コラボ情報はもちろん、何の前触れもなく告知されたレースクイーン着せ替えに関しても色々と情報が来るんでしょうね
──中央歴1643年3月4日午前11時、ムンガイの森──
ムンダル湖の北側に広がる鬱蒼としたムンガイの森。
そこは古代ムー人がムンダル川流域で使う船を作る為に木を植えて作った森であり、元々は低い丘がいくつも連なる丘陵地帯であった。
近年は船舶用木材の需要が低下したため手付かずとなっているが、それでも細々とした需要の為に最低限の管理が行われている。
故に鬱蒼としてはいるが原生林ほど植生が入り組んではなく、特定の樹木と自然に生えた数種類の植物が疎らに生えているだけだ。
《こちらアズールレーン陸軍第1重戦車連隊。目標がそちらに向かった、後はよろしく頼む》
「こちら神聖ミリシアル帝国第2装甲歩兵師団D連隊。了解した、こちらは任せてくれ」
そんな森の中に潜むのは4m程の背丈を誇る鋼の巨人…アズールレーンからの技術協力で神聖ミリシアル帝国が開発したアマードトルーパー、スパルタクスである。
魔導合金製の10mm装甲に身を包み、厚さ50mmもの魔導合金シールド、30mmライフルを基本装備としオプションとして思い思いの追加装備を装着した青の騎士、総勢90機がムンガイの森各所に潜み、グ帝部隊を待ち受けているのだ。
「来たか…各機、照準装置起動。衝突と同士討ちに気を付けろ」
そう言って愛機を起動させたのはムンガイの森に展開するD連隊の連隊長『マリアッチ・ウェタ』である。
彼が指揮するD連隊は市街地や森林といった地域での戦闘を想定した訓練を受けており、正にこの場にはうってつけだろう。
「まだだ…引きつけろ…まだ…」
追い立てられ、森へ逃れてきたグ帝の戦車が赤外線センサー越しに見えるがまだ攻撃はしない。
ある程度踏み込んでもらわねば直ぐに引き返されてしまうだろう。
「……今!全機、かかれ!」
センサーカメラが捉えた映像を投影しているゴーグルに映し出されたグ帝戦車及び軍用車の数が30を超えた辺りでマリアッチは攻撃命令を下した。
──キュイィィィィィィィィィ!
ローラーダッシュの特徴的な駆動音が響き、様々な場所に潜んでいたスパルタクスが森に足を踏み入れたグ帝部隊に襲い掛かった。
──ドドドッ!ドドドッ!
戦艦の主砲身よりも太い樹木の間をスラロームしながら時速40kmもの速度でグ帝戦車に接近し、側面へ2度のバースト射撃を行う。
対装甲車両用の30mm徹甲榴弾は最大でも25mmしかないハウンドⅡの側面装甲を貫通、内部で炸裂して乗員をズタズタに引き裂いてそのまま鉄の棺桶にしてしまった。
そんな光景が森のあちこちで繰り広げられているが、グ帝部隊の受難は何も戦車に限った話ではない。
──ズドンッ!ズドンッ!ズドンッ!
D連隊のスパルタクスの内、結構な数がオプションとして『60mm散弾砲』を装備していた。
これは旧式の野砲の砲身を流用したスパルタクス用のショットガンであり、レアメタル精錬時の副産物である重金属の弾丸を発射する物だ。
直径10mm程度の球弾が数百発撃ち出される事により、より装甲の薄いシェイファー軽戦車や装甲車、トラックは車体が文字通り蜂の巣となり、暗い森に現れた鋼の巨人に怖気づいて車両から飛び降りた兵士は殆ど原形を留めない肉塊となってしまう。
「あれは…26番機、ランチャーを持っていたな。座標62-80へ攻撃せよ」
《はっ!》
マリアッチからの命令を受け、大口径砲を装備したスパルタクスが窪地へと照準を合わせた。
その窪地には銃火を避けて行く内に一塊となってしまったグ帝部隊の姿があり、機会を見計らって脱出しているようだ。
しかし、それを見逃すマリアッチ達ではない。
──ドゴンッ!
