いやー、7周年を目前にしてようやくですね…
それにしても哺乳瓶が当たり前のように置いてあるのは攻めてますね
──中央歴1642年10月9日正午、マイカル東方沖上空、高度9000m──
一矢乱れぬ4機ずつのダイヤモンド編隊を組んで飛行する8機のアクアホーク。
ムー空軍の『第32戦術戦闘攻撃隊』に所属する彼らは、東方から迫りくるイシュタム艦隊に向けて真っ直ぐ飛んでいた。
「各機、コンディションに問題は無いか。少しでも問題、違和感があれば申し出るように」
先頭を飛ぶ機体を操るのは、同隊の隊長を任命されたムーの王族であるスードリ・ムーだ。
《でん…おっと、隊長。さっきからそればかりじゃないですか。5分前にも聞かれましたよ?》
「…そうだったな」
誂うような部下の言葉にスードリは自嘲するような笑みを浮かべる。
スードリは今まで試験飛行隊に所属しており実戦を知らぬ身であったが、今回の件を受けてアクアホークを最も上手く扱えるのは自分だと上層部に直訴して実戦部隊に転属したのだ。
もちろんそれには王族としての矜持と純粋な愛国心があったのだが、いざ実戦となれば浮足立ってしまう。
《隊長、普通はこんな頻度では通信しないもんですよ?敵に傍受されたら位置や作戦がバレますからね》
「すまない。軽率だった」
《まっ、この無線はデジタル通信とやらなんで、傍受されても内容は分からないし、そもそも今はエンタープライズ殿の艦載機が電波妨害しているから通信の傍受どころかこちらの位置を把握する事すら出来ませんよ》
部下の言う通り、本来なら接敵までは無線封鎖しなければ無線を傍受されて発信源を特定されたり、会話内容から作戦を読まれたりする為、スードリのように頻繁に通信する事は厳禁だ。
しかし、現状はエンタープライズのEA-6Bが電波妨害を行ってくれているおかげで傍受と探知の可能性は低く、無線機もデジタル式となっているため問題は無いだろう。
「しかし、敵が周波数を変えたりすれば電波妨害の効果は限定的になる。油断は出来な…っ!前方に未確認機!」
チラッとコンソールに目を落とした瞬間、スードリはマイクに鋭く呼びかけた。
アクアホークには簡易的ながらもレーダーが装備されており、そのレーダーが捉えた未確認機の反応がコンソールの中央に取り付けられた円形の画面に映し出されている。
「距離は5km、高度は6000、数は20程度か…」
《迎撃しましょうか?》
アクアホークは8機あるが、その半分は胴体下増槽の他に翼下に12.7mm連装ガンポッドを2基懸架した制空装備だ。
最高速度1100km/hを誇る同機ならば例え5倍の戦力差であっても容易く勝てる筈だ。
「……いや、我々の任務は敵空母とその僚艦への攻撃だ。制空装備機は敵空母の直掩機への対処に集中してもらいたい」
《いいのですか?連中が向かう先にはアズールレーン艦隊が…》
「構わん。アズールレーン艦隊は超音速機やら対空ミサイルがゴマンと配備されているんだ。我々より早く確実に敵機を叩き落とすだろうさ」
《それもそうですね。こちらが心配する必要は無さそうです》
そんな話をしていると、前方の見下ろす位置に20程の小さな黒点が見えてきた。
おそらくは敵機だろう。
敵機と思われる機影は一斉に高度を上げてこちらに向かって来ようとするが、遅い。
アクアホークが飛ぶ高度まで辿り着く前に、同機は敵機を追い抜いて何事も無かったかのように飛び続けた。
「流石はジェット機だ。爆弾と増槽を抱えているというのに軽々追い抜いたぞ」
スードリ機を始めとする4機は新型の対艦爆弾1発を胴体下に、そして両翼下に増槽を懸架しているため運動性は落ちているが、巡航速度でも750km/hの俊足を誇る。
グ帝のアンタレスは最高速度550km/hに過ぎず、そのうえ速度を失いやすい急上昇をしてしまえば追い付く事なぞ出来ない。
《隊長、早期警戒機が捉えた敵艦隊の予想会敵地点まで間もなくです。……あれですね》
「あぁ、私にも見える。空母は…あれか」
前方に小さく敵艦隊の姿を捉えたスードリは、目を細めて後方に位置する空母を視認した。
