果たして上手く描写出来るのか、いったい何話かかるのか…考えるだけで恐ろしい…
──中央歴1643年3月6日午前7時、ムー北方海域──
冷たく、波が高い海を征く艦隊。
その艦隊こそムー大陸北方より迫りくるグラ・バルカス帝国艦隊を迎え撃つべく出撃したアズールレーン、ロデニウス連邦、ムーによる連合艦隊である。
その数は正に圧巻であり、具体的には以下の通りだ。
アズールレーン艦隊
駆逐艦150隻
軽巡洋艦100隻
重巡洋艦及び超巡洋艦75隻
戦艦70隻
空母60隻
潜水艦20隻
合計475隻
ロデニウス連邦艦隊
駆逐艦30隻
軽巡洋艦20隻
戦艦2隻
空母20隻
潜水艦5隻
合計77隻
ムー艦隊
駆逐艦20隻
軽巡洋艦5隻
重巡洋艦及び大型巡洋艦5隻
戦艦及び航空戦艦5隻
空母6隻
合計41隻
となっており、その数合計593隻…空前絶後の大艦隊である。
これだけの戦力があれば負ける筈は無い、と言いたい所だが残念ながら断言する事は出来ない。
「指揮官、敵艦隊を追尾中のデイスから定期連絡だ。幾らかトラブルで落伍した艦はあるものの未だ大多数が健在…1000隻近い大艦隊だ」
連合艦隊旗艦エンタープライズの艦橋で、艦の主であるエンタープライズがメモを片手にそう報告する。
現在、Ⅱ型艤装を装備したユニオン潜水艦『デイス』がグ帝艦隊を追尾しており、定期的にグ帝艦隊の状況を連絡して来ているのだ。
「とんでもない数だ。艦隊戦力の殆どを動員しているのかもな」
エンタープライズからの報告を受けた指揮官は大きなテーブルに広げられた大判写真を見下ろしながら半ば呆れたようにそう述べた。
「敵艦隊の殆どはやはり駆逐艦や軽巡洋艦といった小型艦が占めているが…やはり戦艦と空母は警戒に値するか。特に"空中戦艦殺し"のグレードアトラスター級戦艦は最大の脅威だ」
同じく大判写真を見下しながらそう告げたのは、ロデニウス連邦遠征艦隊提督のパンカーレである。
「それに加えて敵空母は100隻近い数があります。その多くは我が国でも運用されている輸送船改装空母に近いサイズ感ですが、これほどの数ともなれば航空戦力はかなりのものでしょう」
パンカーレの言葉に続いたのは、ムー機動艦隊司令のレイダーだった。
「…現状は1つの艦隊として行動しているが、いくつもの小艦隊に分かれてムー沿岸部を同時多発的に襲撃される可能性がある。そうなればこの艦隊や陸上航空隊が急行しても対象しきれる保証は無い」
眉根を歪めながら苦々しくそう述べたのは鉄血所属の空母『フリッツ・ルメイ』である。
デイスやU-2からの偵察情報により敵艦隊の半数以上は旧式艦や改装空母といった寄せ集めであり、数的優位はあれどジェット機や各種ミサイルを豊富に装備している連合艦隊には敵わないと分析されていた。
しかしグ帝艦隊が正面対決を避け、ムー本土への攻撃に専念した場合の対処が懸念事項だ。
確かに駆逐艦や軽巡洋艦の多くは旧式、空母の大半は鈍足かつ搭載機数が少ないと見られる改装空母であるが、それでもムーの地方隊にとっては大きな脅威となる。
何せムー地方隊が保有する艦艇は沿岸警備用の小型艇であり、航空機は改修前のマリン、沿岸砲や対空砲は殆ど無い。
それを知っているからこそ、ルメイは懸念を口にしたのだ。
「確かにルメイの言う通りね。でもグ帝の連中はプライドが高くて自信過剰な気があるから、数的優位があるのにわざわざ艦隊を分けて沿岸の小さな町や集落を襲撃するような事はしないと思うのだけど?」
《ラ・ツマサ、そうやって決め付けるのは良くないわ。確かにあなたのカンレキを鑑みれば気持ちは分からないでもないけど、グ帝にも話せば分かる人が居るのは分かったでしょう?》
