異世界の航路に祝福を   作:サモアオランウータン

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ちょっと色々忙しくて更新が遅れてしまいました!

それにしても雲龍の実装が来るとは…雲龍、当たり前のように光学迷彩やら液体化やらしてるんですが、アレをフルに活かした潜入作戦とかヤバそうですね


382.軍神進撃【8】

──中央歴1643年3月6日午後1時、ムー北方海域──

 

《敵機、尚も多数が健在!》

《低空から多数が防空網を突破!》

《雷撃機と思われる!雷撃機を近づかせるな!》

 

連合艦隊の東側に展開したロデニウス連邦艦隊旗艦ロデニウス級戦艦2番艦クワ・トイネのCICでは艦隊に所属する各艦からの状況報告が次々と舞い込んでいた。

 

「敵機の動きがてんでバラバラだ…これでは予測が出来ん!」  

 

ロデニウス連邦艦隊提督ノウカは海図に置かれた味方艦隊を示すブロックと敵編隊を示すピンが忙しなく動かされる様を見下ろしながら頭を抱えた。

現在はグ帝艦隊に対しジャミングをかけており、彼らはレーダーはもちろん無線すらも使えない状態であり、航空管制はおろか部隊同士の連携すら不可能な状況である。

対してロデニウス艦隊を始めとした連合艦隊が使う電波は帯域が違うため問題なく使用出来るため、圧倒的に優位な筈だ。

しかし、グ帝側の連携が不可能な状況が連合艦隊に予想外の効果を齎した。

 

「右舷より敵機接近…前方からも!?」

 

「落ち着いて対象せよ!右舷の敵機は迎撃、前方の敵機は投弾を確認した後に回避だ!」

 

レーダー手からの報告を受け、艦長のブルーアイが素早く指示を出す。

グ帝航空隊は多くても小隊規模でしか連携が出来ておらず、下手をすれば単機で独自の動きをしている者も少なくない。

故に合理的ではない…言ってしまえば意味不明な予測不能な動きが見られ、却って効率的な迎撃が難しくなっているのだ。

 

「ブルーアイ君、これは予想外だな」

 

「ええ、ノウカ提督。しかし、多少のイレギュラーを乗り越えねば連邦海軍に泥を塗ってしまいますからね」  

 

目まぐるしく変化する防空戦に目を回しながらもノウカとブルーアイは自身の義務を果たさんと奮戦する。

 

「敵機、対空砲射程内!」

 

「対空戦闘、始め!」

 

レーダー手からの報告を受け、対空戦闘を指揮する防空管制官が艦内電話にて各対空砲へと発砲許可を下す。

 

──ドンドンドンドンドンドンドンッ!

 

右舷に装備された57mm70口径対空砲が毎分200発という驚くべき連射速度で近接信管付き砲弾を低空から突っ込んでくる敵機へと放り投げる。

クワ・トイネを始めとしたロデニウス級戦艦は後々の技術発展を見越して兵装の換装を行い易いようにしてあり、対パーパルディア皇国戦後に改修され、対空兵装としては先述した57mm砲の他にはVADSやシースパローも搭載されている。

しかし、シースパローは低空目標に対しては使用出来ないため、57mm砲と最後の砦であるVADSによる対空戦闘を強いられてしまった。

だがロデニウス連邦海軍の象徴として建造された本艦が不甲斐ない戦いを見せる訳がない。

 

──ドンッ!…ドゴォッ!

 

放たれた砲弾は敵機の至近で炸裂、撒き散らされた破片を以て敵機を引き裂き、撃墜した。

 

「前方の敵機、投弾!魚雷です!」

 

「取舵20度!」

 

ブルーアイの指示と同時に艦体が僅かに傾斜して左方向へ舵を切る。

 

《魚雷、右舷を通過します……通過!魚雷通過…あっ!》

 

「どうした!?」

 

《本艦後方の軽巡『デューカス』へ魚雷が…っ!デューカス被弾!艦首付近左舷側に被弾した模様!》

 

「艦首付近…!」

 

