異世界の航路に祝福を   作:サモアオランウータン

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戦場の派遣(渡鳥)社員様より評価10を頂きました!

皆様は今回のイベント、どうでしたか?
私はとりあえずピックアップ艦は50連で揃ったので、後はゆっくりポイント集めですね

あとシーホーネットの設計図うめぇ…


230.サイレントハンター・ハンター

──中央歴1642年9月28日午後11時、ムー大陸西方沖──

 

ムー大陸の南西部に位置する文明国である『ニグラート連合』。

同国の西方に広がる海域は『バルチスタ海』と呼ばれており、世界有数の好漁場として知られていた。

しかし、それは昔の話。

現在は列強国である『レイフォル』を滅ぼし占領した『グラ・バルカス帝国』の軍艦が跋扈し、ニグラート連合の漁船を強制排除して漁場の殆どを奪ってしまっている。

そんなバルチスタ海、月明かりも殆ど無い漆黒の海上を鉄の海獣が滑るように航行していた。

 

「はぁ〜…暇だなぁ…」

 

鉄の怪獣から突き出た"コブ"の天辺で、若い男が頬杖を突きながら溜息混じりに呟く。

 

「この辺にこの世界の有力国が連合艦隊を組んでやって来るって話だが…」

 

彼の名はアレム・コーシュキン、グラ・バルカス帝国海軍所属の潜水艦『ウヌクアルハイ』の乗組員である。

 

「うぉっ…とっと…。危なっ…やっぱりシータス級より小さいから揺れるなぁ…」

 

急に船体が横に揺れ、セイルに立って見張りをしていたアレムは危うく振り落とされかけた。

というのもこのウヌクアルハイは、帝国海軍の主力潜水艦『シータス級』を補完する為に開発された小型潜水艦『サーペント級』の1隻である為、凌波性等はシータス級よりも劣る。

そのため、こうした海底の地形に影響を受けた急な潮流の変化により、船体が大きく揺れてしまうのだ。

 

「図体の大きなシータス級では小回りが効きにくいし、乗組員同士の連携も取りにくい。それを踏まえれば、私はこの潜水艦の事を気に入っているのだがね」

 

「か、艦長!?」

 

愚痴を溢すアレムの背後から声をかけたのは、艦長であるランディ・フルスルであった。

無精髭が生えた柔和そうな顔に笑みを浮かべた初老の彼の手には、湯気が立ち上るマグカップが2つある。

 

「アレム君、見張りの任ご苦労さま。さっきの揺れで半分になってしまったが…眠気覚ましのコーヒーだ」

 

「あ…ありがとうございます」

 

差し出されたマグカップを受け取ったアレムは、どことなく気まずそうにしながらもセイルの手摺に体を預け、目の前に広がる海面の様に黒い水面を傾けた。

 

「何か異変は?」

 

「あれば真っ先に報告しますよ。現状は何も無い…星がキレイな事ぐらいです」

 

「おや、意外と君はロマンチストなんだな。私も若い頃には、今の妻にそんな言葉で結婚を申し込んだものだ」

 

「艦長には言われたくありませんよ。…今日もこんな時間まで起きてたって事は、相変わらずポエムでも書いてたんですか?」

 

取止めもない言葉を交わすアレムとランディ。

端から見ると上下関係に厳しい軍人同士の会話というより、歳の離れた友人同士に見えてしまう。

 

「しかし…中々獲物が見付からないなぁ…。位置取りを間違えたか?」

 

「ソナー手の話によると、遠方で爆発音や圧潰音が聴こえたとの事ですしね。他の潜水艦は上手く敵艦隊の通り道に布陣出来たのでしょう」

 

現在、帝国海軍の潜水艦隊はレイフォル攻撃の為に襲来する世界連合艦隊を迎撃すべくこのバルチスタ海で待ち伏せをしているのだが、時折遠方の海中から爆発音や圧潰音らしき轟音が聴こえるのみで、ウヌクアルハイが布陣した海域には帆船の一つも通り掛からない。

