異世界の航路に祝福を   作:サモアオランウータン

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11月も終わり、明日からは1年のラストスパート12月ですねぇ


299.Operation: Golden Fleece Ⅱ

──中央歴1643年1月16日午前9時30分、バルクルス基地──

 

「んぐっ…んぐっ…ぶはぁっ!」

 

バルクルス基地に設置された対空レーダー。

その管制室では午前中だというのに一人の男が飲んだくれていた。

 

「う〜ぃ…カバル殿下ばんざーい!」

 

空になった燃料用アルコールの瓶を部屋の隅に投げ付けた男の名はボーグ…そう、アルー侵攻を企てた第4師団の師団長ボーグその人である。

もっとも今ではその肩書きに"元"と付いてしまっているのだが。

 

「ボーグ隊長〜…レーダーは…」

 

「あ"ぁ"!?」

 

「失礼しました〜…」

 

様子を見に来た部下に荒々しい返事と鋭い眼光を向け、直ぐに追い返してしまった。

彼がこんなにも荒れてしまったのは、単に第4師団壊滅の責任によるものだった。

というのもアルー侵攻を成し遂げられなかったばかりか、ほんの僅かな兵力を残して師団が壊滅した原因を基地司令のガオグゲルに報告したところ、異世界国家如きが報告にあった大型ロケット弾や砲撃力に特化した戦車、航空機をバタバタと叩き落とす対空戦車なぞ作れるわけがないと一蹴されてしまった。

それだけに留まらずガオグゲルは作戦の失敗はボーグによる致命的な判断ミスがあったと一方的に決め付け、彼を基地警備隊長に降格したのである。

 

「俺は!何も間違ってねぇ!」

 

しかし降格されたとは言え、一応正式な辞令交付がなされていない為、彼は未だに少将の階級ではある。

それを利用し彼は基地からやや離れた位置にあるレーダー管制室の一つに入り浸り、元々の管制官に燃料用アルコールを持ってこさせているのだ。

 

「司令は何も分かっちゃいねぇんだ!俺達があの戦場で何を見たか…を…ぉ……んご…んご…」

 

くだを巻いていたボーグだったが、アルコールが回ったのかそのまま椅子からずり落ちるようにして眠ってしまったのだった。

 

 

──同日、バルクルス基地上空──

 

「おお、最前線だというのに中々に立派な基地ではないか」

 

およそ1時間半のフライトも終わりを告げようとするなか、バルクルス基地の上空に到着した専用機の窓から基地を見下ろしながらカバルは感心したように述べた。

バルクルス基地は対ムー戦線の前線基地なだけあって陸軍基地と航空隊基地、両方の機能を持っており、あらゆる方向へ十字砲火が可能な多数の頂点を持つ星型の要塞と、コンクリートで舗装された東と北東に伸びる2本の滑走路を持つ大規模なものだ。

もちろん要塞や滑走路の周辺には対空砲陣地やトーチカが置かれており、特に滑走路周辺は多数の格納庫や燃料庫、弾薬庫がある関係で要塞周辺よりも多くの対空砲陣地とトーチカが配置されている。

更には基地からやや離れた位置にはレーダーも展開しているため、軍事に明るくないカバルから見ても本基地は帝国による世界征服の最先鋒に相応しい、難攻不落の大要塞と評価するに値する。

 

「こんな立派な基地なのだ、少しばかり遊覧飛行を楽しんでも良いだろう?」

 

「まったく…カバル殿下は建築となればこうなのですから」

 

カバルからの要望にフェルドは苦笑しつつも機内電話を使ってパイロットへ基地上空を低速で、2〜3回ほど旋回するように命ずる。

カバルは大学で建築学を専攻しており、皇族としての公務の傍で都市設計にも携わり、このレイフォルにも彼が設計した都市が築かれているのだ。

そんなカバルからしてみれば、限られた資材で見事に作り上げられたバルクルス基地は目を見張るものがあり、空からじっくり見物したいというのも無理もない話だろう。

 

「ほうほう…あれは土嚢を積み上げているのか。ああもきっちり積み上げれば、石垣のようになるものだな。おおっ!あの擁壁は綺麗な仕上がりだな!担当のコンクリート技師に話を聞きたいぞ!」

