異世界の航路に祝福を   作:サモアオランウータン

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かなり前に書いた魔改造ラ・カサミの紹介回ですね
一々描写してたら間延びするので、ざっくりしてます


257.新生!ラ・カサミ

──中央歴1642年10月6日午前8時、サモア基地──

 

その日、サモア基地のとある岸壁にムー軍人達が集められていた。

彼らはサモアへと運ばれたラ・カサミの乗組員が大半であり、その中にはマイラスのような技官や、ラッサンのような戦術士官もちらほら見受けられる。

 

「……なんだこれは…?」

 

そんな中の一人、ラ・カサミの艦長であるミニラルが目の前に停泊している二隻の軍艦の内の一隻を見上げながら呟いた。

彼が見上げる軍艦の舷側には艦名が書かれたプレートが取り付けられているのだが、そのプレートにはどう見ても『ラ・カサミ』と書かれている。

しかし、その見た目は彼が知るラ・カサミとは似ても似付かぬ代物であった。

 

「話として聞いてはいたがこれは改修と言えるのか…?」

 

フォーク海峡海戦にて損傷しサモアで改修を受けていたラ・カサミであったが、その姿は正に原型が無いと言う言葉が相応しい有様であった。

全長240m、全幅27m、基準排水量3万2千トン…全長と排水量を見ればおよそ二倍にまでなっている。

更には大きく姿が変わったのはサイズだけではない。

主砲である30cm連装砲は口径長が増加しており、要塞のような艦橋構造物の周囲には細長い砲身を持つ対空砲や多数の銃身を束ねたような奇怪な機銃、艦首にはその奇怪な機銃を一回り大きくしたような機銃を搭載した全周砲塔が2基搭載されており、後甲板には箱状の構造物が舷側にいくつも並べられている上に、艦橋の前後には巨大なウインチのような構造物が1基ずつ設置されている。

 

 

「やあ、皆さん。お待たせしました」

 

頭に疑問符を浮かべる事しか出来ないミニラル達だったが、そこへ指揮官が一人の女性を引き連れてやってきた。

 

「これはこれは、フレッツァ閣下。と…あー…」

 

「ご機嫌麗しゅうございます、ミニラルさま。私はロイヤルネイビー所属の『プリマス』と申します。この喜ばしい日に立ち会う事が出来て、私としてもとても嬉しく思います」

 

そう言ってミニラル達に頭を下げながら挨拶するプリマス。

 

「KAN-SENの方でしたか。ご丁寧にありがとうございます」

 

「うぉ…」

「すっげぇ…」

「溢れそうじゃん…」

 

ミニラルはすっかり慣れているが、若者達にとってはプリマスの"詰め込んだ"ような胸元は刺激が強すぎたらしい。

鼻の下を伸ばした彼らにミニラルは睨みを効かせると、指揮官へと目を向けた。

 

「フレッツァ閣下。以前に改修内容を聞いていましたが艦容がこんなにも変わるとは…いったいどんな改修を施したのですか?」

 

「そうですね…口で説明するよりも目で見た方が分かりやすいでしょう。プリマス」

 

「はい、こちらに」

 

指揮官から呼びかけられたプリマスが何処からともかく船の模型と、古びた革靴の踵を切り落とした物を取り出した。

 

「まず、これがラ・カサミだと思って下さい。そこにこれを…こうです」

 

プリマスが持った船の模型に、指揮官が踵の無い革靴を合体させる。

すると船の艦首と艦尾は革靴の中に隠れ、新たに革靴の爪先が艦首と艦尾となり、靴底が艦底となった。

 

「……つまり、ラ・カサミにその革靴のような艦首と艦尾を取り付けて巨大化させたと…?」

 

「その通りです。それに加えて主機や兵装、各種電子機器も一新してあります。説明しましょうか。全員は無理なので…ミニラル艦長とマイラス殿は私が艦上を案内しつつ、残りの方はプリマスが説明します」

 

「おまかせください、指揮官さま。プリマスは確かに義務をはたします」

 

恭しく頭を下げたプリマスに軽く会釈した指揮官は、ミニラルとマイラスを引き連れてラ・カサミのタラップを登ってゆく。

 

「先ずは主砲です。元来は40口径長30.5cm連装砲が2基4門でしたが、『吾妻』の主砲を流用した50口径長31cm連装砲2基としました。砲身長が伸びて初速が向上したので威力、射程共に従来の主砲より高い戦闘力を発揮する事が出来ますし、半自動装填装置を採用しているので毎分3発の発射速度を持っています」

 

「毎分3発!?それは凄い…今までは毎分1発だったのに」

 

「指揮官殿、威力と射程はどれほどでしょうか?」

 

驚愕するミニラルと、問いかけるマイラス。

それに対し指揮官はタブレット端末を確認しながら答えた。

 

「SHSを使用すれば最大射程は最大仰角で35km超、威力は有効射程距離である距離20km付近で260mmの舷側装甲を貫通出来、最大射程付近の32kmとなれば砲弾はほぼ垂直に落ちてくるので180mmの甲板装甲を貫通しますよ。因みにコレは40cm級主砲を搭載した戦艦相手であっても決して不利にはならない威力と射程です」

 

「つまり…アズールレーンのビッグセブンと渡り合えると?」

 

「流石にバイタルパートは抜けませんが、戦術次第では十分に通用します。例を挙げれば長門型と戦うとするなら、距離30kmを維持して遠距離砲撃を続ければ甲板装甲を貫いて撃沈させる事も不可能ではありません」

