──中央歴1642年10月12日午前6時、マイカル郊外──
マイカルの郊外に建つ赤いレンガ作り大きな建物。
そこはムー王族所有の別荘であり、国王がマイカルへ赴いた際に使われる宮殿であり、国民からは『赤レンガ』の愛称で知られているマイカルの名所だ。
だが今は最も高い尖塔にアズールレーンの軍旗がはためいており、周囲は自動小銃やサブマシンガンを携えた兵士が監視の目を光らせていた。
というのもこの宮殿はムーのアズールレーン加盟と、アズールレーンによるムー支援の本格化を受け、ラ・ムーの勅命によってアズールレーンに無期限貸与される事となり、現在はアズールレーン第二文明圏派遣軍の総司令部として使われているのだ。
──ジリリリリリ!ジリリリリリ!ジリリ…
「ん…」
赤レンガの侍従長室、そこは第二文明圏派遣軍の総司令官である指揮官の寝室として使われており、目覚まし時計のベルの音に顔をしかめながら指揮官が目を覚ました。
「んぅ…指揮官様…?」
「指揮官…?」
目を擦りながら起き上がる指揮官の動きに気付いたのか、彼と同じベッドで寝ていたヨークタウンとエンタープライズが寝ぼけ眼のまま起きあがろうとする。
「お前達はまだ寝ておけ。休暇は今日までだし、明後日には出港するんだからな」
「指揮官様は…?」
「今日はメディア取材だよ。オタハイト・タイムズって新聞社からのインタビューだ」
一糸纏わぬ艶姿のまましなだれかかるヨークタウンをやんわりと払い除けつつ、指揮官はベッドから降りると、隣にあるシャワー室へ向かった。
「私も…」
「一人ずつだよ」
当たり前のように着いて来ようとするエンタープライズをベッドに寝かせ、指揮官は気を取り直してシャワー室へ向かった。
──同日、アズールレーン第二文明圏派遣軍総司令部──
「……よし」
シャワーを浴び、ヨークタウンとエンタープライズが寝息を立てている事を確認した指揮官は、彼女達を起こさないようにしながら身支度をした。
頭をピシッと撫で付け、髭を念入りに剃り、真新しい制服に着替える。
今までは元の世界の各陣営の制服を気分によって着ていたが、いい加減に統一しようという事になり新たにデザインされたアズールレーンの制服だ。
黒に近い紺色で、金のボタンと飾緒と袖口に階級を示すラインと星が刺繍されたダブルスタイルのジャケット、真っ白なシャツに紺色のネクタイ、そしてスラックスと革靴というものだ。
因みに指揮官自身が海軍出身であるためこの色であるが、陸軍ならば深緑、空軍ならば暗い灰色、海兵隊なら濃いカーキ色となっている。
「まだ時間はあるな…先に飯だ」
そっとドアを開け、部屋を出た指揮官は食堂に向かった。
「やあ、おはよう」
「おはようございます、指揮官」
食堂で待っていたのはアズールレーン所属のコックであった。
黒髪をオールバックにしたユニオン人男性で、コックとは思えないガタイをしている。
「朝食を頼む。この後メディア取材があるから、腹が鳴ったら恥ずかしい。ガッツリ食べたい」
「承知しました。ではロイヤルスタイルで」
指揮官からの要望を聞いたコックが厨房に戻り、調理を始める。
とは言っても殆ど調理してあるため、温めて盛り付けるだけだ。
「お待たせしました」
「ありがとう」
指揮官の前に置かれたのは、トーストが2枚乗った皿。
そしてカリカリに焼いたベーコン、ソーセージ、オムレツ、焼いた輪切りトマト、ケチャップで煮た豆、オレンジが盛り付けられた皿、そして濃く淹れたコーヒーだった。
「あら、指揮官。もうお目覚めかしら」
トーストにバターを塗っていると、対面に一人のKAN-SENが座った。
長い金髪に琥珀色の瞳。
スラリとした肉感的な手足に、男なら誰でも目を奪われるであろう豊満な胸元と臀部…ロイヤル所属の装甲空母『インプラカブル』だ。
「今日はメディア取材でな。というか服をちゃんと着ろ」
「仕方ないじゃない。だってぇ…ボタンが閉まらないの♡」
普段は露出度が高いシスター服を思わせる衣装の彼女だが、KAN-SEN達の衣装はこの世界の人々にとっては刺激が強すぎる為、対外的な場では新しい制服を着用する事になっているのだが…インプラカブル程の"胸部装甲"の持ち主ではシャツやジャケットのボタンを閉める事が出来ないらしく、白く輝くような柔肌と、圧倒的な質量を支える下着が大胆に晒されている。
「ちゃんと採寸して仕立てた筈だろ?」
「その筈なんだけど…着てみたらこうなったのよ。もしかしたら何かのミスかしら?」
「はぁ…ちょうどいいから今日はお前に同席してもらおうと思ったが…」
ため息をつきながら、指揮官はインプラカブルに視線を向ける。
指揮官と同じ朝食メニューへ、チリパウダーを大量にかけるインプラカブル…チリパウダーの瓶を振る度に柔肉がぽよんっぽよんっと跳ねるように揺れ、今にも溢れ落ちそうだ。
「それじゃあ取材どころじゃなくなるな…」
「それは問題無いわ。こうして…んっ」
豆にこんもりとチリパウダーをかけたインプラカブルは、息を吸い込みながらシャツのボタンに手をかけた。
「んっ…んぅ…」
「……いや、無理だろ」
シャツのボタンはどうにか閉まったが…今にも弾けそうだ。
少しでも力が加われば、ボタンを留めている糸が千切れてボタンが"発射"されかねない。
「ふぅ…ね?閉まるでしょう?」
「……今は外しておけ。取材の時に閉めればいい」
「そう?ならお言葉に甘える事にするわね♪」
指揮官の許可を得たインプラカブルはこれ幸いとばかりにボタンを外すと、再び豊満な柔肉を晒した。
「はっはっはっ、指揮官は気苦労が絶えませんね」
「うるせーよ。最近、ムーの兵士から嫉妬の目で見られまくるんだぞ」
そんなやりとりを見たコックが茶化すが、指揮官はげんなりした様子でぼやきながらナイフで切り分けたオムレツを口に運ぶ。
スパイスで味付けした炒めた挽肉と玉ねぎが入ったオーソドックスなオムレツだが、絶妙な味付けと火加減のお陰か一流ホテルの朝食と言っても過言ではないクオリティである。
「やっぱりコックさんのご飯は美味しいわね♪出港した後にも連れて行きたいぐらいよ♪」
「それは光栄ですね。ですけどせっかくなら戦艦…まだ眠っているミズーリと出港したいものです」
「あら、残念。やっぱり戦艦って人気なのねぇ…」
冗談ながらも残念そうなインプラカブル。
それを横目に、指揮官は朝食を平らげると席を立った。
「ご馳走さん、美味かったよ。インプラカブル、まだ時間はあるからゆっくり食いな。取材の場所は第三応接室だ」
「えぇ、分かったわ。もう少ししたら来るから」
「マイド、オオキニ!」
インプラカブルからの返事と、コックからのカタコトの重桜の方言を背に、指揮官は取材の準備をするべく第三応接室に向かった。
前の話、最近ではかなり感想が来ましたね
今後、お色気シーンは…
-
今より増やせ
-
このぐらいでいい
-
もう少し減らしていい
-
もっと減らして
-
無くていい