 

「担当者名簿を基地司令に提出させましょう。名前が分かれば調べようがありますので」

 

まるで子供のようにはしゃぐカバルを微笑ましく思いながら、フェルドは彼と同じように窓から地上を見下ろす。

すると滑走路の脇に多くの兵士が集まり、こちらに向かって帽子を大きく振っているのが見えた。

 

(カバル殿下を慕う者がこうまで居るとは…これも殿下の人柄が成すものだろう。しかし…最近は不穏な噂も聞く。この視察が終わったらカイザルの元に預けた方が良いだろう)

 

実を言うとフェルドの耳には不穏な噂が届いていた。

なんでも一部財界がカバルを利用しているだの、近衛兵団の一部がカバルの皇太子位廃嫡を画策しているだの…

単なる噂と片付けてしまうのは簡単だが、もし噂でなかったとしたらカバルの命が危うい。

故にフェルドは自身の妹の夫であるカイザルの元へ預けるつもりであった。

 

「おや?あれは…さてはムーへの偵察か攻撃をした帰りか?戦意も高いようで何よりだ!」

 

「はて?今日は殿下の視察があると通達していましたので、出撃は無いはずですが…」

 

カバルは東から滑走路に向かって低空を高速で飛んでくる幾つかの機影を見つけた。

それは遠くにあり、機体全体が灰色と深緑の波打った太い縞模様で塗られているため形状が把握しにくいが…

 

「まさか……」

 

滑走路脇の兵士達が慌ただしく走り出し、対空兵器に飛びつく。

それと同時に謎の機影も徐々にハッキリと見えて来た。

その姿は帝国に存在する如何なる航空機とも異なる姿を持ち…

 

──ドゴォォォォォォンッ!!

 

「なっ…!?」

 

そのまま着陸しそうな高度、しかし着陸するにはあまりにも速いスピードで不明機が滑走路上空をフライパスした次の瞬間、滑走路が噴火した。

いや、噴火したのではない…爆撃されたのだ。

2本ある滑走路、その両方がおよそ200mおきに爆撃され、頑丈なコンクリートに直径10mは下らないであろうクレーターが作られていた。

 

「なっ…何が!?」

 

「殿下、敵襲です!滑走路が破壊されてしまいました!このままでは着陸は不可能です!引き返しますがよろしいですね!?」

 

何が起きたか未だに飲み込めていないカバルへ、フェルドは形だけの問いかけをする。

敵襲があった上に滑走路が破壊されてしまってはどのみち視察なぞ不可能だ。

速やかに引き返さねばこちらも危ない。

 

「あぁ!」

 

青ざめた顔で恐る恐る窓から地上の様子を窺っていたカバルが悲痛な声を上げる。

先程、滑走路を破壊した機体の同型機がレーダー、格納庫、航空隊管制室へ爆弾を次々と投下し、見るも無惨な瓦礫へと変えてしまっていた。

そしてその度に近くに居た兵士が風に吹かれた落ち葉のように宙に舞い、爆炎に撒かれて火だるまとなってのたうち回る。

 

「殿下!見てはなりません!」

 

ガタガタと震えるカバル窓から引き剥がし、彼を抱きしめるフェルド。

それと同時に敵襲は次の段階に進んでいた。

先程とは違う機体の編隊が低空から侵入し、対空兵器へ次々と爆弾を落とし、逃げ惑う兵士を機銃掃射で薙ぎ払い、増槽を落として地上を焼き払う。

それはまさに一方的な戦いだったが、同時にフェルドは違和感を覚えていた。

 

(おかしい…護衛は…護衛機はどうした!?)

 

専用機の護衛には近衛兵団の最新鋭戦闘機16機が付いていたはずだ。

護衛に専念するにしても、基地が一方に攻撃されるのを座して見ているのもおかしな話だ。

 

──ズダァンッ!!

 

「!?」

 

右上の方から響く致命的な爆発音…そして窓の外に巨大な火の玉が落ちて行くのが見えた。

 

「ま、まさか…!?」

 

最悪の事態を予測するフェルド。

残念ながら、彼の予測は現実であった。




嫁さんとモンハンやりたいんでPS5欲しいんですが、一番安いモデルでも7万近くとは中々やばいですよね
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