前哨戦のストーリーを見るにやはりレキシントンⅡは確定のようですが、残りのメンツが気になりますね…
ヘレナMETAが退場のような雰囲気だったので、ヘレナⅡが来たり…?
──中央歴1643年3月3日午前9時、ムー国境上空──
「副部長、間も無く第一目標のアルーに到達します」
「アルーはあくまでも劣等種を恐怖させる為の見せしめだ。5機の外部懸架兵装を投下せよ」
「はっ。では21番機から25番機に攻撃を行わせます」
航法士からの報告を受け、ラッシルは淡々と命令する。
ムー爆撃の為に出撃したグティマウンはそれぞれ爆弾倉に60発もの500kg爆弾の他、主翼下に250kg爆弾を12発懸架している。
本来ならばこのような搭載方法は重量・空気抵抗増加により航続距離減少に繋がるため推奨されていないのだが、本作戦においてはこれでも十分な航続距離が得られるとしてこのような兵装となっている。
「1番機より21から25番機へ。本機が先導を行う、縦陣へ移行。合図に合わせて投下せよ」
《了解》
通信士からの言葉に応え、5機のグティマウンがラッシル達が搭乗する1番機の真後ろに1列に並んだ。
5機のグティマウンが主翼下の兵装を使うとなると、60発の250kg爆弾が降り注ぐ事となる。
アルーのような小さい街ならばそれで壊滅的な被害を受ける事になるだろう。
しかもグティマウンには機械式計算機を用いた爆撃照準器によって高高度からの投弾でも非常に高い精度で爆撃が可能であり、10機中1機の割合で装備されている航法・爆撃照準レーダーにより正確に目標へ到達し、夜間や悪天候時であっても爆撃能力を発揮する事が出来る。
これほどの能力を持つグティマウンならば、60発の爆弾を効率良く投下し、アルーを壊滅状態に追いやる事は造作も無い。
「アルーはこれで十分だろうが、キールセキはどうするか…可能ならばマイカルとオタハイトに最大限の打撃を与える為には50機ずつを割り当てたいな…」
長大な航続距離を誇るグティマウンであるが、オタハイトまで爆撃しようとすればギリギリ基地へ戻れるかどうかである。
そしてマイカルとオタハイトのような大都市に致命的な打撃を与える為にはそれぞれ50機分の爆弾が必要だろう。
それを考えれば先ずは燃料消費量が増える主翼下爆弾をキールセキで全弾投下した上で全機が5発程度を投下、オロセンガには全機20発ずつ投下すれば、投下した爆弾の分重量と空気抵抗が減り、それに伴って燃料消費量も抑えられる為、オタハイトを爆撃して燃料に余裕がある状態で基地に帰還出来るはずだ。
「爆撃コースに侵入…敵対空砲が打ち上がっています。当たる筈もないのにご苦労な事だ」
爆撃手がレーダースコープと爆撃照準器の接眼レンズを交互に確認しながら嘲笑する。
地上を見れば曳光弾の光線と遥か低空で炸裂する砲弾の爆炎が見える。
高度1万2千mを巡航するグティマウンへ対空砲を打ち上げても砲弾はグティマウンに届く前に勢いを失ってしまうだけだ。
それを知っている彼らは、炸裂する砲弾を"劣等種の無駄な抵抗"と見ているのだ。
「間も無く投弾タイミング…まだ…まだ…」
「……ん?」
爆撃手が後続機に投弾タイミングを知らせる為の編隊灯点灯ボタンに指をかけながら投弾タイミングを見計らっていたが、ラッシルはとある違和感を覚えた。
眼下で炸裂する敵対空砲弾、それがピタリと止んだのだ。
まさか爆撃される気配を察して逃げ出したのか?しかし、帝国による支配を受け入れなかった連中がこんなにあっさりと逃げ出すものか?
そんなラッシルの違和感は次第に驚愕へと変わる事となる。
《下方より敵機!此方に向って上昇してくる!》
「敵機だと?だが、劣等種の航空機が我々の高度まで上がってこれる訳がない。悪足掻きだろう」
機銃手からの報告を受けてラッシルは鼻で笑う。
しかし、その余裕は長くは続かなかった。
《待って下さい!敵機が何かを…》
──ドゴォォォォンッ!
