あまり長々としてもダレるので、ちょっと駆け足気味でしたが…
──中央歴1642年10月9日午後2時、マイカル東方沖──
「駄目だ、もう死んでる!」
「クソッ…なんだってあんな動きを…」
「話によるとメイナード司令が動かしたらしいぜ」
シェアトの艦内、特に格納庫内は地獄絵図の様相を呈していた。
急旋回をしたことで艦全体が傾いたため格納庫内では用意していた爆弾や燃料入りのドラム缶、更にはエレベーターで上げるだけだったリゲルが転がり、多くの人員が巻き込まれて死傷者が多発したのである。
もちろん、そういった事態を防ぐ為に固縛するという規則はあるが、規律が乱れに乱れているイシュタムではそんな規則守っている者なぞ居ない。
「……」
「し、司令…?」
艦内の至る所から不満やメイナードへの悪口が聴こえるが、メイナードは深く考え込むばかりであり、艦長も戸惑っている。
(いや…確かに爆弾はこちらに向かってきていた…敵のパイロットが未来予知でも出来ない限り投弾後に進路変更した艦に爆弾を当てるなぞ…風も逆方向に吹いていたから、風による偶然でもない…)
考えれば考える程、敵の爆弾はこちらを追いかけて来たようにしか思えない。
ムーのような技術で劣る国が帝国でも開発されていない誘導兵器をどうやって実用化出来たのか…まったく分からない。
「司令、艦戦と艦爆の部隊が帰ってきません。もう帰ってきてもいい頃なのですが…」
「……確かに」
腕時計を確認するメイナード。
ここからマイカルまでは、出撃した中で最も足が遅いシリウスでも1時間足らずで到着出来るはず…爆撃し、帰ってくるにしても2時間もあれば十分だろうし、アンタレスに至ってはもう着艦を始めてもおかしくない頃だ。
「まさかさっきの敵機に…」
「いや、あの敵機はおそらくは高速飛行に特化した爆撃機でしょう。運動性は高くないはず…アンタレスでは追い付けないでしょうが、逆にアンタレスを捉える事も困難でしょうね」
メイナードは、敵機は高速飛行に特化した対艦爆撃機であり、速さと積載量を優先した結果運動性は高くないだろうと推測していた。
「ならば遅れているだけ…」
「敵機襲来!高度5000以上に12!距離は…20……訂正!高度1000以下にも12!とんでもない速さでこちらに向かっています!」
不安げな艦長の言葉をかき消すように、艦内電話に付きっきりだった通信士が見張りからの報告を叫ぶ。
「なんだと!?レーダーは何を…いや、すまねぇ。磁気嵐だったな」
「先ほどの高速爆撃機でしょうか。次は本格的な攻撃…というわけですか…艦長!」
「はっ!」
「おそらく敵の爆弾はこちらを追いかける誘導能力を持っています。投弾後はギリギリまで引きつけて急機動する事で回避できたと思われますので、各艦にも通達を」
「……は?」
信じられない物を見るような目でメイナードを見る艦長。
しかし、メイナードは艦長を珍しく睨み付けながら念押しした。
「分かりましたか?同じ事を言う必要がありますか」
「い、いえっ!」
にわかには信じ難いが、司令官の言葉は絶対だ。
艦長は半信半疑のまま通信士に見張りへメイナードが言った内容を手旗信号で他艦に伝えるように命令すると、気を紛らわせるように双眼鏡を覗き込んだ。
「……ん?さっきの奴じゃない?」
「まさか新型を2機種も投入してくるとは…ムーはどうしても我々を撃破したいようですね。対空戦闘用意!返り討ちにしてやりなさい!」
「はっ!対空戦闘用意!」
艦長とメイナードが見たのは、先ほどのムー機ことアクアホークとは違う機体…エンタープライズIIとヨークタウンIIから発艦したA-7である。
「敵機、投弾!」
「あの距離から投弾するとは…やはり誘導爆弾か!?」
高角砲の有効射程外である10km離れた位置でA-7が爆弾を投下した事を視認したメイナードが鋭く叫ぶ。
その言葉に他の者は尚も半信半疑な様子だが、それでも万が一を考えて爆弾の動きを見逃さないように集中する。
高く飛んでいる12機が2発ずつ、合計24発の爆弾が滑空しながらイシュタム艦隊へ向かって…
「んん!?」
「増えた!?」
向かってくる爆弾、それが一気に倍増…いや、3倍、4倍、5倍…最終的に12倍、つまり288発の爆弾が空を覆い尽くさんばかりに放り投げられた。
「か…回避ぃぃぃぃぃぃぃい!」
殆ど悲鳴のような艦長の命令。
それを受けてシェアトは最大限増速し、他の艦もそれに倣うように増速した。
この爆弾の雨を掻い潜って避けるつもりだ。
──ヒュウゥゥゥゥゥゥ…ドドドドドドッ!!
