魔改造されたラ・カサミとラ・ツマサの大暴れをお楽しみ下さい!
──中央歴1642年10月9日午前9時、オタハイト北東沖──
オタハイトより北東凡そ200kmの海域、そこにはグラ・バルカス帝国海軍第52地方艦隊、通称イシュタムの8隻がオタハイトに向かって航行していた。
本来のイシュタムは21隻もの戦闘艦を擁しているのだが、今回はその艦隊を分けて運用していた。
同時襲撃の方が世論へのインパクトがあり、そもそもイシュタムはムーを舐めているため艦隊を分けても余裕だと考えている節があるのだが、理由は他にもある。
それこそがオタハイトとマイカルの地理だ。
オタハイトは古くからムーの首都であり、古代の戦乱において攻め込まれにくいように山に囲まれた盆地に築かれたコンパクトな都市だ。
一方、マイカルはムーがその地位を確固たるものにした時期に築かれた比較的新しい都市であり、海岸線と内陸に伸びる街道沿いに街並みが広がっており、上から見ればT字型にも見える。
それはグ帝も事前調査で把握してた為、オタハイト襲撃艦隊は数は少なくとも火力に優れる戦艦を中心とし、細やかな火力支援を行える軽空母と巡洋艦を配置したのである。
──ブゥゥゥゥゥゥゥゥゥンッ!
そんなイシュタム分艦隊の軽空母『ウラニア』から艦載機が飛び立つ。
グラ・バルカス帝国の軽空母はかなり曖昧なカテゴリーであり、旧式艦を改装した物も商船を改造した物も皆"軽空母"とカテゴライズされ、特定の艦級も与えられていないのだ。
そんな中、ウラニアは高速客船を改造した物であり、28ノットの速度と40機もの搭載機数を誇る正規空母にも匹敵する代物なのだが、その代償として装甲は非常に薄く、対空兵装は25mm機銃しかない等問題もある。
しかしイシュタムの任務の性質上、防御を考える必要性は無い為、それで良いのだろう。
「艦長、ウラニア艦載機、全機発艦しました」
「よし。これで手始めにオタハイトの内陸側を火の海にしてゴミ共が逃げられないようにすれば、あとは楽しいパーティーだ」
そんなウラニアの傍で航行するオリオン級戦艦『メイサ』の艦橋内では同艦の艦長にして分艦隊の臨時司令に任命された『オスニエル・ガーグ』が煙草をふかしながら楽しげに述べた。
「しかし…本当に良かったのですか?」
「何がだ?」
「シリウスやリゲルは当然として、アンタレスにまで燃焼弾を積み込むだなんて…ムーの迎撃機が来たら無駄に…」
──ゴッ!
オスニエルに問いかけ、意見する副長。
しかし、副長へオスニエルは回答ではなく頬に拳を叩き付けた。
「テメェ…俺様に意見するってのか?」
「い、いえっ!ただ私の頭では艦長のお考えが理解出来なかったもので…!」
苛立ちを隠さないオスニエルへ、副長が口角から滲む血をそのままに必死に弁明する。
いわゆるパワハラ気質であり、弱者を見下しいたぶる事を非常に好む彼の怒りのスイッチは相変わらず分からない。
「ほーぅ…まあ確かにお前はバカだから俺様の考えが分からないのはよーく分かる」
明らかに見下したような態度だが、副長の疑問は当然なものだ。
何せオスニエルはウラニアの艦載機全機に『燃焼弾』を搭載するように命令したのである。
この燃焼弾とは通常の増槽に、増粘剤を混ぜたガソリンを充填した上で信管を取り付けたいわゆるナパーム弾だ。
ガワは増槽である為、攻撃機や爆撃機だけではなく戦闘機にも搭載出来るのだが、もしムーの迎撃機が現れれば戦闘機は燃焼弾を捨てて戦わなければならない。
そうなれば位置にもよるが燃焼弾は無駄となってしまうのではないか?と副長は考えたのだ。
「いいか?ムーの戦闘機はカビが生えた非力な複葉機であり、爆装した攻撃機にすら追いつけん」
「は、はぁ…」
何かしら深い理由があると思えばこれだ。
確かに理屈は分かるが、それはいくらなんでも侮り過ぎではないだろうか。
しかし、副長はそれを否定するだけの材料は持っていないし、持っていたとしても口にすれば殴られるだろう。
「分かればよろしい。俺様はこのオタハイト襲撃で結果を出し、中央に戻らねばならんのだから無駄口を叩くな」
あまりの素行不良を理由にイシュタムへの転属を命じられたオスニエルだが、本人はまだ古巣に戻るつもり満々らしい。
残念ながら彼の野望は叶う事はない。
まずそもそも彼を左遷させたのはミレケネスであり、彼女に対するセクハラが直接の原因である。
そして理由はもう一つある。
それこそが…
「……んっ!?」
「なんだ」
息を潜めて事態を見守っていたレーダー手が画面に表示された光点に気付き、素っ頓狂な声を上げる。
それにオスニエルが不機嫌そうに問いかけた。
「い、いえ…我が方の物ではない航空機の反応が。数は…8、我が方の編隊に突っ込んできます」
「ムーの迎撃か。たった8機とは…つまらんな。これでは接敵した途端にすり潰されるだけだろうに」
