次回からは…グ帝内部事情の話をしますかね
──中央歴1642年11月30日午後5時、アルー防衛隊野戦病院──
「うぅぅぅぅ…いてぇ…いてぇよぉ…」
「ガマンしろ!気をしっかり持て!」
「この脚はもうダメだから切断するぞ!?いいな!?」
アルー防衛隊司令部に置かれた野戦病院。
そこでは運び込まれた負傷者の呻きと、医師や看護師の怒号が飛び交っていた。
此度の戦いではムー側にも7名の負傷者が出た。
何せラ・リオットはオープントップ砲塔を持つ軽装甲の戦車であるため対戦車能力が低いグ帝の戦車相手でも乗員が負傷するほどの損害を受ける場合が多く、酷い者だと貫通した砲弾が両脚をもぎ取ったり、破片が内臓まで食い込んだりと命が助かるか危うい状態の者が半数程だ。
しかし、医師達が救おうと奮戦しているのは彼らだけではない。
「はぁー…はぁー…こ、殺せ…」
「何を言っている!せっかく拾った命、お前が諦めちゃいかんだろう!」
ムー陸軍の物とは違う軍服を着た血塗れの兵士…グ帝陸軍の兵士の軍服をハサミで切りながら彼を怒鳴りつけるのは、ムー陸軍の医官『ホバード・アスクレス』であった。
というのもグ帝の残存戦力が撤退した後、ムー陸軍はグ帝戦車の調査をすべく原型を保っている戦車を持ち帰ろうとしたのだが、その際に車内に取り残されたり、脱出したものの飛散した破片によって負傷したグ帝兵士を捕らえており、負傷者は治療する事としたのである。
「ひどい出血だ…小さな破片が全身に食い込んでいるし、この破片は動脈に食い込んでいるかもしれない。下手に抜くと大量出血だ」
「無駄だ…こんな敵を…はぁー…助けるなんて…馬鹿げてる…」
「うるさい!」
生きる希望を失ったかのような表情の兵士をホバードは叱り付ける。
「貴様、名前は!?」
「テルス…マーロン伍長…」
「テルス伍長っ!お前は私の敵ではない!私の敵はただ一つ!人を死に至らしめる病と傷!この二つが……あれ?」
自身の発言に違和感を覚えて言葉に詰まるホバード。
しかし、咳払いをして仕切り直す。
「おほんっ…いいか?私の敵はただ二つ!人を死に至らしめる病と傷と弱き心……ん?」
「わ、わかった…分かったから助けてくれ…こんな漫才を見せられて死んだんじゃ死にきれん…」
受け入れた…というより呆れ果てた様子で助けを求めるテルス。
それを聞いたホバードは満面の笑みを浮かべて注射器を取り出した。
「素晴らしいっ!貴様は生きる意思を私に示した!ならばっ、それに応えねばなるまいっ!手を貸せ!これより緊急手術を開始する!サモアで学んだ外科手術、初の実践だ!」
「は、初!?ちょ、ちょっと待っ……」
何やら不穏な言葉が聴こえたため待ったをかけようとするテルスだが、彼の意識は麻酔によって暗闇へと落ちて行った。
──同日、アルー防衛隊司令部──
「……やはり出来ません」
「何故です!?」
裸電球で照らされた司令部テントの中、大判の航空写真が広げられたテーブルを挟んでアーネストとアジズが口論を繰り広げていた。
「此方に進撃する敵大部隊は壊滅、そして敵基地は此方の砲兵の射程内にあります!後顧の憂いを絶った今、敵基地に対して大規模攻勢を行い、この地域における優位を確固たるものにすべきです!」
アジズが写真に写っているバルクルス基地を指差しながらアーネストに訴えかける。
グ帝の対ムー前線基地バルクルスまでは国境から直線距離で10km、間には深い森と湿地帯がある為戦車を中心とした陸軍部隊が直接殴り込む事は難しいが、榴弾砲やロケット砲、航空機による爆撃ならば陸軍部隊を送り込まずともバルクルス基地に大打撃を与える事が出来るだろう。
しかし、アーネストはそんなアジズの提案を拒否した。
「アジズ殿の言葉は理解出来ます。敵基地を直接叩かねば敵戦力の補充を止める事は出来ず、此方は防戦を強いられる事になるでしょう」
「では何故!?」
「そこが…ヒノマワリ王国領内だからです」
「ヒノマワリ王国…?」
