異世界の航路に祝福を   作:サモアオランウータン

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ニーアオートマタコラボ始まりましたが、キャラ自体は直ぐに手に入るので直ぐに計画艦作りに戻れますね
それよりミニゲーム?のオークションですがシステムがよくわかりません
報酬を一通り入手したらもう触らなくていいかな…


393.軍神進撃【19】

──中央歴1643年3月7日午前0時、ムー北方海域──

 

「消火急げ!」 

「負傷者は士官室へ!」

「熱い…熱い…」

 

帝国が誇る最強最大の戦艦であるグレードアトラスターの艦上は正に地獄絵図であった。

砲戦の末に大小様々な砲弾を受けた艦上構造物はあらゆる場所から黒煙を伴った火の手が上がり、傍らには苦しみのたうつ兵士や、物言わぬ骸と化した兵士が横たわっている。

 

「司令長官、血が…」

 

「少し切っただけだ」

 

痛打を受けたグレードアトラスターであるが、それは艦橋内も変わらない。

設計時の想定よりも強大な主砲による度重なる斉射の衝撃波、そして被弾時の爆圧により艦橋に嵌め込まれていた分厚い防弾ガラスは内側に向かって砕け散り、床は宝石をばら撒いたかのような有様だ。

そして艦橋に詰め掛けた要員も割れたガラスの破片により負傷しており、生臭い鉄の匂いが漂っている。

 

「此方の被害は?」

 

「戦況が混乱して何とも言えませんが…我が方より敵の被害が多いとは言えませんな」

 

額に流れる血を袖で拭いながらそう尋ねたカイザルに、ラクスタルがそう応えた。

確かに遠くに見える敵艦隊には炎上中の艦が見える為、敵も決して無傷ではないだろう。

しかし、かと言って帝国艦隊が優位な訳ではない。

殿を志願した殆どの艦が大なり小なり被弾しており、沈んだ艦は両手の指では足らない程だ。

これ以上戦えば全滅は確実…しかし、今更撤退したとて苛烈な追撃に遭ってしまうだろう。

 

(戦死は覚悟している…しかし、気がかりなのは帝国の未来と殿下の無事だ)

 

カイザル自身、この海で艦隊と運命を共にする覚悟はある。

だがもし…もしこの大敗を以てしても帝国が戦争を止めなければ圧倒的な戦力を持つ異世界国家連合により帝国は致命的な痛打を、更に言えば敗戦にまで追い込まれてしまいかねない。

そうなればあのまだ未熟ながらも真っ直ぐなカバルは異世界国家により処刑されてしまうだろう。

その先に待つのは帝国の崩壊…多くの命が失われる。

 

「……驕りの末路か」

 

カイザルは神を信じていない。

しかし、神がもし本当に存在するのならば他民族を見下し、蹂躙した帝国に対する神罰がその未来なのだろう。

 

「し、司令長官!これを!」

 

「どうした?」

 

最早達観したようなカイザルへ、艦内電話の取次をしていた無線手が声をかけた。

 

「無線のノイズが無くなりました!おい、レーダーはどうだ!?」

 

「レーダーは…っ!レーダー、復旧!」

 

「今更か…!」

 

無線手とレーダー手の言葉を聞いたラクスタルが歯噛みするが、カイザルも同感だ。

せめて乱戦に縺れ込む前に復旧してくれれば、より効率的な時間稼ぎが出来ただろうし、撤退も現実的なものになっただろう。

 

「対空レーダーに反応!未確認機…敵機です!」

 

「夜間攻撃だと!?」

 

やっと自身の配置に戻れたレーダー手だったが、その顔は直ぐ様驚愕へと変わった。

 

「いよいよ私達に引導を渡そうというのか…」

 

全てを諦めたようなカイザルの言葉。

おそらくは砲戦により対空火器を削った上で航空雷撃によりトドメを刺すつもりなのだろう。

しかし、カイザルの予想は想定していない形で裏切られた。

 

「待って下さい…敵機…せ、旋回しているだけです」

 

ヒビ割れたレーダースコープに齧りつきとなっていたレーダー手が怪訝そうな表情を浮かべ、そう述べる。

確かに画面に映し出された敵機を示す幾つかの光点は帝国艦隊に向かわず、敵艦隊との間を大きく旋回しているだけだ。

 

「艦長!敵機、煙幕を展開しています!」

 

「煙幕だと?……高度が高すぎる」

 

見張りの言葉にラクスタルも空を見るが、確かに火災や照明弾の光に照らされた白い煙が高度1000m付近に濃密に立ち込めている。

艦隊や地上部隊の動きを隠す為に航空機から煙幕を散布するというのは帝国陸海軍の教範にも記載されているが、敵機が煙幕を展開した高度は高く、これでは海面付近に落ちてくるまでに雲散霧消してしまいかねない。

 

「一体何を…?」

 

ラクスタルもカイザルも…艦隊の全てが敵の意図を図りかねていたその時だった。

 

「…敵艦隊からの攻撃が止まっている?」

 

誰が言ったのかは判然としない。

だが確かに言われてみれば降り注いでいた敵艦隊からの砲撃は止まり、それどころか多くの敵艦は撤退しているように見える。

 

「まさか撤退する為に煙幕を…いや、現状は敵艦隊が優位な筈だ」

 

理解に苦しむ敵の動きに戸惑うカイザル達。

ここで彼らを更に混乱に陥れる事態が発生した。

 

「広域無線…?……なっ!?これは!」

 

「何だ?いったいどうした?」

 

驚愕する無線手にラクスタルが問いかける。

すると無線手は目を見開き、無線の出力を艦内放送に繋げた。

 

「か、カバル殿下です!カバル殿下がお言葉を届けるので艦内放送に繋げよと…!」

 