クワ・トイネは辛くも魚雷を回避出来たが、その後方で付き従うように航行していた軽巡洋艦デューカスが流れ弾を食らった形となってしまった。

艦首付近の被弾ならば直ぐに沈む事は無いだろうが、前進すれば破孔に水圧がかかって浸水が悪化してしまう。

こうなってはデューカスは戦線離脱させねばならない。

クリーブランド級をベースとし、有力な砲戦・防空能力を誇る本艦の離脱は少々…いや、かなりの痛手だ。

 

「仕方あるまい。デューカスは戦線離脱、徒に戦力を喪っては今後の対グ帝戦略に響くぞ」

 

「沈まなかっただけマシか…」

 

苦々しく指示するノウカの言葉を受けて、ブルーアイも同じような反応を示す。

しかし、戦況は彼らの悔みを察してくれる慈悲は無い。

 

「高度3000付近に敵機!」

 

「高度3000!?直掩機とミサイルを掻い潜ったのか!?」

 

レーダー手の言葉にブルーアイが驚愕する。

クワ・トイネが位置するロデニウス艦隊中央に肉薄するには艦隊上空の直掩機と駆逐艦・軽巡洋艦が装備する対空ミサイルと対空砲を掻い潜る必要があるのだが、敵機は運よく…いや、これこそロデニウス艦隊の防空能力が飽和した何よりの証拠である。

 

「撃ち落とせ!」

 

「はっ!」

 

ブルーアイの指示を防空管制官が伝えるが、敵機の狙いはクワ・トイネではなかった。

 

「敵機、空母『レクトール』へ向かっています!」

 

「レクトールに!?不味い!」

 

インディペンデンス級軽空母をベースとしたレクトールは対空戦闘を艦載機と僚艦に任せるという事で対空火器は従来の20mm機関砲と40mm機関砲のみだ。

艦そのものの防空能力は心許ないものがある。

 

「手近な艦はレクトールを援護せよ!」

 

ノウカが慌てふためいて指示を飛ばすが、もう時すでに遅しだ。

スロットル全開でレクトール上空へ突っ込んだ敵機はそのまま急降下を開始した。

 

《敵機、レクトールへ急降下…げ、減速していません!》

 

「何だと!?」

 

艦橋の見張り台で目視にて戦況を確認している見張員からの艦内電話を受けてブルーアイは驚愕する。

本来急降下爆撃は投弾後の引き起こしの為に急降下中に減速しなければならないのだが、見張員によれば敵機は減速していないらしい。

 

「バカな…減速しなければレクトールに突っ込むぞ!…まさか!?」

 

敵機の意図を計りかねていたノウカであったが、一つの可能性に行き着いて顔を青褪めさせる。

 

「敵機はそのままレクトールに突っ込む気だ!」

 

絶叫するようなノウカの声がCICに響いた次の瞬間であった。

 

──ドンッ……!

 

「っ!」

 

遠くから響く轟音…それが何を意味するか誰もが察したが、見張員からの報告、そしてレクトールからの通信によりそれは確たるものとなった。

 

《て、敵機がレクトールに突っ込みました!レクトール炎上!》

 

《こちらレクトール甲板員詰所!敵機が本艦の艦橋根元に突っ込んだ!艦橋が倒壊し、艦長以下各士官の消息不明!指示を!》

 

状況は一刻を争うようだ。

こうなっては艦の生存なぞ考えていられない。

 

「レクトール、こちらクワ・トイネのノウカだ!貴官らは艦を放棄、総員退艦せよ!」

 

《は、はっ!退艦だ!総員退か…ドンッ!……ザー……》

 

──ドンッ!

 

《れ…レクトール…爆発…あ…あぁ…レクトールが転覆して…》

 

ノウカもレクトールの乗組員も知る事は無かったが、敵機は艦橋根元に突っ込んだものの、爆弾自体は信管の不具合により炸裂せずに艦底近くまで侵入していたのだ。

それが総員退艦の命令が下った直後に運悪く炸裂、艦の奥深くで500kg爆弾が炸裂したレクトールは弾薬庫や航空燃料タンクが誘爆して大爆発し、轟沈してしまったのである。

 

「……勝つぞ。彼らの犠牲を無駄にしてはならない」

 

戦友の死を悼む暇はない。

生き残った者に出来るのは、その死を犬死にしない為に勝利する事だけだ。

 




先日、娘が1歳になりました
早いもんですねぇ
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