特に一部地域では災害級の大雨だそうで…皆様もお気を付け下さい
──中央歴1642年10月19日午後1時、レイフォリア近海──
コンクリート造の建物が建ち並ぶ街並みを望むレイフォリアの近海。
そこを1隻の戦艦が多数の駆逐艦に囲まれながら微速で港へ向かって航行していた。
一見すると駆逐艦に護衛された戦艦が凱旋している様に見えるが、駆逐艦は主砲や魚雷発射管を全て戦艦に向けている。
その様子は護衛ではなく、連行と言うべきだろう。
「むかつくわね…"礼砲"でも撃ってやろうかしら」
「やめとけ。下手な真似をしたらこっちが悪者だ」
駆逐艦から武装を向けられている戦艦の艦橋で苛立ちを隠せぬ様子でそう述べるのは、長い金髪と美しい碧眼、そして可憐ながらも勝ち気な雰囲気を持つロイヤル所属の戦艦『ヴァンガード』だ。
そう、現在ヴァンガードはグ帝の駆逐艦に取り囲まれながらも指揮官をレイフォリアへ送り届けているのである。
「エスコートするのは当然だけど、こんなあからさまに威嚇してくるんじゃ何されても文句は言えないでしょう?」
「気持ちは分かるが、落ち着け。向こうもお前みたいな戦艦が来て死ぬほどビビってるのさ。見ろよ、魚雷が…30本は向いてる。大和や武蔵並みの脅威って事さ」
「そう?ふ〜ん…なら悪い気はしないわね」
気位が高いヴァンガードを宥めつつ、指揮官は無線機を手にしてグ帝側に呼びかける。
「こちらアズールレーン所属の戦艦ヴァンガード。見ての通り貴国との交渉に参った。タグボートによる接岸支援を要請する」
《タグボートは出せない。その場に投錨し、ボートで上陸せよ》
「…やっぱり撃っていいかしら?」
「よせ」
通信相手の素っ気ない無礼な返答にヴァンガードが青筋を立てるが、指揮官は直ぐに制止する。
世界最大と言っても過言ではない軍事同盟の代表者が赴いているのだから、タグボートを出すぐらいはすべきはずだ。
「だけど!」
「こんな幼稚な真似しか出来ないつまらん連中だ。例えるなら、そうだな…ママの財布から抜いた金で買ったマグナムを持ってマフィアの真似をやってるチンピラだ。武器はそれなりだが品が無い」
「ぷっ…あははは、本当にその通りね!そう見たらなんだか滑稽に思えてきたわね。いや、むしろ哀れですらあるわ」
「だろ?だから今回の"サプライズ"を仕込んで来たのさ。偉そうな連中の鼻っ柱を圧し折って、小便漏らすぐらいにビビらせてやろうぜ」
「イエッサー、マイアドミラル!」
先ほどまでのイラついた様子はどこへやら。
ヴァンガードは上機嫌な様子で艦載艇を用意し始める。
それを待ちつつ、指揮官は無線をデジタル通信に切り替えるとマイクに向けて呼びかけた。
「各員、そのまま合図があるまで待機。あとは練習通りにな」
──同日、グラ・バルカス帝国外務省戦時外交局──
「……ねぇ、指揮官」
「なんだ」
「あなた、妙に見られてない?」
応接室へ通されるまでの間、椅子すら無い待合室で仁王立ちして待っている指揮官とヴァンガードだが、二人には無数の視線が向けられていた。
「お前が美人だからだろ」
「今はそういうのは結構よ。……確かに私も視線を感じるけど、あなた程じゃないわ」
絶世の美女と言っても過言ではないヴァンガードに視線が向けられる事はよくある事だが、今回は指揮官にも視線が向けられている。
しかもそれは好奇心ではなく、驚愕が多く含まれているようだ。
「あぁ…ようやくレイフォルから独立出来たのに…」
向けられる視線の意味に二人が首を傾げていると、応接室から憔悴しきった中年男性が出てきて肩を落としながらトボトボと歩いて行った。
「レイフォル崩壊のドサクサで属領が次々と独立したって話だが…そんな国家基盤が不安定な国がグ帝をどうこう出来る訳がないか」
「かわいそうだけど仕方ない話ね」
「次!42番、入れ!」
何処かの国の代表者に同情的な視線を送っていると、応接室の前に立っている警備の兵士が高圧的な態度で怒鳴った。
「俺達だな」
「まるで刑務所ね」
受付で渡された整理券の番号を確認した指揮官とヴァンガードは堂々とした足取りで応接室へと向かう。
「42番、アズールレーンの代表者クリストファー・フレッツァとヴァンガードだ」
「………」
兵士に整理券を見せた指揮官であったが、当の兵士は指揮官を見てポカンとした表情を浮かべたまま固まっている。
「指揮官、やっぱりあなた何かしたでしょ」
「まだ何もしてねぇよ。おーい、42番なんだが」
「……っ!あ、あぁ…42番、どうぞ」
ギクシャクした動きと、高圧的な態度を引っ込めた兵士が応接室の扉を指し示す。
指揮官はそれに対して再び首を傾げながらも、応接室の扉をノックした。
──コンコンッ
「入れ!」
扉の向こうから聴こえる横柄な男の声に呆れつつも、扉を開けて入室する。
