異世界の航路に祝福を   作:サモアオランウータン

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どうにか10話で終わらせたくて駆け足気味になりましたが、ゴールデンフリース作戦、これにて終了です!


307.Operation: Golden Fleece Ⅹ

──中央歴1643年1月16日午前11時、バルクルス基地上空──

 

「こちらパラレスキュー、要救助者を確認した。周囲に敵戦力を確認、攻撃を頼む」

 

《こちらオニヤンマ1、こちらでも要救助者を確認。敵戦力との距離が近い、ミニガンで排除する。オニヤンマ2、ランディングゾーンに接近する敵戦力の排除を》

 

《オニヤンマ2、了解》

 

UH-1のキャビンドアを開け、地上を確認するガイは腕が千切れんばかりに手を振るテレボの姿に胸を撫で下ろすと、護衛を務める2機のAH-1へ攻撃を要請した。

着陸しての機内への収容作業は無防備となるため、敵は可能な限り遠ざける必要があるからだ。

 

──ヴヴヴヴヴヴッ!ヴヴヴヴヴヴッ!

 

AH-1のスタブウィングに吊り下げられたガンポッドに内蔵された7.62mmガトリングことミニガンが、毎分4000発という発射速度に起因する布を引き裂くような銃声と共に、地上へ鉛玉の雨を降らせらる。

するとヘリの出現に驚き、固まってしまっていた敵兵はバタバタと倒れて行き、それに気付いた者は一目散に逃げ出して行く。

しかし、それを見逃してやる義理は無い。

 

──ボボボボボボッ!

 

もう1機のAH-1が機首ターレットに装備された40mmグレネードランチャーから榴弾を連射し、着弾地点に爆風と破片を撒き散らして敵兵に死を与えた。

軽迫撃砲に匹敵する榴弾が降り注ぐのだから、敵兵もさぞ驚いただろう。

持っていた小銃を放り出し、全速力で逃げ出すがAH-1は300km/hもの速度で飛行する…人の足で逃げられる訳がない。

 

──バシュゥンッ!

 

ならばと塹壕に飛び込み、ヘリが飛び去るのを待つ者も居るが、AH-1はホバリングして機体の向きを変えると、敵兵が集まった塹壕へロケット弾を撃ち込んだ。

常識がまったく通じないヘリの挙動を前に、彼らは次々と倒れて行き、気付けばもはや向かってくる者は居なくなっていた。

 

──バタバタバタバタバタバタ…

 

安全を確認したUH-1がテレボの近くに着陸する。

 

「大丈夫か、貴官の所属と名前は!?」

 

「はっ!ムー空軍第32戦術戦闘攻撃隊、緑の2番!テレボ・ハウス准尉であります!」

 

ガイの問いかけにテレボはハキハキと答える。

どうやら意識も思考もはっきりとしているらしい。

これならば担架に載せなくても良いであろう。

 

「痛むところは?」

 

「足が…酷く痛んで歩けません!」

 

テレボからの返答を受け、ガイは彼の足元を確認する。

ここまで足を引き摺って這ってきたらしく泥だらけではあるが、見るからにおかしな方向に曲がっていたり、出血したりという事は無い。

おそらくは捻挫か、軽い骨折であろう。

 

「肩を貸す、立てるか?」

 

「はい…いっ…!」

 

肩を貸して立ち上がらせても足の痛みを訴えるだけだ。

これなら問題は無いだろう。

 

「よしっ…上がれ!さっさとここからおさらばだ!」

 

テレボをキャビンに乗せ、一旦辺りを見回して安全を確認したガイはパイロットに上昇を指示した。

 

「了解!振り落とされんでくださいよ!」

 

パイロットもガイとテレボが乗り込んだ事を確認すると、機体を前に進めつつ上昇させた。

 

《こちらオニヤンマ1。司令部からの命令で撃墜機の破壊を命じられた。そちらにはオニヤンマ2を付ける、先に行ってくれ》

 

「了解だ。気を付けてくれよ」

 

黒煙を上げて炎上する撃墜されたアクアホークへと向かうAH-1を見送り、ガイはテレボを横目に見る。

 

「あぁ…相棒…すまない…」

 

ロケット弾と榴弾を撃ち込まれ、激しく爆発し炎上するアクアホーク…それをテレボは名残惜しそうにいつまでも見つめていた。

 

 

──同日、キールセキ基地臨時作戦司令部──

 

「パイロット救出確認、第45空中機動騎兵所属機、作戦領域より離脱…救出成功です!」

 

通信士からの報告に司令部が沸き立つ。

敵地の真っ只中で撃墜されたパイロットの救出…今までは歩兵部隊が直接出向いて救出するしかなく、それには膨大な時間と危険が伴っていた。

しかし、アズールレーンはヘリコプターという新たな兵器を用いてものの数十分で救出を完遂してみせたのだ。

 

「すごい…これは革命だ!パイロットだけじゃない!最前線で取り残された部隊の救出だって出来る!」

 

そんな中、一際色めき立つのは当基地の司令官であるホクゴウだ。

彼は陸軍の将軍として実地と机上、両演習を幾度も経験しているが、突出したり包囲された部隊は諦めねばならない状況を幾度となく味わってきた。

無論、大局の為にはそうせねばならないのは分かってはいるが、それでも訓練を積んだ兵士を失う損失と、精神的な負い目はそう割り切れるものではない。

しかし、ヘリコプターがあれば解決だ。

確かに制空権の確保や対空兵器の排除といった下準備は必要だが、ある程度の平地さえあれば離着陸可能なヘリコプターの存在は、陸軍戦力のより柔軟かつ素早い行動を可能としてくれるだろう。

 

「こうしちゃいられない!今回の件を報告書に纏めて、上にヘリコプターの重要性を認識させなくては!君、私は急用が出来たから席を外すぞ!」

 

「ホクゴウ閣下!?」

 

手近に居た兵士にそう述べたホクゴウは、並べられた長机をスルスルとすり抜けながら自身の執務室へと向かった。

後に彼の報告書はムー軍部全体に伝わり、ヘリコプター部隊が新設された事でホクゴウはムーヘリコプターの父と呼ばれる事となるが、それはまた別の話である。

 

「アマゾニア、第32戦術戦闘攻撃隊、VF-92、全機の作戦空域離脱を確認…ゴールデン・フリース作戦、成功です!」

 

「まだだ、まだ皇太子専用機が着陸し、皇太子を五体満足で確保するまでは気を抜くな。だが…作戦はほぼ成功だ。諸君、お疲れさん」

 

釘を刺しつつ、指揮官は司令部全体を見渡して作戦に関わった全員に労いの言葉をかける。

それを受けその場に居た者はホッとしたように脱力し、長机に突っ伏したり、立ち上がって伸びをしたりし始めた。

 

「何人か警備を呼んでくれ!皇太子を出迎えてやろう」

 

「分かりました。……フレッツァ閣下、アルーからの入電です。国境に砲兵隊を展開したので攻撃しても構わないか、と…」

 

「あの基地に届くならトーパの砲兵隊か。よろしい、ただしロケット砲のみの攻撃に留め、速やかに撤収せよ」

 

「はっ」

 

命令を伝達する通信士に背を向けると、デスクに置いていた古めかしいリボルバーをホルスターに挿し、指揮官は飛行場へと向かうのであった。

 




グ帝との大海戦に大和を出したいので、アズレン8周年が来るまではどうにか引き伸ばしますのでご了承下さい
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