「っ!?」
機体が激しく揺さぶられ、機内に轟音が鳴り響く。
「だ、第1及び第2エンジンにて火災発生!エンジン出力低下…エンジンが破損した模様!」
「何が起きた!?」
機関士が上げた悲鳴のような報告に、ラッシルは反射的に左翼の方に目を向ける。
するとラッシルの目には6000馬力もの出力を誇る超巨大エンジンが黒煙を吐く様が映った。
しかも良く見ればエンジンを覆うカウリングの下側はまるで無数の刃物で斬り裂かれたようにズタズタになっている。
エンジントラブルではなく、攻撃されたのだ。
──ボンッ!ゴォォォォォ…
「24番機、墜落します!」
後ろを着いてきていた24番機の主翼が爆発しながら半ばから折れ、そのまま墜落してゆく。
しかし、彼らの被害はそれだけに留まらない。
──ズカァン!ボンッ!ドンッ!
後続機はもちろん、控えていた他の機にも"何か"が襲い掛かり、爆発して次々と墜落してゆく。
「これは…まさか敵機からの攻撃なのか!?バカな!劣等種がこの高みまで昇ってこれる訳がない!」
世界最高の優等民族たるバルカス人の頭脳を結集したグティマウン…それが続々と撃墜されている現実は、ラッシルに大きな衝撃を与えた。
しかし、彼は更に驚愕する事となる。
──ゴォォォォォッ!
「なっ…!?」
下方から急上昇してきた敵機…三角形の翼を持ち、尾翼を持たない奇怪な姿をしたそれは機尾からバーナーのような炎を噴き出しながらほぼ垂直に、凄まじい速度でラッシルが乗る1番機の上空へと抜けた。
「バカな、ここは高度1万2千mだぞ!?劣等種が何故あんな航空機を!?」
グティマウンと同じ高度を飛べるのは近衛兵団が保有する排気タービン付き高高度戦闘機のみだと思っていた彼は、目の前の物が現実とは思えなかった。
しかし、彼が如何に現実逃避しようとも現実は変わらない。
グティマウンの巡航高度よりも高い空で反転した敵機は急降下すると機首を1番機に向ける。
「迎撃しろ!弾幕を張って近寄らせるな!」
──ダダダダダッ!ダダダダダッ!
グティマウンの各所に装備された防御機銃が高空に光の線を描き、敵機を撃ち落とさんと火を噴く。
しかし、中々当たらない。
敵機は空気が薄くエンジン出力も揚力もロクに得られない筈であるのにヒラヒラと身を翻して照準が合わせられず、20mm弾は空を切るばかりだ。
そんなグティマウンの抵抗の最中、敵機は主翼下に懸架した何かを発射した。
「ロケット弾か…?」
白煙の尾を引きながら飛翔する細長い物体…ラッシルはそれをロケット弾だと判断し、胸を撫で下ろした。
敵機との距離は1000m以上…多数発射されたならともかく、1発だけならば余程運が悪くなければ当たる事は無いだろう。
──ボンッ!
「……は?」
斜め後ろを着いてきていた21番機の機体中央部、ちょうど胴体と主翼が交差する辺りで爆発が発生し、主翼がV字型に折れたかと思うと揚力を失って急速に墜落してしまった。
《21番機、墜落!ロケット弾が直撃したのか!?》
胴体側面の機銃に齧りついてる銃手が慌てふためきながら機内電話で報告するが、あいにくラッシルはそれに反応する事が出来なかった。
「ま、曲がった…?しかも着弾前に炸裂しただと…?」
ラッシルは敵機から放たれたロケット弾のような兵器が緩やかに軌道を変え、着弾する前に炸裂して広範囲に破片を撒き散らす瞬間を目撃していたのだ。
「まさか…敵機のロケット弾は目標へ向って軌道を変えるというのか…?」
一つの可能性に行き着いたラッシルの顔は死人のように青褪めていた。
EN版の公式アカウント、意味深な投稿をしてますがあれは…?