異世界の航路に祝福を   作:サモアオランウータン

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更新が遅れてしまい申し訳ありません

やっぱり育児と仕事の隙間で執筆するのは大変ですねぇ…


339.巨人の骸【4】

──中央歴1643年3月1日午前5時30分、リーム王国西部──

 

「敵部隊の進撃が止まりません!」

「第二高射砲陣地で爆発!通信途絶!」

「警備大隊はどうなった!?」

 

司令部施設は正に混乱の坩堝であった。

まさか飛行場の場所を特定されているとは思ってもみなかった上に、空挺部隊による直接攻撃に晒されるなぞ夢にも思わなかったからだ。

その上、"精鋭"としての空挺部隊の概念を持たない彼らからしてみれば、夜明け前の暗闇の中で的確な攻撃を行うとなれば最早対処のしようが無い。

しかしながら万が一に備えて警備大隊が本飛行場に配置されているのだが…

 

「報告!警備大隊本部にて爆発が!」

 

「なんだと!?」

 

這々の体で転がり込んできた近衛兵団員からの報告を受け、アーリは顔を青くしながらも電話機を取り、警備大隊本部と繋げた。

 

「こちら司令部!警備大隊、応答せよ!警備大隊!……クソッ!」

 

しかしながら返ってくるのはホワイトノイズのみ。

おそらくは敵部隊に存在するらしい戦車の攻撃によって建屋ごと大隊本部が崩壊したのだろう。

 

「これではオーレン大隊長も無事かは分からん…仕方ない。これより警備大隊は私が指揮する!迫撃砲小隊は健在か?」

 

「確認します。……迫撃砲小隊か!?大隊本部壊滅により、緊急でアーリ大佐が指揮を執られる。……そうだ、オーレン少佐は消息不明だ」

 

「照明弾を打ち上げろ」

 

「はっ…聞こえたか?よし、照明弾を打ち上げて敵部隊を照らすんだ。そして……」

 

「代われ。アーリだ。警備大隊は残存する高射砲陣地と連携し、敵戦車を優先して攻撃せよ」

 

飛行場には特殊殲滅作戦部麾下の高射砲中隊が75mm高射砲陣地を4つ、40mm高射機関砲陣地を8つ構築している。

この内75mm高射砲はその口径もさる事ながら高空に砲弾を正確に届ける為に高い初速を持つ。

それを活かして本砲は近衛兵団専用重戦車の主砲に使われており、高射砲にも装甲目標用の徹甲榴弾が若干数配備されている。

陸軍のハウンド戦車の正面装甲を1.5km先から貫徹出来る本砲ならば敵戦車を撃破する事は容易だろう。

 

「奴らは空挺降下してきた。という事は予備戦力を投入してくる事は無いはずだ。ならば現状の敵戦力の勢いを削げば此方が有利になる」

 

防衛の要である警備大隊本部が壊滅した事は痛手だが、まだ戦力はある。

敵を殲滅しなくとも攻勢を挫いてやれば後はどうとでもなるだろう。

 

「作戦部長、警備大隊より上空の敵機を排除するよう要請が届いております」

 

「敵機だと?」

 

「はい。どうやら連中は輸送機に機銃を搭載し、上空を旋回して地上を掃射しているようでして…」

 

「輸送機から?なるほど…対歩兵に特化した攻撃機という訳か。だが輸送機ならば戦闘機の敵ではない。もうじき明るくなる頃合いだ。迎撃機を上げろ!」

 

「はっ!」

 

夜明けは近く、照明弾を間断なく打ち上げている影響で辺りは仄かに明るい。

近衛兵団が誇る精鋭パイロットの腕なら鈍重な輸送機を撃墜する事は容易であろう。

 

「我々の戦闘機を目にすれば敵部隊は恐れをなす筈だ。まさかこんな僻地まであの化け物のような戦闘機を連れてきている筈は…」  

 

──ドゴォォォォォンッ!

 

「……は?」

 

どうにか勝ちの目がうっすらと見えてきた事で余裕が生まれたアーリであったが、窓から見える爆炎により彼の顔は炎とは真逆の真っ青になってしまった。

 


 

──同日、リーム王国西部上空──

 

上空を旋回する4機の戦闘機…輸送機を護衛すべく随伴してきたトーパ王国空軍のYe-9は機首レドーム下に搭載されたIRST(赤外線捜索追尾システム)により、滑走路に現れた敵戦闘機の姿を察知した。

 

「こちらスワロー3、敵戦闘機を滑走路上に確認。指示を」

 

《こちらスワロー1。アズールレーンからは敵戦闘機を鹵獲するよう要請があったが、こうなれば仕方ない。貴機に任せる、撃墜せよ》

 

「はっ」

 

スワロー3ことカルアミーク王国近衛騎士団長ラーベルはIRST表示画面と高度計を注視しながら急降下する。

Ye-9にはAIM-7を2発搭載しているが、レーダーのルックダウン能力が無く、故にシュートダウン能力も持ち合わせていない。

そのため、IRSTにより敵戦闘機から出される排気の熱を感知しつつ、地面にぶつからないように高度計を確認しながら離陸しようとする敵戦闘機に接近する。

 

「よし…ここだ!」

 

──ドドドドドドドドッ!

 

適当な距離と判断しトリガーを引くが、その大部分は地面を穿つのみ…しかし、1発だけが直撃した。

 

──ドゴォォォォォンッ!

 

30mmという大口径弾の直撃を食らえば大型爆撃機でも無事では済まない…戦闘機なら尚更だ。

敵戦闘機は離陸した瞬間に右翼付け根に被弾し、爆発炎上しながら滑走路へと叩きつけられた。

 

《おめでとう、スワロー3。初スコアだな》

 

「ありがとうございます」

 

ラーベルはカルアミーク王国でのクーデター未遂事件後、より進んだ軍事技術や戦術を学ぶ為に、現在は身分を伏せてトーパ王国空軍の1パイロットとして活動している。

そして本作戦が彼のパイロットとしての初陣でもあるのだ。

 

「しかし、徐々に明るくなってきました。このままでは敵戦闘機が上がってくる可能性が…」

 

《そうだな、仕方ない。ガンシップによる格納庫攻撃を要請しよう。この作戦は飛行場確保が最優先…敵戦闘機の飛行を許せば空挺部隊への被害が出るかもしれない。そうなれば作戦目標を達成出来ない》

 

「了解」

 

小隊長からの言葉を受け、ラーベルは愛機を上昇させた。

するとそれから僅かな時間を置いて、上空を旋回しているガンシップが攻撃を始めた。

 

──ブォォォォォォォォッ!

 

4門のバルカンが火を噴き、地上に建ち並ぶ格納庫の一つ…戦闘機用と思われる格納庫へ20mm砲弾の雨を降らせ、薄いトタン屋根をボロ切れのように破壊し尽くし…

 

──ドゴォォォォォンッ!

 

内部から爆発し、格納庫が倒壊してしまう。

おそらく内部に置かれていた燃料や弾薬が誘爆したのだろう。

 

「凄いな。これが外の世界の兵器…もっと早く彼らに出会っていれば陛下は…」

 

敬愛する主君を守れなかった苦い記憶を噛みしめるラーベル。

そんな彼を慰めるかのように東側から太陽が昇り、戦場を穏やかに照らしたのであった。

 




そういえばアズレンはそろそろ新しい計画艦と日本版8周年が来ますね
果たして誰が実装されるのか…そろそろ大和が欲しいですね
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