異世界の航路に祝福を   作:サモアオランウータン

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そう言えばそろそろブラック★ロックシューターコラボですね
個人的にはブラック★ゴールドソーが出ないのが少し残念ですが…まあ、第二弾に期待しましょう


334.超空の巨星【4】

──中央歴1643年2月28日午後3時、ロデニウス大陸北部沖上空── 

 

《こちら迎撃飛行中隊、ミサイルは撃ち尽くした。これより近接戦闘に移ろうと思うが…》

 

「おいおい、こちらにも活躍させてくれよ。訓練の成果をお披露目したいんだ」

 

マールパティマの通信に応答したのは、後方から追い付いてきた小柄な機体を駆るムーラであった。

Mig-25よりも遥かに小柄で、シンプルなその機体は連邦空軍が採用している3機種の戦闘機の内の一つ、『F-5 フリーダムファイター』だ。

本機はそもそも同盟国の防衛力強化の為に廉価な導入・運用コストを目指して開発された軽戦闘爆撃機であるが、その優秀な性能から連邦空軍でも頭数を揃える為に、或いは複座型を高等練習機として採用している。

 

《しかし、儀仗隊まで動員する事になるとはな…》

 

「主戦場は第二文明圏だ。本土防衛に大戦力を割いてはムー支援に支障が出る」

 

ムーラはそもそも儀仗隊であるのだが、一線級部隊の多くがムー支援に動いているため、その穴埋めとして儀仗隊も本土防衛要員として駆り出されているのだ。

しかし、だからといって数合わせ要員ではない。

彼らとて立派に兵士として訓練は受けているし、ムーラに至ってはキャリアアップの為にアクロバット飛行隊を目指して超音速機パイロット資格まで取得して猛訓練を積んでいるのだ。

 

《それもそうだな。では敵編隊への突撃は頼めるか?》

 

「もちろんだ。そちらの機でドッグファイトは難しいだろうからな」

 

《その通りだ。代わりと言ってはなんだが、編隊から離れた敵機はこちらで対処する。思う存分スコアを稼いできてくれ。こちらはもう全員エースみたいなものだ》

 

「配慮に感謝する」

 

ムーラの言う通り、Mig-25は高速で上昇し敵爆撃機及び偵察機をミサイルで迎撃するというコンセプトで開発された為、格闘戦は不得手だ。

もちろんバルカンを装備しているため一撃離脱戦法を駆使すれば出来なくはないが、そうすると攻撃の機会は少なくなり、燃料を消費して帰還を強いられる。

一方F-5は小柄な機体に強力なエンジン、そして主翼前縁付け根から伸びるストレーキのおかげで極めて高い運動性を持つ。

そういったそれぞれの機体特性を考慮した結果、F-5が編隊への突撃、Mig-25はそれから逃れた敵機を遊撃するという役割分担をする事となったのだ。

 

「よし…各機、敵機からの銃撃と衝突には注意しろよ!突撃だ!」

 

部下達に無線で檄を飛ばすと、ムーラは自機のアフターバーナーを点火し、先陣を切った。

 

──ゴォォォォォォォ…

 

機体は徐々に加速し、敵編隊が目視出来る頃には音速を突破していた。

 

「ふんっ!」

 

敵編隊の直上を一度フライパスし、緩く左旋回をしながら上昇しつつ機体をロールさせる。

F-5は主翼スパンが短いためロール性能は良好であり、ストレーキから発生する渦状気流が主翼の気流剥離を防いでくれるため、高高度で急激な機動を行っても揚力を失う事はない。

 

「……あれだ!」

 

フライパスの瞬間に吟味していた敵機に向かって急降下する。

計器盤の上に置かれたハーフミラーに投影されたレティクルは小刻みに揺れ、敵機との距離が表示されていた。

F-5は輸出向けではあるが、連邦空軍の独自仕様として空中給油装置やレーダーの装備が施されている。

特にレーダーは探知距離20km程度でミサイル管制能力が無い廉価モデルだが、機銃の照準を補助する測距機能を持つ。

それに加えて見越し角照準装置も組み合わせれば…

 

──ドドドドッ!

 

機種に装備された2門の20mm機銃が火を吹き、狙い通り敵機の主翼根元に着弾、主翼内の燃料タンクに引火して爆発を起こし、主翼が脱落してそのまま墜落していった。

比較対象が無い空では距離感を掴みにくく─特に大柄な爆撃機相手なら尚更─加えて衝突の危険から、機銃の有効射程に入らない内から射撃してしまうという事が多々ある。

しかし、レーダーを用いた測距により正確な彼我の距離を知る事が出来れば、衝突を回避しつつ有効射程内からの効率的な射撃が可能なのだ。

 

「一つ、次!」

 

1機撃墜しただけではまだまだ足りない。

次なる獲物を駆る為にムーラは操縦桿を目一杯に引き、機体を急上昇させた。

 

(速度は…700まで下がったか。だが高度は1500上がった。エネルギーはまだ保持出来ている!)

