異世界の航路に祝福を   作:サモアオランウータン

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凡人作者様・にゃんこンゴ様より評価10、おたから7様より評価9、kな人様・nkte様より評価0を頂きました!

遅くなってしまいまして申し訳ありません!
ちょっとR-18作品を書いたりしていたもので…

そう言えばロイヤル・フォーチュンが実装されましたが…まさかの帆船!しかも結構強い!
ゲーム中で使ってみましたが、量産型重巡ぐらいなら独力で倒せてしまいますね…
あの前装式砲、どんなカラクリが…


239.古の超兵器【2】

──中央歴1642年10月2日午前8時、バルチスタ海──

 

ムーへ向かって航行するグラ・バルカス帝国艦隊。

出港したばかりの頃は我こそが世界の覇者であると喧伝するような威容であったが、現在では数こそそれなりだがどことなく消沈している様に見えてしまう。

 

「司令、艦隊再編完了しました。戦闘不能艦とそれらの護衛として離脱させた艦を引いて我が方の艦隊は、戦艦8、空母6、巡洋艦29、駆逐艦75となっております。特に空母は防空を優先させた為に離脱する空母との間で戦闘機と攻撃機・爆撃機を入れ替えた為、実質的な攻撃力は低下していると言って言いでしょう」

 

異世界に転移してから…というより前世界でもそうそう味わった事が無い損害を受けた事による暗いムードの中、参謀がカイザルへと報告する。

 

「確かに出港時より戦力は大きく減じてしまったな。しかし、我らは常勝無敗!この痛みを乗り越えてこその帝国艦隊であろう!」

 

だが、艦隊司令であるカイザルはそんな報告を前にしても戦意は衰えていない。

寧ろこれこそが試練だと言わんばかりに語気を強めて乗組員に発破をかけるが、そんな言葉だけでは漂う嫌な雰囲気を発散させる事は出来なかった。

 

(…心にも無い事を嘯き、皆を死地へと向かわせる。これでは道化…いや、詐欺師ではないか)

 

そしてカイザル自身も虚勢を張っているだけである。

艦隊司令として、世界を征するべきグラ・バルカス帝国の一員として気弱な面を見せる訳にはいかないと考えたが故の言葉であったが、彼自身が一番この状況を悲観していた。

 

(それにしても不味い…ムーが予想以上の戦力を持ち、我が方にこれまでの被害を与えたという事は勿論だが、ムーの後には神聖ミリシアル帝国が待ち構えている。死にもの狂いでムーを討ったとしても、帝国はミリシアルと刃を交えるだけの力を保てているだろうか?)

 

懸念は幾つもあるが、一番はこの世界における最強の国家である神聖ミリシアル帝国の存在だ。

 

(大した脅威にはならないと踏んでいた厶ーによってこれ程の被害を受けた…。となれば警戒に値する軍事力を持つミリシアルはより強大な力を持っていると考えるべきだろう。何せ相手はマグドラ群島にて我が方の艦隊にそれなりの被害を与えた…場合によっては撤退を考えるべきだろう)

 

正直言ってカイザルは今すぐ全艦に対して撤退を命令し、パガンダ島にて戦力の補充を行うべきだと考えている。

しかし、それを行えばムーとミリシアルを筆頭とした世界連合艦隊は帝国の支配領域に進出し、橋頭堡を確保する時間を与えてしまう事になるだろう。

何より、そんな事になれば海軍は近衛兵団から糾弾され、連中の更なる増長を招きかねない。

そうなればいよいよ帝国は終わりだ。

民族主義者が過ぎたる力を持てば他民族の虐殺や奴隷化が横行し、それは帝国がこの野蛮な世界の国々と同レベルまで堕落してしまうという事だ。

そして、そうなった帝国の行く先は同胞ですらもヒエラルキーを設けた徹底的な階級社会…純血のバルカス人以外は人権を保障されない、閉塞した社会である。

前世界でもケイン神王国が似たような情勢であった為、カイザルはその有様が手に取るように想像出来た。

 

(くっ…我ながら貧乏くじを引いたものだ。近衛兵団…あの黒服共が居なければ、まだ自由が効いたが…)

 

「東方海域に展開中の潜水艦『ヴァルべー』より緊急入電!」

 

「読み上げろ!」

 

当代皇帝グラ・ルークスの治世において急速に力を付けてきた近衛兵団への愚痴を内心で溢していたカイザルであったが、その思考は通信士と参謀のやり取りによって中断された。

 

「はっ!平文です。《我、神聖ミリシアル帝国のものと思われる艦隊を補足。数少なくとも戦艦或いは空母と見られる大型艦20近くを有する大艦隊》との事です。座標はこちらに…」

 

メモの走り書きを読み上げつつも、もう一枚のメモを参謀へと差し出す通信士。

 

「平文?相当急いでいたようだが…続報は?」

 

「……ありません。もしかしたら発見されて潜航したのかもしれません。水中は無線が通じませんし…」

 

「あるいは撃沈されたか…」

 

ポツリと呟いたカイザルの言葉は思いの外、よく通ってしまったらしい。

その言葉を聞いた参謀と通信士を始めとした艦橋要員達は目を見開き、信じられないといった表情を浮かべていた。

 

「司令、それはどういう…」

 

「…我々より先行して当海域に展開していた潜水艦隊に所属する潜水艦が次々と音信不通になっているのは知っているな?」

 

「はい、しかしそれは事故ではないのでしょうか?この世界の海中情報は未だ不明な部分が多く、事実転移直後は少なくない潜水艦が航法の誤りや、海底地形への衝突により遭難する等しました。現在は少なくなっていますが、当海域は最低限の調査しかしていないので…」

 

「17隻」

 

「は…?」

 

「現時点で消息を絶った潜水艦は17隻だ。出撃した潜水艦隊は総勢53隻だ。単なる事故というには多すぎる」

 

呆然とする参謀を横目にカイザルはタバコを─通常は艦内禁煙だが、佐官以上は例外─点けると、紫煙を燻らせる。

 

「これは推測だが、異世界国家…厶ーかミリシアルは潜水艦を能動的に発見し、撃沈する術を持っているのかもしれない」

 

「し、しかしっ!異世界国家は…」

 

「潜水艦どころか魚雷すらも知らぬ二流海軍ばかり、と言いたいのだろう?だが、昨日の苛烈な空襲を味わって尚も同じ考えに至れるのかね?」

 

「ぅ…」

 

「おそらくは潜水艦隊の皆も同じ考えに固執し、油断しきっていたのだろう」

 

唇を噛み締め、俯く参謀を尻目にカイザルは灰を落としながら自身の発言を悔いていた。

 

(思わず声に出てしまったとは言え、少々喋り過ぎたか…。口は災いの元と言うが…まったくもってその通りだな。己の言葉で士気を下げてしまうとは、司令官失格だな)

 

内心で自嘲するカイザル。

 

(さて…この状況を打破するには何か大きな戦果が必要だ。厶ーかミリシアルの秘密兵器でも出てきてくれれば、それを撃破して士気回復の足掛かりに出来るが…そんな都合が良い事に期待は出来ないな)

 

不安を抱えた男たちを載せた海の要塞は、白波を切って突き進む事しか出来ないでいた。

 

 

 




さて…次のイベントはプリンツ・ハインリの復刻ですが、その次は新規イベントでしょう
ライザコラボかμイベントか…

今後、お色気シーンは…

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