異世界の航路に祝福を   作:サモアオランウータン

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今日は妻が用事で出掛けていて家に一人で暇だったので書き上がってしまいました


283.アルー、鉄の嵐!【2】

──中央歴1642年11月30日午前6時、ムー・レイフォル国境より西20km──

 

──プァァァァァァァァー…

 

まだまだ暗い冬の早朝に響き渡る起床ラッパの音色。

それを聴いた兵士達がテントの中で目を覚まし、のそのそと起き上がる。

ここはグラ・バルカス帝国がムー侵攻にあたり前進させた『第4師団』のキャンプ地だ。

彼らは対ムー戦の前線基地であるバルクルス基地から北上し、ムー国境の西20kmの地点でキャンプを設営していたのである。

本来ならバルクルス基地はムーの国境まで10kmであるため基地から直接出撃した方が早そうだが、彼らは重カノン砲や戦車を伴っているため大きな街道しか通れず、遠回りする事となってしまった。

しかし、それも今日で終わりだ。

このキャンプ地からムー国境までは真っ直ぐで平坦な道が続いている。

今から朝食を摂り出発すれば昼前にはアルーへの攻撃が出来るであろう。

 

「お前ら、しっかり食っておけよ!場合によっては昼飯を食わずに攻撃するからな!」

 

グラ・バルカス帝国陸軍の主力中戦車『ハウンドI』の砲塔上に立って朝食作りをする兵士達に檄を飛ばすのは、師団長である『ボーグ・フラッツ』少将だ。

 

「師団長、朝食をお持ちしました!」

 

すると一人の若い兵士がパンやスープ、焼いたベーコン等が乗せられたトレーを持ってボーグの前に来た。

 

「おう、ご苦労。新兵だな。名前は?」

 

「はい!スグシ・ヌーヒト准等兵であります!」

 

グ帝陸軍では徴兵された者は二等兵として教育隊で鍛えられ、准等兵として部隊に配属される。

それから一定の期間部隊勤務を行うか、作戦に参加するかをすれば一等兵に昇進するという規定がある。

それを踏まえればこのスグシ准等兵は正に配属されたての新兵だ。

 

「そうか、元気があってよろしい!初実戦だな。何か聞きたい事はあるか?」

 

「はっ!畏れながら師団長に相談したくあります!自分は教育隊で訓練を受けましたが、いざ敵を前にすると引き金を引けるのか不安なのであります!」

 

「そうか!何、気にするな。誰しも初めての実戦は不安なものだが、一度経験すれば次からは不安なぞ無くなる。もし不安が拭えないなら、捕虜を相手に殺しの練習をさせてやる」

 

「ご配慮ありがとうござい…ま…す?」

 

敬礼しボーグへの感謝を述べるスグシだったが、突如として言葉に詰まってしまった。

そして彼の視線はボーグの背後、つまり東の空に向けられている。

そしてよく見ると朝食を摂っていた兵士の多くがスグシと同じ方向を見上げていた。

 

「なんだ?」

 

それに釣られて振り向き、空を見上げるボーグ。

 

「な、なんだあれは…?」

 

星が瞬く群青色の空、地平線に向かって空色になっていくグラデーションの空に無数の流星のような物が煙の尾を引きながら天頂へと昇っている。

 

「流星…いや、数が多すぎるし煙が出ている。まさか…」

 

流星のような光が消え、後には地平線から生えた木のような煙の柱だけが残る。

そして微かに、それでいて徐々に大きくなる風切り音…

 

──……ゥゥゥゥウウウウウウ!

 

「攻撃だ!総員退避!」

 

爆弾が落ちてくるかのような不気味な風切り音に本能的な恐怖を覚えたボーグはこのような自然現象はあり得ない事、そして基地から伝えられた敵偵察機から捕捉された可能性があるという情報から、これが敵からの攻撃だと判断して素早く退避を命じた。

しかし、それは一歩遅かった上に頭上より降り注ぐ"死"を回避するにはこのキャンプ地は余りにも脆弱であった。

 

──ヒュゥゥゥゥゥゥゥ!ドンッ!ドンッ!