「敵艦隊発見、後方に位置する空母は私がやる。諸君らは空母の後方にある…おそらくは補給艦だな。あれをやれ」
《巡洋艦の姿も見えますが…》
「それもアズールレーンに任せよう。補給艦を叩けば万が一敵艦隊を逃しても今後の補給体制に支障が出るだろうし、敵の士気を削ぐ事も期待出来る」
《了解。では我々は補給艦を叩きます》
「よし、行くぞ!」
作戦は決まった。
スードリ達はスロットを全開にして900km/hまで加速すると、一気に敵艦隊へと接近する。
「20…18…15…13…」
レーダースコープの右側に搭載された四角い画面には敵艦隊の姿が映し出されており、中心部には白い二重丸が描かれている。
スードリはその二重丸と空母の姿を重ね合わせ…
「10!投下!」
空母との距離が10kmになった瞬間に胴体下の爆弾を投下した。
重量物を失った事により負荷から解き放たれた機体はふわっと浮かび上がりながら、速度計が1000km/hを指す。
それに遅れて部下の機体も爆弾を投下した。
「よし、撤退だ!ここで対空砲に撃墜されては意味が無い!敵艦隊に、無傷で大打撃を与えたという戦果を持ち帰るんだ!」
《了解!》
予想された敵直掩機は居らず、どのみちあとは機銃しか無いのだ。
さっさと飛行場に戻って再武装して再出撃すべきだろう。
「さて…どうだ?」
敵艦隊の対空砲の射程に入らないように注意しながら旋回しつつ、投下した爆弾の行方を確認するスードリ。
高度9000mという高高度かつ、移動目標への水平爆撃…常識的に考えれば当たる筈がない。
しかし、スードリの視線は奇跡を願うものではなく、"確認"をするような眼差しであった。
──ドンッ!ドンッ!ドンッ!
部下の3機が投下した爆弾はなんと信じ難い事に補給艦に命中した。
それは決して奇跡ではない。
何故ならば彼らが投下したのは、"誘導爆弾"なのだ。
『AGM-62 ウォールアイ』と呼ばれるそれはアズールレーンとの共同開発で生み出されたものだが、爆弾の先端に小型テレビカメラを搭載しており、このカメラで目標をロックオンすれば、あとは爆弾の尾部に取り付けられた動翼が動いて自動的に目標に向かって滑空するというすぐれものだ。
しかもムーの物はアズールレーンが配備している500kg弾頭では不足とばかりに、40cm砲弾に誘導装置と動翼を取り付けた対大型艦攻撃モデルである。
1トンもある砲弾が高度9000mから落下してくるともなれば、それはほとんど戦艦からの砲撃のようなものだ。
装甲なぞ無い補給艦はそれだけで致命傷を負ってしまう。
──ドンッ!
「…クソッ!避けられた!」
しかし、空母を狙ったウォールアイは外れてしまった。
というのも500kg弾頭用に作られた動翼は1トンの砲弾を制御するには力不足であり、一定以下の高度になった後に急激な回避行動をされてしまうと当たらないのだ。
《隊長、敵空母の甲板から艦載機が落ちてます!急旋回のせいで振り落とされたようです!》
「くっ…避けられたのは業腹だが、艦載機を消耗させられたのなら次善か。よし、再出撃は全機爆装するぞ!」
口惜しそうにしながらも、スードリは部下達を伴ってマイカルの飛行場へと最高速度で向かって行った。
ウォールアイ、対艦攻撃に使えるか曖昧ですが、拙作では使えるという事にしておいてください
今後、お色気シーンは…
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今より増やせ
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このぐらいでいい
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もう少し減らしていい
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もっと減らして
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無くていい