マルギットが強すぎたのに、ゴドリックはアッサリ突破出来ました
──中央歴1642年6月30日午後3時、ロデニウス連邦旧クイラ王国南方──
『帝国に従わぬ者はこうなる…。いいか?我々に従えば繁栄が、逆らえばこのような死あるのみだ。それを踏まえて貴様らにもう最後に問おう。グラ・バルカス帝国に従うか、それとも否か…従う国家は、我々が治めるレイフォルにある出張所へ赴くか連絡をしろ。期限は2ヶ月、それまでに回答しない国家は敵性国家と見做され、帝国の鉄槌が下されるであろう』
モニターに映し出されたシエリアが絶命した捕虜たちを背に、感情の無い表情でそう述べる。
それを見ていた者達は愕然としながらも自らの内から湧き上がる怒りに身を震わせた。
無論、ロデニウス連邦の国家元首であるカナタも例外ではない。
「な…なんと野蛮な…!」
普段から温厚であり、古くからの友人ですらも怒る姿を見た事がないと有名なカナタですら、顔を赤くして小さく震えながら拳を握り締めている。
何せ先程モニターの向こうでいともたやすく射殺されたマッコー・ホエイルは確かにかつての敵ではあったが、今では共に祖国を護る同志なのだ。
そんな同志を見せしめのように殺害し、一方的に従属を求めるグラ・バルカス帝国の振る舞いは許されざるものであり、可能な限り戦争という手段を避けようとしていたカナタはいよいよ覚悟を決めた。
「もうこうなれば、かの国との全面戦争は避けられません!各閣僚を招集し、緊急の国家安全保障会議を開催。その後に本邦駐留大使を通じて各同盟国へ我が国の意向を伝達します!」
連邦政府による外交努力を虐殺という行為で踏み躙る蛮行の前では、最早話し合いなぞ意味を成さない。
全面戦争は不可避と判断したカナタは秘書へ指示を出し、自国と同盟国を護るために動きだした。
「指揮官殿、我が国はアズールレーンへ報復及び防衛の為に出動要請を…」
無論、その中にはロデニウス連邦を盟主とする第四文明圏の防衛軍であるアズールレーンへの出動要請も含まれる。
それ故、すぐ近くにいた指揮官へ非公式な出動要請を出したのだが…
「ふぅん…なるほどなぁ…」
世界のニュースのキャスターがグラ・バルカス帝国の行いを非難する各国の緊急声明を読み上げている様子が映し出されているモニターを見ながら、指揮官は何度も小さく頷く。
その表情は怒りに染まってはおらず、寧ろやや口角を上げて笑っているかのようだ。
「っ……!」
仲間が殺されたというのに笑う…普通に考えれば人の心を持たない狂人だと思ってしまうだろう。
しかし、カナタはサモアの人々とKAN-SEN達から指揮官の"悪癖"を聞いていた為、そのようには思わなかった。
「それにしても…ククッ…パーパルディアの時も…フッ…。なんで…こんな…フハッ…殺して従わせ…フハッ…ハハッ!」
"指揮官はキレると笑ってしまう"…その悪癖を知っていたからこそ、カナタは言葉の端々に笑いを混ぜながら腹を抱える指揮官の姿を見て、冷や汗を垂らしてしまう。
(な…なんという怒気…。これは…戦争ではない…"殺戮"が始まる…!)
以前見学したアズールレーンによる大規模火力演習を思い出したカナタは、顔を青くして生唾を飲み込む。
古の魔法帝国が復活したという想定で行われた演習は旧ロウリア王国沿岸部の『ライナル丘陵』にて行われたのだが、その際は海軍艦艇200隻、航空機1500機、歩兵戦力9万人、戦車500輌、自走砲・牽引火砲合わせて700門、多連装ロケット砲300基、弾道ロケット1000発という『史上最大規模の演習』の結果、ライナル丘陵は『ライナル平野』と改名される程に地形が変わってしまった。
それらを見学したロデニウス連邦の閣僚は「これが演習というのなら、本物の戦争になったらどんな殺戮が行われるのだ」と発言したとされている。
その為、カナタはアズールレーンがグラ・バルカス帝国に負けるとは一切思っていない。
寧ろ、かの帝国に対する怒りはすっかり消え失せ、キレた指揮官が敵国を地図から消してしまいかねない事に恐れ慄いた。
「ふぅ…大統領、先程のホエイル長官の言葉…お聞きになりましたか?」
「え…?あ、はい」
一頻り笑った指揮官は息を整えると、カナタへ問いかける。
「ホエイル長官は、"あの女"に我々の圧倒的な勝利を宣言しました。これから殺されるというのに…凄まじい覚悟でした」
「はい…私も、彼の気迫には心を打たれました。ホエイル長官の言葉を偽りとしない為にも…何より、凶弾に倒れた者達の無念を晴らす為にも…我々はかの国と戦わなければなりません」
「えぇ、そして掴むのです。勝利と、自由と…平和を」
互いの信念をカナタと確認しあった指揮官は立ち上がり、コンソールに取り付けられた通信機を操作してサモア基地へのホットラインを繋げる。
