そろそろイベントも終わりですねぇ…新艦、新衣装のお目当ては手に入れましたか?
──中央歴1642年10月1日午前8時、バルチスタ海──
「…何かがおかしい」
レイフォルへ向って来ると思われる世界連合艦隊を迎撃する為にバルチスタ海西方を航行するグラ・バルカス帝国海軍東征艦隊の臨時旗艦、グレードアトラスター級戦艦2番艦『パルサー』の艦橋内にある司令官専用個室では、艦隊司令長官であるカイザルが報告書を片手に眉をひそめていた。
「偵察機全てが連絡を絶ち、消息不明になるなぞ有り得ない。やはり、敵に撃墜されたか…?」
カイザルの頭を悩ませているのは、航空隊からの『偵察機、全機消息不明』という何かの間違いだと思いたい絶望的な報告であった。
確かに偵察機として運用しているリゲル型雷撃機は鈍足で運動性能も低く、しかも広範囲をカバーする為に分散させて運用している為、敵機から奇襲を受けて各個撃破されれば為す術もなく撃墜される事もあり得なくはない。
事実、陸軍で爆撃機として運用しているリゲルは『イルネティア王国』侵攻の際、イルネティア王国軍のワイバーンの奇襲によって数機が撃墜された事もある。
それを踏まえればより進んだ航空戦力を持つ敵…つまり世界連合艦隊の中核を成しているであろうムーや神聖ミリシアル帝国の戦闘機によって撃墜されてしまった可能性は十分にあり得る。
しかし、いくら何でも全機が緊急通信も無く消息不明となるだろうか?
「まさか…敵は我々より優れたレーダーを持っているのか?」
この広大な空を飛ぶ単機のリゲルは、例えるなら砂漠に置かれたコインのようなものだ。
偶然視界に入らなければ見つける事は困難を極めるであろうが、カイザルには偶然に頼らずに済む方法を知っている。
それこそがレーダーだ。
レーダーを使えば肉眼やレンズでは捉えられない遠距離に居る目標でも発見し、その情報を元に迎撃機を誘導する事も可能だろう。
しかし、レーダーにも限界はある。
「確かにラクスタル君がカルトアルパスにて対峙したムーの戦艦にはレーダーらしき物が装備されていたが…しかし、如何に優れたレーダーを配備していたとしても水平線の先まで見通す事は出来ない」
カイザルの言う通り、レーダーは基本的に地形に遮られてしまう。
陸上であれば山や建物、海上であれば遥か彼方の水平線にだ。
だが逆に言えば海上を行く艦船のレーダーは基本的に水平線以外に遮られる事はなく、そして青い海に黒々とした軍艦の姿はレーダー探知範囲内に踏み入った航空機からハッキリ視認出来る筈である。
それ故に、例え迎撃機によって撃墜されたとしても撃墜されるまでの間に通信ぐらいは出来るだろう。
それに加え、敵に見付かりもせず、敵を見付けられなかった偵察機すらも帰還出来ていないという事は…
「まさか…敵艦隊は水平線以遠を探知出来るレーダーを使い、我々の偵察機を能動的に迎撃しているのか…?」
先程までカイザルが考えていたのは受動的な迎撃…つまり、レーダー探知範囲内に敵機が飛来したから撃墜するという言わば"待ち"の戦術だ。
しかし、今のカイザルが想像するのは積極的にレーダーを活用し、敵機を探知して敵の…つまりグラ・バルカス帝国海軍の偵察活動を能動的に迎撃する"攻め"の戦術である。
「しかし、艦船のレーダーでは限界がある。艦橋を山のような高さにする訳にはいかないからな。となると…艦載機か?」
一つの可能性に行き着き、以前にラクスタルから渡されたカルトアルパスにて従軍記者が撮影した写真を取り出すカイザル。
「…これか。周囲の人物と比べて非常に大きな機体だな。これなら、嵩張るレーダーも搭載出来るかもしれん」
パラパラと写真の束を捲っていたカイザルだが、とある一枚の写真に目を留める。
それはムー空母の甲板上に並ぶ大型単発機…『TBF アヴェンジャー』が写し出されたものであった。
「今でもムーがこのような艦載機を配備しているのは信じられんが…写真にある以上は信じるしかない。確か、陸軍が双発機に搭載出来るレーダーを開発していた筈だ。もし、ムーが我々に匹敵する…或いは凌駕するレーダー技術を持っていた場合、この機体にレーダーを搭載して"空飛ぶレーダー"としている可能性もあるな」
カルトアルパスにてグレードアトラスター大破という衝撃的な被害を受けた事に、カイザルは異世界国家に対する認識を改めており、決して油断はしないと自戒していた。
──ジリリリリリッ!ジリリリリリッ!