 

「ふーむ…もしや、他の潜水艦に全て沈められたか…?いや、確かに敵艦隊を撃滅出来たのならそれで良いのだが…」

 

爆発音や圧潰音は間違いなく味方潜水艦が魚雷を放ち、敵艦を撃沈した時に発生したものだろう。

ランディとしては個人的な戦果より、軍全体の勝利を重視している為それはそれで問題無いのだが…

 

──…ゥゥゥゥゥゥ…

 

「ん…?艦長、何か聴こえませんか?…飛行機の…エンジン音のような…」

 

アレムが声を潜め、耳を澄ませる。

それに倣い、ランディも聴覚を研ぎ澄ませ…

 

──ブゥゥゥゥゥゥン…

 

「確かに…飛行機のようだな。しかし、こんな夜中…しかも月明かりも少ないのに飛行するとは考えられん。何かの聞き間違いか?」

 

帝国海軍・陸軍の航空隊において夜間飛行というのはごく一部の特殊な訓練を受けたパイロットしか出来ない、特殊技能である。

無論、現地国家にも夜間飛行が出来るパイロットが存在するかもしれないが、明日には新月になるであろう暗い夜空の下で航行する小さな潜水艦を発見出来るとは考え難い。

 

「もしかしたら、他の潜水艦に沈められた空母からどうにか飛び立って、飛べる限り飛んでいるのかもしれません。運が良ければ陸地に辿り着ける…とか」

 

「かもしれんな。だが、念の為に潜航を…」

 

万が一の事を考え、潜降すべくアレムと共に艦内へ戻ろうとするランディ。

しかし、その瞬間だった。

 

──シュゥゥゥゥゥゥッ!

 

「何だ!?」

 

突如として頭上に響き渡る不気味な風切り音…それに驚き、空を見上げるも風切り音の正体を知る事は出来なかった。

 

──バンッ!

 

「う…うぉぉぉぉっ!?」

 

微かな星明かりと細い月光によって頼り無く照らされていた海上は炸裂音と共に、一瞬にして白昼のように輝いた。

夜目に慣れていたアレムとランディの二人は太陽光線が如き閃光に網膜を焼かれ、視界が真っ白になってしまう。

 

──シュゥゥゥゥゥゥッ!

 

輝く夜空に再び響き渡る不気味な風切り音。

それに騎乗した死神の気配に気付いた時には全てが手遅れであった。

 

──ドンッ!

 

激しい衝撃、凄まじい熱波、身を刻む破片…それは、セイル上の二人をバラバラにしながら焼き焦がし、彼らの家同然であるウヌクアルハイの甲板に大穴を開け、艦内に残った乗組員を僅かな時間で溺死させた。

 

 

──同日、ムー海軍対潜艦隊旗艦『ラ・トウエン』──

 

──ブゥゥゥゥゥゥン…キッ…キッ…

 

漆黒の海に浮かぶムー海軍所属の空母『ラ・トウエン』の甲板に複葉機が着艦する。

潜水艦による襲撃を警戒し灯火管制を行っている為着艦は最早不可能と言ってもいいが、それでもムーのパイロットは危なげもなく着艦してみせた。

 

「ふぅ〜…よしっ!1隻やったぞ!」

 

「やりましたね!連中、何が起きたのかすら分からなかったでしょうね!」

 

着艦した複葉機のパイロットが喜びの声を上げ、その後席に座っていた乗組員も同じく歓喜する。

この複葉機、複座なのだがムーが採用していたマリンの複座型ではない。

アズールレーンから購入したロイヤル製雷撃機『ソードフィッシュ』の対潜型である。

対水上レーダーを装備した事で浮上中の潜水艦は勿論、潜望鏡すらも探知出来、更には夜間作戦用に照明弾頭のロケット弾を装備しているのだ。

そんな機体をムー対潜艦隊は主力として配備しており、レーダー・照明弾を装備した探索型と、徹甲ロケット弾を装備した攻撃型のペアで運用している。 

因みに後席に座るのは勿論レーダー手であるが、先程着艦したソードフィッシュのレーダー手は義勇兵としてムーへやってきたミリシアル人である。

 

