異世界の航路に祝福を   作:サモアオランウータン

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イベントと並行して行っていたヒューストンⅡ掘り、完遂しました!
やっと図鑑100%ですよ…


332.超空の巨星【2】

──中央歴1643年2月28日午後2時、ロデニウス大陸北部沖──

 

いくつかの雲が眼下に見える空を飛ぶグティマウンの大編隊。

高度12000mを悠々と南へと向かって飛ぶ姿はグラ・バルカス帝国の国力を何よりも象徴しているかのようだ。

 

「作戦部長、もうじきロデニウス大陸です。与圧システムは…」

 

「ん?あぁ、与圧はそのままで良い。どうせ劣等種は迎撃出来ないのだからな」

 

大編隊の中心に位置する1番機内で副官からの問いにアーリはそう応えた。

与圧キャビンは高高度での飛行においても酸素マスクや防寒具を必要としないためグティマウンのような機体では必要不可欠と言っても過言ではないが、欠点も存在する。

与圧キャビンは言ってしまえばパンパンに膨らんだ風船…もちろん金属外皮であるため針で突いただけで破裂するような事はないが、被弾による被害は非与圧機よりも甚大になる傾向にある。

故に目標近くに到達した時点で与圧を解除する必要があるのだが…12000mという高みを飛んでいる自分達を迎撃出来る訳がないと高を括っているアーリは快適さ優先で与圧したままにする事を命じた。

 

「はぁー…はぁー…」

 

「おい、どうした?」

 

「いえ、風防に汚れが…さっきまで気付かなかったんですが、いくら拭いても取れないんです。外側に付いているようです」

 

呼気を窓に吹き掛け、布で擦る操縦士はアーリの問い掛けにそう答えた。

確かによく見れば前方を見渡せる防弾ガラス製風防の中央やや上に黒い点がある。

 

「……ん?それは…汚れなのか?」

 

何の汚れだろうか…そんな他愛もない事を考えながら黒点をぼんやりと眺めていたアーリだったが、その黒点は徐々に大きくなっているように見える。

それは汚れというよりは真正面から何かが近づいて来るような…

 

「いや…待て待て待て待て!?まさか…そんな筈は…!?」

 

とある一つの可能性に行き着き、アーリは酷く狼狽する。

しかし、その可能性はすぐに肯定される事となった。

 

──ゴォォォォォォォッ!

 

「うぉぉぉぉぉっ!?」

 

高高度は空気が薄く、必然的に音や風は地上よりも伝わりにくい。

だというのに"それ"が直上を通り過ぎた瞬間、機内に轟音が鳴り響き、機体が揺さぶられる。

おそらく"それ"は相当な速度が出ているのだろう。

 

「なっ…なんだ!?」

 

《未確認機、反転します!迎撃しますか!?》

 

尾部銃座から機内電話で呼びかけられ、アーリはすぐさま返答する。

 

「無論だ!撃墜せよ!」

 

《了か…速い、もう来た!?》

 

──ドドドドドドドッ!!

 

尾部銃座はもちろん、背部銃座も動員し未確認機を迎撃するグティマウンの編隊。

本機の防御銃座は威力に優れる20mm連装機銃かつ、自機の速度や姿勢を算出してレティクルを表示する機能により高い命中率を誇るが、未確認機のあまりのスピードによって放たれた弾丸は全て空を切った。

 

「あれは…!」

 

来たルートをそのまま辿るようにして引き返した未確認機は必然的に1番機の直上を飛び去ったのだが、その際に一瞬だが未確認機の主翼に描かれた赤白黒の3色が塗られた円形の識別マークをアーリは目撃した。

彼の記憶が正しければそれは…

 

「ロデニウス連邦!?バカな…奴らはこの高度をあれだけの速度で飛行する航空機を保有しているのか!?」

 

──ドゴォンッ!!

 

アーリが顔を青くし、頭を抱えて天を仰ぐと同時に先頭のグティマウンが爆発し、炎上しながらバラバラになって落ちていった。

最早彼らは遥かな高みから破壊を降らせる審判者ではない。

少々高く飛ぶ、大きな的であった。

 


 

──同日、同空域──

 

高度12000m程の空を単機で飛ぶ1機の戦闘機。

そのコックピットでパイロットのマールパティマはレーダー画面に視線を落としていた。

 

「あれか…まだ姿は見えないが、かなりの数だ」

 

レーダー画面にはいくつもの光点が映し出されており、彼はそれに圧倒されている様子だ。

しかし、恐れは無い。

何故なら彼が駆る戦闘機の性能からすれば事前に聞かされていたグ帝爆撃機の予想性能はあまりにも脆弱なものであるためだ。

 

「よし…司令部、未確認機をレーダーで捕捉した。目視確認の後、迎撃に移る」

 

《バット1、了解。グラ・バルカス帝国、或いはリーム王国の識別マークがあれば敵機だ。無いとは思うが、第三国の航空機だった場合は所属と目的を聞いてお引き取り願え》  

 

「了解」

 

デジタル通信により司令部と交信したマールパティマは新たな愛機のスロットルレバーを操作し、加速させる。

 

──ゴォォォォォォォッ!

