所帯を持つと地域のいろんな行事に参加しないといけなくて大変ですね…
最近は余裕が出来てきたので、少しは更新出来ると思います
──中央歴1642年10月3日午前4時、ニグラート連合・レイフォル海上国境付近──
「あはははは!ご主人様の為に美味しい美味しいお肉!活きのいい血が滴るお肉!よりどりみどりね!あはははははは!」
「早く漕げ!急げ急げぇ!!」
巨大な触手から逃れ、ボートに乗り込んだ者達も決して危機から逃れた訳ではなかった。
というのもオールを必死に動かしている彼らを追う"狂女"の姿があったからだ。
長い紫色の髪を二つ結びにし、頭には薄汚れたヘッドドレス。
フリル付きのメイド服から見るに誰かの使用人のようではあるが少なくともあらゆる所に破れや血痕のあるメイド服を着ている時点でマトモではないし、美しかったであろう顔に大きな傷が入っている点も彼女の狂気を加速させる。
そして何よりも彼女は、素足で海面を走ってボートを追いかけながら大鉈を振り回しているのだ。
既に恐慌状態に陥っている水兵達は立ち向かうという選択肢なぞ最初から無いかのように、必死に逃げ回っている。
しかも、彼らを追いかけているのは件の狂女だけではない。
「返せぇぇぇぇぇっ!夫を返せぇぇぇぇ!」
「ぱぱぁ……ままぁ……どこにいったの………」
憎悪に顔を歪めた花嫁が斧で舳先を叩き割り、焼け爛れた子供が船縁を揺らしてくる。
それに対抗しようとオールを振り回す者も居たが、彼女達はまるで岩のように硬く、眉一つ動かす事も無い。
「お肉!お肉!ご主人様、お肉をお持ちしますよ!」
「うわっ!?や、やめろぉぉぉぉぉぉっ!!」
「ムルタ!?こいつっ!ムルタを離せ!!」
阿鼻叫喚の様相だったが、ついに一隻のボートが狂女に捉えられ、最後尾に乗っていた水兵の腰が掴まれた。
怖気付いてはいるものの、彼らは厳しい訓練によって鍛え上げられた兵士だ。
如何に狂っていようが女の細腕ぐらい振り解ける…と、その時まではそう思ってた。
「ふぬぅぅぅぅぅぅぅっ!!」
「なっ…ぴくりともしないぞ!?」
「ダメだ…ボートごと引き摺り込まれる!手を離さないと俺たちまで巻き添えだ!」
そう、水兵を引っ張る狂女の膂力はまるでブルドーザーのそれであり、大の男数人がかりで引っ張ってもびくともしない。
それどころか、荷重が船尾に集中した事もあってボートごと海中に引き摺り込まれそうだ。
「いやだぁぁぁぁぁぁぁぁ!助けてくれ!頼む!頼…っ!がぼっ!?うぼっ!ごぼぉっ!」
ボートに乗る50名以上の水兵と、一人の命…どちらを優先すべきかは誰の目にも明らかだ。
仕方ない、自分が逆の立場ならば運命を受け入れる…誰もが自分の行いを正当化するようにそう考えながら、沈み行く戦友から目を逸らした。
──ギギィィィィッ…バキッ!バキッ!
「なっ…なんだ…?」
だが彼らは戦友の死から目を背ける事も許されない。
船底が軋み、木材が割れて海水が入り込んでくる。
「漂流物に当たったか?不味いな…早く汲み出すんだ」
ボートに乗り込んだ水兵の中で最も階級が高かった航海士が指示を出すが、それは誰にも実行出来なかった。
──ズガァァァァァァァンッ!
「うぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」
船底の亀裂から勢いよく突き出る赤黒い触手。
それは艦隊を襲っている物よりも細いが、それでも人の腰回りぐらいはありそうだ。
「あ…あ…ぁ……」
最早、誰にもどうする事も出来ない。
ただただ次の瞬間には訪れるであろう自らの最期を思い、せめて楽に逝けるように祈るだけだ。
──ゴガァァァァァァァンッ!!