『90mm多目的低反動ランチャー』から放たれた榴弾が窪地のど真ん中に命中、大爆発を起こしてグ帝部隊を文字通り吹き飛ばしてしまった。
見る限り戦える者は居ないだろう。
それを確認したマリアッチは、森の南側を指差して意気揚々と檄を飛ばす。
「さあ、そろそろ仕上げと行くぞ!」
──同日、ムンガイの森南側──
「た、助けてくれ!」
「巨人の騎士が居る!」
「あんなのとどう戦えばいいんだ!?」
グ帝部隊の状況は正に阿鼻叫喚であった。
彼らは敵歩兵部隊や陣地、時折出会す貧弱な装甲車両との戦いを想定した訓練を積んできたため、巨人…つまりミリシアルのスパルタクスに対してどう戦えばいいか分からず、混乱と恐慌に陥っていたのだ。
中には比較的冷静さを保った者が機関銃や主砲で攻撃するが、盾によって防がれてしまい全く効果が無い。
「くっ…さ、下がれー!下がるんだ!」
司令官であるガオグゲルも同様だ。
先程から場当たり的な命令しか出せず、いたずらに損害を増やす事しか出来ない。
しかし、ここで彼を無能と断ずるのは些か酷な話だろう。
彼はダミーを用いた陽動作戦を用い、露見しないように大回りをし、更には頭を下げたくない相手に頭を下げてまで物資の調達を行ってムンダーラ攻略作戦に臨んだのだ。
本来ならばムンダーラを始めとしたムンダル川流域は彼らによって蹂躙され、ムーは致命的な打撃を受けていただろう。
だがそれが尽く覆された挙句、敵戦力が想像しえる物を遥かに超えてしまっていた…強いて彼の落ち度を指摘するのであれば、異世界国家を舐めていた、の一言に尽きる。
「司令、後ろは湖です!このまま下がれば…」
「なら他にどうしろと言うのだ!東には化け物のような戦車!西は艦砲射撃の雨!北には巨人が潜む森だ!我々の退路はもう南の湖しかないのだ!」
指揮車に同乗している参謀の言葉にガオグゲルは切羽詰まった声色でそう応える。
最早打つ手は無い…少しでも命を繋ぐ為、万に一つの奇跡が起きる事を期待して時間稼ぎの為に、文字通り背水の陣で戦うより他無い。
──ドゴンッ!
「うっ…!」
至近距離に敵戦車からの砲撃が着弾し、巻き上げられた土砂が指揮車の装甲を叩いた。
敵戦車はハウンドを真正面から容易く撃破するだけの主砲を装備している。
ハウンドよりも装甲が薄い指揮車に直撃でもすれば、誇張無しに消し飛んでしまうだろう。
「くそっ!異世界の蛮族共がこんな戦力を持っているなんて想像出来るか!」
──ズルッ!ギュィィィィィィッ!
「!?」
悪態をつくガオグゲルであったが、突如として指揮車が沈み込み、嫌な音と共にゴムが焼ける匂いがした。
「泥濘にはまりました!脱出出来ません!」
「なんだと!?」
指揮車は前線後方から指揮を執る事を想定しており、いざとなれば高速で撤退する必要もあるため装輪式となっている。
故に路上での機動力は中々のものだが、悪路には滅法弱い。
故に湖畔の水際に存在する泥濘に足を取られ、スタックしてしまったのだ。
「こんな時に…おい!戦車に牽引させて…」
手近な戦車は居ないか、そう考えたガオグゲルはハッチから顔を出して辺りを見回したが…
──ザバザバザバ…キュラキュラキュラキュラ…
「あ…あぁぁぁぁぁ!?」
巨大な煙突のような物を生やした新手の敵戦車が"湖の中"から姿を現したのを目撃した彼は、まるで死人の様に顔を青くするのだった。
あと現時点ではEN版のみの告知ですが、ティルピッツのレースクイーンも実装されるそうですが…新規ボイスはどうなるんでしょう?