それだけ言うとオスニエルは興味を失ったように短くなった煙草を床に落とすと、靴底で踏み躙りながら新しい煙草に火を点けた。
「待って下さい!何か…おかしい!」
「なんだ!?はっきり言わんか!」
冷や汗で顔を濡らしたレーダー手にオスニエルが食ってかかるが、レーダー手は怯む事無く画面を指差しながら答えた。
「速いんです!ムー側はどう計算しても800km/hは出ています!我が方の速度は300km/h程度と計算できますのでレーダーの不調ではありません!」
「見せろ!」
レーダー手を突き飛ばすように退かしたオスニエルは、自身の目で画面を確かめる。
確かに速い。
画面表示が更新される度にムー側の反応は画面上を飛び跳ねるように移動しており、それがグ帝側の反応と重なった。
「なっ…!?」
そこから先はオスニエルも言葉を失った。
40機分の光点が次々と消えて行き、多少形は悪くとも組まれていた編隊があっという間にバラバラになった為だ。
「い、いったい…何が起きている!?」
画面から視線を引き剥がし、編隊が消えていった方向を睨みつけるオスニエル。
しかし、そこには全てを飲み込む青空が広がっているだけだった。
──同日、オタハイト北東沖上空──
オスニエル達は驚愕していた。
だが、現場はそんな生半可な言葉で済ませられるものではなく、正に"地獄"と言うに相応しい有様だった。
《ケツに付かれた!逃げられ…があっ!》
《なんだあの戦闘機は!?速すぎる!》
《なんて威力の機銃だ…高角砲でも積んでいるのか!?》
オタハイトを空爆すべく燃焼弾を抱えて意気揚々と突き進んでいたグ帝艦載機の編隊だったが、最早彼らにオタハイトを攻撃する手段は無かった。
と言うのも彼らに襲い掛かった鏃が如き姿の高速戦闘機…ラ・ツマサの艦載機である『ハリアー GR.1』の襲撃を受け、その圧倒的な速度と運動性、胴体に吊り下げた30mm機関砲の暴力から逃れる為に少しでも身軽になるべく抱えていた燃焼弾を海に捨ててしまったからだ。
《クソッ!あんな化け物がムーに居るなんて聞いてないぞ!あぁぁぁぁっ!クソッ!クソッ!ク…》
名も知らぬパイロットの悪態はそれで終わりだ。
アンタレスを操っていた彼は左右に機体を不規則に動かして照準を合わせられないようにしていたが、FCSによる照準補正の前ではそんな小手先の技は通用しない。
5〜6発のバースト射撃が直撃し、彼は機体諸共文字通り"木っ端微塵"となって空に散った。
《逃げろ!勝てな…うわっ!》
生き残った者は旋回による速度低下を嫌い、そのまま突っ切ろうとしたが、逃げられなかった。
確かにハリアーからは逃げ切れたが、それは"逃しても問題ない"と判断されたからだ。
──シュゥゥゥゥゥゥゥ…ドンッ!
遥か先、海に浮かぶ小さな影から放たれた一筋の煙が彼らを追いかけ、至近距離で炸裂した。
ラ・カサミが放ったターターミサイルだ。
ミサイルという兵器を知らない彼らは正確に追尾してくるターターミサイル、あるいはシースパローミサイルへどう対処すれば良いか分からず次々と撃墜され、未知の兵器に怯えて反転した者はハリアーによって撃墜された。
「な、なんなんだ…?」
そんな中、一人のアンタレスのパイロットが震える声を絞り出す。
彼は運良く被弾していなかったが、それでも味方の数が減るに従って被弾確率は上がり…ついに彼の番が来た。
──ヒュイィィィィィィィィィィ!
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
不気味な高音と共に迫り来るハリアー。
彼はスロットを全開にしながら降下して少しでも速度を出そうとするが、相手はジェット戦闘機だ。
ハリアーは亜音速機とはいえ、降下しながらであれば一時的に音速に達する。
──ドドドドドッ!
「がっ……」
重く響く銃声と、全身をハンマーで殴打されたような衝撃…それを最後に彼の意識は途切れ、航空隊は全滅した。
ハリアーって今じゃ攻撃機扱いですけど、元々は戦闘機なんですよねぇ
今後、お色気シーンは…
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今より増やせ
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このぐらいでいい
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もう少し減らしていい
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もっと減らして
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無くていい