処刑を命じたのだ。
この現地人と言うのは、去る4月22日に帝国海軍の潜水艦により撃沈されたムーの貨客船に乗っていたムー人とミリシアル人、そして『白い軍艦』に乗っていたロデニウス人である。
彼らは帝国海軍の潜水艦によって救助され、いくつかの離島秘密基地を経由してこのレイフォリアへ移送されていた。
「確かにシエリア君の言わんとする事は分かる。しかしだね、これは"必要な犠牲"なのだよ」
「必要な…犠牲…?」
戸惑いを見せるシエリアに対し、ゲスタは如何にも重要な事柄を話すように重々しく言葉を続ける。
「この世界は余りにも野蛮…列強国や文明国と呼ばれる国々が非文明国を虐げ、当たり前のように交渉に赴いた外交官が理不尽に処刑される事すらある。ハイラス殿下の件のようにな」
デスクに置いたカップを手に取り、紅茶で唇を湿らせてから尚も言葉を紡ぐ。
「そのように理不尽極まりない連中が跋扈しているのがこの世界。そのような野蛮極まりない世界に新たな秩序を…優等民族であるバルカス人がこの混沌とした世界に繁栄と秩序をもたらす為には、帝国の確固たる意思を世界に知らしめる必要があるのだ」
「それと捕虜を処刑する事に何の関係が…?」
「帝国が世界を相手に戦うという覚悟を示せば、それに追随する非文明国も出てくるだろう。事実、進んで帝国の軍門に下った国々の中には列強・文明国による世界秩序を疑問視している者も多い。そのような状況の中、ムーと神聖ミリシアル帝国という二大国へ帝国が立ち向かうとなれば、彼らは帝国が築く新たな世界秩序の為に喜んでその身を捧げる事は確実だ」
そう述べたゲスタは立ち上がりシエリアに近寄ると、彼女の肩を力強く掴んで一言一言噛みしめるように告げる。
「これは、この世界に真の平和をもたらす為に必要な犠牲なのだ。彼らの死は帝国による平和の礎となり、後世まで語り継がれる事となるだろう…。そう、あの犠牲があったからこそ、この平和があるのだと…」
「帝国による…平和のため…」
自信無さげに言葉を反芻するシエリア。
それにゲスタは、真剣な眼差しで彼女の目を覗き込む。
「その役目を担うのは、入省試験に置いて女性として初めて主席となったシエリア君が相応しいだろう。…やってくれるか?」
「…は…い…」
幾度か迷っていたシエリアだが、顔を伏せると小さな声で承諾した。
そして、それを聴いたゲスタは笑みを…酷く醜悪な笑みを浮かべていた。
「さあ、では行ってくれ。近衛兵団の方々が待っていらっしゃる。待たせては失礼になるからな」
(ふん…やはり女は御し易い。これでコイツは精神を病んで、じきに外務省を去るだろう)
実はゲスタ、シエリアを始めとする若手外交官を嫌っていた。
というのも、今まで外務省は植民地や属国から巻き上げた財産で私腹を肥やす外交官ばかりであったのだが、シエリアと同世代の外交官はそれを良しとせずに改革を行おうと活動していたのだ。
しかし、ゲスタを始めとする私腹を肥やしていた者達にとっては面白くない話である。
今まで楽に大金を手に入れていたのに、ポッと出の若造にその手段を潰されようとしているのだから。
だが、改革派の中心である若手外交官はカルトアルパスでの海戦に巻き込まれて死亡、それを間近で見てしまったシエリアは精神的に不安定となっており、ゲスタはそれを利用して彼女の精神を完全に崩す事で改革派を消し去ろうと画策していた。
(くっくっくっ…女如きが殺しの命令なぞ下せる訳がない。下したら最後…奴の精神は限界を迎える…)
男尊女卑的な思想を持つゲスタは、フラつきながら処刑場所へと向かうシエリアを嘲笑を向けて見送った。
──同日、帝国近衛兵団レイフォリア司令部──
帝国近衛兵団のレイフォリア司令部を訪れたシエリアは、そのまま地下の一室へと通された。
「ご機嫌麗しゅう、シエリア殿。カルトアルパスでは残念でした…彼らは帝国の未来を担う優秀な外交官だったのですが…」
地下室の扉を開けたシエリアを出迎えたのは、近衛兵団のエルザンであった。
近衛兵団の制服である漆黒の装いは何時も通りだが、手に嵌めた白手袋には赤黒いシミが幾つか付いている。
