今回は美柑は居ませんでしたが…第二弾の楽しみが増えたって事
──中央歴1642年12月17日正午、アルタラス王国北西沖──
やや波が高い海原であるが、海中を進む潜水艦には関係の無い話だ。
その潜水艦、グラ・バルカス帝国近衛兵団所属のシータス級潜水艦『アバンデス』は水深50mを5ノットという低速で東へ向かって航行していた。
──カチャカチャ…
そんなアバンデスの艦内、狭くジメジメとした穴蔵のような食堂では近衛兵団員達が威圧的な黒服に身を包み、白磁の食器によそった簡易的なコース料理に舌鼓を打っていた。
「う〜ん、潜水艦勤務はやはり飯が美味い。これだけでも普段の激務が報われるというものだ」
根菜のスープにパンを浸しつつ感慨深げに述べるのは、同艦の艦長である『ロッズ・シャクデン』だ。
彼は好物であるホットワインの水面が微かに揺れるのを目を細めて見つめ、しっかりとスープが染み込んだパンを口に運んだ。
潜水艦勤務は水上艦勤務よりも負担がかかる為、支給される糧食は栄養価の高い質が良い物となっている。
そして近衛兵団向けのシータス級は海軍向けの物よりも高性能かつ大容量の冷凍・冷蔵庫を搭載している事から、長期間の航海でも新鮮な食材を使った料理を乗組員に提供する事が可能なのだ。
しかも近衛兵団の艦船には民間から引き抜いた専属のコックが乗り込んでおり、食事の質は高級レストラン並みと言っても過言ではない。
──カッカッカッカッ!
「艦長っ!間もなく目標海域に到達致します!」
「ご苦労。ではこの辺りで索敵しようか」
胸を張り、背筋をビシッと伸ばした威圧的な姿勢でブーツの靴底に打ち付けた鋲を鳴らしながらやって来てそう報告した航海長に、ロッズはスープを飲み干して応えた。
彼らが本国を離れて遥々第三文明圏までやってきたのは、"多少の脅威"となりそうなロデニウス連邦を牽制する為である。
グ帝側では既にロデニウス連邦がムーへ対して様々な支援を行っている事を把握しており、"技術的に劣る"とは言えど厄介な事に変わりはない為、潜水艦による通商破壊でロデニウス連邦の輸送船団を妨害ないし止める事としたのだ。
「潜望鏡深度へ浮上!さあて、上手いこと輸送船団の航路に辿り着けたか?」
威圧的な歩き方で司令室まで大股で向かったロッズは大仰な身振りで浮上を命令すると、潜望鏡に目を近付けた。
──ゴボボボボボボッ!
エアタンクに貯蔵されていた圧縮空気がバラストタンクに送り込まれ、内部を満たしていた海水が一部を残して若干の空気と共にバルブから海中へ追い出される。
そうして絶妙な浮力を得た艦体は水深5m程の位置を維持すると、セイルから潜望鏡を伸ばした。
「……輸送船団は無し。ソナー手、何か聴こえるか?」
「いえ、現状は何も」
「そうか、ならこのまま潜望鏡深度で索敵航行。シュノーケルを上げてエンジンを始動させるんだ。機関長、エンジン始動!」
近衛兵団向けシータス級はシュノーケルを装備しており、潜望鏡深度ならば潜航したまま水上航行時と同程度の速度を発揮出来るのである。
「劣等人種共の船なぞに魚雷を使うのも勿体ないな…ここは艦載機による爆撃で……ん?」
目を皿のようにして水平線を眺めていたロッズであったが、彼の視界に映り込んだのは水平線に現れた船舶ではなく空を飛ぶ航空機であった。
「航空機…?バカな、この辺りの国家が持つ航空機はロデニウス連邦のムーに毛が生えたようなものしか無いはず。あれは…帝国の双発機に相当するのではないか?」
ロッズ達が想定していた近辺の航空戦力はワイバーンとその改良種、唯一脅威になりそうなロデニウス連邦にしても複葉機か初歩的な単葉機ぐらいなものだ。
しかし、ロッズが視界に捉えた航空機は空力的に洗練された双発機であり、主翼下には大きな樽のような物を、そして翼端には細長い円筒形の物体が取り付けられている。
外観からは双発爆撃機であろうと推測出来るだろう。
「どのみち見つかったら面倒だ。劣等人種共が潜水艦を理解出来るとは思えんが、不審な物があっては攻撃されかねん。エンジン停止、深度30mまで潜降しモーターに切り替えろ」
「はっ!エンジン停止、モーター駆動!メインバラストタンク注水、深度30!」
ロッズの指示を乗組員が口々に復唱し、実行する為に機器を操作する。
──ガゴンッ!フシューッ!