300発近い爆弾が着弾し、大きな水柱が林立する。
「なっ…あれは200kgか300kg爆弾の威力だぞ!?」
「ベガやアヴィオールだって250kg爆弾を4発ぐらいしか搭載出来ないんだぞ!?」
「重巡アマテル、複数発被弾!巡洋艦ムリフェイン、炎上!駆逐艦ウェズン並びにヴィバン、被だ…あぁ!ムリフェインとウェズン、ヴィバン沈没!」
シェアトを始めとした艦はどうにか回避出来たが、逃げ遅れた艦は爆弾が直撃、或いは至近弾の水中爆発の影響で瞬く間に沈んでしまった。
今はまだ浮いている重巡アマテルも炎上しながら徐々に傾いており、もう長くはないだろう。
「第二波、来ます!」
「低空…雷撃か!?」
「違う!アレも爆弾だ!」
しかし、イシュタムに休む暇は無い。
間髪入れずに低空を飛んでいた12機が更に高度を下げ、高速で向かってくる。
グ帝の常識ならば低空で突っ込んでくるとなれば雷撃だが、メイナードはA-7の翼下に大量の爆弾が吊り下げられている事に気付いた。
「敵機、投弾!」
「この距離で…っ!?」
「ば、爆弾が海面を飛び跳ねて…!?」
12機のA-7はそれぞれが抱えた24発の250kg爆弾を機体を横滑りさせながら投下し、反跳爆撃を敢行した。
海面を埋め尽くさんばかりの数の爆弾が飛び跳ねならがら突っ込んでくる…回避しようにも全速力を出した艦は慣性が働いているせいで減速したり、急旋回したりは不可能だ。
──ドゴォォォォォォンッ!
「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
250kg爆弾が高速でシェアトの舷側に突っ込み、装甲に食い込んで炸裂した。
それも1発ではない。
立て続けに4発が命中した。
「被害報告!」
「右舷に被弾!破孔が大きく応急修理は難しいとの事!」
「左舷注水!このままでは転覆するぞ!」
生じた破孔から海水が流入し、艦全体が右に傾斜し始める。
これに対処するには左舷側に注水して水平を保たねばならないが…
「あ、新手です!最初に来た奴だ!」
見張りから寄越された絶望的な報告を口にする通信士。
ムーのアクアホークが500kg弾頭のウォールアイを装備し、舞い戻ったのだ。
「敵機投弾!狙いはおそらく本か…」
──ドゴォォォォォォンッ!
飛行甲板のど真ん中に突き刺さり、炸裂する爆弾。
被弾孔からは誘爆したガソリンや弾薬の爆炎が吹き出し、艦のあちこちで火の手が上がる。
「司令、もうダメです!退艦しますぜ!総員退艦!総員退艦だ!」
「くっ…おのれムーめ…この屈辱は必ず…」
こんなにも被害を受けてはもう立て直せない、そう判断した艦長はメイナードを連れて艦橋から飛び出ると、彼と共にボートへと乗り込んだ。
イシュタム艦隊はA-7による水平爆撃と反跳爆撃により大多数が失われ、アクアホークの誘導爆弾によってトドメを刺され、後には退艦して漂流する各艦の乗組員と残骸や死体だけが残るのみとなった。
実はもうちょっとだけ続きます
今後、お色気シーンは…
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今より増やせ
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このぐらいでいい
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もう少し減らしていい
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もっと減らして
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無くていい