 

計器盤に一瞬だけ目を落とし、瞬時に速度計と高度計を読み取るムーラ。

連邦空軍の最新版教本には『エネルギー機動性理論』が取り入れられており、ムーラはそれに則って機体を操っている。

エネルギー機動性理論とは簡単に言えば、『速度を高度に変換、或いは高度を速度に変換する事で機体の運動エネルギーを高い状態で保持する』という考え方だ。

これを熟知し、それに則った機動を行う事で機体は常に高速域か十分な高度を維持する事が出来、敵機よりも優位な位置に付く事が出来るのである。

故にそれを実戦出来ているムーラ機は敵機の防御銃座からの射撃でも捉えられない程の速度を維持し、その速度を高度に変換する事で敵機より高く飛び、最も危険な肉薄射撃時には亜音速で急降下して射撃を回避しているのだ。

 

「あれだ…!」

 

次にムーラが目標としたのは他よりやや高度が高い爆撃機だった。

直上に付けば他機は同士討ちを恐れて撃てないだろうし、なによりこういった場合には自身の直感を信じるべきだ。

しかし、その前に周囲を確認し、味方と同じ目標を狙っていないかを確認するが…

 

「……お?爆弾を捨てたな」

 

その際、敵爆撃機が次々と爆弾を投下してゆくのが見えた。

おそらくは身軽になって逃げるつもりであろうが…あいにくムーラ達は敵爆撃機を逃がすつもりなぞ無い。

その意志を示すかのように、ムーラ機は急降下を始めた。

 

──ヒュンッ…ヒュンッ…ヒュンッ…

 

急降下し始めると敵機の攻撃が直ぐ側を掠めるのが分かる。

しかし、ただでさえ小柄なF-5が断面積の小さい機首を向けて亜音速で突っ込んでくるのだから、そうそう当たるものでもない。

しかもムーラは知る由も無いが、敵爆撃機ことグティマウンの防御銃座は空気抵抗低減や重量削減の為に銃身がやや短いため、弾道特性に難がある。

とは言ってもやっとの思いで上昇し、ヘロヘロになりながら肉薄する機に対しては十分過ぎるぐらいなのだが…あいにく相手は前述した通りだ。

 

「ここ!」

 

レティクルの横に投影された距離計が600mを示した瞬間に操縦桿のトリガーを0.5秒だけ引いては離してを3回行う。

弾薬を節約しつつ、反動により照準がズレる事を避けるためのバースト射撃だ。

 

──ダダダダッ!ダダダダッ!ダダダダッ!

 

ムーラが放った10発程度の20mm弾はグティマウンのコックピットに直撃、ジュラルミン外皮を貫いて内部で炸裂すると操縦士達を殺傷した。

 

「二つ…ん?」

 

コックピット直撃を見届けたムーラは急降下により得た速度を対価に、失った高度を取り戻すべく上昇に転じていたが、後方確認ミラーで先程のグティマウンが妙な動きをしているのが見えた。

風防が内側から血で染まったグティマウンは左右に不規則に蛇行したかと思うと急激に機首を上げ…

 

──ミシッ…ミシッ…バギィンッ!

 

そのまま宙返りするかと思いきや空中分解し、機体の破片や搭載していた燃料、爆弾を空にぶち撒けた。

おそらくは瀕死、或いは死亡した操縦士や副操縦士を退かそうとして操縦桿やらラダーペダルやらに当たってしまいそうなったのだろう。

しかし、被害は件の機だけには留まらなかった。

 

──ドンッ!ドンッ!ドゴォンッ!

 

「う…うわぁ…」

 

件の機は他より高度を取っていたため、飛散した破片や爆弾は重力に引かれて落下し、後続機に降り掛かったのだ。

ある機は裂けた主翼が胴体に刺さり、またある機は落下してきたエンジンに機首から突っ込み…挙句の果てには爆弾が胴体を貫通して炸裂したり…少なくとも10機が巻き込まれ、墜落していった。

 

「は、ははは……これ、撃墜スコアになるのかな?」

 

巻き込まれない為に上昇し、旋回して待機するムーラは眼下で繰り広げられる破壊を前に乾いた笑いを漏らすしか出来なかった。

 

 




書いてて思いますけど、爆撃機の編隊を殲滅するのって手間ですよねぇ…
やはり核搭載空対空ロケット弾…!
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