異世界の航路に祝福を   作:サモアオランウータン

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遅くなりましたが、新年明けましておめでとうございます
本年も本作を是非ともご愛読頂けると幸いです

という訳で皆さん、新規イベントは如何でしたか?
まさかのⅡ型艦でちょっとビックリしましたね…
拙作でもノーザンプトンなんかがⅡ型のようになっていますので、未来予知をしてしまった…?まあ、外見までは違いましたがね

という事は今後ヘレナⅡやアークロイヤルⅡが出たり…アズレンが長く続けばタイコンデロガⅡが出たり!?


242.古の超兵器【5】

──中央歴1642年10月2日午後4時、バルチスタ海──

 

白波を蹴り上げるようにして航行するグラ・バルカス帝国艦隊。

戦艦や巡洋艦及び駆逐艦からなる水上打撃艦隊は後方に空母と護衛となる駆逐艦隊を残し、巡航速度より速い25ノットという戦闘船速で東方へ向かっている。

 

「…よし、敵航空隊による襲撃は無かったな。一先ずは命を拾った、という訳だ」

 

腕時計と低くなった太陽を見比べつつ、艦隊司令であるカイザルはホッとした様子で胸を撫で下ろす。

航空隊壊滅による制空権喪失は百戦錬磨の猛将たる彼の肝を冷やすのに十分過ぎる程の悲報だったが、この時間帯まで敵航空隊の襲撃が無かった事は不幸中の幸いと言っても良いだろう。

そんな中、カイザルは航空攻撃は諦めた上で艦隊を敵艦隊が居るであろう方向─敵航空隊の通信を傍受した事によりある程度推測は出来た─へ艦隊を進出させ、艦隊決戦を行おうとしているのだ。

 

(艦隊決戦であれば敵も同士討ちを恐れて空襲は出来ない筈だ。しかもこれより日は沈み、夜に差し掛かる…夜戦こそ帝国艦隊の独壇場だ)

 

グラ・バルカス帝国海軍は夜戦を得意としている。

かつて、ケイン神王国より劣る戦力しか持たなかった頃より帝国海軍は駆逐艦を主体とした水雷戦隊による夜襲によって多大なる戦果を上げ、結果としてケイン神王国の襲来を幾度となく退けてきたのだ。

それ故に帝国海軍は─勿論カイザルも─夜戦には絶対的な自信があった。

 

「艦長、敵艦隊との会敵までどれくらいかな?」

 

「はっ!予測される敵艦隊の位置、そして敵艦隊も我が方に接近している事を考えれば凡そ、2時間程度で会敵すると思われます。加えて予想が正しければもうじきレーダーの探知範囲内に敵艦隊が入る筈ですが…」

 

「艦長、レーダーに反応あり!敵艦隊と思われます!」

 

噂をすれば何とやらである。

カイザルと艦長のパラーシュが言葉を交わしていると、レーダースコープを凝視していたレーダー手が声を上げた。

 

「司令、どうやら読みは当たったようですな?」

 

「うむ、このまま何事も無ければ夜戦に…視界が失われた中での近接戦闘となる。そうなれば、このグレードアトラスター級を持ち、なおかつ優れたレーダーを持つ我が方が有利だ。空戦の失態は、艦隊決戦で挽回しよう」

 

「はっ!では司令、夜戦艦橋にお移り下さい。夜戦は何が起きるか分かりませんので…」

 

「うむ、ではそうしよう」

 

パラーシュの提案を受け入れ、カイザルは高く聳える艦橋の根元にある夜戦艦橋へと向かった。

 

 

──同日、バルチスタ海東方──

 

「レイダー提督、水上レーダーに反応あり。敵艦隊と思われます」

 

「会敵予想時間は?」

 

「約2時間と予想されます」

 

ムー艦隊の旗艦である空母『ラ・エンタープライズ』の艦橋では艦隊司令であるレイダーとレーダー手が言葉を交わしていた。

 

「提督、もう太陽が随分と沈んでいます。直掩機は着艦させ、我々は後方に下がるべきではないでしょうか?」

 

