異世界の航路に祝福を   作:サモアオランウータン

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やっと…やっと新規ロイヤルイベントが来ましたよ!
もうこれは新規URやイラストリアス級空母、新メイド隊やSSR駆逐艦も欲しいところですね!
あとは陛下の改造が来れば文句なしなんですが…


227.小市民

──中央歴1642年8月2日午後6時、グラ・バルカス帝国領レイフォリア──

 

私の名はダラス・クレイモンド、偉大なるグラ・バルカス帝国の外務省に勤める者だ。

さて、帝国からこの異世界に転移してからそれなりの年月が経ったが、帝国の躍進は留まる事を知らない。

確かに転移直後は様々な混乱こそあったものの、強大なる帝国軍の力によって豊富な資源を擁する現地国家を植民地とした事で転移前よりも経済的成長が見込めると財務省が発表していた。

流石は優等種たるバルカス人の国だ。

如何なる困難を前にしても臆する事なく発展に尽力する姿勢は、前世界『ユグド』やこの世界の現地国家に屯する劣等人種では真似する事なぞ出来ないだろう。

そして、私もバルカス人…確かに真のバルカス人である近衛兵団の方々には劣るだろうが、そんな私でも優等種の末席に並んでいると思うと誇らしい気分になってくる。

 

「ふぅ…」

 

そんな私だが、与えられた仕事を終えて時計を確認する。

もう午後6時…定時だ。

 

「シエリア殿、もう定時ですよ。私は帰宅しようと思うのですが…」

 

「ん?あぁ…もうこんな時間か。私はまだ仕事が残っているから、ダラス君は先に帰ってくれ」

 

そろそろ帰ろうかと思い私が声をかけたのは、私が外務省に入省したばかりの頃に教育係を勤めてくれたシエリア殿だ。

 

「ですが、最近はかなりの仕事を抱え込んでいるようではありませんか。今日ぐらいは早めにお帰りに…」

 

「いいや、私は大丈夫だよ。エルザン殿から頂いた薬のお陰で気分もいいし、集中力も普段より研ぎ澄まされている。薬は一日一錠だから、効力があるうちに可能な限り仕事を片付けておきたい」

 

私の気遣いは余計なお世話だったようだ。

シエリア殿は『近衛兵団用官給品』と書かれたラベルが貼られた瓶を私に見せ、その中に入っている錠剤の存在を示すように揺らしてザラザラと音を出した。

 

「それは…確か近衛兵団の方々が愛用している抗疲労剤ですか?」

 

「あぁ、エルザン殿が私を見かねて特別に分けて下さったのだ」

 

エルザン殿といえばシエリア殿に求婚している近衛兵団の潜水艦艦長だ。

彼もまた近衛兵団内では近年稀に見る秀才らしい。

なるほど…才女と秀才ならお似合いだ。

 

「ははぁ…確かに最近のシエリア殿は、私から見ても少々危うさがありましたからね。そんな貴女をここまで回復させる薬を開発出来る帝国の科学力は素晴らしいですな」

 

「そうだな…その説は君にも迷惑をかけた。…そうだ、君も疲れているならどうだ?」

 

「いえいえ、それはあくまでもエルザン殿がシエリア殿に差し上げた物…。それを私が頂いては、エルザン殿に申し訳ありません」

 

「そうか、君は律儀だな。…では、ご苦労様」

 

「はい。お先に失礼します」

 

そう言葉を交し、私は帰宅する為に自家用車を停めてある駐車場へと向かった。

 

 

──中央歴1642年7月20日午後7時、グラ・バルカス帝国領レイフォリア──

 

「クソっ!ツイてない!」

 

外務省の庁舎から帰路に着いた私だが、なんと不運な事に自家用車のエンジンが急に止まってしまった。

幸いこのレイフォリアにはまだ自動車が少なく、時間も帰宅ラッシュから僅かに外れていた為事故にならずに済んだが、運が悪ければ他の自動車から追突されて怪我を…いや、もしかしたら重量物を積載したトラックに追突されて命を落としていたかもしれない。

 

「ん…?スンスン…何だ…?この甘いニオイは…」

 

