異世界の航路に祝福を   作:サモアオランウータン

390 / 391
クーちゃんのおしゃべりLIVEの告知が来ましたね!
果たして誰が実装されるのか…今からワクワクして仕方ありません


385.軍神進撃【11】

──中央歴1643年3月6日午後4時、ムー北方海域──

 

日が傾き、西日が眩しく射し込むラ・アカギの艦橋でラッサンは双眼鏡片手に水平線を睨んでいた。

 

「艦長、間もなく敵艦隊の前衛がコチラの主砲射程内に入る頃合いです」

 

「あぁ」

 

忙しなく腕時計とレーダー画面を交互に見る副艦長であるが、彼の言葉を聞いたラッサンは対照的になんとも冷静であった。

 

「……来た」

 

「敵艦隊、距離30km!」

 

野性的な感で何かを察したラッサンがそう呟くとほぼ同時にレーダー手が報告した。

 

「回頭せよ!面舵20!」

 

「おもかーじ、ふたまる!」

 

それを受けラッサンが指示を出し、それを副艦長が復唱する。

すると急速ともゆったりとも言えない絶妙な速度で艦の針路が右に変更された。

ラ・アカギは41cm連装砲を5基10門搭載しており、その砲火力はムー海軍最強の一角である。

 

「全砲塔、左舷へ!」

 

「砲塔、左舷へ指向!」

 

そんな本艦の砲火力を十全に発揮すべく、全主砲塔を左舷方向へ向けた。

 

「敵艦隊、距離25km!速力30ノット、先頭は小型巡洋艦或いは駆逐艦と思われます!」

 

「1番2番砲塔用意!着弾を確認したのち諸元を修正し3番4番5番にて砲撃せよ!」

 

「はっ!」

 

レーダー手からの報告を聞いたラッサンが命令を下し、それを受けた砲術長が射撃盤を操作する。

アズールレーンへの参加により元KAN-SEN艤装艦は更なる改装が施されており、特にラ・アカギを始めとした戦艦は最新鋭の射撃管制設備が搭載されている。

特に射撃盤はレーダーにより捉えた敵艦までの距離、方位、速度、針路を入力すれば自動的に諸元を算出し、各砲塔へ方向、仰俯角、射撃タイミングを伝えてくれるという優れものだ。

 

「主砲発射用意よし!」

 

「砲術長、そちらのタイミングで頼む」

 

「はっ!1番2番砲塔、発射まで5秒前!4…3…2…1…発射!」

 

──ドドンッ!ドドンッ!

 

艦の前方に装備された2基の連装砲が火を噴き、1トンにも及ぶ4発の砲弾が飛翔する。

 

「着弾まで3…2…1…今。……初弾夾叉!敵艦隊、尚も接近中!」

 

ラ・アカギに搭載された水上レーダーは敵艦はもちろん、着弾時の水柱を捉える事が出来る為、航空機や僚艦の弾着観測を必要とせずに単艦で弾着修正が可能となっているのだ。

 

「次で当てろ!30ノットならば30分もせずに肉薄してくるぞ!」

 

「おまかせを!」

 

初弾夾叉に喜ぶ間もなく、ラッサンは手早く砲術長へ指示を飛ばす。

 

「3番4番5番砲塔、艦長が命中をご所望だ!気合を入れろよ!」

 

コンピューターによる諸元算出のため砲塔の努力は殆ど関係無いが、最善の状況である以上は精神がものを言うという事だろう。

 

「発射まで5!4…3…2…1…発射!」

 

──ドドンッ!ドドンッ!ドドンッ!

 

轟音と共に飛翔する6発の砲弾。

それは適度な散布界で敵艦隊へほぼ垂直に振り注ぎ…

 

──ゴォォォォォン……

 

水平線の向こうに見える赤…ラ・アカギの砲弾には識別の為に赤い染料が仕込まれており、着弾時の水柱が赤くなるようになっている。

しかし、先ほど見えたのは染料の赤ではなく、炎の赤であった。

そして海中を通して足元から響く轟音…それは紛れもなく、敵艦に砲弾が直撃した事の証明である。

この時、ラッサン達は知るよしもなかったが彼等が狙っていたのはグ帝海軍のワークホースであるキャニス・メジャー級巡洋艦であり、2発の41cm砲弾が前部主砲塔と魚雷発射管に直撃した結果、弾薬と魚雷が誘爆して爆沈したのだ。

 

「命中!敵艦大破以上は確実と思われます!」

 

レーダー画面に映る敵艦はその動きが目に見えて鈍り、反応が徐々に小さなものとなり始めている。

目標が沈み、水上に出ている部分が少なくなったためだ。

この事からレーダー手は撃沈を確信していたが、規則上目視確認しなければ撃沈判定を出せないため上記のように報告した。

 

「喜ぶのは後だ!まだまだ来るぞ!」

 

艦内に喜色が漂うがラッサンはそれを直ぐ様引き締める。

レーダーに映る敵艦隊の数はまだまだ多く、全速力で突撃していた。

それはまるで怒り狂った猛牛の群れだ。

徹底的に叩かなければ此方が轢き潰されてしまうだろう。

 

「肉薄を目論む駆逐艦と巡洋艦は副砲で対処、主砲は戦艦級の目標に使うぞ!」

 

「はっ!」

 

ラッサンの指示に副艦長が短く応える。

ラ・アカギの副砲は12.7cm連装両用砲となっており、対艦能力は物足りないものがあるものの、駆逐艦や軽巡洋艦相手なら十分な威力だ。

それに味方艦とも連携出来るなら、敵戦艦に痛打を与える事が出来る主砲弾はそちらに回すべきだろう。

 

《こちら、ラ・エルド。ラ・アカギへ通達。ラ・ヘレナより2時の方向より敵戦艦見ゆとの報告あり。貴艦が最も近い、迎えるか?》

 

「こちらラ・アカギ、了解。しかしこちらに向かう敵艦隊がある」

 

《ラ・レナウン及びラ・レパルスを急行させる。その間の繋ぎは航空隊による空襲で敵艦隊を漸減しよう》

 

「了解」

 

ラ・アカギへと呼びかけたのは、ラ・エルドであった。

ラ・エルドはバルチスタ沖海戦で致命的な信頼性の無さを見せたゲルリッヒ砲を撤去し、代わりに多数の通信設備と要員を乗せて最前線で味方艦や味方機を的確な位置へ誘導する為の『水上管制戦艦』として運用する事となったのだ。

そんな両艦の通信士同士のやり取りを聞いたラッサンは、自艦の通信士とアイコンタクトすると、号令を発する。

 

「本艦はこれよりラ・ヘレナが発見した敵戦艦を迎撃すべく当該地点へ急行する!針路そのまま、両舷全速!」

 

「針路そのままー!りょうげーんぜんそーく!」

 

ラッサンの言葉を副艦長が復唱すると、ラ・アカギの煙突から大量の陽炎が立ちのぼり徐々に加速してゆく。

ラ・アカギは元々巡洋戦艦であり、最高速力は30ノットにも及ぶ快速艦だ。

それに加えてボイラーの更新による高出力化と、兵装の見直しと機材更新により軽量化したため加速力が向上しており、その巨体からは想像出来ない程ぐんぐんと加速する。

 

「さあ、艦隊決戦だぞ!気を引き締めていけ!」

 

今一度場を引き締める為に激を飛ばすラッサン。

それに応えるように、乗組員達は襟を正すのであった。

 

 

 




いい加減16章攻略に乗り出さないとなぁ…
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。