「おや…いつのまに付いたのでしょう?これではシミになってしまいますし、何より劣等人種の薄汚れた血が付いてしまっては使い物になりません。仕方ありませんが、捨ててしまいましょう」
シエリアの視線に気付いたエルザンは自らの手袋に付着した血痕に漸く気付き、溜め息をつきながら手袋を外して部屋の隅に置いてあるゴミ箱へ捨てた。
「…彼らは?」
「何も話しませんね…少々痛めつけたのですが…。劣等人種なりに意地でもあるのでしょうか?」
何が可笑しいのかクスクスと笑うエルザンから視線を外し、冷たいコンクリートの床に座らされた男達に目を向けるシエリア。
彼ら…エルザンが艦長を務める潜水艦によって捕らえられた捕虜達には無傷な者は一人も居なかった。
ある者は上半身にいくつものミミズ腫れを、ある者は全ての指の爪を剥がされ、ある者は顔中が腫れ上がってしまっている。
これの何処が"少々"なのだ?と問わずにはいられなかったが、近衛兵団の行いに疑問を持つ事は帝国自体に疑問を持つ事と同じだ。
運が悪ければ"愛国心欠如者"として"再教育"という名の強制労働が待っている。
「…お前達、これが最後のチャンスだ。お前達の国の機密を話せ。政治、軍事問わない。今からでも話せば、命だけは助かるぞ?」
もし、ここで全員が機密を話す意思を示せばシエリアは処刑の指示を出さずに済む。
それ故の最終通告であったが、彼女に返ってきたのは沈黙であった。
「…っ」
「シエリア殿はお優しいのですね。ですが、話すつもりは無いようで…。忠誠心だけは認めてあげましょう」
表情を曇らせるシエリアに気付いていないのか、沈黙を貫く捕虜達に感心した様子のエルザン。
しかし、彼の視線は控えていた近衛兵団員に向けられ、それを受けた団員はセミオートライフルの安全装置を外した。
「さあ、シエリア殿。ご指示を…」
「構え…」
(これは帝国の為…世界平和の為…。必要な犠牲…必要な犠牲…)
顔を真っ青にし、胸中で必死に自らに言い聞かせながら団員に指示する。
それを聞いた団員は一糸乱れぬ動きで、整然とライフルを構えた。
「いい…だろう…」
あとはトリガーを引くだけ…というところで、捕虜の一人が口を開いた。
ロデニウス連邦沿岸警備隊長官のマッコー・ホエイルだ。
「貴様らが…最も知りたい情報を…教えてやる」
「話して…くれるのか?」
どこかホッとした様子でシエリアが聴き返す。
それに対しマッコーは、腫れ上がった顔ながらも不敵な笑みを浮かべて応えた。
「我が国と…貴様らが戦争をすれば…ぬぐっ…。貴様らは…負ける…。完膚無きまでに…負け…」
「…撃てっ!」
──バンッ!バンッ!バンッ!
期待を裏切られたシエリアは、反射的に発砲の指示を出してしまった。
そして、それに従って次々とトリガーを引いて発砲する団員達…
「ラ・ムー陛下万歳!ばんざ…」
「神聖帝国に栄光を…!」
「この報いは必ずや…」
次々と倒れる捕虜達。
もう、戻れない…溢れた水が二度と器に戻らないように、失われた命はもう戻らない。
「…これは帝国による新たな秩序、そのために必要な犠牲である!世界よ、もう一度問う!」
半ば自棄になったシエリアは、処刑の様子を捉えた魔信カメラ─レイフォルの地方都市に残されていたもの─へ向かって改めて宣言する。
「帝国の軍門に下るか。それとも、戦い敗北するか…選ばせてやろう!」
ラダーンフェスティバァァァァァァル!が耳に残って仕方ありません
今後、お色気シーンは…
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今より増やせ
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このぐらいでいい
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もう少し減らしていい
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もっと減らして
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無くていい