ボンネットを開け、どうにか自力で修理出来ないか試みるが、日没後のこの時間帯では細かい部分まで見る事が出来ない。

それ故にエンジンの熱気に顔を顰めながらもボンネット内に顔を突っ込んで原因究明にあたっていたが、どうにも妙な甘ったるいニオイがする。

ガソリンやエンジンオイルのニオイとは明らかに違う。

そう言えば高級車に搭載される水冷エンジンの冷却水は甘いニオイがすると聞いたが、私の自家用車は空冷エンジンだ。

 

「何かが焼けているのか…?えぇい、分からん!」

 

残念ながら私は文系であり、こういった機械関係は最低限の知識しかない。

それ故に機械の故障は専門業者に丸投げしてきたのだが、生憎この辺りに自動車修理工場は無い。

 

「はぁ…駄目か…仕方ない。メモを残して、一旦外務省まで戻ろう」

 

自身の所属・氏名と"故障中"と記したメモを書き、ワイパーに挟んで外務省までの道を歩む。

外務省には緊急事態対応員として誰かしらは居るであろうし、事情を話せば仮眠室を使わせてくれるだろう。

 

──プップー!

 

「ん?」

 

肩を落として歩く私の背に、自動車のクラクションが鳴らされた。

 

「何だ?」

 

もしかしたらボンヤリしていていつの間にか車道にはみ出していたか?と思ったが、どうやらそうではないらしい。

戸惑う私の真横で停車するのは、黒塗りの高級車…

 

「君、どうしたのかね?」

 

窓を開け、私に話しかけてきたのは白髪が目立つ老人であった。

 

「はぁ…実は自家用車が急に壊れてしまって…。整備工事もこの近くには無いので、一旦職場に戻ろうかと…」

 

何処かで見た事のある老人だが、誰だったか思い出せない。

しかし、乗っている車と身なりからそれなりに地位のある人物と判断し、丁寧な態度を心掛ける。

 

「ふむ…。君の家は何処だい?」

 

「北大通りの21番区画です」

 

「おぉ、そうか。では、乗せて行こうではないか。私も北大通りの先に住んでいるのだよ」

 

「閣下」

 

何ともありがたい老人の提案だが、運転手が咎めるように口を開く。

 

「恐れ入りますが、私は閣下の御身を何事もなく送り届けるという義務があります。ですので、このような名も知らぬ男を便乗させるのは…」

 

「いや、彼は大丈夫だよ。ほら、背広のバッジを見れば分かる。彼は外務省の官僚だ」

 

「…あ」

 

運転手と言葉を交わす老人の正体について考えていた私は、ふと記憶の扉が開いたように一気に思い出した。

 

「ま、まさか…か、カーデラ総帥!?」

 

「うむ、その通り。私こそ、近衛兵団の総帥…カーデラだよ」

 

柔和な笑みを浮かべて応える老人…否、カーデラ総帥を前に、私は反射的に跪いた。

カーデラ総帥は帝王グラ・ルークス陛下の叔父、つまり"大帝"グラ・ルーメン陛下の弟であり、帝国のエリート集団である近衛兵団の頂点に立つお方だ。

 

「とんだ御無礼をお赦し下さい!何分暗く、お顔がよく見えず、護衛の車列も御座いませんでしたので…」

 

「いやいや、そこまで畏まらなくていい。私は皇族から離脱した身だからね。君たち帝国臣民と変わらないよ。それに、私は仰々しい護衛が嫌いなんだ」

 

カーデラ総帥は皇籍を放棄する事と引き換えに、近衛兵団総帥の座を与えられたという話だが、それでも偉大なるグラ・バルカス帝国皇族の血を引くお方だ。

そんなお方に、普通の対応なんて出来る訳もない。

 

「それより早く乗り給え。困っている同胞を見捨てるのは、近衛兵団の総帥として恥だからね」

 

「ありがとうございます。ではお言葉に甘えて…」

 

深々と頭を下げ、カーデラ総帥に感謝していると運転手が仕方なさそうな表情を浮かべ、後部座席のドアを開けてくれた。

 

「ありがとうございます」

 

「閣下の御指示ですので」

 

運転手にも感謝するが、返ってきたのは何とも素っ気ない言葉だ。

カーデラ総帥は気さくなお方だが、普段から側に居る者は気が気でないのだろう。

 

「では、発進致します」

 

極めて事務的な運転手の言葉と共に、自動車が滑らかに発進する。

 

