やはり目玉中の目玉ですし、9周年か10周年のリアルイベントで満を持して公開!となるんでしょうね
──中央歴1643年3月5日午前6時、ムー南東沖──
ミレケネス艦隊にとっては正に悪夢のような夜が漸く明けた。
結局、彼女達は再出撃したロデニウス海軍ミサイル艇隊による第二波攻撃、散発的なミリシアル空軍による空襲を数度受け見るも無残な被害を受けたのである。
「ほ、報告致します」
目の下に隈を作り、何処となく老け込んだように見えるデルンシャが士官食堂で開かれた緊急会議の冒頭に口を開いた。
「昨夜午後7時頃より始まった異世界国家軍による我が方に対する攻撃の被害ですが…最も被害が大きいのは駆逐艦です。計280隻の内、193隻が撃沈ないし大破しており、中破以下を含めれば245隻もの駆逐艦が被害を受けました」
「にっ…245…!」
「という事は無傷の駆逐艦はたったの35隻…」
「数だけなら艦隊の半数を食われた事になるぞ!」
艦隊司令部の幕僚達が顔を青褪めさせながら口々に驚愕する。
駆逐艦とは謂わば艦隊の何でも屋だ。
主砲や魚雷を用いた艦隊戦はもちろん、高角砲による対空戦闘やソナーと爆雷を用いた対潜戦闘、撃墜された航空機の乗員救助と言った雑用までこなす縁の下の力持ちである。
そんな駆逐艦が一挙に200隻近く戦闘力を失ったというのは余りにも大きな損害であり、このままだと艦隊戦において余りにも不利であろう。
「加えて戦艦2隻が中破、空母は4隻が大破し2隻が中破、巡洋艦は撃沈が6隻に5隻が中破しております。それと戦闘中に空母と巡洋艦が衝突事故を起こし、巡洋艦が大破、空母が中破ですので…現在、我が方で無傷なのは戦艦10隻、空母27隻、巡洋艦29隻、駆逐艦35隻…潜水艦の状況は不明ですが、戦力となる水上艦隊は当初の367隻から101隻にまで目減りしてしまいました」
それを聞いた幕僚達は自分の耳を疑った。
僅か10時間程の間に艦隊の3分の2以上が被害を受けたのだ。
今までの海戦史上でこのような事は無かっただろう。
これがもし、敵の大艦隊とぶつかり合い、死力を尽くした決戦の末だったのならば納得出来るかもしれない。
しかし敵は魚雷艇級と推測される小船と、航空機だったのだ。
全くもって割に合わない戦いである。
「ミレケネス様、如何なさいますか。幸い、本艦を始めとした主力艦…戦艦も空母も比較的被害は抑えられています。漂流者救助とその護衛としていくらか艦を抽出したとしても十分な戦力が…」
「疲れた…」
本心を噛み殺しながら戦意を見せるデルンシャであったが、彼の言葉に紛れるように…しかしながらその場に居た全員の耳にハッキリとミレケネスの言葉が響いた。
「とても…疲れたな…」
ミレケネスは帝国でも珍しい女性高級士官として、男性に見くびられないように誰よりも気高く、勇ましく振る舞ってきた。
しかし、今のミレケネスはどうだ。
艷やかな金髪はすっかりくすんで乱れ、50代とは思えぬ程に若々しかった風貌は一気に老け込み年相応どころか60〜70代に見えてもおかしくない有様である。
そして心の底から出たであろう弱音…かつて女帝と呼ばれた女傑の姿はそこに無く、ただの疲れ切った初老の女が座っているだけだった。
「ミレケネス様…」
「デルンシャ…私はとても疲れたわ…。少し休んでも?」
「……かしこまりました。何かありましたらお呼び致します」
「……」
無言で頷き、席を立つミレケネス。
しかし、彼女が休息を取れるかどうかはデルンシャ達幕僚だけが決める話ではない。
──ジリリリリリリリリッ!!
