異世界の航路に祝福を   作:サモアオランウータン

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計画艦9期が始まりましたね!
私は予定通りバルパライソからにして、1回目の経験値集めは終了しました


392.軍神進撃【18】

──中央歴1643年3月6日午後11時、ムー北方海域──

 

闇夜を煌々と照らす照明弾と発射炎をやや離れた位置から望むエンタープライズ。

その艦橋内で指揮官は空中投影ディスプレイを鋭い眼光で見据えていた。

 

《……しまった。機関損傷、速力低下する》

 

《インディちゃん!?指揮官、インディちゃんが!》

 

「落ち着け、ポートランド。お前はインディアナポリスと他の損傷艦を率いて離脱しろ。他に戦闘が難しい程の損傷を受けた者は?」

 

《こちら羽黒…魚雷が誘爆してヤバいっす…》

 

《ロイヤル・オークです!舵が効かなくて…どうしてこんな事に…!》

 

《サンタフェだよ!流石にこれ以上は無理かも…》

 

空中投影ディスプレイに表示された味方艦のアイコンが点滅し、次々と損傷艦から通信が届く。

これまで優位に戦いを進めてきた連合軍であるが、それは強力な航空戦力や誘導弾あっての事だ。

夜間かつ誘導弾の多くを使い切った現状は純粋な砲戦能力で迎え撃つしかなく、そうなれば殆ど五分である。

 

「敵も中々に優秀だな。しかも46cm砲を上回る主砲を備えた戦艦が居る。新型か或いは既存艦を改修したのか…」

 

指揮官の命令通り損傷艦を引率するように戦域を離脱するポートランドの動きを目で追いながら呟く指揮官。

46cm砲を上回ると一目見て分かる程の威力ならおそらく51cm砲であろう。

直撃すれば大和型ですら致命打を受けるかもしれない。

 

「指揮官、戦闘中でも根を詰め過ぎるのは良くないぞ。冷静な判断が出来なくなる方が大変だ」

 

ディスプレイの表示から海戦の状況を脳内で再現していた指揮官の元へ、2つのマグカップを持ったエンタープライズが訪れた。

航空隊の殆どを撤収させた彼女は指揮官を補佐する為に艦内で様々な作業を行なっていたのだ。

 

「ありがとう、だがどうしても気になるんだよ。勝てるには勝てるが、ただ勝つだけじゃ意味が無い。グ帝の艦隊、その内で有力な物を可能な限り生かして勝つのが重要だ」

 

エンタープライズから差し出されたマグカップを受け取りつつそう述べる指揮官。

マグカップの中身はコールタールのように濃く煮出したコーヒーで満たされており、スプーンで混ぜるとジャリジャリと音がする程の砂糖が入れられていた。

 

「……指揮官の考えは分かったが、上手くいくだろうか?いくら秘密兵器があるとはいえ、敵だって一枚岩じゃない」

 

「それは承知の上だ。だが、今俺達と殴り合ってる艦隊は殿を買って出たようだ。つまり士気は十分…士気が高い軍隊ってのは真っすぐで、愛国心が強い。ならば秘密兵器の効果も絶大さ」

 

エンタープライズ特製のコーヒーを一口飲む。

苦く、甘い。

カフェインが脳を覚醒させ、糖分が酷使された脳に送り込まれる。

夜戦はやはりこれに限る。

 

《指揮官、敵艦隊に損傷艦が増えてきたわ。そろそろ例の秘密兵器を投入するべきではないかしら?》

 

迎撃艦隊旗艦の武蔵からだ。

ディスプレイに表示された敵艦隊の反応は確認出来る限りでこそあるが、敵艦の損傷状況が反映されており、それを見るに敵艦隊は半数近くが損傷しているらしい。

 

「……頃合いだな。エンタープライズ、秘密兵器を」

 

「了解した」

 