「こちら、クリストファー・フレッツァ上級大将。最早グラ・バルカス帝国との全面戦争は不可避となった。陸・海・空軍、海兵隊、憲兵隊、沿岸警備隊は連中の強襲に備えて警戒レベルを最大に引き上げろ。加えて、戦略軍は出動に備えよ。連邦政府とムーとの交渉が済み次第、諸君らにはムー大陸へ向かってもらう。…では、大統領。ムーとの交渉をお願いします」
「戦略軍をムーへ派遣するのですね?分かりました。では、合わせて神聖ミリシアル帝国へ領空飛行許可と空港使用許可を申請します」
アズールレーンの本拠地であるサモア基地へ命令を下した指揮官は、カナタへムーに対する交渉を要請する。
それを受けたカナタは、併せて神聖ミリシアル帝国領内を利用する必要があると判断をし、それを提案した。
「はい、お願いします。先ずは『U-2』を派遣してレイフォルへの強行偵察を行います。なので無いとは思いますが、もしミリシアル側が許可を渋った際にはレイフォル地域の航空写真の提供をエサに交渉を」
「はい、交渉を行う駐ミリシアル大使にはそのように伝えておきましょう」
最近、アズールレーン内に新設された軍…それこそが戦略軍である。
これは言ってしまえば戦略爆撃機や戦略偵察機、更には大陸間弾道ミサイルや戦略ミサイル原潜を運用する為の軍であり、強大な抑止力として第四文明圏や同盟国に対する侵略を押し留める役割を持っている。
しかし、いざ侵略者の魔の手が伸びてきた際には抑止力ではなく、"戦力"として振るわれるのだ。
「ではお願いします。…あとは"ヤツ"がいい情報を帰ってくればいいのですが」
「ヤツ…?」
椅子に座り直しながらボヤくように述べる指揮官へ、カナタが怪訝そうな表情を浮かべた時だった。
──ガチャッ
「ちょっとぉっ!遠路はるばる、ムー大陸の向こうまで行ってきたのに出迎えも無しってどういう事さ!汚い海の中に何日も居たのに労いの一つも…」
扉を開けて入ってきたのは、『ピュリっち』ことピュリファイアーであった。
あいも変わらず血色の悪い死体のようだが、その手には頑丈そうなジュラルミンケースを持っている。
「いいタイミングだな。首尾はどうだった?」
「はいはい、バッチリですよー!まったく…本当に人使いの荒い…」
「人じゃないだろ」
労いの言葉一つ口にしない指揮官に苛ついた様子ながらもピュリファイアーはジュラルミンケースを指揮官へ差し出し、指揮官はそれを受け取って中身を確認する。
「海岸線から予想した地形と面積…工業地帯や人口密集地、軍港の場所。あと周囲の海水のサンプル…よし、間違いないな」
「これがグラ・バルカス帝国本土なのですか?…意外と小さいですね」
ジュラルミンケースから取り出した写真や書類を確認し、その中から幾つかをカナタへ差し出す指揮官。
カナタはそれを見て、感嘆したような声を上げた。
実はフォーク海峡海戦後、極秘裏に連れてきていたピュリファイアーに艤装を展開させ、撤退するグレードアトラスターを追尾させていたのだ。
その結果、ピュリファイアーはパガンダ島にある大規模な軍事施設は勿論、そこで応急修理されたグレードアトラスターが向かったグラ・バルカス帝国本土にある専用ドックや本土の海岸線全周を撮影する事に成功していた。
「内陸部が見えないのは仕方無いか…。だがこれで連中の本拠地が分かった。後はこれを上手く使うか…」
「はぁ…私はサモアに帰るからね。あの国の回りの海、すっごいヘドロ臭かったから艤装を洗いたい…」
ピュリファイアーが持ち帰った情報をもとに対グラ・バルカス帝国戦の戦略を練る指揮官の様子に、ピュリファイアーは呆れた様子でサモアへ帰還しようとするが…
「あぁ、ご苦労さん。お前はよく働いてくれたからな…首の爆弾はもう要らんだろ。ほら、鍵だ」
「おわっ!?…とっと…。イエーイ!やっと外れたぜ!はぁ〜…首が軽くなった〜」
指揮官から投げ渡された鍵で自らの首に巻かれた首輪爆弾を外したピュリファイアーは、先程までとは打って変わって軽い足取りでスキップして去って行った。
もうすぐ大陸版の5周年記念ですが…そろそろロイヤルイベントが欲しいですね
やっぱりURに期待です
今後、お色気シーンは…
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今より増やせ
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このぐらいでいい
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もう少し減らしていい
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もっと減らして
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無くていい