異世界の航路に祝福を   作:サモアオランウータン

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年末イベント始まりましたね!
やはり予想通りレキシントンⅡが実装されましたが、まさか配布URはウィリアム・D・ポーターになるとは…
アズレン始まって以来、ロード画面の下で走ってたあの子がここまで出世するとは思いませんでしたよ


370.バトル・オブ・ムー【3】

──中央歴1643年3月3日午前10時、ムー国境上空──

 

「コイツは凄まじいな…空の半分が敵爆撃機で埋まっているぞ」

 

高度8000mという高度まで容易く到達したイリュジオンであるが、クーガーはそれに感動する間も無く唖然としていた。

敵爆撃機…グティマウンは200機という数はもちろん、その巨体は比較対象となる物が少ない空中であっても圧倒的な存在感を放ち、彼が言った通り空の半分が埋まっているかのような印象を受ける。

対する迎撃部隊はムー空軍部隊と各国の支援部隊を合わせても30機程度…単純計算で1機あたり10機を撃墜しなければならない。

しかし、クーガーはちっとも不安を感じていなかった。

 

「あれは…あの縦隊は爆撃を意図したものに違いない。この下にあるのはアルーだぞ。あんな戦略的価値もない街まで狙うとは連中、いよいよ我が祖国を焼き尽くすつもりだな。残念ながらそうはいかんよ」

 

6機のグティマウンが縦隊を組んで編隊から離れているのに気付いたクーガーは無線機で僚機へ呼びかけた。

 

「こちらロブスター1、あの縦隊は俺がやる。お前らは他の機を狙ってくれ」

 

《ロブスター隊、了解》

 

《こちらムラマサ1、了解。我々はどうすべきか指示を》

 

「ムラマサ隊、貴隊は編隊より離れた敵機の遊撃をお願いしたい」

 

《ムラマサ1、了解》

 

迎撃部隊への指示を済ませると、クーガーはスロットルを開けて急上昇を始めた。

ほぼ垂直の急上昇だというのにイリュジオンはグングンと加速する。

軽量かつ空気抵抗が少ない無尾翼デルタ翼である事と、クーガー達が駆るイリュジオンが搭載しているのは"本命"であるJ79であるため、アフターバーナー使用時の推力重量比は1に迫る程だ。

故にアフターバーナー一歩手前のエンジン出力であってもこのような急上昇が可能なのだ。

 

「シーカー起動」

 

計器盤に取り付けられている兵装活性化スイッチを押し、AIM-9Fのシーカーを起動する。

 

──ピピピピピピピピ…

 

狙うは縦隊の先頭を飛ぶ敵機…レティクルと敵機を重ね合わせ、シーカーがロックオンするまで僅かばかり待つ。

 

──ピー!ピー!ピー!

 

「ロブスター1、フォックス・ツー!」 

 

──バシュッ!

 

操縦桿の兵装発射ボタンを押し、右翼外側に懸架されたAIM-9Fを発射する。

敵機までの距離は凡そ3000m、白煙の尾を引きながら上昇するAIM-9Fはそのまま緩い弧を描き…

 

──バンッ

 

「命中!さりとて撃墜には至らず!」

 

高度1万m付近の気温は凡そ−50℃、そんな中でグティマウンが装備する排気タービンは赤外線の目で見れば目立つ事この上ない。

近接信管によって炸裂した弾頭は狙ったグティマウンの左翼のやや外側寄りに大量の破片を撒き散らし、2つのエンジンカウリングをズタズタにして火災を引き起こしたようだが、撃墜には至らなかった。

しかし、誘導弾の実力はこれでよく分かった。

 

「近いっ!ならば!」

 

次弾を放とうとしたが、イリュジオンの上昇能力のお陰でAIM-9Fを使うには勿体ない距離まで敵機に接近していた。

しかし、こんな時の空対空ロケット弾だ。

瞬時にその判断を下したクーガーは兵装選択スイッチを素早く切り替えると、機首を振って別の敵機へとレティクルを重ねた。

 

──バシュッ!バシュッ!バシュッ!バシュッ!