もし、自分の想定通りならどう戦うべきか…それを考えていたカイザルの思考を遮るように、艦内電話が鳴り響いた。
「私だ」
《カイザル司令、レーダーにて未確認飛行物体を捕捉。数は確認出来るだけで100は下りません。異世界国家の航空戦力と思われます》
何とも淡々とした報告に、カイザルは眉間にシワを寄せた。
きっと報告してきた者はワイバーンを始めとした、取るに足りない羽虫が哀れにも叩き落されに来た、とでも考えているのだろう。
「分かった、直ぐに昼戦艦橋へ向かう。全艦に対空戦闘の指示を」
《はっ!》
──ガチャッ…
電話の向こうの相手からの返事を聞くとカイザルは受話器を戻し、几帳面に成形された軍帽を被った。
「さて…行こうか」
──同日、同海域東方上空──
《敵艦隊及び敵航空部隊捕捉。各機、警戒を》
「了解、警戒機は撤退せよ。世話になったな」
《ありがとうございます。ヤンマイ中佐もご武運を》
西方へ向かって飛んでゆくムー航空隊による大編隊。
その中から1機の『TBM-3W グッピー』が離脱し、来た空路を辿るように戻ってゆく。
レーダーによる支援が薄くなる事への不安はあるが、最低限の防御機銃しか持たぬ同機ではこれから起きるであろう大空戦を生き残る事は難しいだろう。
「やはりこの辺りだったか…レイダー提督は賭けに勝ったな」
遥か遠くの空に見える無数の黒い粒へ鋭い眼光を送りつつも、酸素マスクの下でほくそ笑むヤンマイ。
というのもムー艦隊は事前にアズールレーンより提供されたグラ・バルカス帝国艦隊の空撮写真と、これまでに撃墜した偵察機の位置情報から同艦隊の位置を大まかながらも割り出しており、ムー艦隊の総司令官を務めるレイダーの判断でこの空域へ航空隊を送り込んだのだ。
その結果は大当たり…ムー航空隊は見事、グラ・バルカス艦隊の真正面へ躍り出る事に成功した。
「……。やはりニグラート連合はやや遅れているな。流石のワイバーンロードでも、このコルセアに着いてくるのは困難か」
ムー航空隊は120機もの戦闘機、60機の雷撃機を以てグラ・バルカス艦隊を撃滅せんとしているが、それは何もムーだけではない。
第二文明圏の文明国『ニグラート連合』のワイバーンロード50騎が、戦列を共にしているのだ。
しかし、やはり2000馬力級エンジンを搭載した戦闘機隊と轡を並べる事は無理なようで、後続の雷撃隊を護衛するような形となっていた。
「しかし、ミリシアルは何をしているんだ?確かに艦隊は派遣したようだが、参加しているのは空母もない地方艦隊…ミリシアルの戦力はこんなものではない筈だ」
《中佐!》
「ん…?君は…」
何を考えているかイマイチ読めない神聖ミリシアル帝国への不信感を口にしていると、紺色の戦闘機がヤンマイ機の側へ飛来すると同時に無線機からミリシアル訛りの男の声が聴こえてきた。
《今回は帝国も戦力を派遣すると聞いていましたが…あの艦隊がそうなのでしょうか?》
「私も同じ事を考えていた。…これは私の邪推なのだが、ミリシアルは我々を囮にするつもりではなかろうか?」
《お…囮!?》
「自身が主催者である先進11ヶ国会議を宣戦布告の場に使われ、あまつさえ自国民を公開処刑されて、あれだけの戦力しか派遣しないとは考え難い…。おそらくは、我々がグラ・バルカス艦隊と戦っている最中に横合いから攻める算段なのかもしれない」
《なんと…!なんと情けない卑怯なやり口を!これが世界最強、列強国筆頭として君臨してきた神聖帝国だと!》
「私の邪推、と言った筈だ。もしかしたら単に遅れているだけなのかもしれない」
無線の向こう側で憤る男を宥めるヤンマイであるが、彼自身は自らの邪推が的中しているという自信があった。
「まあ、ミリシアルが遅れているなら彼らが来る前に我々で奴らを始末してしまおう。それなら何の問題も無い」
《…えぇ、そうですね。例え帝国が来ずとも、十分に戦えると示してやりましょう!このヘルキャットなら、怖いものなしですよ!》
もう察せられると思うが、ヤンマイと無線越しに話しているのはミリシアル人義勇兵だ。
彼は元々は神聖ミリシアル帝国海軍の旧型天の浮舟『エルペシオ2』のパイロットであったが、現在は退官届けを上官に叩き付けてムーで義勇兵となっている。
そして、彼を始めとした元天の浮舟パイロット達へムーが与えたのが、ロデニウス連邦・アズールレーンより有償供与された戦闘機『F6F ヘルキャット』だ。
性能的にはムーの主力戦闘機である『F4U コルセア』より若干劣るもののその分扱い易く、全く操縦特性が異なる機体からの乗り換えも容易という特性からミリシアル人義勇兵へ与えられているのだ。
因みに有償供与とは言うが値段は1機辺り100ムガル…現代日本で生きる我々に分かりやすく例えるなら100円程度である。
「だが、油断は禁物だぞ。確かに単純な性能なら我々の戦闘機は敵のそれより優れているが、それに頼り切っては足元を掬われる。…私もカルトアルパスでは痛い目を見た。貴殿もよく注意するように」
《はい、確りと心に刻みますとも》
「よろしい。…さて、そろそろ射程内に入るぞ。各機、戦闘に備えよ!」
《了解、これより戦闘行動に移行する》
《奴らにムーの力を…この世界の力を見せてやる!》
《この命、この為にあった!》
ヤンマイの言葉を受け、空の男達は世界の防人となる。
世界を…人々の平穏を護る為なら命なぞ惜しくはない。
そんな鬼気迫る覚悟が電波に乗って犇々と伝わる。
しかし、ヤンマイは敢えて彼らに告げた。
「交戦規定はただ一つ…生き残れ!」
エンジンが排気管を鳴らし、プロペラが空気の弦を掻き鳴らす。
けたたましい交響曲を合図にして始まるは、男達の命を散らす輪舞曲でもあった。
ヘルキャットよりコルセアの方が性能がいいという描写に賛否両論あるかもしれませんが、私的には性能のコルセア、使いやすさのヘルキャットだと思ってます
異論は認めます
そこら人それぞれだと思いますしね
今後、お色気シーンは…
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今より増やせ
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このぐらいでいい
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もう少し減らしていい
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もっと減らして
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無くていい