異世界の航路に祝福を   作:サモアオランウータン

348 / 391
というわけでユミアのアトリエコラボ始まりましたね!
私はとりあえず全員入手して、今はアイテム集めの為に周回しつつカンザス建造の為に経験集めしてます

あと計画艦はハウデン・リーウとメークレンブルクの建造を終えてカンザスも絶賛建造中ですが…次は誰にしましょうかね


343.蝙蝠の末路【3】

──中央歴1643年3月1日午前10時、デュロ北部上空──

 

「なっ、なんだあれは!?」

 

デュロ攻撃隊隊長である『コレアイン・ナーシス』は乗機である『ベガ型双発爆撃機改』の機長席で酷く狼狽していた。

 

「皿が空を飛んでいる!自由フィシャヌス帝国にはワイバーンしか居ない筈だぞ!?」

 

彼が知っている自由フィシャヌス帝国とは、かつて存在した列強国パーパルディア皇国がロデニウス連邦との戦争により弱体化し、反政府勢力がその隙にロデニウスの支援を受けてクーデターを成功させた国であり、戦争の影響と何よりロデニウスの傀儡であるため大した戦力を持たない形ばかりの列強国である。

故に戦力はかつてグラ・バルカス帝国が蹂躙したレイフォルと同程度、或いは劣る程度と見積もっており、今回のデュロ攻撃も容易く遂行出来ると考えていた。

 

《被弾した!被弾した!ダメだ…火が…あぁぁぁぁぁ!!》

 

無線から絶叫が響き渡り、離れた位置で火達磨になった護衛機が火を噴き、錐揉みしながら墜落して行く。

護衛機は現在の軍に配備が認められている戦闘機の中でも最高の性能を誇る『アンタレス改』にも関わらずだ。

本機は中堅パイロットであってもベテランが駆るアンタレスを圧倒出来、腕前次第では近衛兵団のみが配備するアルゴル艦上戦闘機やアトリア陸上戦闘機とも渡り合える。

しかし、現状はどうだ。

 

──ブゥゥゥゥゥゥゥンッ!

 

「おぉっ!?は、速い!」

 

至近を過ぎ去った敵機はそのふざけた姿とは裏腹に驚くほど速く、また曲芸機のようにヒラヒラと身を翻しながら飛んでいる。

それを護衛機が追い掛けて行くが、敵機は双発機らしい速度で振り切ってしまう。

 

「南西より敵増援です!」

 

機首銃座にしがみついていた爆撃手が南西を指差しながら冷や汗を垂らしながら報告する。

コレアインも目を皿のようにして南西の空に視線を向ける。

するとやや高い位置にキラキラと瞬くいくつかの飛行物体が確認出来た。

それはプロペラが太陽光を反射している光だ。

 

「あれは…別機種か!ええぃ、今度はいったい何だ!?」

 

徐々に姿がハッキリする新たな敵機…それは皿のような姿をした双発機とは違い、寸詰まりな胴体を持つ単葉単発機であった。

 

「なんだ、何とも古臭い設計だな。あの"皿"は得体が知れないが、アレなら取っ付きやすい。よし、護衛機が皿を引き付けている間に我々であの骨董品をやるぞ!」

 

「はっ!」

 

長い空中勤務の経験からコレアインは新手の脅威度は高くない事を察知した。

およそ30機程の編隊は並びが揃っていない上に、互いをハッキリ視認出来る距離にも関わらず単発機の軽快さを活かして優位な位置取りをする事もしていない。

おそらくは未熟なパイロットが大半なのだろう。

放置する訳にはいかないが、護衛機に頼るような事でもあるまい。

 

「護衛部隊へ。貴隊は空飛ぶ皿を引き付けてくれ。新手に関しては我々で対処する」

 

《はっ、お気を付けて》

 

「よし、撃ち方始め!」

 

「撃ち方始め!」

 

護衛機へ指示した後、敵機が防御機銃の射程に間もなく入るといったタイミングで射撃命令を出し、防御銃座長を兼任する爆撃手が復唱し、間もなく射撃を始めた。

 

──ドドドドドドッ!

 

ベガ双発爆撃機改には機首と胴体左右、尾部に13mm機銃、胴体上面に新型20mm機関砲を搭載しているが、これか中々に優秀だ。

13mm機銃は当てやすいが威力不足であった8mm機銃と威力は抜群だが当てにくい20mm機関砲の中間を目指しただけあって当てやすく十分な威力を持ち、新型20mm機関砲は銃身を伸ばし初速を高めた事で命中率を高めている。

これら優秀な防御機銃と機体そのものの抗堪性によりベガ改は生半可な戦闘機で撃墜する事は難しく、それどころか寧ろ返り討ちにしてしまう程であるのだ。

 

──ボンッ!ゴォォォォォォッ……

 

期待通りに銃撃は命中し、敵機は爆発して燃える燃料の尾を引きながら墜落してゆく。

コレアインが予想した通り新たな敵機は未熟なパイロットが大多数らしく、返り討ちにされた味方を見ると浮足立ったように距離を取り始めた。

 

「よしっ、これなら作戦は安泰だ。後は護衛機が耐えてくれれば…」

 

──バスッ!バスッ!バスッ!

 

「!?」

 

ほっと一息つくコレアインだが、背後から聴こえた身の毛もよだつような怪音が彼の耳に捩じ込まれる。

 

《被弾した!上面と左方銃座に被弾!あぁ…チクショウ!》

 

「上面と左方…?まっ、まさか!?」

 

機内電話から響く胴体右銃座射手の切羽詰まった報告を受け、コレアインは身を乗り出して上空を確認しようとする。

しかし、その必要は無かった。

 

──ブウゥゥゥゥゥゥゥゥゥンッ!