《クウェーサより入電!レーダーにて北方約40kmに敵艦隊を捕捉、内1つは低空を飛行する大型機…ミリシアルの空中戦艦と思われる!総員、戦闘配置!》
敵は彼女達に休息を許す事は無く、無慈悲にも艦隊決戦を挑むのであった。
──同日、同海域──
「グラ・バルカス帝国艦隊をレーダーにて捕捉。すでに『天の火』の射程内です」
神聖ミリシアル帝国海軍混成魔導艦隊デス・バール旗艦コスモの艦内でレーダー手がそう告げたのを聞き、艦隊司令長官であるタキオンは満足気に頷いた。
「よろしい。では攻撃を開始…する前にメテオス殿に頼み事をしなければならないな。……メテオス殿、こちらデス・バール司令長官のタキオンだ」
《こちらパル・キマイラ2号機艦長メテオス。タキオン司令直々にとは…例の件でよろしかったかな?》
「うむ。まずは我々が天の火を用いて敵艦隊を攻撃する。貴殿にはその様子を映像等で記録してもらいたい。その後はブリーフィング通り、貴艦と我が方で協働し敵艦隊を攻撃…それでよろしいか?」
《もちろん、それで構わない。此方の記録装置は準備出来ているから、何時でも攻撃を》
「……よかったのか?」
《何が?》
「貴殿と撃沈されたパル・キマイラ1号機の艦長は友人であったと聞く。そんな友人の仇であるグレードアトラスター級を攻撃する役目を果たして我々と折半する形となって良いのか…と」
タキオンの問い掛けにメテオスは淡々と応えた。
《タキオン司令。確かにワールマンの件は個人的には腸が煮えくり返るような思いだ。しかし、私情に任せて愚を繰り返す事はあってはならない…私はそう考えているのだがね》
「承知した。ではこれ以上何も言うまい。……では攻撃を開始する!天の火を点けろ!」
「はっ!」
タキオンの命令を受け、砲術長が応答し、火器管制コンソールを操作する。
「各艦へのデータリンク、目標識別、攻撃目標選定…選定完了!何時でも発射出来ます!」
砲術長からの報告を受け、タキオンは軍帽を被り直して意を決したように口を開いた。
「天の火搭載艦、一斉射撃!奴らに神聖帝国の力を見せてやれ!」
「天の火発射!」
タキオンの命令を受け、砲術長がボタンを押す。
──バシュゥゥゥゥゥッ!バシュゥゥゥゥゥッ!
コスモとユニヴァ、そして4隻の改シルバー級巡洋艦に搭載された発射管から白煙の尾を引いて50発程のロケット弾らしき飛翔体が発射された。
これぞミリシアルの秘密兵器にして悲願である誘導魔光弾…天の火こと『ウルティマⅡ型』である。
このウルティマⅡ型は先行して開発されていた『ウルティマⅠ型』の縮小・簡易版であり、威力と射程はⅠ型よりも遥かに劣る。
しかし、魔帝の空中戦艦や海上要塞といった超兵器を想定し開発されたⅠ型は貴重なレアメタルを使用するため大量配備が難しく、通常兵器に対しては威力過大だと考えられていた。
そこでレアメタルを使用せず、アズールレーンからもたらされた科学技術を応用して開発されたのがⅡ型だ。
斜め上方に向かって発射し、緩い弾道を描いて飛翔しながら慣性誘導による針路補正、最終的には先端部に搭載された小型レーダーにより目標を捕捉して突入するという謂わばアクティブレーダー誘導式対艦弾道ミサイルといった代物であり、弾頭は戦艦主砲弾を流用した800kg徹甲榴弾とし、終末速度はマッハ2以上となるためその威力は戦艦に対しても有効打を与える事が出来る。
もちろん、巡洋艦や駆逐艦に直撃すれば一撃で轟沈してしまうだろう。
正にミリシアルの切り札…そして世界最強の名は伊達ではないと知らしめる性能である。
「行け、天の火!不遜なる野蛮人を焼き尽くすのだ!」
艦内深くに設置された司令室、そこに置かれた大型モニターに映し出されたレーダー表示を見据えながらタキオンは勝利を確信するのだった。
さて、次のイベントは復刻を挟んでコラボか…どのみち10月末にはテンペスタが来るでしょうし、今回のイベントでレキシントンⅡのフラグも建ちましたし、年末はレキシントンⅡでしょうね