指揮官からの指示を受け、エンタープライズが退出するが程なくして戻ってきた。

そして来たのはエンタープライズだけではない。

 

「お待たせ致しました、カバル殿下。気分は如何でしょうか?」

 

「うむ、揺れも小さく非常に良い艦だ」

 

エンタープライズが連れてきた秘密兵器、それはグ帝の皇太子であるカバルだった。

 

「重ね重ね申し訳ありません。貴国との戦いの場に殿下をお連れしてしまい」

 

「確かに我が国の兵が倒される場に居る事は心苦しい…しかし、貴殿らも国を守る為にしているのだ。それを恨むのは筋違いではないか」

 

「ご理解頂き感謝します」

 

「それに、貴殿らは我が国が生き残る為に策を練ったのだろう?正直に言えば我が国は貴殿らには勝てん、滅ぼされてもおかしくはないというのにこれ程の配慮をされたのなら、協力せねば皇族の名折れだ」

 

指揮官が前線にカバルを連れてきた理由、それはズバリ"グ帝を生かしたまま負けさせる"事にある。

そもそも連合軍の手にかかればグ帝の戦力を壊滅させ、本土決戦で完全に滅ぼす事は不可能ではない。

しかし、それには莫大な戦費と人員が必要であり、本土決戦ともなれば少なくない死傷者が発生するだろう。

そうなれば今後勃発するであろう対魔帝戦において支障が出るであろうし、対魔帝戦略を根本から見直さなければならなくなり、場合によっては戦力に不安が残るまま魔帝と戦わなければならない状況になる恐れもある。

それを回避する為にはグ帝を降伏させ、なおかつグ帝自体も対魔帝戦略に組み込む事が理想だ。

 

「えぇ、殿下のお言葉であれば彼らも耳を傾けてくれるでしょう。エンタープライズ、後は手筈通りに」

 

「了解だ」

 

無論、対魔帝戦略に組み込める程の戦力を残したままグ帝が降伏する訳がない。

そこで重要なのがグ帝の内情とカバルだ。

グ帝、特に軍事に関しては軍部と近衛兵団が対立している事、そしてカバルは軍部に人気があり近衛兵団の権力を制限しようとしていた事を知った指揮官はこれらの内情と自身が組み上げた"近衛兵団絶対悪論"を組み合わせ、全ての元凶たる近衛兵団をカバルを筆頭とした"良識ある"グ帝人が撃ち倒すというシナリオを編み出したのである。

もしこれが成功すればグ帝は自ら過ちを正したとして国際社会から温情が与えられるだろうし、グ帝はアズールレーンに対して大きな借りが出来る…そうなれば、グ帝を対魔帝戦略に引き入れつつ経済的に縛りつける事も難しくはない。

 

──ヒュィィィィィ…ゴォッ!

 

指揮官からの指示を受けたエンタープライズが艦載機を発艦させる。

夜間攻撃…ではない。

それを示すように飛び立ったF-4KとA-7Eのパイロンには爆弾や誘導弾ではなく、増槽のような物が懸架されているだけであった。

 

「殿下、準備が整いました」

 

「うむ、今行く」

 

同行したフェルドが艦橋へカバルを迎えに来た。

今回の秘密兵器、つまりカバルによる演説ではグ帝艦隊へ彼の言葉と姿を届ける為に特殊な機材が必要となる。

その準備が全て完了したようだ。

 

「では殿下、お願いします。貴国の未来は殿下のお言葉に懸かっていますよ」

 

「あぁ、気を引き締めて臨むとする」

 

指揮官の言葉にカバルは覚悟を決めたような凛々しい表情を浮かべる。

その顔付きは世間知らずの皇太子ではなく、国を背負って立つ者に相応しいものであった。

 

 

 




生放送でニーアオートマタコラボの詳細が発表されましたが、ダンまちコラボと同じくガチャ無しでしたね
あと月末イベントの情報も先出しがありましたし、楽しみですねぇ…
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