「おーい、補給を頼む!それが済んだら直ぐに出撃するぞ!」

 

「はいっ!」

 

パイロットは甲板員へ補給を依頼しつつ、補給完了まで休憩する為にレーダー手と共に一旦艦内へ戻って行った。

 

 

──同日、『ラ・トウエン』艦橋──

 

「うむ、バルチスタ海に到着してから撃沈した敵潜水艦は15隻…初めての実戦にしては上出来ではないか?」

 

"ぼんやりと光る"飛行甲板を艦橋から見下ろしながら満足そうに述べるラ・トウエン艦長マシガ・ベンチュラ。

彼は対潜艦隊の司令官も兼任しており、他の艦隊より先行して敵潜水艦を排除する為にこのバルチスタ海で一足先に活動しているのだ。

 

「しかし、訓練通りグラ・バルカス帝国の潜水艦は騒音が酷いな。この前まで素人だった我々がこんなにも沈める事が出来るのだからな。…まあ、Uボートの方々が相手ならこうはならんだろうが」

 

マシガを始めとした対潜艦隊の面々はサモア基地への留学経験があり、そこで対潜作戦について様々な事を学んでいた。

座学は勿論、実艦を用いた実戦さながらの訓練も行っており、その訓練の中にはアズールレーンが秘密裏に鹵獲したグラ・バルカス帝国海軍の潜水艦『ミラ』を用いたプログラムもあった為、現在のムー対潜艦隊は対グラ・バルカス潜水艦戦闘のプロフェッショナルと言っても過言ではない。

もっとも、より高みを目指す為にアズールレーン内でも屈指の練度を誇る鉄血Uボート艦隊に挑んだ際には、呆気なく全滅判定を喰らったのだが…

 

「だが、グラ・バルカス帝国の潜水艦に対抗する為には現状でも十分だ。今は確実に敵を沈めなければ、ミリシアルにも申し訳ないからな」

 

そう言いながらマシガは艦橋の窓際に置かれたガラス板を指先でコンコンと小突く。

というのも、ムーはアズールレーンを通してミリシアルから魔導技術を導入しており、先述したぼんやりと光る甲板とガラス板こそが導入した魔導技術である。

これは特殊な粉末魔石を溶かした塗料と、魔石を加工したガラス板を使ったものであり、粉末魔石塗料を塗布した物はこのガラス板を通して見るとぼんやりと光って見えるのだ。

ムーはそれを空母の甲板に塗り、夜間作戦を行う機体に搭載する事でパイロットに白昼と変わらぬ着艦環境を与えている。

 

「ふぅ…とりあえず小休止とするか。ロデニウス連邦で買ったフェン産茶葉はまだあったかな?」

 

時計を確認し、予め決めていた休憩時間になっていた事に気付いたマシガは好物の紅茶を淹れる為に艦内の厨房へと向かった。




そう言えば色々と調べてたんですが、大戦後〜70年代までの西側ってロクな艦対艦・空対艦兵器持ってませんね…
私の調べ方が悪いのかもしれませんが、ハープーンとか出るまで東側の方が対艦ミサイルは進んでたんですね

…あれ?そうなるとそれまでの西側諸国は東側諸国の艦隊をどうやって攻撃するつもりだったんだろう?
潜水艦の雷撃は別にして、水上艦とか空母艦載機の対艦攻撃手段って…

今後、お色気シーンは…

  • 今より増やせ
  • このぐらいでいい
  • もう少し減らしていい
  • もっと減らして
  • 無くていい
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