「姉様…確かにそうかもしれませんが…」
レイダーに同行したラ・ツマサが嫌悪感を隠す事もなく意見するも、ラ・カサミによって嗜められる。
ラ・ツマサは自身のカンレキに刻まれた記憶からグ帝人の気質を嫌という程理解しているが、それはあくまでも一側面かつ平行世界での話だ。
この世界、この状況ではどうなるかは分からない。
「まあ、俺も理由こそ違えどラ・ツマサとは同じ意見だ。連中がわざわざ艦隊を分けるとは考えにくい」
「指揮官殿、その根拠は?」
指揮官の言葉にパンカーレがそう問い掛け、それに対して指揮官はこう応えた。
「パンカーレ提督、ムー大陸南方からの艦隊も、ムンダーラ方面の陸軍部隊も、そして超大型爆撃機による攻撃も全ては我々がグ帝皇太子グラ・カバルを拉致した事に対する報復で間違いないでしょう。皇太子と言えば未来の皇帝…民族主義が蔓延るグ帝において民族の象徴になり得る者を拉致された事に対する報復とするには、そこらの小さな町や集落を焼け野原にする程度では済ませられないでしょう」
「だからこそ大艦隊を以てこちらの海軍戦力を撃滅した上でオタハイトやマイカルといった我が国の主要都市を攻撃する…そうすれば皇太子拉致に対する報復を完遂したという面子は立つでしょうね」
指揮官の言葉を引き継ぐようにレイダーが述べた。
此度のグ帝による陸海空全面攻撃は元を辿ればグラ・カバルを拉致した事に起因する報復であるのだから、これほどの艦隊を動員して沿岸部を少し燃やした程度で良しとする訳がない。
グラ・カバル拉致に対する懲罰、そしてあれほどの戦力を動員した労力に見合う戦果となればムーの中枢を焼け野原にする事を狙うだろう。
「そうだな。しかし、この数は尚も厄介だ。質の優位は此方にあるが、2倍近い数は無視出来ない」
「ルメイ、そこはやはり新兵器の出番になるかもしれないな」
「対艦ミサイルか」
物量差を覆すべく思案するルメイであるが、得意げなエンタープライズの言葉に僅かに笑みを浮かべた。
アズールレーン艦隊とロデニウス連邦艦隊の多数、そしてムー海軍の一部艦艇にはP-15対艦ミサイルが搭載されている他、空母艦載機にも搭載出来る対艦ミサイルとして『RB04』が配備されている。
威力こそP-15よりやや劣りはするが、駆逐艦や軽巡洋艦に対しては十分な威力であり、30km程の射程も相まって一方的に攻撃し撃沈出来る筈だ。
「我が艦隊の雷撃隊も十分な練度に達しています。今回の海戦では存分に活躍出来るでしょう」
「ルメイ殿、ご心配なく。我々とて貴殿らにおんぶにだっこだった訳ではありません。新鋭空母『ジェネラル・パンドール』が就役した今、決して足手まといにはなりませんとも」
「レイダー司令、パンカーレ提督…それは頼もしい限りだ」
レイダーとパンカーレの何とも頼もしい言葉にルメイは笑みを浮かべた。
ここに集った艦隊は間違いなく世界最強であり、士気も高い。
これ以上は望めないだろう。
「よし、では決まりだ。我々はあくまでもグ帝艦隊との正面対決を想定し、必要なあらゆる措置を講じる。異論は?」
指揮官の言葉に全員が沈黙で応えた。
「……よろしい。エンタープライズ、ルメイ。パンカーレ提督とレイダー司令をそれぞれの座乗艦に送って差し上げろ。以後は接敵まで警戒を怠るな。以上、解散」
そんな指揮官の締めの言葉を以て会合は終了したのだった。
グ帝艦隊は結構な数が旧式艦やら急造空母らしいですけど、アズールレーン艦隊は500隻近くが一線級戦力と考えると中々チートですよね