 

「うぉぉぉぉぉぉっ!?」

 

咄嗟に開いていたハウンドIのハッチに飛び込んだボーグだったが、耳を劈くような爆音と、地を割るような衝撃によって天地がひっくり返ったかのような感覚を覚えた。

いや、ような感覚ではない…事実、彼が飛び込んだハウンドIは横転し、ひっくり返っていたのである。

 

──ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!

 

「わぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

絶え間なく響く爆音と衝撃にボーグは車内で蹲り、悲鳴を上げる事しか出来ない。

 

──ズゴガァァァァァァァァンッ!!

 

一際大きな爆音が轟く。

おそらくは重カノン砲の砲弾や装薬を満載したトラックが被弾したのだろう。

 

「いったい何が…何が起きているんだぁぁぁぁぁ!」

 

いつ止むとも知れぬ破壊の雨の中、ボーグは股を濡らしながら震えて叫ぶしか出来なかった。

 


 

──同日、ムー・レイフォル国境──

 

「第2射、用意…撃てっ!」

 

──バシュゥゥゥゥゥゥ!バシュゥゥゥゥゥゥ!バシュゥゥゥゥゥゥ!

 

国境に展開したトーパ王国第3混成師団のロケット砲兵部隊がBM-21から多数のロケット弾を撃ち出す。

今回国境に展開したBM-21は40台、それを10台ずつに分けて斉射しているのだ。

 

「モア隊長!2斉射目、完了致しました!」

 

「よし、2番隊はアルーまで後退!3番隊発射準備!」

 

ロケット砲兵部隊の隊長である騎士モアが命令を下せば10台のBM-21が街道を東へ向かって走り去り、それと入れ替わりで10台のBM-21が国境線と並行になるように縦列駐車すると、荷台に搭載されている40連装122mmロケット弾発射器を西へ向ける。

 

「第3射、撃て!」

 

──バシュゥゥゥゥゥゥ!バシュゥゥゥゥゥゥ!バシュゥゥゥゥゥゥ!

 

盛大な発射炎と煙を放ちながら矢継ぎ早に打ち出される122mmロケット弾。

この規模のロケット弾は10発程度で巡洋艦の主砲斉射並みの火力があるとされているが、それを考えれば現時点で巡洋艦が120斉射したと同等の火力が西方…つまりアルー侵攻を目論む第4師団に向けられたのだ。

 

「第3斉射完了!」

 

「これで最後だ!第4射開始!」

 

手早く撤収した10台と入れ替わり、新たに10台が発射準備を整えるとすぐさまロケット弾を撃ち出す。

多連装ロケット砲の利点は正にこれだ。

通常の火砲と比べて準備と撤収に時間を要せず軽量であるため、路上を高速で走れるトラック等に搭載出来るためこのような奇襲にはもってこいだ。

その分、精度が悪かったり派手に発射炎が発生するため発見され易いデメリットもあるが、使い所を見極めればこうして極めて有効な兵器となる。

 

「モア隊長!第4斉射完了しました!」

 

「よし、撤収だ!基地まで戻って装填の後、別命あるまで待機!」

 

ロケット弾を撃ち尽くしてしまえばただのトラックに過ぎないBM-21は、敵戦車に捕捉されれば袋叩きにされてしまうだろう。

それを重々承知しているモアは撤収命令を下し、ロケット砲兵部隊は1時間程でアルー防衛隊基地へと帰還したのであった。




今回の計画艦は、アドミラル・ナヒーモフ、ナポリ、大山、ハルフォード、バヤール…以上ですかね?
私はナポリと大山が刺さりましたが…海外イベントでチラ見せされた褐色娘はいったい…?

今後、お色気シーンは…

  • 今より増やせ
  • このぐらいでいい
  • もう少し減らしていい
  • もっと減らして
  • 無くていい
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