エンジンの停止音とバラストタンクから空気が排気される風音の中、アバンデスは再び海中に沈んでいった。
──同日、同海域上空──
「……」
ロッズが発見した航空機こと、アルタラス王国海軍の対潜哨戒機P-2Jの機長席に座るフィリッジは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべ、泡立つ海面を見下ろしていた。
「き、機長…あの…未確認潜水艦が…」
「あぁ…その…なんだ」
副機長からの言葉にフィリッジは歯切れ悪く応える。
彼らは海路を守る為、何よりも祖国を守る為にロデニウス連邦にてアズールレーン潜水艦隊を相手に猛訓練を積んできた。
その血の滲むような訓練は彼らを一線級の対潜部隊に育て上げ、彼らもその訓練の成果を発揮する時だと息巻いていたのだが…
「なあ、私達は…舐められているのか?それとも…すごく舐められているのか?」
「お気持ちは察します…」
実戦で対峙するとなれば敵潜水艦も一筋縄では行かないだろう。
今まで学んできた技能全てを出し尽くし、喰らいついてやるという所存だったのだが…生憎グ帝の潜水艦はフィリッジ達が想定するよりも杜撰であったらしい。
ある意味で出鼻をくじかれたというか、肩透かしだったというか…
「あー…ソナー、どうだ?」
《ヒドイもんです。連中、潜水艦に楽団でも乗せているんですかね?ヘッドフォンの音量を最低にしないと耳がやられそうです》
「そのまま最低にしておけ。ソナー員の耳は命だからな」
読者諸兄はグ帝潜水艦パートで色々と察したかもしれないが、騒音対策が杜撰なグ帝潜水艦の中でも近衛兵団の物は輪にかけてヒドイ。
先ず長期航海を快適にする大型高性能冷凍・冷蔵庫だが、使われているコンプレッサー等の駆動音が高性能故に大きく、また格式を重視する近衛兵団が使う食器も歩き方も発声法も現代の潜水艦乗りが見ればダメ出しの嵐であろう。
そんな近衛兵団の潜水艦と比べれば、アズールレーンのUボート艦隊は正に無音艦隊と言ってもよい。
「攻撃しますか?」
「もちろんだ。ただし、誘導魚雷は勿体ないから爆雷を使って強制浮上させる。ソナー、敵潜水艦の位置と深度は」
《はい、進路……》
ソナー員からの指示に従い、機体を操作するフィリッジ。
潜航中の潜水艦は鈍足であるため、予測位置の上空をグルグルと旋回しながら追尾する形となる。
「武器、爆雷投下準備。深度30」
《了解。爆雷、投下準備》
──ガコッ
フィリッジからの指示を受けた武器操作員が対潜爆雷の水圧信管を設定し、機体下面の武器庫扉を開放する。
「進路固定、投下位置まで5…4…3…2…1…投下」
──ガゴンッ
武器庫内パイロンから150kg爆雷が投下され、概ね射表通りの弾道を描いて着水し…
「ソナーミュート。炸裂まで5…4…3…2…1…っ!」
──ゴォッ!ドォォォォォンッ!
設定された深度に到達した爆雷は水圧信管の作動により炸裂し、海中に破壊的な水中衝撃波を生み出した。
最近、紺碧の艦隊OVAを見直したので、そこから色々ネタを拾ってます
今後、お色気シーンは…
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今より増やせ
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このぐらいでいい
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もう少し減らしていい
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もっと減らして
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無くていい