もうちょっと上手く纏められたらいいんですが…
──中央歴1642年10月9日午前11時、マイカル東方沖──
ムー空軍の早期警戒機よりグ帝艦隊接近の報告を受けたアズールレーンは、指揮官が指名したKAN-SENによる迎撃艦隊を編成してマイカル港を出港した。
その陣容は
・旗艦:空母エンタープライズII
・空母ヨークタウンII
・戦艦ニュージャージー
・大型巡洋艦グアム
・軽巡洋艦サンディエゴ改
・駆逐艦ラフィーII
というものだ。
グ帝艦隊は詳しい艦種こそ不明なものの、16隻という規模を持っているため、数の上ではかなり不利である。
しかし、指揮官は数の不利を承知で敢えてこの数で挑んでいるのだ。
「指揮官、本当にいいのか?」
「何がだ?」
飛行甲板を見下ろす艦橋内で、呆れたようにエンタープライズが問いかけるが、指揮官は逆に問いかけた。
「今回、ムーに連れてきたのは私達だけではないだろう。確かに私達は誰にも負けないという自信はあるが、それでも半分以下の数というのは…」
「それだよ」
エンタープライズの言葉に指揮官は彼女にビシッと人差し指を突き付ける。
「敵を半分の戦力で叩き潰した…となれば各国は俺達の力を疑う事は無いだろうし、そうなればグ帝側に傾きかけている中小国をこちら側に引き戻す事が出来るかもしれない」
「つまり宣伝…プロパガンダの為か。しかし、それは慢心し過ぎじゃないか?」
「俺だって何の考え無しでやってる訳じゃない。お前とヨークタウンの艦載機…これだけで片付くよ。ニュージャージー達はバックアップみたいなもんだ」
そう言うと指揮官は窓に近づき、飛行甲板を見下ろした。
エンタープライズIIの飛行甲板は長さ331.6m、幅76.8mという広大な面積を有しているが、その飛行甲板は4種類の艦載機が所狭しと並べられている。
──バシュゥゥゥゥゥゥ!
そのうちの1機が蒸気カタパルトによって打ち出され、空へ飛び上がった。
緩い後退角を持つ幅広の翼に、大きなキャノピーと尾翼に向かうにつれて細くなる魚のような姿をしたジェット艦上攻撃機『A-6』の電子戦型『EA-6B』である。
アズールレーンとロデニウス連邦ではムーと共同開発したA-4を昼間軽攻撃機として、そしてA-6を全天候攻撃機として運用する二本立て体制だが、A-6を改造して敵のレーダーや通信を妨害する為にEA-6Bを開発したのだ。
「フォーク海峡の一件でグ帝が使ってる電波の周波数は割れている。妨害してやれば連中は効果的な攻撃が出来ないし…」
──バシュゥゥゥゥゥゥ!
続いて別の機種が発艦する。
それは以前にもエンタープライズで運用していたF-8のように見えるが、甲板上で待機している同機と比べると全長は短く、翼幅は長くなり、鋭かった機首は丸められている。
そして何よりも目を引くのは主翼下に懸架された爆弾…250kg爆弾を6発搭載出来る多連装ラックを左右2基ずつ、つまり250kg爆弾24発を搭載している点だ。
戦闘機であり、主翼のチルト機構を持つF-8では不可能な芸当から分かる通り、本機はF-8のデザインを流用した艦上攻撃機『A-7』だ。
先程、アズールレーンとロデニウス連邦の艦上攻撃機はA-4とA-6の二本立て体制と言ったが、それは訂正せねばならない。
と言うのもA-4はムーとの共同開発ではあるが、実際の所ムーは殆ど技術を出していない。
A-4開発の技術的リソースの99.9%はアズールレーンとロデニウス連邦が出したものであり、そんな状況でも両陣営は開発資金はムーと折半という形を取ろうとしていた。
しかし、それにムーは待ったをかけた。
技術を全く出していないのに資金は半分というのはプライドが許さないとばかりに、開発資金の全てをムーが負担したのだ。
その上、ムーは一刻も早いA-4の配備を望んでおり、ムーの工場はもちろん、ロデニウスの工場もムー向けの機体を製造する事となったため、アズールレーンとロデニウス連邦のA-4配備は遅々として進んでいなかった。
そこで余った開発資金を使い、既存機のデザインを流用した攻撃機開発計画が立ち上がり、結果としてA-7が開発されたのである。
頓挫したF-111Bに代わる爆撃能力を持ち、ターボファンエンジンによる低燃費、それでいて戦闘機並みの運動性と、高い発射レートを持つ20mmバルカン砲を装備といった風に本機は急遽開発されたとは思えぬ性能を持ち、アズールレーンとロデニウス連邦はA-4に変わって本機の大量調達を決定したのだ。