 

機体の尾部から青い炎がバーナーのように噴き出し、ぐんぐんと加速し、速度計の針がグルグルと回って時速2700kmを指す。

ロデニウス連邦空軍では飛行停止措置等に備え3機種の戦闘機を配備しているのだが、それぞれ性格は異なる。

まず主力である多目的戦闘機、そして前者を補完する為の低コスト軽戦闘機、最後にとにかく上昇力と速度を重視した迎撃戦闘機…その内、マールパティマが駆るのは迎撃戦闘機である『Mig-25』だ。

本機は北方連合で開発された機体でニッケル鋼やチタンを多用した耐熱性の高い機体に高出力ターボジェットエンジンを搭載しており、その最高速度はマッハ3.2にもなる。

更には迎撃戦闘機として開発された事もあり、実用上昇限度は20000m以上、搭載するレーダーは80kmの探知距離を持ち、ECMにも打ち勝てる程の出力を持つ。

無論、そんな機体スペックをフルに引き出す為の武装も抜かりはない。

セミアクティブレーダー誘導空対空ミサイルを4発装備する他、パイロットからの強い要望によってM61バルカンを装備している。

しかし、いきなり攻撃はしない。

既にグ帝とリームとは戦争状態にあるが、万が一第三国の航空機だという可能性もあるため、迎撃部隊からマールパティマが先行して目視確認する事となっているのだ。

 

「……あれか。識別マークは…」

 

約マッハ2.3もの速度を出していれば80kmなんてあっという間だ。

眼下に展開した編隊を構成する爆撃機を目視で確認し…

 

「赤丸と白十字!間違いない、グラ・バルカス帝国だ!」

 

あっという間に編隊を飛び越してしまうが、それでも特徴的な識別マークは見て取れた。

しかし、もう一度だけ確認すべく反転し、再びアプローチをかける。

 

「撃ってきたな。被弾しないように気を付けないと…」

 

爆撃機が防御機銃を打ち上げてくるが、Mig-25の圧倒的速度のせいで照準を合わせられないのか、遥か後方の空を撃っている。

 

「撃ってきたし、識別マークも間違いない。司令部、未確認機はグラ・バルカス帝国機と確認した。おそらく識別名GBだと思われる。これより迎撃行動に移り、敵機を撃墜する」

 

《バット1、了解。他の迎撃機にも確認出来たと伝える。一番槍は任せたぞ》

 

「了解、責任重大だな」

 

そんな軽口を叩きつつ再び反転したマールパティマはミサイルシステムを起動させ、正対した敵機をロックオンする。

 

「俺達の仲間をあんな風に殺しやがって…食らえ、敵討ちだ!」

 

ロックオンが完了した電子音が鳴り響くと同時にミサイルを発射する。

 

──バシュゥゥゥゥゥ…

 

主翼のパイロンから切り離されたミサイルが白煙の尾を引きながら慣性誘導によって目標近くまで飛翔し、ロケットモーターが燃え尽きた後は惰性で飛翔しながら母機が発したレーダーの反射波をシーカーで感知、レーダー反射源である敵機ことグティマウンへと向い…

 

──ドゴォンッ!

 

マッハ4.5もの速度で飛翔するミサイルを大型爆撃機が避けられる筈もなかった。

近接信管により炸裂した70kgもの弾頭は無数の破片を撒き散らし、その破片はグティマウンのコックピットへと横殴りの雨のように襲いかかり、外皮を突き破った事で与圧キャビン内の空気が一気に排出、それによる急激な圧力変化によって機体は致命的な破壊を受け、火災を起こしながら墜落していった。

 

「まだまだ選り取り見取りだな。撃墜スコアを奪い合わなくて済みそうだ」

 

新たな敵機にロックオンしながらマールパティマはそう呟くのであった。

 




ところで今回のミニゲーム、時間が溶けますね
私は樫野をやっと作れるぐらいで、サラトガまでは程遠いです
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