「カバル殿下!?ご無事であったか!」

 

無線を飛ばしてきたのがまさかの相手だった事にカイザルは驚愕と喜色が入り混じった表情を浮かべる。

それに応えるように、辛うじて天井からぶら下がっているスピーカーから声が聴こえた。

 

《聴こえるか、忠勇なる帝国の兵達よ。私はグラ・カバル。グラ・バルカス帝国皇帝グラ・ルークスの嫡男たる皇太子グラ・カバルである》

 

艦内のみならず艦隊に所属する全ての将兵が耳を傾けたその時、敵機が展開した煙幕に巨大なカバルの姿が映し出された。

 

「殿下!」

「殿下だ!カバル殿下!」

「ご無事だったのですね!」

 

煙幕に映るカバルは細かな部分こそ見えにくいが血色も良く、少なくとも酷い目にあったようには見えない。

 

「あれは…まさか煙幕をスクリーンにして殿下のお姿を投影しているのか!?」

 

戦場のど真ん中で巨大な映画館を作り上げた異世界国家の技術力に驚くカイザル。

そんな彼を知る由もないカバルは言葉を続ける。

 

《私は異世界国家の…アズールレーン、ロデニウス連邦、ムーの合同作戦により拉致された。それを知った諸君らはきっと彼らの行いに怒りを覚えてくれた事だろう。だが安心してほしい。彼らは私を客人のように歓待し、ロデニウス連邦の視察と我が国の捕虜との面会の機会を設けてくれた》

 

カバルの言葉に多くの将兵がざわめく。

何故なら彼らの異世界人に対する印象はハイラスを理不尽に処刑したパガンダ王国の官僚のものであり、当然ながらカバルも野蛮な異世界人の手により手酷い扱いを受けているものだと思っていたからだ。

 

《諸君らの中には私が異世界国家の脅しを受けてこのような事を言わされていると思う者も居るだろう。その気持ちは分かる。しかし、この言葉は紛れもなく私の言葉だ。信じてほしい》 

 

煙幕に映る巨大なカバルの虚像が自らの健在を示すように大きく両腕を左右に広げる。

この言葉すら言われているものかもしれない。

しかし、人々に寄り添ってきた実績に裏打ちされたその言葉を疑う者は殆ど存在しない。

 

《諸君らが私を信じてくれる事を期待して話を続けよう。…私はロデニウス連邦を視察して一つの結論に至った。結論から言えば、このまま戦えば帝国は敗北する》

 

「殿下!?」

 

薄々はそう考えていたが、カバルのハッキリした物言いにカイザルは腰を抜かしそうな程に驚く。

 

《ムー大陸で捕らえられた私はロデニウス連邦へ移送される際、彼らが実用化した"超音速旅客機"に乗り、1万5千キロもの空路を半日もかからずに移動した。帝国では人間は超音速飛行に耐えられないと頭ごなしに決めつけている間に、彼らは100人以上を乗せて音の2倍の速度で飛ぶ旅客機を開発したのだ》

 

「なんと…!」

 

帝国では常識だと考えられていた物理学が根底が覆されたカイザルは驚愕と共に納得する。

敵機は圧倒的な性能を誇っていたが、超音速飛行が可能ならば辻褄が合う。

 

《何よりも私が感銘を受けたのは彼らの文明の成熟度だ。驚く事に彼らの工業地帯から出る排水は魚が住める程に清浄であり、何万台と自動車が走る都市の空気は遥か遠くまで見通せる程に澄んでいた。そして視察した帝国軍将兵が収容されている捕虜収容所だが…驚いた事に収容者1人1人に個室が与えられ、清潔な環境で滋養に富んだ食事を与えられ、程よい労働に従事している…異世界の人々は我々が思う程に野蛮ではないのだ》

 

異世界人は野蛮ではない、その言葉を聞いた帝国軍将兵は戦う意味を失ってしまった。

何せ帝国が世界征服に乗り出したのは、異国の皇族を理不尽に処刑するような野蛮な異世界人を先進的な帝国が支配する事で世界を安定させるという大義名分があったからだ。

故に皇太子程の人物が異世界人の野蛮さを否定した事で大義名分が揺らいでしまったのである。

しかし、そんな中でカイザルは静かに目を閉じてカバルの言葉を聞いていた。

 

(……そうだ。異世界の人々は我々が考えるような野蛮人ではないのだ。国を守る為に命を懸け、例え敵であっても命を慈しむ事が出来る…我々と同じ人間なのだ)

 

カイザルの脳裏に浮かんだのはバルチスタ海戦集結直後に対話したムーの巡洋艦に乗っていたアリシアという女性船乗り。

 

──《私達は憎悪で戦っているのではありません。国を護る為に戦っているのです。殺さずに済むのであればそれに越した事はありませんし…なにより、もし私が漂流する立場となったら無事に助けてほしい。それだけでは不満でしょうか?》  

 

その言葉を反芻していたカイザルだったが、思いもよらぬ形で呼び出しを受けた。

 

《カイザル!カイザルよ、居るのだろう?アズールレーンの代表が貴官と会談したいと要請している。どうか一時停戦とし、会談の場を設けてはどうだろうか》

 

カバルからの呼びかけを受け、視線がカイザルに集中する。

それを受けてかは不明だが、カイザルはゆっくりと目を開き重々しく口を開いた。

 

「全艦に通達。本艦はこれより異世界国家連合軍との会談の為、単艦で前進する。攻撃は厳禁、秩序を保ち待機せよ」

 

 

 




月末イベントはロイヤルで着せ替えはナースモチーフのようですね
とりあえずプリマスとガンズウェイの着せ替えいいですよね
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