そんな中、艦長であるレプタル・ボーマンがレイダーへと具申する。

確かにこの時間帯なら敵航空隊による襲撃は無いだろうし、何よりも本格的な艦隊夜戦において空母の出番は無い。

それを考えれば、レプタルの具申は至極真っ当なものである。

 

「あぁ、私もそう思う。艦長、飛行隊司令へ全機着艦の指示を私の名前で出してくれ」

 

「かしこまりました」

 

それ故にレイダーは直掩機の全機着艦命令をレプタルを通して命令した。

 

「しかし…敵艦隊は未だにそれなりの数を維持し、更にはグレードアトラスター級と思われる巨大戦艦も健在だ。出来れば昼の間に空襲でケリをつけたかったが…」

 

腕を組み、若干の後悔を見せながら呟くレイダー。

制空権を奪取した世界連合艦隊であったが、その後の航空攻撃は行わなかった。

いや、正確に言えば"行えなかった"と言った方が正しいだろう。

というのも世界連合艦隊の主力の一角であるムーだが、実は半数の空母がカタパルトの不調によって魚雷や大型爆弾を搭載した艦載機を発艦出来ない状態であったし、もう一つの主力であるミリシアル艦隊はフォーク海峡海戦における空戦のトラウマから数の上での主力であるエルペシオやジグラントを繰り出せないでいたのだ。

そんな状態では纏まった数の艦載機による空襲は出来ず、散発的な攻撃しか出来ないと判断されて以後の空襲は中止されたのだ。

 

「やはり、武装満載ではカタパルトに負担が掛かり過ぎましたね…。アズールレーンからも我が国のコルセアは改造に次ぐ改造でカタパルトの想定重量ギリギリだと言われていましたし…」

 

「とは言っても複数回の出撃では敵対空砲火により損害を受ける可能性が高くなる。少ない出撃回数で敵対空砲火を制圧するには一機辺りの武装を増やして大火力で圧倒するべきだ。…まあ、そのせいでカタパルトが不調になったのは紛れもない事実であり、私の判断ミスだが」

 

ムーはアズールレーンとの合同演習により先進的な対空装備を持つ艦艇の手強さを嫌という味わっており、グラ・バルカス帝国も同等の防空能力を持つと推測して様々な戦術や兵器の運用方法を模索していた。

その内の一つこそレイダーが提唱した超重武装戦闘爆撃機による一撃必殺…つまり、コルセアに積めるだけの爆弾やロケット弾を搭載し、その大火力を以て敵艦を確実に無力化する事で敵艦隊の防空能力を削ごうというドクトリンだ。

事実そのドクトリンは現状それなりに有効的に働きはしたが、いかんせん艦載機を飛ばす為のカタパルトがその重量が増えすぎた機体の負荷に耐えきれず、こうやって結局は攻撃機会を減らす羽目になってしまったという訳だ。

 

「技術部が開発中の蒸気カタパルトが欲しいところですね…。ともあれ、我々は夜戦では役立たずですが何もしないという訳にはいきません。どう致しますか?」

 

「対潜艦隊の対潜攻撃機を飛ばせ。彼らは夜間飛行に馴れているし、対潜攻撃機にはレーダーが搭載されている。レーダー情報をラ・ヘレナの早期警戒管制隊へと送信して処理、戦闘がどう推移しているかを確りと把握するんだ。そうして味方を支援する」

 

「では、この艦からも早期警戒機を飛ばしましょう。彼らも夜間の計器飛行の訓練は受けていますし、艦の上空であれば万が一事故があっても直ぐに対応出来ます」

 

「そうだな…ではそうしよう。早期警戒機を一機ずつ、2時間交代で本艦上空に張り付かせるんだ」

 

異世界における世界最大規模の海戦。

それは同時に世界初の大規模海上夜戦となるのであった。

 

 




北連イベントの軽量復刻中ですが、そろそろソビエツキー・ソユーズは来ませんかね…?

今後、お色気シーンは…

  • 今より増やせ
  • このぐらいでいい
  • もう少し減らしていい
  • もっと減らして
  • 無くていい
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