異世界の航路に祝福を   作:サモアオランウータン

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もうそろそろ8周年イベントも終わりますが皆さんは新艦は全員揃えられましたか?欲しい着せ替えは買えましたか?
この後は復刻やテンペスタ、コラボが来るはずなので気が抜けませんね


354.女帝の海【7】

──中央歴1643年3月5日午前8時、ムー南東沖──

 

「ウルティマⅡ型、全弾飛翔完了。80%以上が着弾した模様」

 

高度300m程度をゆっくりと飛ぶ空中戦艦パル・キマイラ2号機の艦内で記録係がモニターに映し出された映像を確認しながら淡々と、しかしながらどこか興奮を抑えきれぬ声色でそう報告した。

 

「ふむ…やはりⅠ型程の威力は必要なかったみたいだねぇ。しかし、あの戦艦…グレードアトラスター級は中々にしぶとい。あの図体は伊達ではないという事か」

 

モニターには黒煙を上げながら沈みゆく、或いは大破したグ帝の艦が映し出されているが、その中でも一際目立つ巨艦…クウェーサは見るからに痛手を負ってはいるが、沈みそうにはない。

巨大な艦船というものは膨大な予備浮力を持っており、容易く沈まないように出来ているため当然の事ではある。

その様子にメテオスは半ば感心したようであった。

 

「何、あやつは既に脚が潰れたも同然。拡大して見ろ。キャビテーションが右舷側ばかり強く、航跡がジグザグになっているではないか。あの一撃で機関が破壊され、スクリューが片効きしているのだろう」

 

偉そうな態度で当たり前のように艦長席に座るテュポーンが目を細めながらそう述べた。

流石は魔帝の工作艦KAN-SENと言うべきか彼女は艦艇の損傷を見抜く能力に長けており、今正にクウェーサが機関が破壊され、右舷側の1軸のみでどうにか真っ直ぐ航行している事を見抜いていたのである。

 

「ほう、当たりどころが良かったのかな?」

 

「だろうな。しかし、アレが特別しぶといだけの話…有象無象の艦ならば沈んでいただろう。喜べ、貴様らは漸く魔帝の地方隊に匹敵する力を手に入れたのだぞ」

 

「なんとも反応に困る評価だねぇ。だが今は素直に喜んでおこうかね」

 

果たして喜んでいいのか微妙なラインの評価だが、少なくとも魔帝の力に指先だけでも引っ掛かったのは喜ばしいと言っても良いだろう。

 

「やった…!我々の努力が報われた!」

「毎日のように徹夜した甲斐があった…」

「よーし、更なる改良型の開発に着手するぞ!」

 

事実、戦果確認の為に同乗しているウルティマⅡ型の開発チームの喜びはひとしおだ。

彼らはウルティマⅠ型の開発チームから暖簾分けした形でⅡ型の開発を進めており、開発にあたってはロデニウス連邦やアズールレーンの技術を参考とし、テュポーンをオブザーバーとして日夜デスマーチと言っても過言ではない過密スケジュールにて急ピッチで開発したのだ。

まさに命を削るような日々の中で開発したⅡ型は彼らにとってはまさに我が子同然であり、そんな我が子が実戦という晴れ舞台で大活躍したのだから感極まるのも無理はない。

 

「彼らのやる気は十分…無事に帰す為にもあの艦隊を撃破しなければならないな」

 

「ふぅ…貴様らはあいかわらずパル・キマイラを最前線で使うつもりか?」

 

「もちろん君の話を信じていないわけではないさ。現にこの2号機には君の証言を元にした改修も施されてはいるが…それでも有用な戦力には違いない。貴重な火力を遊ばせておく程の余裕は流石の神聖帝国にも無いのさ」

 

「やれやれ…」

 

メテオスの言葉に呆れ果てたようなテュポーンだが、それ以上何も言わないという事は彼女なりに納得はしたという事だろう。

以前の彼女であれば更に罵倒の1つや2つは飛んできそうなものだが、魔帝に対抗せんと日夜研鑽する人々との交流により幾分か丸くなったのかもしれない。

 

「15cm三連装魔導砲、発射準備。ロデニウスから調達した新型砲弾を装填せよ」

 

「はっ!」

 

メテオスからの指示を受けて兵装操作員が滑らかな所作でコンソールを操作し、照準用モニターを表示する。

 

「目標は?」

 

「目標、グレードアトラスター級戦艦。新型砲弾の試射には最適だ」

 

「はっ!」

 

照準用モニターにレティクルが表示され、クウェーサに重ねられる。

 

「魔導砲、発射準備完了!」

 

「では…熔解焼夷弾、発射」

 

──ドドドンッ!ドドドンッ!