「失礼。アズールレーンの代表者、クリストファー・フレッツァとヴァンガードだ。本日はアズールレーン加盟国各国の総意を伝達に……?」
入った応接室は応接室とは名ばかりの粗末なものだった。
上座の位置には大きなデスクがあり、如何にも傲慢そうな中年の男が座り心地の良さそうな椅子に座っており、その傍らにはやや小さな椅子に座った若い女が居る。
若い女の方は知っている。
先進11ヶ国会議の場で宣戦布告をし、世界のニュースを通じて捕虜虐殺を命じたシエリアという女だ。
そして面会者のスペースには椅子等は置かれておらず、立つか床に座るしかない。
おそらくは自分達の優位を誇示し、この扱いに腹を立てた相手を一方的に敵認定する為にこのようにしているのだろう。
正に品が無い、といった感じだが、指揮官はそれを指摘する事はしなかった。
「指揮官、もしかして耳が悪いのかもしれないわ。ほら、ドア越しでも聴こえるぐらい大きな声だったじゃない」
「それはないだろ。ノックは聴こえてたみたいだし」
責任者らしい中年男が呆けたような顔をしたまま固まっているのを見てヴァンガードが指揮官に耳打ちするが、指揮官はそれを否定する。
「ゲスタ部長、彼は別人です」
「そ、そうか?なら…おほんっ」
シエリアから声をかけられ、ゲスタと言われた男がわざとらしく咳払いする。
「私は偉大なるグラ・バルカス帝国の外務省、戦時外交局長の『ゲスタ・ニマヤク』だ。アズールレーンと言ったな?話によれば遥か東方にある多くの国が参加する軍事組織であり、我が国と同じく列強を打ち倒したという話だが…帝国の軍門に下る決意が固まったか?」
ゲスタの言葉…というより彼が漂わせる小物のニオイにヴァンガードが顔を顰めるが、流石に食って掛かるような事はなかった。
「それなら賢明だ。貴様らは参加国の総意を伝えに来たと言っていたが…殊勝な事だ。雑多な国々をいちいち相手するのも手間なのでな。貴様らが窓口となれば…」
「本日は貴殿らにに贈呈したい物がありますので、先にそちらを受け取っては頂けないでしょうか?」
得意げなダラスの言葉にやんわりと割り込んだ指揮官は、ヴァンガードに目配せすると彼女をダラスの前に立たせた。
「贈り物だと?…ほう、中々によい娘ではないか。蛮族にしては清潔感もあるし、これなら中々に楽しめ…」
──バンッ!
見目麗しいヴァンガードが"贈り物"だと思ったゲスタは彼女に脂ぎった下賤な視線を向け、頭から爪先まで舐めるように値踏みするが、彼のデスクへ叩きつけるようにヴァンガードがジュラルミンケースを置いた。
「申し訳ありませんが、私は"物"ではありませんので。贈り物はコチラでございますよ」
にこやかな笑顔だが、額に青筋を立てるヴァンガード。
そんな彼女へ、ゲスタは苛立ちを隠せない様子だ。
「なっ…小娘、貴様ぁ!私は帝国の幹部、いわば優等民族たるバルカス人の上澄みだぞ!そんな私にこんな無礼な態度を…ペットにでもしてやろうかと思ったが貴様は…」
「ゲスタ殿、どうぞお納めくださいませ〜」
相変わらずの憤怒の雰囲気を纏ったニコニコ笑顔のまま、飛ばされるゲスタのツバを気にせぬ様子でヴァンガードはジュラルミンケースを開けた。
「なんだコレは!私を馬鹿にしているのか!」
ジュラルミンケースに入っていたボロ布らしき物が見えた瞬間、ゲスタはデスクからケースを叩き落とす。
すると中身が飛び出し、床に広がった。
「ん?なっ…!?」
「こ、これは!?」
床に広がったボロ布を見て驚愕するゲスタとシエリア。
そんな二人を見て、指揮官は営業スマイルを浮かべたまま大仰に、まるで舞台役者がするようなお辞儀をして、慇懃無礼に告げた。
「ゲスタ殿、シエリア殿。私からの贈り物ですが…お気に召して頂けましたか?」
床に広がったボロ布…それはグラ・バルカス帝国海軍の軍艦旗であり、かろうじて『第52地方隊』の名が記されているのが分かる程に焼け焦げていた。
この下り、パ皇編でもやったなぁ…と書き終えてから気づきました
まっ、いいか!
今後、お色気シーンは…
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今より増やせ
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このぐらいでいい
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もう少し減らしていい
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もっと減らして
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無くていい