異世界の航路に祝福を   作:サモアオランウータン

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サディアのミニイベント始まりましたね!
私的にはフランチェスコが刺さりましたが、着せ替えならダントツで高雄ですね
まさかあんなに成長するとは…


374.悪足掻き

──中央歴1643年3月3日午後3時、マルムッド山脈──

 

「アルゴ准尉、敵は大人しく捕まってはくれないようですね」

 

「しかし、あれほどの爆撃機を運用する部隊の人員だ。多少なりとも情報を持っているだろう。射殺するのは勿体ないな」

 

散発的に射撃するムー空軍所属の飛行場警備中隊隷下の第4分隊の分隊長である『アルゴ・ヘブリディーズ』は渋い顔をして陽光を反射して輝くグティマウンの姿を眺めていた。

彼らは不時着したグティマウンと生存者を確保すべく押っ取り刀で駆け付けたのだが、生存者はただでは捕まってくれないらしい。

 

「やはり射殺してしまうのが良いのでは?アレ脱出したフェンのパイロットを機銃で撃って殺害したのです。死んで当然だと思いますが…」

 

「いいや、上…というよりはアズールレーンの意向は戦争犯罪人は可能な限り生け捕りにして、戦後に裁判にかけたいらしい。それにさっきも言ったが、情報を得るためには生け捕りが必須だ」

 

──ダンッ!ダンッ!ダンッ!ダンッ!

 

アルゴがそう述べる側で兵士がGew43を発砲し、使えそうな銃座へと弾丸を叩き込んで使わせないように牽制する。

現状はアルゴ達が圧倒的優位だが、このまま悪戯に時間をかけてしまうと日が落ち、夜陰に紛れて敵を逃がしてしまうかもしれない。

 

「アルゴ准尉、アルー基地に応援を要請してはどうでしょうか?」

 

「アルー基地に?」

 

思案しているアルゴへ通信兵がそんな提案をする。

 

「アルー基地にはアズールレーンの憲兵隊が駐留しており、彼らはゲリラ対策の為にヘリコプターや催涙ガス弾を装備しています」

 

「なるほど、ヘリコプターで上空から催涙ガス弾を爆撃機へと叩き込む訳か。よし、せっかく我が国が長年の中立を捨ててまで手を組んだ相手だ。遠慮なく頼ろうじゃないか」

 

「はっ!こちらムー空軍飛行場警備中隊第4分隊。不時着した敵爆撃機の生存者から激しい抵抗を受けている。我々の装備では確保は困難であるため、アズールレーン憲兵隊のヘリコプター及び催涙ガス弾による支援を求める。座標は……」

 

通信兵が背負った通信機の受話器でそう要請をすると、程なくして返答があった。

 

《こちらアズールレーン憲兵隊アルー駐留部隊。貴部隊の要請を受諾した。準備と現着まで1時間程時間が必要だ。問題無いか?》

 

「こちら第4分隊長のアルゴ・ヘブリディーズ准尉。日没に間に合えは問題ない。感謝する」

 

《こちらこそ。可能な限り早く来れるように努力する。くれぐれも貴官らの安全を最優先に行動してくれ》

 

「了解、通信終わり」

 

通信兵から受話器を受け取ったアルゴはそんなやり取りをした後、受話器を返すとアルーの方向へ目を向け、その時を待つのだった。

 


 

──同日、同地──

 

「はぁ…はぁ…」

 

グティマウンに立て籠もるラッシルは満身創痍であった。

銃撃を受けた訳ではない。

抵抗するのに必要な武器を集める為に隙を見て機内を捜索した結果、突き出した構造材や配線の切り口等に切りつけられてしまい、近衛兵団の誇りたる黒服はもちろん、その下のシャツも血が滲んでしまっている。

それだけしても回収出来たのは拳銃が2丁と弾倉が5本のみ…ライフルや機関銃を装備した部隊を相手にするにはあまりにも心細い。

 

「救援は…救援はまだなのか!?」

 

もはやラッシルに残された希望は味方が救援に来てくれる事だけだが、その可能性も低い。

というのもグ帝、中でも近衛兵団は周辺より遥かに優れた軍事技術を持っていたため、戦術機が撃墜される事は稀であり、被撃墜機のパイロットは無能扱いされ助ける価値もないと切り捨てられるのである。

故にグ帝では被撃墜機パイロットの救助システムが未発達であり、特に敵地における救助ともなれば全く前列が無い。

 

「こういう時は軍部の連中が犠牲を払ってでも救援に来るべきだろう!軍部の無能共まで私を無視するのか!?許さん…許さんぞ!」

 

──パンッ!パンッ!パンッ!

 

ラッシルも自身が見捨てられていると理解しているが、それでも現実を受け入れられない彼は割れた窓から手を出して闇雲に拳銃を乱射した。

無論、そんな破れかぶれ射撃が当たる筈も無く、弾丸の殆どは地面にめり込むのみだ。

 

──ババババババババ……

 

「……ん?」

 

自棄っぱちに喚き散らすラッシルの耳に聴き慣れない音が聴こえてきた。

機関銃の連続射撃のようにも聴こえるが、機関銃ではない。

その音は空から…西の空から聴こえてくる。

 

「……な、なんだ…あれは…?」

 

音がした方に空いていた機体外板の破孔から顔を覗かせて見ると、空に見慣れぬ飛行物体の姿があった。

まるで卵のような胴体からは長い尻尾のような物が生えており、上側には巨大なプロペラが高速回転している。

これこそがアズールレーンで採用されている観測ヘリコプター『OH-6』なのだが、ヘリコプターという乗り物を知らないラッシルはオートジャイロの一種だと解釈した。

 

「オートジャイロか…?いったいオートジャイロで何を…?」

 

怪訝な表情を浮かべていたラッシルだが、その表情は直ぐ様驚愕に染まる事となった。

 

──カコーン!ブシュゥゥゥゥッ!

 

「っ!?」

 

OH-6から発射された何かが割れた窓から飛び込み、勢い良く白煙を噴き出し始めた。

 

「うっ…ゲホッ!ゲホッ!め…目がぁ…!」

 

白煙はたちまち機内に充満し、それを吸ってしまったラッシルは激しく咳き込み、目は痛んで涙が止まらなくなる。

OH-6のキャビンに乗り込んでいた憲兵隊員が携行していた『M79 グレネードランチャー』から催涙ガス弾を発射したのだ。

 

「ど、毒ガスまで使うとは…!ゲホッ!ゲホッ!苦…しい!助け…」

 

息も苦しく、視界も殆ど無くなってしまった。

こうなればもうラッシルはパニックに陥ってしまい、現状も忘れて苦しみから逃れる為にがむしゃらに這いずって機外に出てしまった。

 

「出てきたぞ!」

「射撃止め!射撃止めー!」

「ロープ持ってこい!」

 

「ゲホッ!ゲホッ!や、やめろ!私はバルカス民族だぞ!貴様らのような劣等種とは…」

 

──ドムッ!

 

「うっ……」

 

殺到するムー兵士に対して尚も高圧的な言葉を投げかけるラッシルだったが、多勢に無勢…直ぐ様取り押さえられると、ライフルのストックで鳩尾を殴り付けられ、その痛みで失神してしまった。

 

 




次回からはいよいよカイザル率いる大艦隊との決戦を描きます!
対ミレケネス艦隊でも結構長かったのにどれだけ話数を使うのやら…
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