 

発射命令を受け、パル・キマイラの下面に装備された6基の砲塔の内2基が発砲する。

バルチスタ沖海戦では数多のグ帝艦を撃沈せしめた砲撃だが、戦艦に対してはやや力不足であった。

しかし、これは戦力共有協定に基づいてロデニウスから提供された新型砲弾で解決出来ると考えられている。

 

──ドゴンッ!ドゴンッ!バチバチバチッ!

 

クウェーサの前部、2番砲塔とその周辺に着弾するが砲塔天板と水平甲板は戦艦の中でも厚い装甲を持つため15cm程度の砲弾では弾かれてしまい、貫徹は望めない。

しかし、砲弾が着弾し炸裂した後にはただの爆発ではなく、眩い閃光と四方八方に飛び散る火花の姿があった。

 

「熔解焼夷弾、命中!閃光により被害確認は不可能ですが、燃焼しているため敵も無傷ではないはずです!」

 

「よろしい、では敵戦艦からの攻撃に注意しつつ攻撃を続行せよ」

 

「はっ!」

 

感心しながら頷くメテオスからの指示を受け、兵装操作員はコンソールを操作して再び砲撃を行う。

 

──ドドドンッ!ドドドンッ!ドドドンッ!

 

砲塔が1基ずつ火を噴き、クウェーサに向かって次々と砲弾を撃ち下ろす。

無論、クウェーサも無抵抗ではない。

高角砲はもちろん、主砲まで用いた対空砲火をパル・キマイラへ浴びせながら回避運動を行うが、高角砲は防御スクリーンによって無効化され、主砲は当たらず、右舷側1軸のみではマトモな回避運動も出来ない。

次々とパル・キマイラからの砲撃が命中したクウェーサは艦上構造物が閃光と火花に包まれ、最早肉眼で見る事が難しい程だ。

 

「敵戦艦、主砲の熔解を確認!この様子ならば他兵装も使い物にはならないでしょう!」

 

記録係が喜びを隠しきれない様子で減光フィルターをかけたモニターでクウェーサの状況を報告する。

光の中で僅かに見えるクウェーサのシルエットは特徴的な巨大な砲身が炎天下の飴細工のようにグニャリと垂れ下がっていた。

これがロデニウスより調達した新型砲弾、熔解焼夷弾こと『テルミット弾』だ。

これは砲弾内部に一般的な炸薬の代わりに粉末のアルミニウムと酸化鉄或いはマグネシウムの混合物を詰め込んだ物であり、信管の作動で着火し、テルミット反応を起こして眩い閃光を発しながら高温で燃焼するのである。

その温度はなんと2000〜4000度…鉄はもちろん、ある程度の耐熱性を持つ装甲鋼板の融点を上回る程の高温だ。

しかもこの燃焼は水や消火剤を用いても消す事が出来ず、燃え尽きるまで見守るしかないという厄介さを持つ。

そして砲弾外殻自体も柔らかな金属で作られており、着弾の瞬間に砲弾自体が潰れて張り付く事によって弾かれず、燃焼剤を確実に目標へ塗り付ける事が出来るのである。

 

「流石にこれは彼らに同情してしまうね。もはや骨も残らず、艦内もオーブンのようになっているだろう」

 

「もうこうなってはアレは使い物にならん。もう戦えんだろうから捨て置け。それより敵航空隊が来ているぞ、既に脅威度の高い順からマーキングし、対空誘導魔光弾を装備した艦と味方航空隊にデータリンクで共有した。後は貴様らの仕事だ」

 

「仕事が早くて助かるよ。敵航空隊は…あの後方の艦隊からのようだね。せっかくならば我が方の航空隊…そして『クウ・ウルティマⅠ型』の活躍も記録しようじゃないか」

 

目の前に浮かべた空中投影ディスプレイを退屈そうに見ていたテュポーンの言葉を受け、メテオスも同意すると兵装操作員に攻撃を止めるように手振りで伝えた。

それを受けて兵装操作員が攻撃を止めると、パル・キマイラは艦上構造物が融けてしまったクウェーサを尻目に次なる目標へと進むのであった。




交流宿舎で気付いたんですが、シリアス、能代、アンカレッジ達前衛艦の部屋はワンルーム、ニュージャージー、大鳳達主力艦の部屋は2階があるんですよね
これはおそらく主力艦は旗艦の役目があるので艦隊を集めて打ち合わせとかするのに広い部屋が必要なんでしょう

あと広くてめちゃくちゃいい部屋ですし、何故か能代以外の部屋のベッドには枕が2つあるんですよね…
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