異世界の航路に祝福を   作:サモアオランウータン

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皆さん、イベントの進捗は如何でしょうか?
私はもちろん、全員揃えられました


387.軍神進撃【13】

──中央歴1643年3月6日午後6時、ムー北方海域──

 

「我が方の艦隊、所定位置への誘導を完了」

「ラ・アカギ及びラ・ヘレナ以下駆逐艦、戦艦を含む敵艦隊と交戦中」

「我が方の航空隊、全機着艦済み」

 

主戦場からやや離れた位置でラ・エルドは管制任務を一通り終えて、落ち着きつつあった。

 

「ふぅ…本艦の役目は一段落だな。しかし…」

 

最早肉眼では様子が窺えない程に暗くなった海域は発砲炎とサーチライトで時折敵味方の艦船が見えるだけだ。

 

「本艦が戦艦としての本分を活かせないのはやはり歯がゆいな」

 

艦長のテナルが苦笑しながらそう呟く。

ラ・エルドは味方艦の交戦状況を把握しつつ、適切な地点に適切な艦を誘導する為に多くの通信機及び通信アンテナを装備しているが、その改装を施した際に主砲を5インチ連装両用砲に換装しており、戦艦とは名ばかりの実質的には駆逐艦並の火力しか持ち合わせていない。

そんな本艦が40cm級砲や魚雷が行き交う海戦で有用な戦力にはなれないだろうし、何より主任務は管制だ。

故に味方の勇姿を指を咥えて見ている事しか出来ない。

 

「艦長ぉぉぉぉ!3時の方向より此方に接近する艦があります!」

 

「何だと!?」

 

低い艦橋の頂上から見張りが声を張り上げ、報告する。

それを受けテナルは直ぐに目を細めて外を覗う。

 

「あれは…」

 

ラ・エルドは艦船管制中は通信を妨げない為にレーダーを切る必要がある。

その為、視認距離まで艦尾が沈み込んだ艦を察知する事が出来なかった。

 

「グ帝のオリオン級に見えます。幸い此方には気付いていないようですし、上手く距離をとりましょう」

 

「うむ」

 

副艦長からの提案に、テナルは頷く。

シルエットしか見えないが、その姿はグ帝の戦艦であるオリオン級に見える。

如何に手負いとはいえ、ラ・エルドが勝てる相手ではない。

故にやり過ごそうという判断だったが、その時ラ・エルドの通信機から声が響いた。

 

《こちら榛名…艦尾に被雷!これ以上の戦闘続行は不可能、離脱するわ!》

 

「榛名殿?なるほど、あれは榛名殿だったか。よし、榛名殿の離脱を援護するぞ!」

 

「はっ!」

 

通信してきたのは、アズールレーン所属の重桜戦艦『榛名』であった。

確かにグ帝のオリオン級と、アズールレーンの『金剛型戦艦』及びロデニウス連邦海軍の『ロデニウス級戦艦』は非常に似通っているため、事前の通達でも乱戦の際には誤射しないようにとの注意があった。

しかし、彼らの目の前に居るのは艦尾が沈み込んだ戦艦…複数の似た艦が艦尾が沈む程の損傷を同時に受けるとは思えないし、何よりもうら若き乙女が傷ついているのを、彼らは見ているだけでは済ませたくなかった。

 

「針路を榛名殿へ!榛名殿、こちらムー海軍ラ・エルド。離脱を援護致します!」

 

《ありがとうございます。ところで貴艦はどちらに?》

 

「貴艦の9時方向に居ります。今向かっているところですよ」

 

《9時方向…?いえ、貴艦の姿はありませんが》

 

「……こちらからは貴艦の姿が見えます」

 

《テナル艦長から見えるのなら私からも見えてないと…あ》

 

「……あ」

 

テナルと榛名、2人…いや、ラ・エルドの乗組員達は察してしまった。

 

《テナル艦長!"それ"私じゃない!》

 

「艦長!本艦へ向けてサーチライトが!」

 

「て、敵だぁぁぁぁぁ!」

 

似た艦形の艦が同じような損傷を受けるなぞ、そうそうある事じゃない。

しかし、現在行われているのは空前絶後の大海戦…"稀な事"が起きてしまったのだ。

 

「敵艦、副砲発砲!」 

 

「回避!取舵いっぱい!」

 

敵艦からのサーチライト照射により明るく照らされたラ・エルドはいい的だ。

幸い敵艦は艦尾側に傾斜しているお陰で主砲が旋回出来ず、スクリューや舵を損傷しているのか動きが鈍いが、ラ・エルドにとっては何段階も格上である。

間違っても真正面から戦ってよい相手ではない。

 

──ズズゥン…!

 

「回避成功!」

 

「よし、反撃せよ!主砲発射!」

 

──ドドンッ!ドドンッ!

 

水柱の脇をすり抜けるように回避したラ・エルドの反撃。

しかし、現在の本艦の主砲は先述した通りである。

 

──ゴォンッ!