余談だが、F-8にもA-7に使われた技術はフィードバックされており、アフターバーナー付きターボファンエンジンへの変更や、高G機動中に弾詰まりが頻発した20mm機銃に代わって20mmバルカンを搭載する事となった。
「何より超音速機の前じゃ連中のアンタレスとか言うゼロモドキなんて標的機みたいなもんだろ?それに…"アレ"もあるしな」
「だな。ふぅ…久々の大きな戦いだからナーバスになっていたみたいだ」
「構わんさ。お前達は"人"なんだからそういう時もある」
先述の改良型F-8が発艦し、艦載機達が東方へと飛んでゆく。
戦闘機24機、攻撃機28機、電子戦機4機、合計56機の大編隊であり、おそらくこの世界で敵う者は居ないであろう。
そんな壮観な光景を見上げる事なく、指揮官へエンタープライズが歩み寄る。
「あなたは本当に優しいな…姉さんの気持ちもよく分かるよ…」
「…今はよせ」
「少しだけだ。少しだけ…あなたの温もりを…」
エンタープライズが指揮官に寄り添い、胸板に頬を擦り付ける。
それに指揮官は口では諌めるが、特に押し退けたりはしない。
暫くそうして、甲板に準備を済ませた直掩機が現れた頃、エンタープライズは瞳を閉じて指揮官の唇に自らの唇を…
《ハニー♪ちょっといいかしら?》
「っ!?」
唐突に鳴り響いた通信機に驚き、顔を真っ赤にして指揮官から離れるエンタープライズ。
指揮官はそんな彼女に苦笑しつつも、通信機のマイクを取って応答した。
「どうした、ニュージャージー」
通信の相手はユニオン最強の戦艦と名高い『ニュージャージー』であった。
対艦攻撃はもちろん、無数の高角砲や機関砲、改修により手に入れたミサイルを装備した彼女は艦隊防空の要として、エンタープライズⅡとヨークタウンⅡの前を航行している。
《あれあれ〜?もしかして〜…お取り込み中だった〜?》
「いいから要件を言え」
通信機越しに彼女のニヤニヤとした顔が見えそうだが、彼女がわざわざ通信してきたとなればそれなりの事があったのだろう。
指揮官が要件を言うように促す。
《ムーの空軍からの要請で、一番槍は自分達に任せてほしいって。アズールレーンに加盟したからには最高司令官のハニーにも話を通しておきたい、って感じね。……あら、もう私達の上に来るみたい》
ニュージャージーの言葉通り見上げてみればムー版A-4、アクアホークだ。
2小隊8機の少数だが、その実力は正に少数精鋭と言っても差し支えないだろう。
《祖国を護る為に危険な役目を買って出る戦士達…ハニー、こういうの好きでしょ♪》
「あぁ、大好きだ。最高のシチュエーションじゃないか」
この状況は予想外な訳ではない。
ムーのアクアホーク部隊の訓練状況から同部隊は十分に実戦に耐えうると判断しており、彼らが動かなければこちらから残敵掃討を要請していただろう。
《じゃあハニーが許可したと伝えておくわね。それと…今回の作戦はどれぐらいかかるかしら?》
「ん?あー…少なくとも夜戦まで縺れ込む事はないだろうな。何事もなければ夕方には終わるよ」
《オッケー♪なら今夜、私とデートしない?いいレストランをムーの人に聞いたの♪》
「あぁ、それは…」
指揮官の視界の端にはモジモジしながら、チラチラと彼の方に視線を向けるエンタープライズ姿があった。
「…悪いが明日にしてくれ。先約がある」
《あら残念…でも明日デートしてくれるなら文句無いわね♪それじゃあ、気兼ねなくデート出来るように張り切って戦うわよ♪》
そう言って通信を切るニュージャージー。
その途端、指揮官の背中にエンタープライズが抱き着いてきた。
「……」
顔は見えないが、きっと彼女の顔は真っ赤になっている事だろう。
だが、それには敢えて気付かないふりをして指揮官は力強く告げた。
「勝つぞ。必ずな」
作中の艦隊、エンタープライズⅡは居ませんが、普通のエンタープライズを入れて編成したら普通に強いです
今後、お色気シーンは…
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今より増やせ
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このぐらいでいい
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もう少し減らしていい
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もっと減らして
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無くていい