「ふぅ…。ところで…あー…」

 

「ダラス・クレイモンドと申します」

 

「では、ダラス君。我が国は全世界に対して宣戦布告を行った訳だが…どうなると思う?」

 

暫し沈黙が続いていたが、カーデラ総帥が唐突にそんな話題を振ってきた。

 

「はっ!強大なる帝国は野蛮で未発展な現地国家を次々と打ち破り、この世界は遠からず優等民族たるバルカス人の下で統一される事でしょう」

 

「うむ、私もそう思う。しかし、私が聞いたのは長期的な話ではなく、近々の話…現地国家がどのような動きをするかという話だ。まあ、これは私の聞き方が悪かったかな」

 

「いえ、カーデラ総帥のお考えを察し損ねた私の落ち度であります!そうですね…おそらくは各国が徒党を組んで帝国に対して攻撃を仕掛けてくる事でしょう。そして、その目標はこのレイフォルとなる筈です。帝国本土は秘匿している為、現地国家は現在確認出来る唯一の帝国領土であるレイフォルを目指すかと…」

 

「君の言う通りだ。間違いなく、現地国家はこのレイフォルに対して攻撃を仕掛けてくるだろうね」

 

「しかし、現地国家はどれもこれも程度の低い蛮国です。この世界において最強と嘯いている神聖ミリシアル帝国の精鋭艦隊でさえ、グレードアトラスター1隻を大破に追い込むのがやっとだったのです。帝国海軍が本格的な艦隊で迎え撃てば、現地国家が束になったとしても到底かなわないでしょう。それに、万が一帝国海軍が敗北したとしても近衛兵団艦隊が存在します。確かに近衛兵団艦隊は帝国海軍より規模こそ小さいものの、配備する兵器と所属する近衛兵団員の方々の質は帝国海軍を上回っています。間違いなく、帝国が敗北する事はないでしょう。しかし…」

 

「しかし…なんだね?」

 

「はい、これは私の個人的な意見…軍事素人の愚考だと受け取って頂きたいのですが…」

 

正直、私は軍事には疎い。

しかし、そんな私でも少しばかり気になる事がある。

 

「ムー、そして現地国家の連合軍が陸上から攻めてくる可能性もあります。このレイフォルとムーの国境は長く、警戒にあたる兵力も不足気味であると聞き及びました。もし、現地国家が大挙して押し寄せれば…」

 

「君は聡明だな。実は私も同じ懸念を抱いていた」

 

「はい、ですので私としましてはムーの沿岸部にある都市に対して艦隊を派遣し、敵を撹乱すべきではないかと…」

 

「ふむ…君の言うことも一理あるな…。よし、ではムーへ第52地方艦隊を派遣させるとしよう」

 

「第52地方艦隊…!死神イシュタムですか!?」

 

カーデラ総帥の言葉に私は思わず驚愕した。

第52地方艦隊、通称『死神イシュタム』は建前上占領地の治安維持及び防衛を主任務としているが、実際は占領地の現地住民が反乱を起こさないよう徹底的に恐怖心を植え付ける為の艦隊である。

その為イシュタムに所属する者は司令官から一兵卒に至るまで残虐非道かつ粗暴な連中であり、中には犯罪者まで居るという有様だ。

 

「うむ、イシュタムは失っても惜しくはない艦隊だ。例えムー決死の抵抗によって大損害を被ったとしても、今後の戦略には影響を及ぼさないだろう」

 

「イシュタムは練度も低く配備している兵器も旧式が多くを占めているという話ですが、ムー如きに大損害を被るとは思いません。せいぜい駆逐艦が何隻か損害を受けるだけかと…」

 

「念の為、だよ。ダラス君、生き残るのに必要なのは用心深くあることだ」

 

「はぁ…そうですか…」

 

まあ、私がとやかく言っても仕方ない。

皇族として様々な英才教育を受けてきたカーデラ総帥がそう判断されたのだ。

私のような小市民はその言葉に従い、自分の仕事を全うすべきであろう。




そう言えば最近、日本国召喚✕アズレンクロスが増えましたねぇ…
嬉しいものです

今後、お色気シーンは…

  • 今より増やせ
  • このぐらいでいい
  • もう少し減らしていい
  • もっと減らして
  • 無くていい
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