 

70mm空対空ロケット弾は旋転安定式である上に、空気が薄い高空という事もあって機銃のように素直な弾道で飛翔し…

 

──ドゴォォォォンッ!

 

1発のみの直撃であるが、その1発で敵機は主翼が大爆発と共にぽっきりと折れて墜落していった。

それもその筈、70mmロケット弾の弾頭炸薬量は1kgほどもあり、これは対爆撃機用30mm弾の10倍以上に相当する。

直撃してしまえば、如何なる巨人機も致命傷だろう。

 

「よし、次!」

 

下方から上方へ敵機を追い抜いたクーガーは、高度1万4千m付近で反転し、急降下しながら再度の攻撃を試みた。

 

「っ!おっとぉ!」

 

しかし、敵機の防御銃座が火を噴き、空気が薄い空に曳光弾の軌跡を描いた事で彼は攻撃を断念せざるを得なかった。

高高度性能に優れ、高い運動性を誇るイリュジオンにとってレシプロ機を想定したグティマウンの防御銃座は大した脅威にはならないが、それでも直撃すれば間違いなく致命傷を受けるだろう。

 

「くっ…だが多少の無理はしないとな!」

 

──ピピピピピピ…

 

先ほどAIM-9Fを当てた敵機の斜め後ろに陣取る敵機に狙いを定め、シーカーを起動する。

 

──ピー!ピー!ピー!

 

「ロブスター1、フォックス・ツー!」

 

──バシュッ!

 

1000mの距離から放たれたAIM-9Fは上方から敵機の主翼付け根に誘導され…

 

──ドンッ!

 

左右の主翼を繋ぐ縦通材に大きな破片が直撃したのだろう。

敵機は主翼が付け根から折れ、そのまま墜落してしまう。

 

「3機、まだまだ!」

 

──バシュッ!バシュッ!バシュッ!バシュッ!

 

これでミサイルは使い切ってしまった。

しかし、まだ60発以上のロケット弾と200発以上の30mm弾がある。

これだけあれば10機程は撃墜出来る筈だ。

 

──ドゴォォォォンッ!

 

次は上手く4発が直撃し、敵機は文字通り粉微塵となってしまった。

 

《ムラマサ1よりロブスター1。被弾した敵機が低空へ退避し投弾した。おそらく誘爆を防ぐ為に爆弾を投棄したらしい。地上への被害は認められない、追撃するか?》

 

次なる獲物に襲いかかるべく、防御銃座の射程外と思われる距離で反転していたクーガーにアインからの通信が届く。

確認してみると確かに始めにAIM-9Fを当てた敵機は高度を落とし、無人の平野にパラパラと爆弾を落としている。

 

「いや、あれはもう大した脅威じゃない。それより無傷な敵機を攻撃してくれ」

 

《了解。では引き続き遊撃を行う》

 

通信を終えると、クーガーは改めて反転すると次は高度を合わせて敵機の真正面から突っ込んだ。

 

「やはり真正面は弾幕が薄いな!」

 

──ダダダダダッ!

 

クーガーは何も攻撃ばかりに意識を向けていた訳ではない。

敵機の防御銃座の配置を注意深く観察し、死角を探していたのだ。

その結果、真正面は銃座の死角になると推測し、真正面から突っ込んで30mm機関砲で攻撃したのである。

 

──ボンッ!

 

大威力の30mm弾が複数、機首に直撃した敵機はコックピットの人員が全滅したのだろう。

ガクッと機首を下げるとそのまま急降下し、速度超過によって空中分解しながら墜落した。

 

「各機、敵爆撃機は真正面からの攻撃に弱いらしい。衝突に注意しながら攻撃せよ」

 

得られた戦訓を直ぐに味方と共有すると、クーガーは再び獲物を見定めるのだった。

 

 




URもですが、今回一番話題になったのはカウペンスっぽいですね
通常も着せ替えも牛柄とは…
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