 

左上から右下へと高速で過ぎ去る群青色の影…それは低空で身を翻すと上昇し、再びコレアインの搭乗機へと向かってきた。

 

「うっ…撃ち落とせ!」

 

──ドドドドドドッ!

 

空飛ぶ皿とも古臭い単発機とも違う、小柄な洗練された単発機の姿に嫌な予感を覚えたコレアインは半狂乱になりながらも射撃命令を下すが…

 

「うあっ……」

 

敵機の翼で4つの光が瞬いた次の瞬間、彼の体は熱い鉛玉で刺し貫かれた。

 


 

──同日、同空域──

 

《ダメだ!操縦が効かな…うわぁぁぁぁぁ!》

《脚が…脚が無い!うっ……》

《敵の銃の方が射程があるぞ!これじゃ近付けない!》

 

「落ち着け、無理に当てようとしなくてもいい!敵を怖がらせて爆弾を捨てさせれば十分だ!」

 

無線から次々と鳴り響く味方の悲鳴を治めるべく指示を飛ばすレクマイアであるが、それでも混乱も被害も止まる事はなかった。

というのもレクマイアの部隊は先の戦争を生き残った一線級の竜騎士達であり高性能機を与えられているが、他部隊は戦中に呼び出された予備役や戦後に募集した二戦級或いは新人が多数であり、装備機も建国直後にアズールレーンから供与されたI-16だ。

I-16は確かにワイバーンオーバーロードを上回る性能を誇るが、グ帝の航空機と相対するとなれば力不足感は否めない。

加えてパイロットは前述の通りお世辞にも凄腕とは言えない面々である。

瞬殺されていないだけ御の字であろう。

 

「クソッ…これではジリ貧だ。デュロにも…なんてこった!もうデュロが見えるじゃないか!」

 

敵護衛機の動きに注意しながらも南側に目を向けてみれば、真新しい近代的な街並みとなったデュロが微かに見える。

このままでは敵爆撃機は市街地に爆弾を落とし、人々の尽力によって復興しつつあるデュロは再び瓦礫の山となってしまうだろう。

 

「こうなれば…」

 

護衛機を無視して爆撃機への攻撃を行うしかない。

無論そんな事をすれば護衛機から攻撃され、撃墜されてしまうだろうが爆撃機を1機でも撃墜すればそれだけデュロの被害は減る。

背に腹は代えられないのだ。

しかし、そうなる前に救いの手が差し伸べられた。

 

《自由帝国機へ、上方に注意されたし!》

 

「!?」

 

無線から鳴り響く凛々しい女性の声にぎょっとするが、反射的に機体をバンクさせ、爆撃機への攻撃を中断した瞬間だった。

 

──ダダダダダダッ!

 

レクマイアが攻撃しようとした爆撃機に斜め上からの銃撃が突き刺さる。

 

「あれは…アズールレーンか!」

 

群青色の小柄かつ高速の航空機…その姿はアズールレーンとの合同訓練にて幾度か相対したF8Fベアキャットであった。

それが20機近く飛来し、グ帝の爆撃機やその護衛機に襲い掛かり始めた。

 

《遅くなり申し訳ありません。アズールレーン海軍、ユニオン艦隊所属の護衛空母カサブランカ。デュロ防衛の援護に馳せ参じました》

 

「カサブランカ殿、感謝する。見ての通りジリ貧だ。護衛機は我々が引き受けるので爆撃機を頼めるか」

 

《了解しました。そちらもお気を付けて》

 

レクマイアからの要請を受け、カサブランカが操るベアキャットは敵爆撃機へと殺到し、大威力の20mm弾を正確無比にコックピットや主翼付け根に命中弾を送り込み、瞬く間に撃墜してゆく。

そんなカサブランカ機の腕前を目の当たりにした敵爆撃機は明らか浮足立ち、爆弾を投棄して逃げようとする者も出始めた。

しかし、浮足立っているのは爆撃機だけではない。

 

「なんだ?護衛機の動きが悪くなったぞ」

 

先程から交戦していた敵護衛機だが、明らかに動きが鈍くなり、速度も落ちている。

というのも敵護衛機ことアンタレス改はより強靭な機体強度とより高出力なエンジンを搭載しながらも、運動性はアンタレス並みという要求の元で開発されており、補強材や防弾装備、高出力エンジンにより増えた重量を補う為に燃料搭載量を減らしている。

無論、実用上問題無い航続距離はあるのだが、レクマイア達の粘り強い迎撃によって燃料を消耗してしまい、スロットルを絞らねば帰還も難しい程になってしまったのだ。

 

「よし…これなら…総員、今が好機だ!我々で敵護衛機を殲滅するぞ!」

 

《了解!》

 

部下からの力強い応答と共にレクマイアは護衛機へと突撃した。

 

後世で『第二次デュロ航空戦』と呼ばれるこの戦いは自由フィシャヌス帝国機18機が撃墜されたものの、グラ・バルカス帝国機は爆撃機が40機、護衛機24機全てが撃墜された。

特にアズールレーンの援護あったとは言えグ帝航空隊相手に驚異の粘りを見せたレクマイア達は自由フィシャヌス帝国の底力を見せ、同国が列強に留任した所以を世界に示す事となったのだった。

 




デュロ攻防戦はやや駆け足気味でしたが、本題はリームに対するアレコレなのでご容赦下さい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。