振り下ろされた触手はボートを木っ端微塵に粉砕し、大洋を赤く染めた。
──中央歴1642年10月3日午前5時、ニグラート連合・レイフォル海上国境付近──
「うっ…うぅ…?」
繰り広げられる惨劇から少し離れた海上を漂う一人の男、それは損傷艦隊の臨時司令を任されていたラジールその人であった。
「わ、私は…?そうだ…!私は!」
失神したまま救命胴衣の浮力に任せて漂流していたため記憶が所々飛んでいるが、それでも重要な事は思い出せた。
「帝国軍人としてなんたる失態…!すぐに戻らなくては!」
恐ろしいモノを目の当たりにして恐怖心に支配されたまま逃げ出したとあらば下の者に示しがつかないどころか、職務放棄を責められて銃殺刑だってあり得る。
だが今ならまだ間に合うかもしれない。
見回りの最中に足を滑らせて海に転落したと言えば信じない者は居ないだろう。
その釈明をする為にも先ずは艦隊に、或いは陸地に戻らなくてはならない。
そう考えたラジールは辺りを見回して艦隊か陸地を探すが…
「な…んだ…?」
彼の視界に映ったのは、あまりにも非現実的な光景であった。
大木程もある頭足類の触腕を思わせる触手が何本も海面から突き出しており、それらが駆逐艦に巻き付き、あるいは巡洋艦を叩き潰している。
「な…何だアレは!?まさか…現地人共が言っていた魔帝の海魔なのか!?」
ラジールはレイフォリアを散策していると、時折現地人と思われる老人達からこんな脅かしを受けていた。
──「お前達がそんな大きな船で、我が物顔で海を行くといつか魔帝が残した巨大海魔に喰われてしまうよ」
今まではボケ老人の与太話だと気にも止めていなかったが、この有様を説明するとなるとそれしか思い付かない。
「魔…帝…帝国の軍艦をいとも容易く沈める生物を作り出せるというのか!?ありえない!そんな事はっ!ありえない!!」
如何に喉から声を振り絞ろうが、どれだけ自らの頬を叩こうが目が覚める事は無い。
これは現実…紛れもない現実なのだ。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
半狂乱のラジールが絶叫を響かせた瞬間であった。
空を仄かに照らしていた太陽が水平線から顔を出し、辺りが一気に明るくなる。
「ぁ……?」
眩い朝日の中、より明るい光が空から降ってくるのが見えた。
それはまるで雪のように、ふわりふわりと緩やかに降ってくると、蠢く触手達を覆い尽くした。
──グォォォォォォォォ…
海を伝って響く断末魔のような轟音。
それは触手から放たれたものだったのだろう。
明るい光に包まれた触手はサラサラと砂のように崩れ落ち、最初から何も無かったかのように消え去ってしまった。
「……?羽…?」
天から舞い落ちる光はラジールの側にも落ち、その姿を彼にはっきりと見せた。
それは黄金色の光を放つ鳥類の羽…こんな物は見た事も聞いた事も無い。
いったい何処から降ってきたのか確認すべく空を見上げると…
「……め、女神…?」
"それ"は温かい光を放ちながら、ゆっくりと空から降りてきた。
長い白金のような髪に、褐色の肌と赤い瞳…均整の取れた抜群のスタイルを古代の人々のような一枚布で包み、手には真紅の槍を携えている。
そして何よりも目を引くのは背中に生えた2対4枚の金色の翼…その姿は神話に語られる女神そのものだ。
そんな神々しく、どこか浮世離れした彼女は槍を奮い厳かに、それでいてこの海域に居る者全ての耳に届く程の声量で告げた。
「輝ける黄金よ、哀れなる者に慈悲を」
その言葉と共に朝日を背にして現れる豪華絢爛な装飾を施された戦列艦…その方から放たれる光を受けて、悍ましい触手は全て消え去ってしまうのであった。
このくだり、始めたの去年のハロウィンってマジ?
時の流れは残酷だ…
今後、お色気シーンは…
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今より増やせ
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このぐらいでいい
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もう少し減らしていい
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もっと減らして
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無くていい