異世界の航路に祝福を   作:サモアオランウータン

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明日はいよいよ生放送!
さて…誰が来るのか今からワクワクしますねぇ!


305.Operation: Golden Fleece Ⅷ

──中央歴1643年1月16日午前10時、バルクルス基地要塞司令部──

 

「なんだと!それは本当か!?」

 

異世界連合軍による電撃的奇襲により滑走路や格納庫、レーダーに高射砲をことごとく破壊され絶望的な表情を浮かべていたガオグゲルであったが、通信士からの報告によってその表情は幾分か和らいだように見える。

 

「はい、間違いありません!敵機を撃墜したようです!」

 

「ぃよぉぉぉぉしっ!」 

 

喜色を滲ませる通信士からの再度の報告を受け、ガオグゲルは飛び上がりそうな程に喜んだ。

敵機は凄まじい速度を持ち、如何なる手段かは分からないが近衛兵団のアトリア戦闘機を瞬く間に殲滅した。

そんな未知の戦闘機を撃墜したとなれば、その残骸や脱出したパイロットを確保する事でより効果的な対抗策を見出せるかもしれない。

そう考えたガオグゲルは直ぐ様命令を下そうとするが…

 

「ガオグゲル、今直ぐに歩兵部隊を出せ!敵パイロットを捕らえるのだ!」

 

不躾にも司令部のドアをノックもせずに開け、ずかずかとガオグゲルに迫りながらそう述べたのは、近衛兵団の『アウル・ビーツ』であった。

近衛兵団はバルクルス基地のような一定の規模を持つ基地に対して『監査官』と呼ばれる将校を派遣しており、軍が怪しい動きをしていないか、帝国に不利益となる行動をしていないか、優等人種バルカス民族として恥ずべき事をしていないか、といわゆる政治将校のような仕事を任せている。

そしてそんな権限があるものだから監査官は基地司令クラスの軍将校よりも立場が上であり、しばしば近衛兵団の都合によって基地戦力を振り回す事も珍しくはない。

 

「アウル監査官、こちらもそのつもりです。今から命令を下そうと…」

 

「よし、では早く捕らえろ!敵パイロットを捕らえ、カバル殿下を攫った報いを受けさせるのだ!」

 

「報いを…?」

 

「当然だ!敵パイロットを拷問し、情報を引き摺り出した上で帝国の未来を担うカバル殿下を攫った報いとして公開処刑するのだ!」

 

「ちょっと待ってください!捕虜交換でカバル殿下を取り戻すという手も…」

 

「ならん!バルカス民族は1人で他の劣等種100人分の価値がある…皇族の、しかも皇太子であるカバル殿下ともなれば劣等種10万人でも足りないぐらいだ!貴様は劣等種1人とカバル殿下が同じ価値だと言いたいのか!?」

 

アウルの言葉にガオグゲルは閉口した。

確かにガオグゲルもバルカス民族以外の民族なぞ価値が無いとは思っているが、それはあくまでもバルカス民族からの視点だ。

他民族からすれば同胞の、それもあれほどの高性能機のパイロットを任せられる程の人材であれば、上手くすれば捕虜交換でカバルの返還とまでは行かずとも、今後の外交交渉で何かしら優位に立つ事が出来るかもしれない。

そんな可能性を捨ててまで報復に拘るとは…しかし、立場上それ以上とやかく言う事は出来ない。

 

「分かれば良いのだ。よし、では貴様の部下を使って早いとこ捕らえろ。もちろん、捕らえた敵パイロットは我々に引き渡すように」

 

「……了解」

 

自身よりも低い階級でありながら偉そうに命令するアウルにガオグゲルは内心毒づきながら、歩兵部隊へ出撃を命じたのだった。

 

 

──同日、アルー防衛隊基地──

 

──ビーッ!ビーッ!ビーッ!

 

《敵基地上空にてムー空軍第32戦術戦闘攻撃隊所属機が被弾し墜落、パイロットは脱出し無事の模様。座標は北11の東5付近。パラレスキュー、第45空中機動騎兵は速やかに出撃せよ》

 

緊急事態を伝えるブザーとアナウンスが鳴り響く中、アルー防衛隊基地に併設された野戦飛行場のヘリパッドを兵士達が駆け回る。

 

「燃料よーし!武装搭載、安全ピンよーし!」

「エンジンチェック!よろしいか!?」

「回せー!」

 

──ヒュンヒュンヒュンヒュン…ヒィィィィィィン…ババババババババッ!

 

スターター車の補助を受けてエンジンを作動させたUH-1汎用ヘリコプター。

それに空挺資格と医療資格の両方を持つ、謂わば空挺衛生兵であるパラレスキューが乗り込む。

 

「ガイ!」

 

UH-1に乗り込もうとするのはトーパ王国出身のガイであった。

彼はパ皇との戦いに置いて空挺部隊に所属し活躍していたが、傭兵の性なのか特技があればもっと給料が貰えると聞いて、必死で勉学に励んで看護師並みの医療技術を得るに至ったのである。

 

「モア?」

 

そんなガイに声をかけたのは幼馴染であり、今はトーパ王国軍のロケット砲兵部隊の隊長を務めるモアであった。

 

「敵地のど真ん中に行くんだろう?心配だから顔を見ておこうと思ってな」

 

「おいおい、心配し過ぎだろ。敵の対空砲はあらかた撃破したって話だし、心強い護衛も居る。心配するなよ」

 

そう言ってガイがクイッと顎をしゃくって指した先には、2機のヘリコプターの姿があった。

その2機はコッペパンを思わせる胴体を持つUH-1とは大きく異なり、胴体の左右幅が狭く、側面には小さな翼を生やした如何にも輸送には使えなさそうなヘリコプターである。

しかしこれこそが今回のようなヘリコプターを用いた空挺作戦の要である攻撃ヘリコプター『AH-1』なのだ。

機首には40mm自動擲弾銃をターレットに搭載する形で装備し、胴体側面の小翼には19連装70mmロケットポッドと、7.62mmガトリングを収めたガンポッドを2基ずつ搭載している。

これだけの火力があれば歩兵はもちろん、戦車とて軽々と蹴散らせるであろう。

本機はそんな火力とヘリコプターとしての特性を活かし、輸送ヘリコプターを護衛するのだ。

 

《こちらオニヤンマ1、離陸する》

 

《同じくオニヤンマ2、離陸する》

 

──バタバタバタバタバタバタ…

 

ローターが空気を叩く音を鳴らしながら2機のAH-1が離陸する。

この基地からバルクルス基地までは直線距離でおよそ30km、対してAH-1の飛行速度は300km/h程度…何の問題も無ければ、10分足らずで到着する筈だ。

 

「ガイ中尉、我々も出発しましょう!」

 

「おう!……よし、それじゃあ俺は行くよ」

 

「ああ、無事でな。こちらも上からの許可が出たら手助けするよ」

 

そんな言葉を交わしながら力強く握手をするガイとモア。

確かな友情で結ばれた2人は互いの無事を祈りながら、自らの責務を果たす為に背を向けあったのであった。




Ⅹまでに終るかな…?
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