 

「なんと…しかし、30kmも先の目標を狙えるのでしょうか?」

 

なんとも不安そうなミニラルだがそれも無理はない。

何せラ・カサミの主砲は最大射程でも13km程度であり、一気に2倍の距離を狙えと言うのは中々に酷な話だ。

しかし、指揮官はそんな懸念も織り込み済みである。

 

「ミニラル艦長、ご安心下さい。このラ・カサミにはMk.13レーダーと連動した射撃管制システムを搭載しています。このレーダーは37km先の戦艦を探知し、着弾時の水柱すら探知出来るので、観測機が無くとも高い精度の砲撃が出来るのです。…まあ、観測機があるのが理想ですから必要に応じて基地や空母から飛ばせば良いでしょう」

 

「確かに指揮官殿の言う通りですね。我々は国土領海防衛が基本なのですから、陸上基地からの支援を潤沢に受ける事が出来ます」

 

「確かにマイラス君の言う通りだな。これならグラ・バルカス帝国の戦艦とも戦える」

 

すっかり自信を取り戻したようなミニラルだが、指揮官が続ける説明は彼の自信を絶対的な物とした。

 

「しかし、敵は戦艦だけではありません。随伴の駆逐艦や巡洋艦、空母艦載機による空襲にも気を配らねばなりません」

 

「た、確かに…」

 

「そこで、コレですよ」

 

そう言って指揮官が指差したのは、艦橋の周囲にある多数の銃身を持った機銃と、艦橋前後のウインチのような構造物であった。

 

「まずあの機銃は、『VADS』と言う物です。ガトリング砲と呼ばれる形式で、発射時はあの束ねられた銃身が外部動力によって回転して毎分1000から3000発ものレートで20mm弾を発射します。更には本体に射撃管制レーダーを搭載しているので、偏差射撃の補助をしてくれるんです。因みに艦首側に装備されているのは『AK-630』というVADSをより高性能にした物です」

 

「なるほど…銃身を次々と入れ替える事で加熱と摩耗を防ぐのか…しかも外部動力ならば不発や弾詰まりを強制的に排除出来るから発射不能になる可能性は低い!」

 

新たな技術を目の当たりにして目を輝かせるマイラス。

片舷4門ずつ装備されたVADSと、艦首側に2門装備されたAK-630は正に空を埋め尽くすような弾幕を展開出来るであろう。

 

「ですがこれらも、副砲として装備した長10cm砲もバックアップでしかありません。このラ・カサミの対空兵装の目玉は…アレです」

 

「アレ…は何ですか?」

 

指揮官が指差したウインチのような構造物に目を向けたミニラルは頭上に疑問符を浮かべる。

対空兵装と言ったからにはレーダーのような補助的な物ではないのだろう。

 

「アレは『Mk.11 GMLS』…『RIM-24 ターター』と呼ばれる対空誘導弾の発射機ですよ」

 

「た、対空誘導弾!それはあの噂のミサイルという奴ですか!?」

 

指揮官の言葉にこれまでにない程に食いつくマイラス。

しかし、彼の技術オタクぶりに慣れている指揮官は鼻息荒く迫ってくるマイラスを軽く受け流しながら説明を続ける。

 

「この誘導弾、ターターは最新型のC型で最大射程は32km、最大高度は20kmとなります。これを使えば20km以内の敵機はほぼ殲滅…どうにか潜り抜けても濃密な対空砲火によってマトモに攻撃する事は出来ないでしょう」

 

「最新型を与えて頂けるとは…アズールレーンには足を向けて寝られませんな」

 

「まだ喜ぶのは早いですよ。これはあくまでも敵艦載機に対抗する為の物です。敵主力艦を護衛する随伴艦を撃破するために…コレを搭載しました」

 

舷側の通路を渡り、艦尾側に辿り着いた指揮官は後を着いてきた二人に艦尾舷側に並んだ箱型の物体を示した。

 

「これは対艦誘導弾…とは言ってもこれはあくまでも発射機兼格納庫ですが、中には『P-15』という対艦誘導弾が入ってます。この発射機はミサイル艇という対艦誘導弾を主兵装とする小型艦の物を流用した物で、20発搭載されています」

 

「20発…その誘導弾の性能は如何ほどで?」

 

砲弾と比べればあまりにも少ない弾数に若干の不安を覚えたミニラルが問いかけるが、指揮官は自信満々に答えた。

 

「射程は46km、飛翔速度はマッハ0.9…小型のレーダーを搭載しているので、自身が発したレーダーの反射波に向かって飛翔し、目標へ450kgの炸薬を叩きつけます。正直戦艦や重巡洋艦への効果は限定的ですが、軽巡洋艦や駆逐艦相手なら十分な威力ですよ」

 

「素晴らしい!このミサイルがあればムーは勝てる!ありがとうございます!ムー国民を代表してお礼いたします!」

 

一旦落ち着いて指揮官の説明を聞いていたマイラスだったが、とうとう限界が来たらしい。

指揮官の手をむんずと掴むと無理矢理握手をして、上下にブンブンと振り始めた。

 

「まあまあ、落ち着いて下さい。まだまだ見る所がありますよ。とりあえず艦内に行きましょう。頼れる助っ人を用意してあるので」




もうこれラ・カサミじゃねぇな?

今後、お色気シーンは…

  • 今より増やせ
  • このぐらいでいい
  • もう少し減らしていい
  • もっと減らして
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