怪訝そうな表情を浮かべるアジズに、アーネストが頷く。
「ヒノマワリ王国は我が国が地球にあった時代の友好国、ヤムートの民の国なのです。今まではレイフォルに併合されながらも自治区として都市国家のような形で運営されてきました。しかし、レイフォル滅亡の折に再独立したものの、グ帝の圧力に屈してしまったというわけです」
「なるほど…つまり古い友人の土地に刃を向けたくないと?」
「はい、仰る通りです」
「しかし、攻撃するのは敵基地だけです。幸い敵基地は市街地から離れていますし、ヒノマワリ王国の住人を巻き込む事は無いでしょう」
しかし、アーネストが首を縦に振る事はなかった。
「しかし、グ帝はレイフォルにて現地住民を徴用し、都市建設の為に強制労働させています。このヒノマワリ王国でも、そして敵基地でも同じ事が行われている可能性が高い…そんな状況で砲撃を行えばヒノマワリの民を巻き添えにしてしまいます。もしそうなれば…我が国は友人を殺戮した不義理者となり、国内世論に大きな影響があります。私もそうですが、我が国にはヒノマワリの民を配偶者としている者が少なくありません。彼らの心情を察すれば、確証なく敵基地攻撃は出来ないのです」
元の世界である地球から続く歴史はムーのアイデンティティであり、地球時代からの友人であるヤムート人はムーの歴史の証人と同義だ。
そんなヤムート人…ヒノマワリの民を巻き添えとは言え殺傷するのは、ムー人としてかなりの抵抗がある。
「なるほど…貴国は異世界から転移してきたのでしたね。私はそれを信じていますよ、何せ我が国が発展出来たのも異世界から転移してきたサモアあってのものですし…しかし、そうなると厄介ですな。グ帝が貴国とヒノマワリの関係を理解しているのであれば、ヒノマワリの民を盾にするやもしれません」
「それは私も危惧しています。もしかしたらグ帝は既にそれを理解していて、基地でヒノマワリの民を働かせているのかもしれません」
二人して腕を組み、頭を捻るが結論は出ない。
「……分かりました。とりあえずは貴国の意向に沿って敵基地への攻撃は見送りましょう。しかし、敵基地への大規模な兵力集中などが見られた場合には貴国防衛のため、そして我々の身の安全の為に敵基地への攻勢を開始します。よろしいですね?」
「はい、そうなれば致し方ありません。その場合、私が責任を負いましょう」
アジズが提案の提案にアーネストが同意する。
古い友人を案じて敵に滅ぼされたのでは話にならない…そんな消極的な同意であった。
「そうとなれば、敵からの威力偵察を含めた散発的な攻勢があるかもしれません。アズールレーンの司令部に防衛戦力の増強を要請すると共に、本国へ派遣戦力の増強を進言しましょう。特に防空網増強は急務です」
「申し訳ありません、我々のわがままで振り回してしまって…どうにかして敵基地にヒノマワリの民が居ない事を確認出来ればいいのですが…」
必要な防空戦力の算出を始めるアジズに対してペコペコと頭を下げるアーネスト。
こうしてアルー・バルクルス方面の戦線は膠着状態となるのであった。
ナポリの経験値集め、とりあえず50%になりました
私が確認する限り、どうやらナヒーモフが人気みたいですね
今後、お色気シーンは…
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今より増やせ
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このぐらいでいい
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もう少し減らしていい
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もっと減らして
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無くていい