異世界の航路に祝福を   作:サモアオランウータン

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ちょっとドンパチが続いたので中休み的な話です


267.マイカル防衛戦【1.5】

──中央歴1642年10月9日午前9時、マイカル港──

 

マイカル港は同都市がムー最大の経済都市であるが故に第二文明圏最大の規模を誇る。

そんな港の一角、軍用区画にはムー海軍の軍旗と共にロデニウス連邦海軍旗と、アズールレーン軍旗がはためいていた。

ムーがロデニウス連邦と同盟し、アズールレーン加盟を公表した瞬間から共用港となったのである。

それを象徴するようき埠頭の一番目立つ場所には一際大きな空母である『エンタープライズII』が停泊していた。

 

「……さて、これでムーは正式に私達の同盟者となった訳だ。これからはより密接な共同作戦や兵器開発が…」

 

「フレッツァ閣下〜♡」

「こっち向いて下さ〜い♡」

「あのっ!これ受け取って下さい!」

 

「……」

 

「そんな目で見るんじゃない」

 

エンタープライズIIの甲板上で露天駐機された艦載機達を眺めながら待機していたエンタープライズと指揮官だったが、埠頭から黄色い歓声が絶えず聞こえてくる。

彼女達はムーの軍属女性…軍病院の看護師や食堂の調理員達だ。

ムーには彼女達のような民間から雇われた軍属の女性が多いが、それは彼女達が愛国心が強いという訳ではない。

もちろん人並みかそれ以上の愛国心はあるだろうが、一番の理由はずばり"婚活"である。

ムーのような大国ともなれば将校は世間的ステータスはもちろん収入も多く、そんな彼らと結婚出来ればそれなりにいい暮らしが出来るだろう。

それを狙って地方の若い女性はこぞって軍属になろうとするのだが、そこにやってきたのが指揮官だ。

彼は確かに初見では雰囲気に気圧されてしまうが結構顔立ちは整っており、その上最も新しい列強国の高級将校かつ世界最大の軍事組織の最高司令官かつ、幾つものビジネスを展開して成功を収めているビジネスマンでもあるのだ。

しかも彼が属する国は一夫多妻制が維持されている…そうなれば彼女達が黙ってはいない。

第一婦人は無理でも第二第三…二桁台の婦人でもいいから娶ってくれと、指揮官が到着してから熱心にラブコールを送っているのである。

しかし、彼女達には残念ながら指揮官にそのつもりはない。

もしどこの馬の骨とも知れぬ女を娶ったとなればムーとの国際問題や情報漏洩の危険もさる事ながら、一部KAN-SEN達によって物理的に首が飛ぶかもしれないのだ。

 

「まったく…毎日毎日彼女達は飽きないな。かと言って強制排除する訳にも…ん?」

 

敢えて埠頭の方を見ないようにしていたエンタープライズだったが、流石に何もしない訳には行かないだろうと考え、軍属女性達に軽く注意して帰ってもらうべく振り向いた瞬間、彼女は先程よりげんなりした表情を浮かべて元に戻った。

 

「おい、ファンサしてやれよ」

 

「指揮官…あなた気付いていたな?」

 

「むしろ気付かなかったのか?」

 

エンタープライズが見たものをチラッと横目で確認する指揮官。

 

「おぉ…やっぱりすげー美女…」

「お、俺、サインもらってこようかな?」

「バカっ!そんな事したら始末書じゃ済まねぇぞ」

 

軍属女性達の黄色い歓声と存在感に紛れていたが、埠頭にはムーの男性軍人も多く集まっていた。

理由はもちろん、人並外れた美貌とスタイルを持つKAN-SENを一眼見たい…あわよくば親しくなりたいと言う下心である。

 

「モテモテだな」

 

「バカを言わないでくれ。わ、私にはその…」

 

指揮官の方を一瞥し、帽子を目深に被るエンタープライズ。

それを見て指揮官はニヤニヤとしているが…

 

「指揮官様、あまりエンタープライズを困らせないであげて。この子、真面目で初心だからこういう事には慣れていないの」

 

そう言って艦載機の影から出てきたのは、II型艤装に換装した『ヨークタウンII』である。

 

「うおっ…すっげぇ…」

「なんだあれ…まるで砲弾だ」

「死ぬ時はあんなんに顔を埋めてぇ」

 

ヨークタウンの姿を見た男達が彼女の"一部"を見て感嘆の声を上げるが、彼女はそれを気にした様子は無く微笑みを浮かべたまま野郎どもに手を振った。

 

「うぉぉぉぉ!」

「俺を見た!ヨークタウンさんが俺を見たぞ!」

「馬鹿野郎!俺を見たんだよ!」

 

「まったく、男って本当に単純…」

「大きければいいってものじゃないわよ」

「……いや、何を食べたらあんなに育つの?」

 

埠頭では男と女のすれ違いが発生しているが、それには深く関わらない方がいいだろう。

苦笑し、指揮官が立ち去ろうとした瞬間…

 

──むぎゅっ♡

 

「なっ…ね、姉さん!?」

 

「っ!?っ〜っ!!」

 

なんと何を思ったのか、ヨークタウンは指揮官を抱き寄せると彼の顔を自身の豊かな山脈に埋めさせ、埠頭に集まったギャラリーへ朗らかな声で呼びかけた。

 

「皆さ〜ん!今日をもって私達は世界平和の為に戦う友達になりました〜!私達も全力で戦いますので、皆さんも自分に出来る事を精一杯やり遂げましょうね〜!」

 

「きゃぁぁぁぁぁ!?」

「ま、負けた…美人でスタイル良くて積極的とか勝てない…」

「俺、今からロデニウス連邦に国籍移す!そうしてアズールレーンの指揮官になるんだ!」

「馬鹿な事言ってんじゃねぇよ!?」

 

男も女も阿鼻叫喚の渦に叩き込まれるが、叩き込んだ張本人は何も気にした様子はなく指揮官を引き摺るようにしてエンタープライズIIの艦橋へ入って行った。

 

「姉さん!何のつもり…」

 

「ダメよ、エンタープライズ。あなたは英雄としての矜持があるかもしれないけど、心は"人"なのよ?譲れないモノがあるのなら、ワガママを言ってもいい…私だって、指揮官様だってあなたの為なら労力は惜しまないわ♪」

 

「いや…私が言いたいのはもっとやり方があったんじゃないかという事なんだけど…指揮官が何だかぐったりしているような…」

 

姉妹艦として、何より人として奥手なエンタープライズにアドバイスするヨークタウンだが、すっかり抱き締めた指揮官の事を忘れていた。

 

「え…?……きゃぁぁ!?し、指揮官様っ!」

 

デカいゼリーに顔面を沈めてみろ、死ぬだろ?

後に指揮官はそう語ったそうだ。

 




次回は本筋に戻ります

今後、お色気シーンは…

  • 今より増やせ
  • このぐらいでいい
  • もう少し減らしていい
  • もっと減らして
  • 無くていい
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