 

「命中!……されど敵艦健在!」

 

「やはりか!」

 

対空攻撃時の砲塔旋回速度を優先した両用砲は軽量化の為に砲身が短く、駆逐艦相手ならともかく対艦攻撃能力は心許ない。

故にラ・エルドが放った砲弾は1発が敵艦の艦尾付近に命中したが、僅かに火災が発生した程度で痛打は与えられていないようだ。

 

「数だ!手数で押せ!」

 

「はっ!」

 

──ドドンッ!ドドンッ!……ドドンッ!ドドンッ!

 

テナルの命令を受け砲術長が射撃盤に齧りつき、装填が完了次第発砲する。

両用砲には自動装填装置が組み込まれており、非常に高い連射速度を誇るため不足している対艦攻撃能力は手数で補う事としている。

 

「命中弾複数!されど敵艦尚も健在!」

 

「くっ…!やはり榴弾ではなぁ!」

 

ラ・エルドが直接的な脅威としているのは航空機や肉薄する駆逐艦であり、それらを効果的に撃退する為に、なおかつ比較的砲身が短い両用砲では徹甲弾の威力を十全に発揮出来ないという判断から、榴弾を多く搭載している。

そのため、ラ・エルドが放った砲弾は敵艦に火災を発生させはするものの、痛打を与えるには至っていない。

時間をかければいつかは火災の影響で行動停止に追い込む事が出来るかもしれないが、時間はラ・エルドだけの味方ではない。

 

「敵艦、接近中!……あっ!」

 

「どうした!?」

 

「敵艦の傾斜が徐々に復元しています!」

 

「なんだとぉ!」

 

敵艦はラ・エルドの攻撃では致命傷を受けないと判断し、接近している上に艦尾側への傾斜が徐々に回復している。

おそらくは艦首側に注水する事でバランスをとっているのだろう。

もしそうなれば非常に不味い。

敵艦の傾斜が回復してしまえば主砲を使えるようになり、接近して撃たれれば対30cm砲防御しか持たないラ・エルドは直ぐ様沈められてしまうだろう。

 

「……全速前進」

 

「……は?」

 

暫く逡巡したテナルの言葉に副艦長が自分の耳を疑う。

しかし、副艦長の耳はテナルの言葉を間違いなく聞いていた。

 

「敵艦へ向けて全速前進!」

 

「艦長!?」

 

「大丈夫だ、私は正気だ!いいか?よく聞け!」

 

とうとう狂ったのかと副艦長が信じられないものを見る目を向けるが、テナルは副艦長に、何よりも艦内放送のマイクを持って乗組員全員に呼びかける。

 

「本艦の兵装は敵艦に痛打を与えられない!…ただ一つを除いてな」

 

「……まさか!」

 

「そうだ。本艦の艦首喫水線下に残したままの衝角だ!全速前進で敵艦に突っ込み、衝角を以て喫水線下に大穴を開けてやる!」

 

ムーの装甲巡洋艦及び戦艦には手漕ぎ船以来の伝統として衝角が装備されている。

流石にアズールレーン由来の技術を用いた艦船には装備されなくなっており、衝角を装備した旧来の主力艦は続々と退役するか、改修により衝角を撤去しているのが現状だ。

しかし、ラ・エルドは速力と航続距離増加の為に艦首を垂直に切落としたようなクリッパーバウに改修されているが、これは元の艦首にカバーを取り付けた形である為、衝角攻撃を行えばカバーを突き破って衝角が敵艦に突き刺さるはずである。

 

「総員、切り込み準備!」

 

続いて告げられたテナルの命令に艦内へ緊張が走る。

ムー海軍は伝統的に…それこそアズールレーンからの技術供与により誘導弾を運用する現状においても水兵は白兵戦訓練を課されている。

これはかつて、ムー海軍が戦列艦を運用していた頃に当時交戦していたレイフォル海軍が小回りが効く小型船でムーの戦列艦に肉薄、移乗攻撃を行った結果、戦列艦の射程と火力に胡座をかき白兵戦訓練を疎かにしていたムー水兵は圧倒され、最新鋭戦列艦をほぼ無傷で鹵獲されるという失態を犯した教訓からだ。

 

「は、白兵戦!?」

「訓練はしているが…まさか本当にやる事になるなんて」

「陸軍から部隊を借りておけばよかったな…」

 

乗組員達は口々に驚きと不安を口にするが、それでも手近な白兵戦用武器庫へ急行し、サブマシンガンやショットガン、拳銃を受け取ると上甲板へ直ぐに向かえるように待機する。

 

「敵艦、至近!」

 

「総員、対衝撃体勢!」

 

エンジンと艦首の改修により20ノットを発揮出来るようになったラ・エルドは全速力で敵艦へ突撃して行く。

 

 

 




直近の目玉イベントとしては、ニーアオートマタコラボと新計画艦、日本版9周年ですね
果たして今年こそ大和がくるのか…?
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